近年、トレッキングやトレイルランニングシーンだけでなく、ファッションシーンでも支持されているサロモン。2024年11月に移転拡大した「サロモンストア 東京 渋谷」は、時折行列ができるほどの人気なうえ、今年4月には九州エリア初となる「サロモンストア ワン・フクオカ・ビルディング」が、6月には関西エリア初の総合型直営店となる「サロモンストア あべのHoop店」がオープンするなど、その勢いはますます拡大している。
そんなサロモンが“グラベルランニング”を提案し、対応モデルをリリース。“グラベルランニング”とはどんなランニングスタイルのことで、対応モデルとは一体どんなシューズなのだろうか。
グラベルとは、砂利や小石を意味する言葉。モータースポーツや自転車のシーンではよく使われている言葉で、砂利道、土の道、草地、岩盤質の道といった未舗装路のことを指す。舗装路だけでなく未舗装路も走行できる、ロードバイクと似た形状の自転車はグラベルロードバイクと呼ばれ、ひとつのジャンルにもなっている。
舗装路だけでなく、砂利道や草地などの未舗装路も含めて、好奇心のおもむくままに、さまざまな場所を自由に走ろうというのが、サロモンが提案するグラベルランニング。実際、競争よりも、発見や探検、冒険に重きを置いたランニングスタイルを楽しむ人が、アメリカやヨーロッパで増えつつあるという。そんなグラベルランニングに対応するシューズとして登場したのが、今回テストした「エアログライド3グラベル(AERO GLIDE 3 GRVL)」なのだ。
サロモン「エアログライド3グラベル」。公式サイト価格は17,600円(税込)。写真のカラーは「Ballad Blue/White/French Blue」
アスファルトで舗装された道から、オフロードまでをシームレスに走るために開発された「エアログライド3グラベル」は、その名から想像できるとおり、サロモンの人気ロードランニングモデル「エアログライド」がベースになっている。
ロードランニングモデルと、グラベルランニングモデルの最大の違いはアウトソールにある。グラベルモデルは舗装路、未舗装路の両方を走ることを想定しているので、さまざまな路面で高いグリップ力を発揮できるパターンになっており、トレイルランニングシューズほどの高さではないが、ラグ(突起)も採用されている。もちろん雨で濡れた路面を走ることも想定されている。
グラベルロードバイクのタイヤからヒントを得たというアウトソール。ぬかるみや砂地といったやわらかい路面もしっかりととらえてくれる
「エアログライド3グラベル」は、ミッドソールに高いクッション性を備えた独自素材「オプティフォーム エヴォ(Opti Foam Evo)」を採用。かかと部の厚さは41mm、前足部の厚さは33mmの厚底モデルとなっている。
実際にアスファルトと、公園内のトレイル、河川敷などを走ってみたが、グリップ力の高さのおかげで、スリップしにくいのはもちろんのこと、路面を確実にとらえてくれることで安定感・安心感が得られ、エネルギーロスも少ない印象だった。トレイルランニングシューズでアスファルトを走ると、ラグの高さ、ラバーの硬さによっては、走っていて突き上げ感や硬さを感じることがあるが、「エアログライド3グラベル」はロードを走っていても非常に快適。そしてミッドソールのクッション性が高く、着地衝撃をしっかりと緩衝してくれる。着地から蹴り出しまでの重心移動もスムーズに行え、ロードを走るジョグ用シューズとしても、かなり高いレベルにあると感じた。
耐摩耗性にすぐれたラバーコンパウンドが使われているので、ロードを中心に使っても長く活躍してくれるはずだ。
クッション性にすぐれたミッドソール。ソールの厚さはかかと部で41mm
足の形状にマッチした「成型オーソライト(OrthoLite)」インソールを採用
シームレス構造のアッパーは、心地よいフィット感。ストレッチ性を備えたシュータンは前側がアッパーと一体化している。さらに、シュータンは足を包み込んで、ソールにまでつながる構造になっており、足をシューズ内の正しい位置にホールドしてくれる(ほどよい柔軟性のあるヒールカウンターも足のホールドを助けてくれる)。メッシュアッパーは通気性が十分に確保されており、長時間のランニングも快適に楽しめた。
シュータンは前側がアッパーと一体化。ソールともつながっているので、走っていてズレるということはない
レースに出場して走ったことのない長い距離に挑戦する、タフなコースにチャレンジする、自己ベスト更新を目指す、といったことだけでなく、気軽に散歩するように走るのもランニングのひとつの楽しみ方。それをサポートしてくれるのが「エアログライド3グラベル」だ。
オンロードもオフロードもこなせる汎用性が非常に高い一足だ
路面を選ばず、舗装路も未舗装路もスムーズかつ快適に走る/歩くことが可能なのが最大の魅力。たとえば公園内のアスファルトとトレイル、ロードとハイキングコースを行ったり来たりしながらラン&ウォークができるし、出張先や旅行先でその土地を知るために自由に歩き回る/走り回るのにも適している。キャンプに行った先で、周辺の散策をしながら気ままに走る、なんていう使い方も可能だ。一足持っているとかなり重宝するシューズなのは間違いない。