レビュー
いよいよ本格的な導入が始まったVWのディーゼルに試乗!

世界で人気のSUV、VW「ティグアン TDI」2Lターボディーゼルに試乗

2018年2月、フォルクスワーゲン(以下、VW)のセダン「パサート」とワゴンの「パサートヴァリアント」へ、待望の2Lターボディーゼルエンジン「TDI」がラインアップされた。TDIのメリットは、高いトルクを生かした力強い加速や燃費などのランニングコストにすぐれていることがあげられる。

それからおよそ半年後の2018年8月29日、SUVの「ティグアン」と7人乗りのミニバン「トゥーラン」にもTDI搭載モデルが追加された。これによって、VWではセダン、ワゴン、SUV、ミニバンと、ひととおりのボディタイプにTDIが搭載されたことになる。

2018年8月、VW「ティグアン」へ新たに2Lクリーンディーゼルエンジン「TDI」搭載モデルが発売された。

2018年8月、VW「ティグアン」へ新たに2Lクリーンディーゼルエンジン「TDI」搭載モデルが発売された。

今回、ティグアンへ新たに追加されたTDI の4WDモデル「ティグアンTDI 4MOTION」に試乗する機会を得たので、レポートしよう。ティグアンのグレードラインアップと価格については以下のとおりだ。

-TDI(ディーゼルエンジン)搭載モデル-
TDI 4MOTION Comfortline:4,086,000円
TDI 4MOTION Highline:4,940,000円
TDI 4MOTION R-Line:5,240,000円
TDI 4MOTION R-Line Black Style:5,540,000円

-TSI(ガソリンエンジン)搭載モデル-
TSI Comfortline:3,636,000円
TSI Highline:4,490,000円
TSI R-Line:4,790,000円

日本の輸入車市場では高いシェアを占めるディーゼル

走り出す前に、世界のディーゼル市場について述べておきたい。「ACEA(欧州自動車工業会)」によるレポート「European Automobile Manufacturers' Association」によると、2017年のヨーロッパにおけるディーゼルエンジン搭載モデルのシェアは、2011年あたりをピークに徐々に減少傾向にあるものの、ヨーロッパ全体で45%、ドイツ国内では39%と4割ほどを占めている。また、EVやPHEVなどの電動化車両については、ドイツ国内でも4%程度しかなく、内燃機関が圧倒的なシェアを獲得している。

「VWをはじめとしたヨーロッパ各メーカーは、より効率のいい、そしてより少ないCO2排出量を目指し、内燃機関の開発に力を入れている」と説明するのは、フォルクスワーゲン グループ ジャパン広報部の池畑浩氏だ。

ディーゼル比率の減少については、「ヨーロッパ、特にドイツ周辺ではガソリン車などで新燃費基準が施行されたことを受け、その前にガソリンモデルを中心に販売するという外的要因からディーゼルの比率は下がっている。だが、ディーゼルは依然として多くの需要があるというのが実情だ」と分析する。

いっぽう、日本市場におけるディーゼル比率は、登録車と軽自動車を合算した割合で5.3%(クリーンディーゼル協議会調べ)だ。日本車は、マツダが積極的にディーゼルを展開しているので輸入車に限ってみると、昨年2017年のディーゼルエンジン搭載モデルのシェアはおよそ22%になる。2017年の輸入車販売は、20年ぶりに30万台を超えて好調なのだが、それを大きく下支えしたのがディーゼルということも言えるだろう。

現在、およそ60モデルに及ぶディーゼル搭載車が日本で販売されており、輸入車市場の中で大きなポジションを占めている。また、ティグアンが属する輸入車コンパクトSUVの市場状況は、2016年あたりからディーゼル比率が高まってきており、今年の1〜6月期では、4台に1台がディーゼルとなっていることも踏まえ、「特にSUVではディーゼルを好まれる方が多い」と、池畑氏は今回の投入の背景を語った。

世界で年間77万台を販売する人気SUV「ティグアン」

ティグアンは、本格的な四駆システムを搭載したVWのコンパクトSUVとして、2008年から日本で販売されている。ティグアンはヨーロッパでも人気があり、昨年2017年は1年間で77万台を販売した。

現行ティグアンは、2017年1月にガソリンのFFモデルが先行導入されている。これまでに5,500台が販売されたが、そのすべてがFFのガソリンモデルである。ティグアンの累計国内販売台数は、2008年以降で21,000台以上。そして、そのうちの半分が四駆であることから、今回の「TDI 4MOTION」の追加によって、さらに台数を伸ばすことが予想される。

ダイナミックな走りと経済性の高さが魅力のティグアンTDI

VW「ティグアン TDI 4MOTION Highline」のエクステリアイメージ

VW「ティグアン TDI 4MOTION Highline」のエクステリアイメージ

VW「ティグアン TDI 4MOTION Highline」のラゲッジルーム

VW「ティグアン TDI 4MOTION Highline」のラゲッジルーム

日本で展開するティグアンのTDIは、エントリーモデルの「Comfortline(コンフォートライン)」と「Highline(ハイライン)」、そしてスポーティー仕様の「R-LINE」の3グレードがラインアップされており、すべて4WDだ。

ボディサイズはTSI(ガソリンエンジン)モデルと同じで、四駆化による荷室などの影響もなく、ガソリン車と同じ1,655リッターという広大なラゲッジ容量を持つ。「よりアクティブに週末を過ごすお客様の使い勝手は、引き続き担保されている」と池畑氏。

VW「ティグアン TDI」に搭載されているEA288型 2リッターTDIエンジン。

VW「ティグアン TDI」に搭載されているEA288型 2リッターTDIエンジン。

パワートレインは、パサートシリーズと同様にEA288型と呼ばれる2リッターTDIエンジンが採用されている。最高出力と最大トルクは、パサートの190ps、400Nmに対して、ティグアンは150ps、340Nmとややアンダーパワーだ。だが、ティグアンの1.4リッターTSIガソリンモデルと比較すれば、出力こそ150psと同じだが、最大トルクは250Nmに対して90Nm向上している。池畑氏は、「ティグアンTDIは、ドライバーの意思次第で四駆特性をフルに生かしたダイナミックな走りから、経済的な走行までできる、幅広い側面を持っているのが特徴」とコメントする。

トランスミッションは、湿式7速DSGを採用。このトランスミッションは、TSIモデルのキャリーオーバーである。カタログ上のJC08モードは17.2km/L。サスペンションは、フロントはガソリンモデルと共通で、リアはデフが搭載されているためにサブフレームの形状が太いものへと変更されている。同時に、ホイールベアリングも大きな荷重に耐えられるようになっているなど、ガソリンモデルとの変更点も随所に見られる。

VW「ティグアン TDI」のセンターコンソール右下には「アクティブコントロール」スイッチが備えられている。

VW「ティグアン TDI」のセンターコンソール右下には「アクティブコントロール」スイッチが備えられている。

センターコンソールのシフトノブ右下に備えられている「アクティブコントロール」スイッチを操作することで、走行モードを「ノーマル」「スノー」「オフロード」「オフロードカスタム」モードへと切り替えることができる。

ノーマルは一般舗装路などオンロード向けで、スノーは氷雪走行に対応。オフロードは悪路に適したモードで、オフロードカスタムはオフロードモードで介入する「ダウンヒルアシスト」や「ヒルスタートアシスト」など、一部の機能を任意にオン・オフできるようになっている。

さらに、アクティブコントロールスイッチ中央にある「MODE」ボタンを押すことで、「エコ」「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」「カスタム」といった走行特性を変更することができる。(コンフォートは、電子制御サス「DCC」付き車のみ)

VW「ティグアン TDI Highline」のエクステリアイメージ

VW「ティグアン TDI Highline」のエクステリアイメージ

SUVであるティグアンは、スタイリッシュないでたちながらオフロード性能についてもしっかりと考慮されている。アプローチアングルは17.4°、デパーチャーアングルは16.4°を確保。また、下り坂(傾斜角10%以上)ではヒルアシストが作動して30km/h以下に速度を抑えてくれる機能や、坂道発進時には最長2秒間のヒルアシストが作動するとともに、オートホールド機能も装備されているなど、SUVとしての機能に抜かりはない。

特筆すべきはディーゼルらしからぬ静粛性の高さ

では、いよいよティグアンTDIに乗って走り出してみよう。ゆっくりとアクセルを踏み込んで走りはじめた第一印象は、静粛性の高さだった。ディーゼルエンジンといえば、どうしてもカラカラといった音が大なり小なり室内に侵入してくるものだが、ティグアンTDIではほとんどそれを感じることはなかったのだ。クルマへの興味が薄い同乗者であれば、これがディーゼルと言い当てることすら難しいだろう。

VW「ティグアン TDI」の走行イメージ

VW「ティグアン TDI」の走行イメージ

そのエンジンは、さすがに設計年次が古いこと、またパサートよりも若干出力が抑えられていることから、元気に走ろうとするとパワーとトルクがもう少し欲しくなってしまう。特に、高速道路での上り坂や登坂車線があるようなところでは、積極的にアクセルを踏み込む必要があった。いっぽう、市街地では必要にして十分。歯がゆい思いをすることはなかったことを、付け加えておきたい。

近年、アンダーパワーやエンジンの特性を隠すために、アクセルの踏みはじめを過敏にして、そういったことを感じさせないセッティングをされたクルマを見かけるが、ティグアンに関しては決してそういうことはなく、非常に素直なアクセルレスポンスを備えており、好感が持てた。

直進安定性の高さで長距離は快適

VW「ティグアン TDI」の走行イメージ

VW「ティグアン TDI」の走行イメージ

乗り心地は、若干バネ下が重く感じてバタつくことはあるものの、押しなべて良好だ。今回のテスト車のタイヤは、DCCパッケージ仕様車のために235/50R19(PIRELLI SCORPION VERDEを装着)を履いていた。これが、標準タイヤの235/55R18かコンフォートラインの215/65R17といった小さなタイヤであれば、このバタつく印象もかなり変わるだろう。以前、ガソリンモデルのティグアンR-Lineを試乗したことがあるのだが、明らかに大径タイヤによるバネ下のバタつきがあったので、ティグアンはタイヤによる影響が大きいクルマと言える。

VW「ティグアン TDI」の走行イメージ

VW「ティグアン TDI」の走行イメージ

7速DSGのセッティングは、滑らかながら小気味よく、特に下り坂では積極的にシフトダウンし、エンジンブレーキを多用するなどドライバーの意思に近い働きをする。また、高速道路の直進安定性は、4MOTIONであることを踏まえてもかなりよく、高速道路の移動は快適と思われる。同時にシートも体重の分散がうまくできているようで、疲れにくい印象であった。

ドライブモードは、前述のとおりいくつかのモードが選択できる。そのうちのスポーツモードは、アクセルレスポンスがより敏感になり積極的な走りを楽しめる。しかし、その操作はセンターコンソールのボタンを複数回押すか、一度押してモニター画面をタッチして好みのモードを選ぶものなので、瞬時に変更したい場合には手間がかかることになる。

今回のティグアンTDIの試乗で、とても印象に残っているのはティグアンを運転しながら同行者と終始リラックスして会話ができたことである。もちろん試乗テストなので、クルマに関して意識はしているのだが、いつもよりもゆったりとした気分だったのだ。つまり、ティグアンは何かが極端に秀でていたり、逆に劣っていたりすることがなく、すべてが均一によくできているので、気に障ることがないのである。ティグアン、ひいてはVWとはそういうクルマを生み出すのが得意なメーカーなのだろう。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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