レビュー
何の苦労もなく目当ての天体を捉えることができる驚きの体験

スマート天体望遠鏡「eVscope」なら誰でも簡単に鮮やかな天体写真が撮れる

いつからだろう、夜空を見上げなくなったのは。東北の田舎に住んでいた時は、毎日当たり前のように見上げていた星空。東京に出てきて(今住んでいるのは埼玉だけど)、大都会の夜空には見るべきものがないことを知り、いつの間にか足元ばかりを見て歩くようになっていた。

でも、そんな都会の空にも(埼玉だけど)、僕たちに見えてないだけで、星は輝いている。もう一度、あの満天の星空を見ることができたら、都会(埼玉)の荒波の中でも歯を食いしばって生きていけるはずだ。

というわけで、都会とは言い難いけど、一応は住宅密集地であり、街灯が煌々と輝き、隣の政令指定都市の街明かりでうっすら明るい夜空を持つ我が町でも星空が見たいと思い、+Style(プラススタイル)からUnistellar社製のスマート天体望遠鏡「eVscope」を借りてみました。

eVscopeは望遠鏡本体と専用の三脚、専用バックパックのセットで39万9800円(税込、+Styleオンラインショップ価格)。光学倍率:50倍、デジタル倍率:最大400倍、焦点距離:450mm。本体サイズ:65(高さ)×23(幅)cm、三脚含む重量:9kg。電源供給:USB-C、バッテリー駆動時間:約9時間、バッテリー容量:15,000mAh

eVscopeは望遠鏡本体と専用の三脚、専用バックパックのセットで39万9800円(税込、+Stlyeオンラインショップ価格)。光学倍率:50倍、デジタル倍率:最大400倍、焦点距離:450mm。本体サイズ:65(高さ)×23(幅)cm、三脚含む重量:9kg。電源供給:USB-C、バッテリー駆動時間:約9時間、バッテリー容量:15,000mAh

星雲や銀河まで! 誰でも簡単に鮮やかな天体写真が撮れる

この望遠鏡、何がすごいって、天文やカメラの知識がなくても、誰でも簡単に鮮やかな天体写真が撮れること。ソニーの超高感度センサー「IMX224」によって短時間で光を蓄積する技術と、独自の画像処理アルゴリズムをかけ合わせたエンハンストビジョンテクノロジーによって、市街地でも鮮明に天体の観測が可能なのです。

しかも、天体の中でも月や土星・木星などの目視できる明るい星だけでなく、星雲や銀河といった、一般的な天体望遠鏡では簡単に見ることができない天体も鮮明に見ることができるそう。

さらに、独自技術のAFD(自動フィールド検出機能)がこれまたすごい。本体システムにインプットされた2,000万個の星座標データベースと、eVscopeが今とらえている星空を照らし合わせて、鏡筒が今どの方向を向いているのかを自動的に検出。鏡筒を夜空に向けるだけで、今どの空を見ているのかを特定するのです。これらエンハンストビジョンテクノロジーとAFDの2つの技術により、何の苦労もなくあっさり目当ての天体をとらえることができるのは、かなり驚きの体験です。

本体はバックパックに収納されて送られてきます。三脚はむき出しなので、電車で移動する場合は別途、適した収納袋を用意する必要があるでしょう

本体はバックパックに収納されて送られてきます。三脚はむき出しなので、電車で移動する場合は別途、適した収納袋を用意する必要があるでしょう

日本語のクイック・スタート・ガイドと詳細マニュアルが付属します

日本語のクイック・スタート・ガイドと詳細マニュアルが付属します

メンテナンス用の工具も付属します

メンテナンス用の工具も付属します

見たい天体に簡単にアプローチ! 倍率やピントも自動調節してドンピシャに映し出す

では、実際に使ってみましょう。使用する前に、スマートフォンに専用アプリ「Unistellar」をインストールしておきます。

まずは三脚を広げ、三脚に搭載されている水平器で水平を合わせたあと、eVscopeを乗せたらスイッチオン。自分のスマートフォンのWi-Fi設定でeVscopeを選んだら、「Unistellar」アプリを起動。これだけで、スマホを使ってeVscopeを操作できるようになります。

三脚の台座に搭載された水平器を見て水平にセッティングし、eVscope本体を乗せます

三脚の台座に搭載された水平器を見て水平にセッティングし、eVscope本体を乗せます

接続できたらアプリ操作で鏡筒を倒し、星がいっぱいありそうな空に適当に向け、アプリのAFDボタンをワンタッチ。視野内の星空を自動的に検出し、追尾が始まります。その間、たった1〜2分程度。あっという間です。その後、鏡筒底部のダイヤルを使い、アプリ画面に表示されるリアルタイム映像か接眼レンズを覗きながらピントを微調整していきます。

アプリ画面のAFDボタン(赤丸)を押すだけで現在の視野の座標を特定し、自動追尾モードに移行します

アプリ画面のAFDボタン(赤丸)を押すだけで現在の視野の座標を特定し、自動追尾モードに移行します

ピントは鏡筒底部のダイヤルで合わせますが、上の写真のようにそれだけではぴったり合わない場合があります

ピントは鏡筒底部のダイヤルで合わせますが、上の写真のようにそれだけではぴったり合わない場合があります

ただ、これだけではきちんとピント合わせができないため、次の2点の調整を行う必要があります。

ひとつめが、ミラーの位置調整。これは、おもに家の庭やベランダで使うだけなら最初の1回だけですみますが、車や電車などで長距離移動した場合は振動によってミラーがずれている可能性があるので、必ず行ったほうがよいでしょう。といっても難しいことはなく、一等星などの明るい星を導入(目当ての天体を望遠鏡の視界に入れること)したら、アプリに映し出されるリアルタイム映像を見ながら、付属の六角レンチを使って調整するだけです。

2つめとして、ミラー位置調整がすんだら、付属のバーティノフ・マスクを鏡筒に被せ、同じくアプリ画面を見ながらピントの微調整を行います。この2つの調整は10〜20分程度ですみます。これで、すべての準備はOK。

反射望遠鏡なので鏡筒底部にミラーを搭載しており、このミラーが長時間の移動で微妙にずれることがあります

反射望遠鏡なので鏡筒底部にミラーを搭載しており、このミラーが長時間の移動で微妙にずれることがあります

夜、星を映しながら鏡筒底面の調節ネジでピントを調節していきます

夜、星を映しながら鏡筒底面の調節ネジでピントを調節していきます

付属のバーティノフ・マスクを望遠鏡に被せ、アプリ画面を見ながらピントを微調整。もちろん、これも夜に行います

付属のバーティノフ・マスクを望遠鏡に被せ、アプリ画面を見ながらピントを微調整。もちろん、これも夜に行います

アプリの「探す」ボタンをタップすると、現在見ることのできる天体、もうすぐ沈む天体、もうすぐ上がってくる天体のリストが表示されます。その中から自分が見たい天体をタップ。

すると、なんということでしょう! eVscopeが自動的に動き出し、倍率やピントも自動調節して意中の天体をドンピシャに映し出してくれます。

「探す」ボタンをタップすると現在見ることのできる天体一覧が表示されます。「推奨」「もうすぐ消える」「もうすぐ表示」「銀河」「星雲」「星団」「恒星」「惑星」と、見たい天体にワンタッチでアプローチ可能

「探す」ボタンをタップすると現在見ることのできる天体一覧が表示されます。「推奨」「もうすぐ消える」「もうすぐ表示」「銀河」「星雲」「星団」「恒星」「惑星」と、見たい天体にワンタッチでアプローチ可能

見たい天体をタップすると詳細情報を表示。eVscopeが接続されていると、右上の「移動」ボタンが点灯するのでタップ

見たい天体をタップすると詳細情報を表示。eVscopeが接続されていると、右上の「移動」ボタンが点灯するのでタップ

見たい天体をアプリで選ぶと、自動的に移動して目当ての天体を導入、追尾を開始します

「エンハンスト・ビジョンボタン」でより鮮明に観察できる

ただ、これだけではアプリ画面はボンヤリした撮像を映しているだけ。そこで、「エンハンスト・ビジョンボタン」をタップすると、徐々に増感し、画像処理によって鮮明かつ色味も付加された映像へと切り替わっていきます。デジタルカメラによる長時間露光写真とまではいきませんが、それに近い画像がこれほど簡単に手に入ることに感動します。

eVscopeでとらえたオリオン大星雲を、アプリを通して見たところ。市街地ならば、これだけ見えれば満足ですが、ここでエンハンスト・ビジョンボタン(赤丸)を押します

eVscopeでとらえたオリオン大星雲を、アプリを通して見たところ。市街地ならば、これだけ見えれば満足ですが、ここでエンハンスト・ビジョンボタン(赤丸)を押します

撮影したのが2月の上旬だったので冬の天体が多いのですが、以下は筆者が実際にeVscopeで撮影した天体です。なお、エンハンスト・ビジョンモードを終了すると、自動的にスマートフォンのアルバムに以下のような画像が保存されます。

撮影したのが2月の上旬だったので冬の天体が多いのですが、以下は筆者が実際にeVscopeで撮影した天体です。なお、エンハンスト・ビジョンモードを終了すると、自動的にスマートフォンのアルバムに以下のような画像が保存されます。

オリオン大星雲(M42)とM43

オリオン大星雲(M42)とM43

ランニングマン星雲(NGC1977)

ランニングマン星雲(NGC1977)

火炎星雲(NGC2024)。オリオン大星雲、ランニングマン星雲、火炎星雲はオリオン座内にある星雲です。馬頭星雲は残念ながら光が弱すぎて鮮明に映し出すことはできませんでしたが、目視できる大星雲以外にも多くの星雲がオリオン座の中にあることに驚きです

火炎星雲(NGC2024)。オリオン大星雲、ランニングマン星雲、火炎星雲はオリオン座内にある星雲です。馬頭星雲は残念ながら光が弱すぎて鮮明に映し出すことはできませんでしたが、目視できる大星雲以外にも多くの星雲がオリオン座の中にあることに驚きです

とも座の散開星団M46と惑星状星雲NGC2438

とも座の散開星団M46と惑星状星雲NGC2438

葉巻銀河(M82)

葉巻銀河(M82)

NGC891銀河。われわれが住む天の川銀河を横から見た姿にそっくりな銀河

NGC891銀河。われわれが住む天の川銀河を横から見た姿にそっくりな銀河

アンドロメダ銀河は中央が明るすぎるのか、オートでは渦巻状の星雲がうまく映りません。マニュアルで撮影パラメーターをさまざまに変えて挑戦したほうがよさそう。eVscopeにはマニュアルモードがあるので、そうした挑戦もできるのがおもしろい

アンドロメダ銀河は中央が明るすぎるのか、オートでは渦巻状の星雲がうまく映りません。マニュアルで撮影パラメーターをさまざまに変えて挑戦したほうがよさそう。eVscopeにはマニュアルモードがあるので、そうした挑戦もできるのがおもしろい

天王星のわずかな青い光もとらえることができました

天王星のわずかな青い光もとらえることができました

往年の天文少年にとっては夢のような技術革新

筆者は高校生の時に天文部に所属しており、何度か天体観測および天体撮影した経験があります。といっても、もう40年も前のこと。当時、星の導入はとにかく大変でした。

まず、自分がいる場所の緯度経度から北極星の微妙なズレを割り出し(北極星は微妙に回転している)、赤道儀に取り付けた極軸望遠鏡で北極星を使って極軸を合わせる。その後、ガイド鏡を使って見たい天体の大体の位置に望遠鏡を向け、まずは低倍率の接眼レンズを主鏡に取り付けて目当ての天体を特定、自分の手で微動ハンドルを少しずつ回して天体を追いかけながら倍率を上げて、ようやくきれいに見えるようになるのです。

天体写真はさらに大変でした。当時はもちろんフィルムカメラしかなく、ISO800といった高感度で高価なフィルムを購入し、露光時間やISO感度などのパラメーターを何度も変更しながら撮影、デジカメのようにその場で撮像を確認できないので1枚撮影するごとにパラメーターをメモし、フィルムの現像も自分で工夫したりして、数々の失敗を繰り返して経験値を積んだものです。

露光時間は30分とか長いので、途中で車のヘッドライトが入ったら感光して失敗、なんてことも多々ありました。「当時、自動追尾用モータードライブは高価で高校生が買えるものではなかったので、追尾はガイド鏡を見ながら手でやっていたような気がする」とは昔の同級生の弁。40年も前のことで記憶が定かではないのですが、手動追尾していたとすれば、とんでもない苦行だったはずです。

それが、今やすべて自動。人間がすることはほとんどなく、機械まかせで星雲や銀河までも撮影できます。しかも、天体写真を撮るためには街の灯が入らず、視野が広い山間部まで行く必要があるのですが、eVscopeならばその必要はなく、自宅のベランダから「今夜は雲がないからちょっと星でも見てみるか」と、気軽に観測、撮影ができるのです。往年の天文少年にとっては夢のような技術革新ではないでしょうか。

子供が小さい時は、子供に星を見せたくて天体望遠鏡を担いで長野や群馬の山に出かけていましたが、歳とともにめんどうになり、天文熱も冷めてしまいましたが、eVscopeによってまた熱がぶり返してきました。久しぶりに天体望遠鏡を引っ張り出して秩父に行ってこようかな。

近藤克己

近藤克己

1966年生まれ、福島県出身。大学では考古学を専攻。主に生活家電を中心に執筆活動する家電&デジタルライター。レビューや検証記事では、オジさん目線を大切にしている。得意分野は家電流通・家電量販店。趣味は、ゴルフ、ギター、山登り、アニメ、漫画、歴史、猫。

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