Amazonが開発した音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」を搭載し、音声だけでさまざまな操作が行えるAmazon純正のスマートスピーカー「Echo」シリーズ。“アレクサ”と話しかけるだけで、さまざまな質問に答えてくれるだけでなく、音楽やラジオの再生、天気やニュースの読み上げ、スマート家電の操作、スケジュールの管理など、日常に便利なさまざまな機能を利用することができます。
そんな「Echo」シリーズですが、スピーカータイプの「Echo」、タッチパネルディスプレイを搭載した「Echo Show」、完全ワイヤレスイヤホン型の「Echo Buds」という大きく3つのタイプがラインアップされています。タイプによって使える機能が異なるほか、同じタイプでもモデルごとに機能が若干異なっており、なかなか全体像を理解するのが難しいのも事実です。
そこで本稿では、2023年3月現在、Amazonで販売されている「Echo」シリーズ全10
モデルを徹底解説。モデルごとの特徴や違いを紹介していきます。
※記事に記載の価格は2023年3月2日時点のAmazonの参考価格になります。
日本に「Echo」シリーズが上陸したのが2017年11月。その当時からラインアップされていたのが、スピーカータイプの「Echo」です。「Echo」「Echo Dot」「Echo Plus」という3モデルからスタートした「Echo」ですが、以降も世代を追うことに進化を遂げ、コンセントに直挿しできる超小型の「Echo Flex」、車載用に特化した「Echo Auto」などのバリエーションモデルを含め、さまざまなモデルが展開されました。
そんな「Echo」ですが、現在、スタンダードモデルの「Echo」、小型モデルの「Echo Dot」、「Echo Dot」をベースにデジタル時計機能をプラスした「Echo Dot with clock」、高音質モデルの「Echo Studio」という全4モデルがラインアップされています。モデルごとに世代が異なっており、「Echo」は第4世代、「Echo Dot」と「Echo Dot with clock」は第5世代、「Echo Studio」は第1世代となっています。
なお、「Echo Dot」のみ、薄い円筒形デザインを採用した第3世代モデルが現在でも併売となっています。本稿ではこちらについても取り扱います。
デザインが大きく刷新されたスタンダード「Echo」の第4世代モデル。本製品から、歴代モデルで採用されていた円筒形のデザインから球体型のデザインへと大きく生まれ変わっています。幅や奥行きが広がり、設置に必要なスペースが少々大きくなってしまったため、デスクの脇やテレビラックなどのスペースがとれない場所への設置が若干難しくなってしまいましたが、奥行きのある本体デザインを生かした内臓スピーカーのレイアウトへと変更したことで音が前方方向にしっかりと広がり、よりクリアでパワフルなサウンドが楽しめるようになっています。
また、下位モデルの「Echo Dot」や「Echo Dot with clock」にはないDolby Audio対応となっており、ステレオ音源でも広がりのあるサウンドで楽しめるので、リビングなどの比較的広い空間で音楽を楽しむのにも最適。3.5mmライン入出力も用意されているので、「Echo」をオーディオ機器のスピーカーとして活用したり、外部スピーカーと接続して「Echo」からの音楽を再生するといった使い方もできます。
このほか、「Echo Plus」などの上位モデルに搭載されていたスマートホームハブ機能を取り込んだのも「Echo」第4世代モデルの大きな特徴です。最新のスマートホーム共通規格「Matter」にも対応しており、たとえば「Echo」から、アップルのHomeKitやGoogleのGoogle Homeに対応したデバイスを操作するといったように、Wi-Fi接続された異なるスマートホーム規格に対応したスマートホーム製品を「Echo」をコントロールハブにして操作することができます。温度センサーや超音波を使ったモーション検知なども備わっており、定型アクションであらかじめ設定しておけば、音声操作をしなくても“設定した温度を上回ったらエアコンをオンにする”、“部屋に人が入ってきたら照明をオンにする”といった操作も行うことができます。
設置スペースに余裕があるのであれば、「Echo」(第4世代)はリビングなどある程度広い空間で音楽などをしっかりと楽しみたい人、スマートホーム機能に興味がある人、ホームオートメーション機能を使ってみたいという人にぴったりな1台ですが、設置スペース的に難しいという人は、次に紹介する「Echo Dot」「Echo Dot with clock」を検討してみるのもよいでしょう。
2023年2月に最新の第5世代モデルが投入された「Echo Dot」と「Echo Dot with clock」。デジタル時計表示機能の有無以外のスペックは基本的に両モデル共通です。いずれも、先代の第4世代から「Echo」と同じ球体型のデザインを採用しており、最新の第5世代モデルも見た目の部分は先代とほとんど変わっていません。いっぽうで、中身については大きくアップデートされており、先代比10%の大型化した44mm径の新型ドライバーユニット搭載による音質の強化、タップ操作の対応、温度センサーの搭載など、さまざまなフィーチャーが盛り込まれています。
なかでも特に便利な機能が、加速度センサーを使ったタップ操作の対応です。「Echo Dot」と「Echo Dot with clock」はベッドサイドなどにも置きやすいコンパクトモデルということで、これまでも設定したアラームをタップ操作で止める機能は提供されていましたが、最新の第5世代ではこの機能をさらに拡張。アラームのスヌーズだけでなく、音楽再生中の一時停止や再生再開、通話機能の終了、タイマー機能(キッチンタイマー)のストップなども操作できるようになりました。手の届くところに設置して使うことの多い「Echo Dot」と「Echo Dot with clock」をさらに便利にしてくれるはずです。
また、「Echo Dot with clock」は、5×21ドットのドットマトリクスLEDディスプレイを搭載し、先代のデジタル表示よりもリッチな情報表示が可能になったのもポイントです。天気を確認した際は天気アイコンと気温を、音楽再生時にはアーティスト名や曲名(日本語表示はカタカナのみで、アーティスト名・曲名の表示については一部のみ対応)などをドットマトリクスLEDディスプレイで確認できるようになりました。内臓の温度センサーを活用し、室温を確認することができないのが少々残念ですが、リッチになった情報表示で音声だけでなく視覚からも直感的に情報を把握しやすくなった点は大きなメリットと言えそうです。
上位モデルの「Echo」のようにスマートホームハブ機能は内蔵されていませんが、対応機器とあらかじめ連携し、温度センサーやモーション検知と組み合わせてホームオートメーション化もできますし、コンパクトでどんな場所にも設置しやすい「Echo Dot」と「Echo Dot with clock」。寝室のベッドサイドや書斎のデスクの上といった限られたスペースに導入するなら、真っ先に検討したい1台です。
※2023年3月6日17時 訂正:初出時、2022年2月発売と記載しておりましたが、正しくは2023年2月となります。訂正しお詫びいたします
現在、「Echo Dot」の最新は第5世代モデルですが、シリーズで唯一、旧世代の第3世代モデルも併売されています。最新の第5世代モデルに比べると、スピーカーサイズも小さく、温度センサーやモーション検知といったセンサー機能も省かれておりますが、高さを抑えた円筒形のデザインは最新の第5世代モデルよりもコンパクトで扱いやすく、なにより価格が安いのが特徴です。
スピーカーが小さくて音質面ではあまり期待できませんが、第5世代モデルにはない3.5 mmライン出力が用意されているので、AVアンプや外部のアクティブスピーカーなどと接続し、音楽再生のトランスポーター的に活用するのに便利な1台と言えるでしょう。
「Echo Studio」は、“Echo史上最高音質”を謳い、さまざまな高音質化技術を搭載した音質全振りモデルです。「Echo」の中で最も大きい高さ20cmほどの円筒形の本体には、左右と天面に2インチのミッドレンジスピーカー計3基、前面に1インチのツイーターを1基、底面に下向きの5.25インチのウーハーを1基搭載。これらのスピーカーから発せられた音を本体に搭載された7つのマイクで検知、再生環境に合わせて自動で最適化することで、1台でも空間を満たすようなサウンドを楽しめるようになっています。
ドルビーの立体音響技術であるDolby Atmosやソニーの360 Reality Audioにも対応しており、「Amazon Music Unlimited」などで配信されている対応コンテンツを臨場感豊かに再生できるのはもちろん、独自の「空間オーディオ処理技術」を用いたステレオ音源からの疑似立体音響化機能も備わっており、あらゆるコンテンツを高音質で楽しめるという点が「Echo Studio」最大の魅力と言えそうです。
ちなみに、ほかの「Echo」と同様に、「Echo Studio」を2台組み合わせて利用するステレオペアにも対応。ホームシアター設定を行えば、2台の「Echo Studio」を使用したDolby Atmos再生も楽しめます。本体がそれなりのサイズのため、設置するスペースはある程度確保する必要はありますが、1台のときよりもさらに臨場感のあるサウンドを楽しめるので、
ホームシアターシステムとして使うのであれば、可能な限り2台揃えたいところです。
なお、「Echo」の最上位モデルということで、スマートホームハブ機能もしっかりと搭載されています。温度センサーや超音波を使ったモーション検知は残念ながら搭載されておりませんが、ホームシアター目的で導入するなら真っ先に検討したい1台です。
「Echo」が音声操作基本のスマートスピーカーとして展開されているのに対し、ディスプレイを搭載してスマートディスプレイ的なアプローチで製品を展開しているのが「Echo Show」です。ディスプレイには、時計や天気予報、最新のニュースなどを表示できるほか、音楽再生時にはジャケットや歌詞なども表示させることができます。また、お気に入りの写真を表示することもでき、デジタルフォトフレーム的な使い方も可能。Amazonプライム会員なら、「Amazonプライム・ビデオ」の動画コンテンツも楽しめます。
そんな「Echo Show」ですが、現在は画面サイズの異なる「Echo Show 5」「Echo Show 8」「Echo Show 10」「Echo Show 15」という4モデルが展開されています。いずれも、ディスプレイはタッチ操作に対応。カメラ機能も搭載されており、音声通話だけでなくビデオ通話も楽しめます。ここからは、各モデルの特徴を詳しく紹介していきましょう。
「Echo Show」で最も小さい5.5インチ・960×480ドット表示対応のタッチパネルディスプレイを搭載する「Echo Show 5」。現在販売されているのは第2世代モデルとなります。「Echo」で言うと「Echo Dot」のようなコンパクトさに重きを置いたモデルとなっており、スピーカーも1.65インチフルレンジ1基とやや物足りないスペックです。画面サイズも決して大きくはなく、本格的な動画視聴などには向きませんが、デスクの脇などに置いてニュースや動画をちょっと見たり、BGM的に音楽を楽しむといった使い方にはぴったりな1台と言えるでしょう。
「Echo Show 8」は、8インチ・1280×800ドット表示対応のタッチパネルディスプレイを搭載したモデルで、現在販売されているのは第2世代モデルとなります。「Echo Show 5」と共通のデザインコンセプトになっており、本体は「Echo Show 5」をひと回り大きくしたほどのサイズ感となります。本体サイズが大きくなった分、2インチフルレンジスピーカー2基+パッシブラジエーターと、「Echo Show 5」に比べてスピーカーも若干リッチな仕様になっています。「Echo Show 5」より広い設置面積が必要ですが、音楽リスニングや動画視聴を積極的に使う人であれば、「Echo Show 5」よりも「Echo Show 8」をチョイスしたほうがよいでしょう。
ラックやテーブルなどに設置するタイプの「Echo Show」で最大サイズとなる10.1インチ・1280×800ドット表示対応のタッチパネルディスプレイを搭載する「Echo Show 10」。現在発売されているのは第3世代モデルで、「Echo Show」で唯一、声と人の動きを感知してディスプレイが自動で追従する「モーション機能」を搭載したのが大きな特徴です。
ユーザーのいる方向にディスプレイが自動で回転し、リビングで掃除機をかけているときや、キッチンで料理をしているときなど、動きながら別の作業を行っているときでもいちいち画面の向きを気にせずに使えるというのは、「Echo Show 5」や「Echo Show 8」では実現できない「Echo Show 10」ならではの機能。1インチのツイーター2基と2.5インチウーハーによる2.1chの内蔵スピーカーもディスプレイに合わせて指向性を自動で調整するようになっており、ながら作業中の音楽リスニングや動画視聴にも十分活用できます。
また、Alexaアプリ経由で「Echo Show 10」にアクセスすれば、外出先からディスプレイを回転させ、ディスプレイ上部に搭載されたカメラで部屋の様子を確認する「みまもり機能」を使えるのも「Echo Show 10」の魅力のひとつ。ディスプレイが回転するため、ある程度の設置面積は必要ですが、広いリビング・ダイニングなどカバーできる位置に置いておくと便利に活用できそうです。
「Echo Show 15」は、「Echo Show」最大の15.6インチ・フルHDディスプレイを搭載し、壁への取り付けを前提とした新スタイルのスマートディスプレイで、現在発売されているのは第1世代モデルとなります。15.6インチの大画面を生かして、好みのウィジェットを配置して必要な情報や機能に素早くアクセスできる「ウィジェット機能」や、カメラ機能で画面の前にいる人を判断し、その人に合わせた情報を表示してくれるパーソナライズ機能「ビジュアルID」などの新機能を多数搭載し、これまでの「Echo Show」とは違った使い方できるのが大きなポイントです。特に「ウィジェット機能」はよくできており、たとえば「よく使うスマートホーム」というウィジェットをホーム画面に追加しておけば、「Echo Show 15」の画面をタッチするだけで、スマート家電の操作が行えるので、スマートホーム機能を積極的に使う人はぜひ積極的に活用したい機能です。
また、「Echo Show 15」は、「Echo Show」で唯一、「Fire TV」の機能を搭載している点もユニークなポイントです。Amazonのメディアストリーミングデバイス「Fire TV」シリーズとまったく同じUIを表示することができ、「Amazonプライム・ビデオ」だけでなく、「YouTube」や「Netflix」、「Abema」、「TVer」といったさまざまな動画サービスを簡単に楽しむことができます。「Fire TVリモコン」をペアリングすることで、リモコン操作も可能。壁に取り付けるスタイルのため、導入するハードルは多少高いですが、「Fire TV」機能を使いたいという人は「Echo Show 15」は唯一無二の選択肢と言えそうです。
「Echo Buds」は、「Echo」のなかでも異色の完全ワイヤレスイヤホン型のデバイスです。現在発売されているのは第2世代モデルとなり、充電ケースのワイヤレス充電対応有無で2種類ラインアップされています。「Echo」の製品ということで、スマートフォンとの連携にはAlexaアプリを使用する形。Alexa音声操作による天気やニュースの読み上げ、連携したスマート家電操作などは、ほかの「Echo」シリーズ同様に行えます。
イヤホンとしての性能は、Amazonが独自開発したアクティブノイズキャンセリング機能を搭載。ハイエンドのノイズキャンセリング機能完全ワイヤレスイヤホンに比べると、ノイズキャンセリング機能の効果はやや控えめですが、エアコンの動作音やパソコンのファンの音など、気になる暗騒音などはしっかりと除去してくれます。ノイズキャンセリング機能を搭載したAlexa対応完全ワイヤレスイヤホンというのは他社からも発売されており、「Echo Buds」の優位性というのはあまりないですが、Amzon純正のものを手に入れたいという人は選ぶのもアリでしょう。
PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。