レビュー
2つのエンジンの実燃費とWLTCモード燃費の差も比較テスト!

マツダ「CX-3」試乗&実燃費テスト/クリーンディーゼルとガソリンを1000km走って徹底比較!

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2014年にロサンゼルスオートショーで世界初公開された、マツダ「CX-3」。日本では2015年の発売以来、幾度にわたり改良が施されている。さらに、2017年はこれまでの1.5リッタークリーンディーゼルエンジンに加えて2リッターガソリンエンジンを搭載したモデルもあらたに投入された。そこで今回、CX-3のクリーンディーゼルエンジン搭載モデルとガソリンエンジン搭載モデルの2車種を借り出し、計1000kmほど試乗してみた。フィーリングの違いや実燃費の差、どちらを買いなのかなど、比較してお伝えしたい。

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル(左)とクリーンディーゼルエンジン搭載モデル(右)

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル(左)とクリーンディーゼルエンジン搭載モデル(右)

また、CX-3のガソリンエンジン搭載モデルには、新たな燃費計測方法である「WLTCモード」認可試験のデータも正式にメーカーから公表されているので、実燃費とWLTCモードとの差がどのくらいあるのかも合わせてご報告しよう。

※当記事で試乗したCX-3は、2018年3月にニューヨークモーターショーで発表された商品改良前のモデルになります。

WLTCモードとは

まず、CX-3のインプレッションのまえに「WLTCモード」について説明しよう。

このWLTCモードは、3つの走行モード「市街地モード(WLTC-L)」「郊外モード(WLTC-M)」「高速道路モード(WLTC-H)」で構成された国際的な試験方法で、従来カタログに記載されていた「JC08モード」の試験方法に比べて、エンジン冷間時の走行時間の割合の増加、アイドリング時間比率の減少、さらに運転者以外の乗員や積載物の重量の考慮などによって、実際の使用実態に近い内容となっているのが特徴だ。

2017年夏以降、WLTCの認可を取得した車種から、同モードに基づく燃費「WLTCモード」の燃費値がカタログに記載され、ユーザーは自身の走行環境にあわせて、実態に近いモード燃費を確認することが可能となった(以上、マツダCX-3プレスリリースより引用)。

過去にもさまざまな燃費計測方法が用いられてきたが、実際にユーザーが走行した実燃費との乖離がたびたび指摘されていた。そこで、より実態に近い燃費値の「WLTCモード」が導入されようとしているのだ。

「WLTCモード」は本当に実燃費に近かった!

まずは、クリーンディーゼルエンジンとガソリンエンジンの実燃費結果と、JC08モードやWLTCモードとの燃費値の差を見てみよう。

【ガソリンエンジン搭載モデルの燃費】
JC08モード:16.6km/L
WLTCモード:15.2km/L
WLTCモード(市街地):11.6km/L
WLTCモード(郊外):15.8km/L
WLTCモード(高速道路):17.4km/L
実燃費:13.9km/L
実燃費(市街地):11.7km/L
実燃費(郊外):14.0km/L
実燃費(高速道路):16.1km/L


【クリーンディーゼルエンジン搭載モデルの燃費】
JC08モード:21.2km/L
実燃費:18.6km/L
実燃費(市街地):15.1km/L
実燃費(郊外):19.0km/L
実燃費(高速道路):21.8 km/L

ガソリンエンジンのWLTCモードと今回の実燃費を比較してみると、ほぼ1km/L前後の誤差となり、市街地においてはニアイコールという結果となった。今回の結果のみでWLTCモードが正確とはまだ言いきれないものの、かなり実燃費に近いのではないかというのが率直な印象だ。

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル(左)とクリーンディーゼルエンジン搭載モデル(右)

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル(左)とクリーンディーゼルエンジン搭載モデル(右)

さて、いよいよCX-3のインプレッションをお届けしよう。試乗したCX-3のグレードは、ガソリンエンジン搭載モデルが「20S Lパッケージ」、クリーンディーゼルエンジン搭載モデルが「XD Lパッケージ」だ。トランスミッションは6速ATで、駆動方式はAWD(4WD)で揃えた。

ガソリンエンジン搭載モデルは、「PE-VPS型」と呼ばれる2リッター4気筒DOHCエンジンが搭載されている。最高出力は148ps/6,000rpm、最大トルクは192Nm/2,800rpmを発生。ディーゼルエンジンは、「S5-DPTR型」の1.5リッター4気筒DOHCターボエンジンで、最高出力は105ps/4,000rpm、最大トルクは270Nm/1,600-2,500rpmだ。

ガソリンエンジン搭載モデルは「すばらしい乗り心地」。だが、「トルクが薄い」

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル

それではさっそく、走り出してみよう。最初に試乗したガソリンエンジン搭載モデルは、試乗車を借りてから国道に出るために横断する、うねりのある踏切をわたっただけで、ボディ剛性や足回りのしなやかさがわかってしまう。まず感じたのは、乗り心地がしなやかになったことだ。CX-3のデビュー直後に試乗した際には(当時はクリーンディーゼルエンジン搭載車のみのラインアップではあったが)、どちらかというと突っ張るような乗り心地で、決してよい印象を抱いてはいなかった。だが、このガソリンエンジン搭載モデルに関しては、十分に許容できる乗り心地を得ていることに、正直驚きを覚えた。

いっぽう、ボディ剛性においては残念ながらデビュー時から、あまり進化していないようだ。ボディ剛性はかなり低く、フロア周りやステアリングがブルブルと震えてしまう。これは、ボディそのものの問題が大きいために、商品改良などでは十分に対応できないのかもしれないと考えられる。

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル(手前)とクリーンディーゼルエンジン搭載モデル(奥)

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル(手前)とクリーンディーゼルエンジン搭載モデル(奥)

国道へ出て一気に加速しようとすると、ちょっと不思議な感覚を覚えた。それは、「このエンジン、ホントに2リッターもあるの?」という違和感だ。決して非力ではないものの、パワフルさはなく、最近では主流となった、2リッター未満のダウンサイジングターボのほうが、きびきびと走ることができてしまいそうな印象だ。

もうひとつ、興味深いのが「シフトタイミング」だ。特に、2速から3速にシフトアップする際には、かなり引っ張らないと変速しない。市街地では、「まだ3速に入らないのか」と思うくらい、下手をすると3,000rpmくらいまで回転が上がってしばらくしてからシフトアップすることもあるほどだ。スペックの数値を見る限り、エンジン特性をより高回転側に振っているようなので、低速域の出力やトルクが少し薄くなってしまっているのではと考えられる。

それは、1,200rpmから1,500rpmほどの低回転域での走行中にも感じられた。具体的には、加速をしようとするとややトルク不足を感じ、キックダウンさせないと思うような加速が手に入らず、歯がゆい思いをすることがあるのだ。やはり、ここはもう少し低回転域を重視したエンジン特性が欲しいところだ。

マツダ「CX-3」のインテリア

マツダ「CX-3」のインテリア

また、ボディ剛性の弱さはロードノイズにも影響しており、少し荒れた路面などではフロア周りから音の侵入を許してしまっているのと同時に、このざらつき感が足にも伝わってきて、ソールの薄い靴を履いていると少し足の裏がくすぐったくなることがあった。

また、ステアリングホイールにも同様のざらつき感が伝わってきてしまっている。この点は、後述するクリーンディーゼルエンジン搭載モデルではより顕著であったが、ガソリンエンジン搭載モデルにおいても同様の傾向であった。

クリーンディーゼルエンジン搭載モデルは「トルクフル」。だが、「足が固い」

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデル

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデル

今度は、同様の走行ルートをクリーンディーゼルエンジン搭載モデルで走行してみた。ボディ剛性に関しては、前述のガソリンエンジン搭載モデルとまったく同じ印象で、これはCX-3に共通した欠点といえるだろう。

だが、“乗り心地”に関しては、まったく違う印象を受けた。具体的には、初期モデルと同様に硬く突っ張るのだ。もちろん、初期モデルよりはかなり改善されているのだが、それでもまだ、その傾向が残っていた。

マツダ「CX-3」に装着されているトーヨータイヤ「プロクセスR40(215/50 R18)」

マツダ「CX-3」に装着されているトーヨータイヤ「プロクセスR40(215/50 R18)」

この要因は、実は複数ある。ひとつは、コイルダンパーがディーゼルのほうが硬いこと。次に、タイヤの空気圧だ。

どちらも、トーヨータイヤの「プロクセスR40(215/50 R18)」を履いていたのだが、ガソリンエンジン搭載モデルはフロントの空気圧が230kPa、リアの空気圧が220kPaであるのに対し、クリーンディーゼルエンジン搭載モデルは、フロント、リアともに250kPaと高かった(いずれも4WDの場合)。この2点が、乗り心地に影響を及ぼしていると考えられる。

マツダ「CX-3」搭載エンジンイメージ

マツダ「CX-3」搭載エンジンイメージ

こういった変更の理由は、エンジンの重さだ。車重が1,300kgのガソリンモデルに対して、クリーンディーゼルモデルは1,360kgと60kg重く、さらに、ガソリンモデルの前後の重さが800kgと500kgなのに対し、クリーンディーゼルモデルは850kgと510kgと、そのほとんどをフロントが受け止めなければならない。この“エンジンの重量増”が、上記の変更につながっている。

もちろんこの変更は必要なのだが、そのために足を硬くし、結果として乗り心地の悪化につながっては元も子もない。すべての根源にあるボディ剛性を高めることで、足のしなやかさを生かしながら、重いエンジンも受け止められる車体が完成するはずだ。

マツダは欧州でも人気を誇るメーカー、つまりドライバビリティを重視するメーカーなので、ぜひこういった点にも留意して開発を推し進めてほしい。

また、クリーンディーゼルエンジン搭載モデルでは、もう一点気になることがあった。それは、アイドルストップからの再始動についてだ。通常の停止、発進では全く問題はないが、アイドルストップが介入した直後にブレーキをリリースした場合、即エンジンが再始動せず、ワンテンポ遅れてしまうのだ。交差点の右折時などでこの症状が出てしまうと、思わず強めにアクセルを踏みこんでしまうため、少々危険にも感じた。

これは、ガソリンエンジン搭載モデルではほとんど気にならなかったので、クリーンディーゼルエンジン搭載モデルの場合、再始動の早さを求めるためにピストンの停止位置を調整していることが、何らかの影響を及ぼしているのかもしれない。

高速道路では乗り心地の差が顕著に

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデル

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデル

乗り心地の違いは、高速道路ではさらに顕著となった。100km/hで走行時、継ぎ目などの段差を超えると、ガソリンエンジン搭載モデルの場合はほぼ一発で動きを吸収し、姿勢が元に戻るのだが、残念ながらクリーンディーゼルエンジン搭載モデルの場合はピッチングが残り、船のように複数回上下の揺れを感じることがあった。

完全停止までは行わないが、CX-3にも「アクティブクルーズコントロール」が装備されている。その動作は、ガソリンエンジン搭載モデルのほうがスムーズな印象だ。ガソリンエンジンよりもクリーンディーゼルエンジンのほうがよりトルクの出方が急激というエンジン特性によるものなので、その特性とアクティブクルーズコントロールのマッチングがいまひとつなのだろう。

確かに、ロードノイズはどちらも高めだが、セグメントとしてみれば許容範囲だ。それ以外の高速道路では、4WDということもあって安定した走行が可能だった。

パワートレインとのマッチングが微妙な、クリーンディーゼルエンジン搭載モデル

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデルのメーター

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデルのメーター

郊外路で試乗していると、クリーンディーゼルエンジン搭載モデルのトルクフルなエンジンの魅力が増してくる。スポーティーにも、ゆったりにも、多様な走り方ができる。もちろんガソリンエンジン搭載モデルでも同様の走りは可能なのだが、より高回転を望むエンジンとトランスミッションのチューニングもあって、積極的に走らなければという気持ちになる。疲れているときには、若干煩わしく感じることもあったが……。

クリーンディーゼルエンジン搭載モデルは、郊外路では好印象なのだが、時々違和感を覚える時があった。市街地では1,500 rpmほど回っていれば非常に敏感にアクセルに反応するので、乗りやすくてトルクフルな印象だ。しかし、高架などの上り坂で、ハーフスロットルから全閉にした後に再びハーフまで踏み込んだ時に、うまくシフトダウンがおきず、なかなか加速をしない時があった。そのいっぽうで、60 km/h前後、およそ2,000rpmで4速をキープするので、音と同時にパワーとトルクが出すぎてしまって煩わしく、もう少し早めにシフトアップして5速に入ってほしいと、ついついパドルシフトを操作しアップさせることもあった。

ガソリンエンジン搭載モデルとクリーンディーゼルエンジン搭載モデル、どちらが得?

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル(左)とクリーンディーゼルエンジン搭載モデル(右)

マツダ「CX-3」ガソリンエンジン搭載モデル(左)とクリーンディーゼルエンジン搭載モデル(右)

さて、冒頭で述べた実燃費から、ガソリンエンジン搭載モデルとクリーンディーゼルエンジン搭載モデルのどちらが得なのかを考えてみたい。

実燃費の平均値の差は、クリーンディーゼルエンジン搭載モデルが約「5km/L」上回っている。この差は、航続距離を考えると非常に大きい。現在、レギュラーガソリンと軽油の価格差は(e-燃費でガソリン:131円、ディーゼル:115円)「16円/L」。仮に100km走行した場合、ガソリンエンジン搭載モデルでは7.2リッター、クリーンディーゼルエンジン搭載モデルでは5.4リッター消費する。その差は、317円ほどだ。車両本体価格はクリーンディーゼルエンジン搭載モデルが27万円ほど高いので、この元を取るにはかなりの距離を走らねばならない。

したがって、長距離を走るユーザーほど、クリーンディーゼルエンジンのメリットを享受しやすくなるだろう。
(※支払総額から考えると、減税や免税等様々な優遇制度があり、時期によっても異なるので、購入を考えるのであれば、一度きちんと見積もりを取ることをおすすめする)

個人的には、CX-3のボディサイズでかなりの長距離を頻繁に走ることは少なく、市街地がメインの使用になることを想定すると、ガソリンエンジン搭載モデルのほうがおすすめしやすい。ちなみに、実際の販売現場では、その割合はほぼ半々であるという。

デザインと質感は好ましいが視認性はいまひとつ

最後に、ボディ剛性以外のポイントについても少し触れておきたい。

マツダ「CX-3」の左後方は見通しが悪く、夜間は注意が必要だ

マツダ「CX-3」の左後方は見通しが悪く、夜間は注意が必要だ

CX-3のエクステリアはボリューム感があって好ましく、ライバルメーカーを大きくリードしているといえる見事なデザインである。しかし、そのデザインがいたずらをしてか、気になることがある。ひとつは、ドアミラーがドアから生えているのは大変よいのだが、残念ながら、その位置が若干後ろで、かつAピラーが太く見え、左右前方の見通しの悪さが気になってしまったということだ。また、それが影響して車幅がつかみにくく、路肩に寄せるのに気を遣うことがあった。左後方の見通しも悪いので、とくに夜間の後退時は注意が必要となる。

サイドブレーキがかなり後方に位置するため、シートポジションによっては操作しづらくなってしまう

サイドブレーキがかなり後方に位置するため、シートポジションによっては操作しづらくなってしまう

インテリアでは、サイドブレーキの位置をもう少し前方に移動してもらえるとありがたい。筆者は身長165cmで、若干前よりのシートポジションなのだが、サイドブレーキが少々後ろ気味に位置してしまい、操作がしにくいのだ。

操作といえば、3連式のダイヤル型のエアコンスイッチは大きく使いやすかった。ちょっとした温度調整などは見ないでも扱える好ましいものだった。

マツダ「CX-3」テールロゴ

マツダ「CX-3」テールロゴ

さて、CX-3をトータル1,000kmテストして、どちらに軍配を上げるかを考えてみよう。筆者としては、クリーンディーゼルエンジンの、トルクフルかつ低燃費なところに魅力を感じる。個人的には長距離を走ることが多いので、メリットが大きいのだ。

だが、乗り心地に関してはガソリンのほうがはるかに好ましい。乗り比べてしまうと、この乗り心地のよさは捨てがたいのだ。結論としては、長距離を走っても乗り心地の差は直接疲労にもつながることを踏まえ、今回はガソリンエンジン搭載モデルに軍配を上げたい。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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