実践主義! 高橋庄太郎の山道具コレクト
起きている時から寝ている時まで使えて汎用性も「高」

1万円台で買えて高コスパ! ポンチョにもブランケットにもなるサーマレスト「ホンチョポンチョ」


街で過ごしている分には、ただただ心地よいのが、春という季節。しかし、山はいまだ寒く、特に昼と夜の寒暖の差をなめてはいけない。ダウンジャケットを着込んでも肌寒く、テントや山小屋で眠れないこともあるだろう。それなのに昼はおどろくほど暑くなることもあり、その対応には苦労させられる。

中綿が入った温かなポンチョ

今回取り上げる製品は、アメリカのサーマレストというメーカーが作った「ホンチョポンチョ」なるものだ。「ポンチョ」はわかるが、「ホンチョ」とは? 「honcho」という単語には“責任者”や“大物”という意味があるらしいが、これは、まぁ、語呂がいいから使ったというだけに違いない。

では、これはただのポンチョなのか? たしかに形状や着用の仕方はポンチョだが、表地と裏地の間には温かな中綿が入り、メーカー自体は一応「ブランケット」として分類しているようだ。要するに、ホンチョポンチョは、ポンチョとブランケットの用途を兼ね備えたユニークなアウトドア用具なのである。

しかし、もう少しだけ深く考えてみよう。多くの人がイメージするアウトドア用途のポンチョといえば、防水性の生地を使ったレインウェアの1種だろう。だが、南米生まれであるポンチョの素材はもともと動物の毛を織ったもので、主な用途は防寒や防風だ。その意味でいえば、ホンチョポンチョこそが、正統的なポンチョの現代版と言えなくもない。これは温故知新の発想から生まれた装備なのかもしれない。

ホンチョポンチョを開いた状態。サイズは200×142pで、たしかにブランケットに見える

ホンチョポンチョを開いた状態。サイズは200×142pで、たしかにブランケットに見える

2つ折りにした状態。フードの位置がよくわかるようになり、こうなるとやはりポンチョっぽい姿だ

2つ折りにした状態。フードの位置がよくわかるようになり、こうなるとやはりポンチョっぽい姿だ

表地は20デニールのリップストップポリエステルでDWR(耐久撥水)コーティング。裏地は50デニールのポリエステルタフタで、表地よりも少し厚い

さっそく、ポンチョとして着用してみよう。僕の身長は177pだが、2つ折りにした部分の裾は、太もも近くになる。腕は肘までは隠れ、二の腕は半分ほど露出した状態だ。その様子から判断するに、子どもでもなければ裾を引きずって歩くようなサイズ感ではなく、小柄な人でも手首より先は常に外へ出せるはず。ホンチョポンチョはワンサイズのみだが、多くの人が支障なく使えるだろう。ちなみに色はこの「トマト」のほか、「オリーブ」「ストレートプリント」の3色展開である。

正面と横側から見ると、このような感じ。素材がふんわりとしていて、現代的な質感であるだけで、やはりこいつはポンチョだと考えたくなる

2つ折りにした場合、サイドはスナップボタンで1か所固定できる。それによってループ状になった隙間の上から腕を出すと、ポンチョとして着用できるわけだ

フードの形状はシンプル。これがレインウェアとしてのポンチョであれば、ドローコードで顔まわりを絞り、雨水が入りにくいデザインにしているに違いない

ホンチョポンチョに使われている中綿は、化繊のエラロフトポリエステル。繊維が密にからみ合っているので型崩れしにくく、なにより水濡れに強い。ダウンならば水で湿った途端に保温力が激減するが、化繊の中綿ならばある程度の保温力を保ってくれるという安心感がある。しかも、表面生地にはDWR(耐久撥水)加工がプラスされ、ますます水には強いのだ。

そのいっぽうで気になるのは、685gという重量のわりにはそれほど温かくはなく、少々蒸れやすい感がしないでもないこと。正直なところ、高質な中綿とは言いにくい。だが、価格(メーカー希望小売価格13,000円/税別)を確認すれば納得してもらえるはずだ。しっかり作られているのに安価でリーズナブルなのである。

DWR(耐久撥水)加工の性能はどれほど?

撥水性能を確かめるべく、僕はホンチョポンチョを下に敷くような状態で落ち葉の上に座ってみた。10分ほどすると、地面の水分がお尻に移っていくのがわかる。ちょっと手荒にテストし過ぎたのかもしれない。その結果、お尻の部分には水による染みができてしまった。あれだけ体重をかければ、DWR加工をしていても水分の染み込みは仕方ない。

落ち葉の表面は乾燥しているが、座っていると、じわじわと水分が表面に移ってくるのがわかる。しかし、中綿が化繊ならば、濡れ自体はあまり心配する必要はない

物は試しとボトルの水を別の部分にも軽くかけてみた。すると……、あれっ? 表面生地はあまり水を弾かず、予想以上の広い部分に染みができてしまった。何度か広げたり収納したりしているうちに生地が強く擦れ、撥水力が落ちてしまったのかもしれない。ともあれ、残念ながらホンチョポンチョのDWR加工の効果は限定的と言えそうだ。

表面生地に水をかけてみた状態。光とウェアの色の問題でわかりにくいが、実は水分がかなり浸透してしまっている。DWR加工のはずなのだが?

パッキングもできる便利な2つの大型ポケット

水濡れに強い中綿を使いながらも、表面生地には弱点がありそうなホンチョポンチョ。ここからはポケットの特徴にも触れていきたい。

腕を下げた時に手が自然な位置にくるフロント部分には、両サイドから手を入れられ、内部ではひとつにつながっている、いわゆるカンガルーポケットが付けられている。この部分は2枚の中綿ではさまれており、なかなか温かい。グローブなどの大きいアイテムも余裕をもって入れられる。その上には、真上に開口部があるファスナー付き大型ポケット。着用時はモノを入れるのに便利だが、もうひとつの用途にはホンチョポンチョ本体をここに押し込み、小さくパッキングできるというものもある。つまりこれだけ大きいのに、パッカブル仕様なのである。

フロントにはポケットが2つ。大きなものも収納できるが、入れ過ぎると屈んだ時に目の前にぶら下がり、足元が見えなくなるので注意

ポケットの内側は2重の生地になっており、ひっくり返すとホンチョポンチョを収納できるサイズの収納袋になる

きれいにたたんで収納しようとしても、うまく入らない。むしろ適当に押し込んだほうが、すばやく袋に入っていく

収納を完了すると、40×30pほどの大きさになる。就寝時にホンチョポンチョを使用せず、寝袋だけの場合は、枕として利用するのもよさそうだ

テント内ではどう使う?

テント内で起きている時にホンチョポンチョを防寒着としてはおると、なかなかの温かさだ。座っている時は上半身とともに下半身もこれ1枚で覆いつくすことができ、保温力を効率よく生かせる。ダウンジャケットなどと合わせれば、ますます防寒性は向上する。

テント内に座っている時は、足先まで一緒に防寒できる。テントの壁に付着する結露で濡れても、中綿は化繊なのであまり気にならない

就寝時にブランケットとして用いる場合は、いくつかの使い方が考えられる。布団のように体の上にただかけるのは特に温かい時期向け。手足を自由に出せるので、体温を調整しやすい。ホンチョポンチョを上半身にはおったまま、寝袋に入るという手もある。フードをかぶったままならば頭部も暖かく、上半身の保温力が強化される。寝袋に入ってから、その上をホンチョポンチョで覆うのは、保温力を増すシンプルな方法だ。

上半身にホンチョポンチョをかぶったまま、寝袋の中へ。寝袋内の隙間を埋める効果も期待でき、体温で温まった空気を流出させない

体にかけて使えば、まさにブランケット。寝袋のようにきゅうくつではなく、温かい時期はこのように寝ると解放感が高い

山行を終えて

ホンチョポンチョはおもしろい存在だ。保温性はそこそこという化繊の中綿で、重量685gは軽くはない。ダウンのように圧縮できないので、収納時にかさばるのも否めない。だが、これを寝袋代わりにもなる「着られる」ブランケットだと考えれば、起きている時から寝ている時まで長時間使用することができ、汎用性は高い。1枚持っていると、重宝しそうだ。

ただし、重量とかさばりの問題はやはり大きく、自分の足の力だけで重い荷物を長時間持ち運ばねばならないテント泊縦走などには向いていない。同じだけの保温力を得るには、コンパクトで軽く、収納性もいいダウンの寝袋と防寒着のほうが効率がよいからだ。しかし、歩く距離が短く、難ルートが少ない低山であれば、多少重くても持ち運びにはあまり苦労せず、活躍の場が広がる。また、山中にベースキャンプを作り、同じ場所に長く滞在するような場合にも便利そうである。

ホンチョポンチョは、もともと安価で製造していることもあり、過度な機能を求めてはいけない。化繊のよさは、手荒にあつかっても傷みにくく、洗濯も簡単というところにもある。汚れることなど気にせず、ラフにガンガン使ってやれば、あっという間にもとは取れるだろう。

高橋庄太郎

高橋庄太郎

テント泊での登山を中心に1年の半分近くは野外で過ごす、山岳/アウトドアライター。好きな山域は北アルプス。「山道具 選び方、使い方」など、著書も多数。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る