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日本初導入の制御「ARB」でFF車の弱点を改善

歴代初のFFを採用したBMW 新型「1シリーズ」新機能で“駆けぬける歓び”は健在

BMWは、第3世代となる新型「1シリーズ」を日本国内で発表した。11月以降、順次納車が開始される。価格は334万円から。

BMW 新型「1シリーズ」(M135i xDrive)と、ビー・エム・ダブリュー BMWブランド・マネジメント本部長のミカエラ・キニガーさん

BMWのなかでもっともコンパクトなモデルながら、すぐれた走行性能を備えていた「1シリーズ」がフルモデルチェンジを遂げた。これまでの1シリーズは伝統的にFR(後輪駆動)であったが、新型ではFF(前輪駆動)が採用されている。日本には、大きく分けてFFの「118i」と4駆の「M135i xDrive」の2種類が導入される。

■BMW 新型1シリーズのグレードラインアップと価格

118i:3,340,000円
118i Play:3,750,000円
118i M Sport:4,130,000円
M135i xDrive:6,300,000円

118iに搭載される1.5リッター直列3気筒ガソリンエンジンは、最高出力140PS(103kW)/4,600-6,500rpm、最大トルク 220Nm(22.4kg・m)/1,480-4,200rpmを発生し、トランスミッションは7速DCTが組み合わされる。

いっぽうのM135i xDriveが搭載するエンジンは2リッター4気筒ガソリンエンジンで、最高出力306PS(225kW)/4,500-6,240 rpm、最大トルク 450Nm(45.9kg・m)/1,750-4,500rpmを発揮。トランスミッションは8速ATである。

新型1シリーズがFF(前輪駆動)を採用した訳

BMW 新型「1シリーズ」では、これまでのFR(後輪駆動)に代わり、FF(前輪駆動)が採用されている

BMW 新型「1シリーズ」では、これまでのFR(後輪駆動)に代わり、FF(前輪駆動)が採用されている

今回、新型1シリーズでもっとも気になるのは、FF(前輪駆動)化されたことだろう。まず、なぜFFとなったのかだが、実はミニバン系の「2シリーズ アクティブツアラー」「2シリーズ グランツアラー」や、SUVの「X1」などにはすでにFFが採用されており、これらのプラットフォームが新型1シリーズにも採用されたことから、必然的にFFになったのだ。また、FFモデルである「MINI」の技術的なノウハウが蓄積されてきたことも大きく影響しているようだ。

BMW Japan 広報部長の佐藤毅さんは、「これまでは、1シリーズであっても“駆けぬける歓び”を求めていましたので、フロントエンジンや後輪駆動を採用して、BMWらしい走りを追求していました。しかし、室内が狭くなるなどのデメリットがあったのです。いっぽう、このセグメントを購入されるお客様は走りよりも、どちらかというとスタイルや使い勝手、室内の広さを求めていることがわかってきましたので、そういったお客様に対してBMWが出した答えが、この前輪駆動化された新型1シリーズなのです」とコメントする。

また、「BMWというブランドは欲しいが、走りだけ、あるいは使い勝手が悪いというイメージがもしあれば、それを取り払いたかったのです」とも言う。

そして、「この新型1シリーズはお客様へのリサーチをしっかりと行い、このセグメントの人たちがクルマに何を求めているかを研究した結果です。前輪駆動であっても当然BMWですから、BMWらしい走りができます。そういった組み合わせの中で、一番バランスが取れているクルマと言えるでしょう」と述べた。

日本初導入の機能によって、FFでも駆けぬける歓びを

BMW 新型「1シリーズ」には、新たに「タイヤスリップ・コントロール・システム(ARB)」と呼ばれる機能が搭載されることで、俊敏な走りを実現している

新型1シリーズの走りにおいては、日本初導入となる「タイヤスリップ・コントロール・システム(ARB)」が採用されている。これまでは、前輪がスリップした際には「ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)」がその信号を検知して、コントロールを行っていた。DSCは車両の横すべりを抑えるため、ブレーキやエンジンの出力を自動的に制御して車両を安定させるという機能を持っており、こういったシチュエーションではDSCがそのすべてを担っていた。

しかし、ARBではDSCを介することなく、タイヤがスリップした情報を直接エンジンコントロールユニットへ送って、エンジンの出力を制御しスリップを抑える。DSCをショートカットすることから、以前より約3倍の速さで信号を直接エンジンに伝達することが可能となった。その結果、コーナーリング時に車両が外側にふくらんでしまうFF車特有の現象(アンダー・ステア)を大幅に抑制し、より俊敏な走りを実現しているという。

最新のBMWデザインと、広くなった室内

BMW 新型「1シリーズ」(M135i xDrive)のフロントイメージ

BMW 新型「1シリーズ」(M135i xDrive)のフロントイメージ

BMW 新型「1シリーズ」(M135i xDrive)のリアイメージ

BMW 新型「1シリーズ」(M135i xDrive)のリアイメージ

新型1シリーズのエクステリアデザインには、最新のBMWのデザインモチーフがちりばめられている。特に、大型化して中央部が連結した新世代デザインのキドニーグリルと、4灯ヘキサゴナルLEDヘッドライトが採用されており、若々しさが強調されている。

また、キドニーグリルの頂点とヘッドライトがつながっていることから、セダン系であることが見て取れる。ちなみに、スポーツカー系はキドニーグリルのピークがヘッドライトよりも下に来るようになっている。

BMW 新型「1シリーズ」のインテリア(画像は海外仕様のため左ハンドルだが、日本仕様は右ハンドル)

BMW 新型「1シリーズ」のインテリア(画像は海外仕様のため左ハンドルだが、日本仕様は右ハンドル)

BMW 新型「1シリーズ」のラゲッジルームは先代より広くなり、使いやすくなった

BMW 新型「1シリーズ」のラゲッジルームは先代より広くなり、使いやすくなった

インテリアでは、FFの採用によって後部足元のスペースが約40mm 広くなり、乗降しやすくなるなど室内空間の機能性が大幅に改善されている。また、ラゲッジルームの容量は20L増えて380Lとなり、後席を倒すと最大1,200Lまで拡大している。

「OK、BMW」のひと声で操作が可能に

BMW 新型「1シリーズ」には、音声だけでさまざまな操作をアシストしてくれる「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント」が採用されている

最新のBMWであることから、「OK、BMW」というコマンドワードで起動する「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント」も採用されている。これはAI技術を活用することで、音声で車両の操作、情報へのアクセスが可能となるものだ。今までの音声入力と異なり、より自然な会話でドライバーの指示や質問を理解し、適切な機能やサービスを起動可能とするほか、使用頻度に応じてドライバーの好みを学習し、長く乗り続けるほどその動作が確実となっていく。また、「OK, BMW」というワードを「1シリーズ」など、呼びかける言葉を任意に設定することも可能となっている。

そのほかには、「8シリーズ」などに搭載されている「リバースアシスト」が採用されていることも、トピックのひとつとなっている。これは、直近50mの走行軌跡を自動でバックしてくれるという機能だ。たとえば、路地に入り込んでしまってその先が行き止まりなどでバックしなければいけないなどの際に、モニタースクリーン上のボタンを押してシステムを起動させるだけで、クルマが自動でステアリングを操作してくれて元の軌跡をたどってくれるというものだ。ちなみに、この機能はアクセルとブレーキはドライバーが操作する必要があり、記憶している走行軌跡は時速35km以内の走行時のものに限られる。

新型1シリーズは若い方や女性もターゲットにしたエントリーモデル

BMW 新型「1シリーズ」の外観イメージ

BMW 新型「1シリーズ」の外観イメージ

ビー・エム・ダブリュー BMWブランド・マネジメント本部長のミカエラ・キニガーさんは、「1シリーズなどの小型モデルを購入するお客様の多くは、BMWブランドと初めて接点を持つ方や、プレミアムな輸入車を初めて購入する方々です。それまでは日本車に乗っていたユーザーが多く、また、若い独身者や若い家族が多くいらっしゃいます。そのお客様がこのBMW 1シリーズを買う理由は、典型的なBMWの走りを経験できるとともに、プレミアム感、安全性といったものを担保できるからなのです。したがって、このモデルにはインテリジェントシステムやパーキングアシストといったさまざまな最新技術や機能を備えており、それによって取り回しが楽になり、運転することも楽しくなるのです」と新型1シリーズを紹介する。

また、今回のターゲットとして女性もあげ「これまでも、多くの女性が1シリーズをドライブしていますが、新型においてはさらに多くの女性を惹き付け、BMWファミリーにお迎えしたい」と述べた。

さらに、新型1シリーズでは経済性も特徴的とし「ほかのモデルと同様に、非常に魅力的な月払いのオファーもありますし、エントリーバージョンは334万円からスタートします」と買いやすさをアピール。そのほか、3年間の主要メンテナンス無償提供、タイヤ/キーの破損や紛失の際の費用サポートなどが含まれる「BMWサービス・インクルーシブ・プラス」が全車に付帯。「つまり、最初の3年間はメンテナンスなどに関しての費用を負担する必要はありません。これはオーナーシップコストを考えた場合、とても重要なことです」と述べた。

BMW 新型「1シリーズ」(M135i xDrive)の走行イメージ

BMW 新型「1シリーズ」(M135i xDrive)の走行イメージ

BMW 1シリーズは、2004年に初代がデビュー。1シリーズはBMWにとって初めてのエントリーモデルで、そのキャラクターが「BMWらしいドライビングエクスペリエンスを持ちながらこのデザインが好まれ、大きな成功をグローバルで収めました」とキニガーさんは語る。1シリーズは、初代の発売から2019年5月までに世界累計で約250万台を販売する人気車だ。また、そのうちのおよそ4%である約10万台が日本で販売された。FRというわかりやすいアイコンはなくなったとは言え、それを補ってあまりあるさまざまな魅力が追加された新型1シリーズが、日本国内でさらに人気を高めていくことに期待したい。

(Text:内田俊一 Photo:内田俊一/BMW Japan)

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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