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HDDモデルとSSDモデルがラインアップ

NASの違いで音質に差が出るのか? アイ・オー・データ機器の新製品「fidata」を体験してきた

アイ・オー・データ機器は2015年10月1日、音質にこだわるハイエンドユーザー向けのオーディオ用NASのブランド「fidata(フィダータ)」を発表し、その第1弾モデルとなる「HFAS1」の発売を即日開始した。事前内覧会でこの新製品を使った試聴デモが行われたのだが、そのデモにおいて、新製品と一般的なNASとの聴き比べを体験することができた。ショップやオーディオイベントで似たようなデモを見たことはあるが、今回、NASによる音質の差をあらためて確認することができたのでレポートしたい。あわせて、fidataの製品特徴についても紹介しよう。

比較試聴のデモの様子。一番上に並んでいるのが新製品のHFAS1 ※写真は天板を外した状態になっています

比較試聴のデモの様子。一番上に並んでいるのが新製品のHFAS1 ※写真は天板を外した状態になっています

オーディオグレードの「fidata」と一般的なNASを比較試聴

アイ・オー・データ機器の事前内覧会で比較試聴できたのは、オーディオ用NASの新製品HFAS1と、同社の一般的なミラーリング対応NAS「HDL2-A」シリーズ。HFAS1は、HDDモデルの「HFAS1-H40」とSSDモデル「HFAS1-S10」がラインアップされており、価格は、HDDモデル(2TB×2)が32万円、SSDモデル(500GB×2)が37万円(いずれも税別)。いっぽうのHDL2-Aは、容量にもよるが31,700〜42,300円。その価格差はおよそ10倍だ。

比較試聴したのは、ネットワーク接続状態のHDL2-A、同じくネットワーク接続状態のHFAS1-H40(HDDモデル)、ネットワークプレーヤーに直接接続したHFAS1-S10(SSDモデル)。後述するが、HFAS1はネットワーク接続用とプレーヤー接続用の2基のLAN端子を搭載している。

使用したオーディオ機器は、ネットワークプレーヤーがリン「AKURATE DS/K2」、プリアンプがマランツ「SC-7S2」、パワーアンプがマランツ「MA-9S2」(2台)、スピーカーがB&W「CM10S2 MR」。総額約370万円のハイエンドなシステムだ。

再生した楽曲はロッシーニの歌劇「泥棒かささぎ」序曲。まずは、ネットワーク接続状態のHDL2-Aから。ハイエンドなシステムらしく、セパレーションがよく、低域の迫力や高域の伸びもすばらしい。とてもクオリティの高い音だと感じた。続いて、ネットワーク接続状態のHFAS1-H40(HDDモデル)に切り替えて再生すると、冒頭のドラムロールの音のリアルさが異なっていて驚かされた。HFAS1-H40(HDDモデル)で再生したほうがS/Nがよく、全体的に分解能が高くなる印象。静寂の無音状態から出る音や、楽器の小さな音の再現性が高く、抜けもよい。低域も質感が上がり、音のメリハリが心地よく感じた。さらに、プレーヤー直接接続のHFAS1-S10(SSDモデル)になると、さらにS/Nがよくなり、冒頭のドラムロールの音のリアルさが増した。音の強弱の表現力が上がる印象で、より奥行き感が出ていると感じた。

NASで音質に差が出るということは認識していたが、正直なところ、考えていた以上の結果になって驚いた。「3〜5万円のプレーヤーから30万のプレーヤーに変えた」と言うと少しおおげさだが、本当にプレーヤーをグレードアップするのと同じくらいの差が出ると感じた次第だ。ハイエンドなシステムであるためより違いがわかったのかもしれないが、NASにもこだわることで、さらなる高音質が得られることは間違いない。

ちなみに、HFAS1-H40(HDDモデル)とHFAS1-S10(SSDモデル)で感じた違いは、ネットワーク接続がプレーヤー直接接続かの違いによるところが大きい。両者をプレーヤーに直接接続した状態でも比較したが、その違いはわずかなもの。S/Nや分解能は、HFAS1-S10(SSDモデル)のほうが上回るようにも感じたが、音質の差というよりも、キャラクターの違いであるように感じた。

高級オーディオ機器を使ってデモが行われた

高級オーディオ機器を使ってデモが行われた

「fidata」の製品特徴

続いて、新製品HFAS1の特徴について紹介しよう。

アイ・オー・データ機器としては初となるハイエンドオーディオ向けのNASで、ブランド名に採用されたfidataは、イタリア語で「信頼」を意味する。音展などのオーディオイベントで開発中の製品が参考展示されていたので、オーディオファンの方であれば、その存在を確認していたことだろう。3年の月日をかけて開発されたという製品は、細かいところまでPC周辺機器メーカーらしい工夫が施されている。

右がHDDモデルのHFAS1-H40で、左がSSDモデルのHFAS1-S10

右がHDDモデルのHFAS1-H40で、左がSSDモデルのHFAS1-S10

天板表面には和紙のように見える表面加工が施されている。金沢に本社を置くアイ・オー・データ機器ならではのこだわりだ

fidataの第1弾製品としてラインアップされたのは、HDDモデルのHFAS1-H40とSSDモデルのHFAS1-S10。いずれも、高剛性のフルメタル筐体を採用し、振動やノイズ対策が徹底されている。ボディは、肉厚のアルミE型サイドパネルに4.0mm厚のアルミ天板を装着。底面に2.3mm厚で重量2.2kgのベース鋼板を採用することで安定性を確保している。さらに、シャーシ内部はビームによるT字構造で電源・基板部とストレージ部を分けることによって、ストレージからの放射ノイズを低減。インシュレーターはアルミ削り出しで、4点支持と3点支持を選択できる。

回路設計にもこだわっている。HDDから発生するノイズがシステム部に影響を与えないように、メイン基板のシステム部とストレージの電源生成回路は完全分離構造とした。ノイズ対策として、1点アース方式で共通インピーダンスを排除し、ゆらぎのない電源生成を実現しているのも特徴だ。安定した電源供給を実現する大容量の低ESR電解コンデンサーや、クロックジッターを抑える25MHz低位相ノイズ水晶発振器を採用するなど、パーツもオーディオグレードとなっている。

電源は、TDKラムダ製の50W電源ユニットを2基搭載。システム部とHDD部の電源をユニット部から独立することでノイズ混入を防いでいる。また、ACインレットには、IEC60320規格C17を採用。アースを省略した2P端子になっており、外部機器からのノイズ混入を抑制している。電源ケーブルはオーディオ用の24Kメッキ仕様だ。

また、1000BASE-T対応のLAN端子は、ネットワーク接続用とプレーヤー直接接続用の2系統を用意。LAN端子は信号端子が上になるように(接点が上になるように)配置することで、より安定した接続が可能となっている。細かいところでは、LAN端子のLED表示ランプの消灯機能も搭載している。

このほか、データバックアップに利用する外付けHDD接続用のUSB2.0端子を装備。DLNAサーバーは「Twonky Server7」で、同社のカスタマイズが入ったナビゲーションツリーを利用できる。対応する音楽ファイルは、384kHz/32bitまでのWAVやFLAC、最大11.2MHzまでのDSD(dff・dsf)。オンキョーの楽曲配信サービス「e-onkyo music」からの自動ダウンロード機能も備わっている。

HDDモデルのHFAS1-H40は、2TB HDD×2台のミラーリング構成を採用。HDDはWD製「AV-GP」のカスタム仕様となっている。ファンレス構造で、ヒートシンクとしてアルミ製の「ヒートスプレッティングマウンター」を採用し、効率的な放熱を実現。本体とマウンターの間にダンパーを使ってフローティング構造にすることで、HDDの振動を抑制する仕組みになっている。

さらに、2台のHDDをシャーシ左右にバランスよくレイアウトしたうえで、ドライブの回転方向やヘッドシークの動作が打ち消しあうように、それぞれのHDDが反転するレイアウトを採用したのがユニーク。モーメント的に対称にすることで、余計な振動が発生しないように工夫されている。

SSDモデルのHFAS1-S10は、サムスン製「850EVO」の容量500GBモデルを2台搭載。ミラーリング仕様ではないため、容量1TBのストレージとなる。

価格は、HDDモデルのHFAS1-H40が32万円、SSDモデルのHFAS1-S10が37万円(いずれも税別)となっている。

HDDモデルのHFAS1-H40の内部

HDDモデルのHFAS1-H40の内部

左が電源ユニットで、右がシステム部

左が電源ユニットで、右がシステム部

ネットワーク接続用とプレーヤー直接接続用の2系統のLAN端子

ネットワーク接続用とプレーヤー直接接続用の2系統のLAN端子

ACインレットはアースを省略した2P端子になっている

ACインレットはアースを省略した2P端子になっている

SSDモデルのHFAS1-S10

SSDモデルのHFAS1-S10

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

体力勝負ならそこそこ強い編集部デスク。カメラやAV家電を中心に製品のレビュー記事を担当しています。撮られるのは苦手ですが撮るのは好きです。

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