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“約5060万画素”の圧倒的な高画素を実現! キヤノン「EOS 5Ds/5Ds R」速攻レポート

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キヤノンは2015年2月6日、35mmフルサイズ対応デジタル一眼レフカメラの新モデル「EOS 5Ds」と「EOS 5Ds R」を発表。有効約5060万画素という超高画素を実現した大注目のカメラだ。EOS 5D Mark IIIの派生モデルに位置付けられた製品で、「5Ds」の「s」は、「EOS-1Ds」シリーズと同じく、superなどの意味から付けられている。EOS 5Ds Rは、EOS 5Dsから光学ローパスフィルターの効果をキャンセルしたモデルだ。いずれも、発売は2015年6月の予定。ボディ単体のみのラインアップで、キヤノンオンラインショップでの価格はEOS 5Dsが468,000円、EOS 5Ds Rが498,000円(いずれも税抜)。開発中のベータ機の外観および画面を撮影した画像を交えながら、特徴を紹介しよう。

※本記事は「EOS 5Ds/5Ds R」のベータ機での情報をまとめています。製品版では仕様が変更になる場合がありますのでご了承ください。

左がEOS 5Ds で、右がEOS 5Ds R。EOS 5Ds Rに装着されたレンズは、同時発表の「EF11-24mm F4 L USM」。魚眼レンズを除いた35mmフルサイズ対応ズームレンズとして世界最広角を実現している

ライバルを引き離す超高画素センサーを採用

EOS 5Ds/5Ds Rの最大の特徴は、有効約5060万画素(8712×5813、5064万画素)の超高画素な35mmフルサイズCMOSセンサーを採用したことだ。キヤノン自社設計・生産のセンサーで、2015年2月6日時点において、35mmフルサイズデジタル一眼レフとして最高画素を誇るセンサーとなっている。これまで、EOSシリーズの35mmフルサイズ機では、「EOS 5D Mark III」の約2230万画素が最高の画素数であったが、EOS 5Ds/5Ds Rは、それの倍以上の画素数を持つことになる。また、他メーカーの35mmフルサイズ機に目を向けてみると、有効3635万画素のニコン「D810」、有効約3640万画素のソニー「α7R」といった3000万画素台のモデルが最高画素を誇っていたが、EOS 5Ds/5Ds R は、4000万画素を飛び超えて一気に5000万画素オーバーを達成。中判デジタルカメラに匹敵する画素数で、ライバルを大きく引き離すスペックを備えていると言っていいだろう。風景など解像感が必要になる撮影で威力を発揮するカメラであることは間違いない。また、これまででは考えられなかったような大胆なトリミングにも耐えられる画素数でもある。

有効約5060万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを採用

有効約5060万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを採用

L(ラージ)での記録画素数は8688×5792

L(ラージ)での記録画素数は8688×5792

センサーの詳細なサイズは35.97mm×23.98mmで、画素ピッチは4.14μm(マイクロメートル)。5000万画素を超えているため、さすがに画素ピッチは狭く、「EOS 7D Mark II」など有効約2020万画素のAPS-C機と変わらないレベルとなっている。そのため、常用感度は最高ISO6400に抑えられている(拡張でISO12800相当を選択可能)。

感度は常用でISO100〜ISO6400に対応。拡張設定で、L(ISO50相当)とH(ISO12800相当)も選べる

感度は常用でISO100〜ISO6400に対応。拡張設定で、L(ISO50相当)とH(ISO12800相当)も選べる

EOS 5DsとEOS 5Ds Rの違いは、光学ローパスフィルターの効果の有無(これ以外の違いはない)。EOS 5Dsは、これまでと同様に光学ローパスフィルターを搭載し、その効果を発揮するようになっているが、EOS 5Ds Rは効果がキャンセルされている。ニコン「D800E」などと同じように、フィルター効果を打ち消す(光を垂直方向に分離して元に戻す)仕組み。偽色・モアレは発生しやすくなるものの、EOS 5Ds Rのほうが、より高い解像力を発揮するモデルとなっている。

EOS 5Dsのネームバッジは、EOS-1Dsシリーズのように、ゴールドの文字を採用

EOS 5Dsのネームバッジは、EOS-1Dsシリーズのように、ゴールドの文字を採用

EOS 5Ds Rのバッジはシルバーカラー。解像度を意味するResolutionから付けられた「R」は赤色になっている

EOS 5Ds Rのバッジはシルバーカラー。解像度を意味するResolutionから付けられた「R」は赤色になっている

EOS 5Ds/5Ds Rは、超高画素機ゆえの問題であるカメラの振動ブレ対策が施されている。振動ブレの大きな要因であるミラー駆動時に発生する振動を低減するため、「ミラー振動制御システム」と銘打ち、新たなミラー構造を採用。従来のバネでミラーアップ/ダウンを行う方式ではなく、EOS 7D Mark IIと同様に、小型モーターとカム駆動を使った構造を採用。2つのカムが連携して、ミラーがストッパー部材に衝突する直前に減速するように制御するなどの工夫により、振動ブレを低減するようになっている。これによって、振動ブレが画質に及ぼす影響を少なくするだけでなく、ミラー駆動の静音化も実現しているという。また、ボディ底面の三脚座を保持する底面シャーシに肉厚のステンレスを採用したうえ、シャーシ本体の剛性を高めることで内部構造を強化。三脚使用時にもカメラブレを効果的に防ぐ、高強度ボディとなっている。

さらに、カメラの振動ブレ対策として、レリーズタイミングを設定できる防振撮影機能を新たに搭載。ミラーアップ時に、ミラーアップの衝撃が収まってから露光を開始できるように、1/8秒後、1/4秒後、1/2秒後、1秒後の撮影が選べる。従来のミラーアップ撮影とは異なり、レリーズのためにシャッターボタンを押す必要もないので、振動ブレ対策には効果的な機能だ。

小型モーターとカム駆動を使った、新しいミラー構造を採用

小型モーターとカム駆動を使った、新しいミラー構造を採用

ミラーアップ撮影では、レリーズタイミングを設定できるようになっている

ミラーアップ撮影では、レリーズタイミングを設定できるようになっている

クロップ撮影など高画素を生かす新機能を搭載

EOS 5Ds/5Ds Rは、有効約5060万画素の高画素を生かすための新機能をいくつか搭載している。

大きなところでは、EOSシリーズとして初めてクロップ撮影機能を搭載。1.3倍(約3050万画素)、1.6倍(約1960万画素)のクロップ撮影が可能になった。さらに、ファインダー内に撮影範囲を表示する機能も装備。表示方式は、マスクと線のどちらかを選ぶことができる。従来と同様、1:1、4:3、16:9のアスペクト比に切り替えての撮影にも対応しており、1:1選択時はファインダーでの撮影も可能だ(ファインダー内の撮像範囲表示も可能)。

また、仕上がり設定の「ピクチャースタイル」には、新たに「ディテール重視」という設定が加わった。解像力と素材性を生かす設定で、「スタンダード」と比べて、細かい線やディテールにエッジ強調がかかりやすくなっているほか、輪郭も細く出るようになっているという。さらに、設定内のシャープネスの項目には、「細かさ」と「しきい値」が追加され、シャープネスのかかり具合をより細かく調整できるようになった。

1.3倍、1.6倍のクロップ撮影機能を搭載。従来のアスペクト比切り替えはこのメニューに統合されている

1.3倍、1.6倍のクロップ撮影機能を搭載。従来のアスペクト比切り替えはこのメニューに統合されている

1.6倍のクロップ撮影時のファインダー内を撮影した画像。マスク表示の場合。(※画像はファインダー内をデジカメで撮影したものになります。実際のファインダーの見え方を撮影できているわけではありません)

1.6倍のクロップ撮影時のファインダー内を撮影した画像。線表示の場合(※画像はファインダー内をデジカメで撮影したものになります。実際のファインダーの見え方を撮影できているわけではありません)

ピクチャースタイルには新設定のディテール重視を追加

ピクチャースタイルには新設定のディテール重視を追加

シャープネスの細かさ、しきい値も設定できるようになった

シャープネスの細かさ、しきい値も設定できるようになった

このほか、オートホワイトバランスでは、従来のオート設定を「雰囲気優先」として、白熱電球下でも白色が再現されやすくなる「ホワイト優先」を選べるようになった。動画撮影では、EOS 5D Mark IIIと同様、MOV形式での1920×1080/30pのフルハイビジョン記録が可能なほか、EOSシリーズとして初めてタイムラプス動画の撮影に対応する。

オートホワイトバランス(ホワイト優先)、タイムラプス動画が追加されている

オートホワイトバランス(ホワイト優先)

タイムラプス動画が追加されている

タイムラプス動画が追加されている

EOS 5Ds/5Ds Rでは、操作性でも面白い試みがなされている。インフォボタン(INFO.ボタン)を押して呼び出すクイック設定画面をユーザーがカスタマイズできるようになったのだ。項目のサイズ(制限あり)と表示位置を選択して、使いやすいように並び替えることができる。ちょうど、サイズの異なるパネルを並べるようなイメージで、項目を自由に配置できるようになっている。

クイック設定画面は、サイズの異なるパネルを並べるイメージでカスタマイズできる

クイック設定画面は、サイズの異なるパネルを並べるイメージでカスタマイズできる

サイズと表示位置を自由に設定することが可能

サイズと表示位置を自由に設定することが可能

「デュアルDIGIC 6」を採用。連写は最高5コマ/秒。約15万画素のRGB+IR測光センサーも搭載

映像エンジンには、EOS 7D Mark IIと同じく、エンジンを2基する「デュアルDIGIC 6」を採用。有効約5060万画素ながら、最高5コマ/秒の連写が可能となっている。連続撮影可能枚数はJPEGラージ/ファイン:約31枚(UDMAモード7対応、CFカード使用時:約510枚)、RAW:約12枚(同:約14枚)、RAW+JPEGラージ/ファイン:約12枚(同:約12枚)。オートフォーカスシステムは、EOS 5D Mark IIIから61点高密度レティクルAF(クロス測距点:最大41点)を継承。ファインダーも、EOS 5D Mark IIIと同じく、倍率約0.71倍/視野率約100%のものを搭載し、多くの撮影設定を確認できる「インテリジェントビューファインダーII」に対応した。シャッタースピードは1/8000秒に対応する。

また、測光システムには、EOS 7D Mark IIなどと同じく、新しい「EOS iSA System」を採用。低輝度でも252分割を実現した、約15万画素RGB+IR測光センサーを搭載する高性能システムだ。さらに、EOS iSA Systemで認識した被写体の顔や色の情報をオートフォーカスシステムに反映させる「EOS iTR AF」や、EOS iSA Systemを使ったフリッカーレス撮影機能も搭載している。

約15万画素のRGB+IR測光センサーを搭載

約15万画素のRGB+IR測光センサーを搭載

EOS 7D Mark IIに搭載されたフリッカーレス撮影にも対応する

EOS 7D Mark IIに搭載されたフリッカーレス撮影にも対応する

ボディサイズは約152.0(幅)×116.4(高さ)×76.4(奥行)mmで、重量は約930g(CIPAガイドラインによる)/約845g(本体のみ)。EOS 5D Mark IIIと同じサイズで重量は約20g軽くなっている。なお、ボディ底面のデザインはEOS 5D Mark IIIとは微妙に異なっているが、これは、カメラの振動をしっかり抑えられるよう、三脚座を保持する底面シャーシに肉厚のステンレスを採用したためと考えられる。液晶モニターは3.2型(3:2、約104万ドット)。利用可能な記録メディアはCFカード(タイプ1準拠、UDMAモード7対応)、SDXC/SDHC/SDメモリーカード(UHS-I対応)。対応バッテリーは「LP-E6N/LP-E6」で、LP-E6N使用時の撮影可能枚数は約700枚(EOS 5D Mark IIIは約950枚)。

ボディサイズはEOS 5D Mark IIIと同じ。重量は約20g軽くなった

ボディサイズはEOS 5D Mark IIIと同じ。重量は約20g軽くなった

真柄利行(編集部)
Writer
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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