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ソニー「RX1R II」が12月に登場!「α7R II」に匹敵する最高峰コンデジ

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コンパクトデジカメの最高峰に位置する、超ハイスペックなコンデジがソニーから12月に発売される。35mmフルサイズセンサーを搭載する「サイバーショット RX1シリーズ」(以下、RX1シリーズ)の新モデル「サイバーショット DSC-RX1RM2」(以下、RX1R II)だ。市場想定価格は43万円前後(税別)。コンデジとしては非常に高額な製品だが、あの「α7R II」と同じスペックのセンサーとオートフォーカスシステムを採用し、性能に妥協のないカメラに仕上がっている。

2016年2月10日追記:発売日は2016年2月19日になります。

従来以上に高性能なモデルとなったRX1R II。ボディサイズは113.3(幅)×65.4(高さ)×72.0(奥行)mmで、重量は約507g(バッテリーNP-BX1、メモリースティック デュオを含む)。従来のRX1シリーズと同様、コンパクトなサイズにまとまっている

RX1R IIの主要パーツを並べたイメージ。堅牢性の高いフルマグネシウム合金ボディを採用している

RX1R IIの主要パーツを並べたイメージ。堅牢性の高いフルマグネシウム合金ボディを採用している

「α7R II」と同等のセンサーと開放F2・35mm単焦点「ゾナーT *」レンズを搭載

RX1R IIは、型番としては「マーク2」の表記になっているが、従来モデル「RX1R」から大幅な進化を遂げている。コンパクトボディに35mmフルサイズセンサーを搭載するというRX1シリーズの基本コンセプトは変わらないが、「まったく別物」と言っても過言ではないカメラに仕上がっている。

センサーには、フルサイズミラーレス「α7シリーズ」のフラッグシップモデル「α7R II」にも搭載されている、有効約4240万画素のフルサイズ裏面照射型「Exmor R」センサーを採用。画像処理エンジンも、α7シリーズと同じ「BIONZ X」に刷新され、「ディテールリプロダクション技術」や「回折低減処理」といった高画質化技術を搭載している。感度はISO100〜ISO25600に対応(拡張設定ではISO50〜ISO102400)。センサー周りのスペックはα7R IIとまったく変わらない。14bitの非圧縮RAW出力にも対応している。

レンズは、従来モデルと同じ、開放F2・35mm単焦点のカールツァイス「ゾナーT *」レンズを継承。AAレンズを含む非球面レンズ3枚を使った7群8枚のレンズ構成で、絞り羽根は9枚虹彩絞りだ。

このように、RX1R IIは、「α7R II」と同スペックのセンサーと、従来モデルでも定評のある「ゾナーT *」レンズを組み合わせている。レンズ一体型は、搭載するレンズとセンサーのチューニングが図れるため、レンズ交換式に比べて画質面で有利なところがある。その点を考慮すると、RX1R IIは、α7R IIに並ぶか、それ以上の画質が期待できるコンデジだと言えよう。

開放F2・35mm単焦点のカールツァイス「ゾナーT *」レンズを採用。レンズ部には、フォーカスリングのほか、絞りリングとマクロ切り替えリングを装備する

世界初の「光学式可変ローパスフィルター」を実現

RX1R IIの機能でユニークなのは、光学ローパスフィルターの効果を切り替えられる機能を搭載していることだ。光学ローパスフィルターレスと同じ効果が得られる「オフ」、解像感とモアレ・偽色抑制のバランスを重視した「標準」、モアレ・偽色抑制を重視した「強め」の3段階から効果を選択できる。

RX1R IIの「光学式可変ローパスフィルター」との概念図。ローパスフィルターの間に液晶層を挟み、液晶層を電圧で制御することでローパスフィルターの効果を切り替える仕組みになっている

ローパスフィルターの効果は「オフ」「標準」「強め」を選択可能。これらの効果をブラケットで連続撮影する「ローパスフィルターブラケット」も搭載している

ペンタックスのデジタル一眼レフも同様の機能を搭載しているが、ペンタックスの場合、センサーをサブピクセル単位で駆動させることで、ローパスフィルターがある場合と同じ効果が得られるようになっている。いっぽう、RX1R IIでは、2枚のローパスフィルターを搭載し、間に液晶層を挟んでいるのがこれまでにはないところ。液晶層に電圧を加えて駆動をコントロールし、入射する光の性質を変えることで、ローパスフィルターの効果を可変的に切り替えられるようになっているのだ(※2枚のローパスフィルターが水平・垂直の分離の性質を持っているか、どういった性質なのかは不明。EOS 5Ds R やD800Eなどと同じように垂直方向に分離・合成して1点に戻す構造をベースにしているようにも思える)。ソニーはこれを世界初の「光学式可変ローパスフィルター」と呼んでいる。ポイントは、搭載するレンズのMTF特性に基づき、空間周波数を使って超高精度に電圧を加えることで、画質に影響を及ぼさずに効果を切り替えられること。ソニーによると「画質にはまったく影響がないように設計している」とのことだ。

この仕組みは、原理的にはレンズ交換式カメラでも応用ができる。ただし、さまざまなレンズに対応することを考慮すると、そう簡単なことではないはずだ。ソニーによると「今回この機能を実現できたのはレンズ一体型だからこそ」とのこと。今後、レンズ交換式にも展開されることを期待したいところだ。

倍率約0.74倍の電子ビューファインダーを内蔵

RX1R IIの進化点では、電子ビューファインダー(EVF)を内蔵したことも見逃せない。0.39型の有機ELデバイスを使った約236万ドットの電子ビューファインダー「XGA OLED Tru-Finder」で、1インチコンデジ「サイバーショット RX100シリーズ」でも採用されたボディ収納式を採用。RX100シリーズとは異なり、ワンプッシュでポップアップと収納が行なえるようになっており、接眼部を引き出す・戻す必要なく利用できる。

また、接眼レンズに、ガラスモールド非球面レンズ2枚と高屈折ガラスレンズ2枚の計4枚の光学系を新たに採用。すべてガラスレンズなのがポイントで、コンパクトなファインダーながらも、倍率約0.74倍という大きな見え方を実現している。α7R IIに搭載されている0.5型デバイスで倍率約0.78倍のスペックには届かないものの、コンデジとしては最高性能のEVFだ。

約236万ドットの電子ビューファインダー「XGA OLED Tru-Finder」を内蔵

約236万ドットの電子ビューファインダー「XGA OLED Tru-Finder」を内蔵

RX100シリーズとは異なり、ワンプッシュで収納することができる

RX100シリーズとは異なり、ワンプッシュで収納することができる

ガラスモールド非球面レンズ2枚と高屈折ガラスレンズ2枚の計4枚のガラスレンズを採用し、ファインダー倍率約0.74倍を実現

「ZEISS T*」コーディングを採用し、ファインダーを覗いた際の映り込みも低減している

「ZEISS T*」コーディングを採用し、ファインダーを覗いた際の映り込みも低減している

「α7R II」と同じ「ファストハイブリッドAF」を採用し、AF性能も向上

RX1R IIは、オートフォーカスシステムも刷新され、像面位相差AFとコントラストAFを組み合わせた、ハイブリッド式の「ファストハイブリッドAF」を搭載。しかも、α7R IIと同様、399点の像面位相差AFセンサーを持つ高性能システムとなっている。像面位相差AFがセンサー像面エリアの45%をカバーするのもα7R IIと同じだ。α7R IIのシステムがそのまま搭載されていると言っていいだろう。

合焦速度は、RX1Rと比べて約30%も高速化され、動体追従性もアップ。被写体を追従し続けるAF-Cにも対応するようになった。従来モデルではオートフォーカスの速度・精度で不満の声もあったが、新モデルでは、大きくスペックアップしている。

像面エリアの45%をカバーする399点の像面位相差AFセンサーを搭載

像面エリアの45%をカバーする399点の像面位相差AFセンサーを搭載

被写体を追従し続けるAF-Cモードに対応するようになった

被写体を追従し続けるAF-Cモードに対応するようになった

AFエリア設定では、ワイドとセンターに加えて、枠のサイズを3段階から選択できるフレキシブルスポットと、選択したフレキシブルスポットエリアとその周辺にあるAFセンサーで捉え続ける拡張フレキスブルスポットを新たに追加。人物の瞳を検出してピントを合わせる「瞳AF」も搭載されている。

連写性能は、AF追従で約5コマ/秒に対応。連続撮影可能枚数は、JPEG Lサイズ(エクストラファイン)で26枚、JPEG Lサイズ(ファイン)で35枚、RAWで23枚、RAW+JPEGで22枚、RAW(非圧縮)で9枚、RAW+JPEG(非圧縮)で9枚。このあたりのスペックもα7R IIとほぼ同等だ(※JPEG撮影時の連続撮影可能枚数はRX1R IIのほうがわずかに上回る)。

このほかの細かい進化点は以下のとおり。

・チルト可動式液晶モニターの採用
・AF-S/AF-C設定時のフォーカス/レリーズ優先、バランス優先設定の追加
・ロックオンAFの追加
・マクロモードに対応
・1:1や4:3のアスペクト比を選択できるマルチアスペクトに対応
・ホワイトバランス微調整の細分化
・オート感度の低速限界設定の追加
・XAVC Sフォーマットでのビットレート最高50MbpsのフルHD動画記録
・ブライトモニタリングに対応

機能面でα7R IIとの差分を取ると、サイレント撮影機能と4K動画記録に非対応なのが大きなところ。4K動画記録に対応していないのは、コンパクトなボディとバッテリー容量が理由とのことだ。バッテリー持ちは、液晶モニター使用時で約220枚、ファインダー使用時で約200枚だ。また、従来モデルと同様、シャッタースピードはF5.6以上に絞った場合で最速1/4000秒、絞り開放時は最速1/2000秒となる。

上約109度、下約41度まで動かせるチルト可動式の3.0型(約123万ドット)液晶モニターを採用

上約109度、下約41度まで動かせるチルト可動式の3.0型(約123万ドット)液晶モニターを採用

まとめ

RX1R IIの特徴を見て、「コンデジにここまでの高性能は必要ない」と感じた方もいると思うが、それはある意味正しい反応だ。ソニーは、このカメラをα7R IIやα7S IIと同じハイアマチュアからプロフェッショナルユーザーをメインターゲットにしたうえで、サブ機としてではなく、メイン機として使えるコンデジとして開発している。そのため、これまでソニーが発売したどのコンデジよりも高性能になっている。ミラーレス/一眼レフの上位モデルがライバルになるため、コンデジとしては規格外のスペックを持っているのだ。

価格は市場想定価格で43万円前後(税別)。価格.comのデジタルカメラカテゴリーでは、ライカのフルサイズ機「LEICA Q Typ 116」の約56万円に次ぐ、高価な製品となっている。ただし、α7R IIと同等のセンサーとオートフォーカスシステムを搭載し、カールツァイスの単焦点レンズと、大きな見え方をする高性能ファインダーを搭載していることを考慮すると、確かに高価なカメラではあるが、法外な価格というわけではない。

コンデジにも最高性能を求めるハイアマチュアやプロフェッショナルユーザーにとって、RX1R IIの画質をチェックしておいて損はないだろう。価格.comマガジンでは後日、このカメラの画質をくわしくレビューする予定だ。

サムブリップ「TGA-1」、レンズフード「LHP-1」、光学ビューファインダーキット「FDA-V1K」などのオプションを装着したイメージ。なお、EVFの丸型アイピースカップはカメラ本体に同梱されている

真柄利行(編集部)
Writer
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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