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北米でローグがフルモデルチェンジ!日本は……!?

日本での発売はもう少し先!? 日産 新型「ローグ(エクストレイル)」解説

2020年10月下旬、北米で日産の新型SUV「ローグ」の販売が開始された。ローグは、日本では「エクストレイル」という車名で販売されているモデルだ。

2020年10月下旬、北米で日産の新型「ローグ」が発売された。フロントフェイスが刷新されたほか、新プラットフォームの採用や全方位運転支援システム「セーフティシールド360」が標準搭載されるなど、走行性能や安全性能も進化している

2020年10月下旬、北米で日産の新型「ローグ」が発売された。フロントフェイスが刷新されたほか、新プラットフォームの採用や全方位運転支援システム「セーフティシールド360」が標準搭載されるなど、走行性能や安全性能も進化している

だが、日本におけるエクストレイルはフルモデルチェンジではなく、2020年10月7日に一部改良が施されたに留まっている。一部改良を実施した以上、エクストレイルのフルモデルチェンジは早くても2021年の年末以降だろう。一部改良にも相応のコストがかかるので、今後1年以内にフルモデルチェンジすることは考えにくい。

日産の販売店に確認してみると、以下の返答があった。「エクストレイルのお客様はクルマにくわしいので、海外のローグと同じ車種であることはご存知です。そして、日産は北米における新型ローグの発売を正式に報道発表して、北米日産のホームページにも詳細な情報を掲載しています。そのため、エクストレイルのお客様からは次期型に関する問い合わせも受けますが、現状メーカーからは話を聞いておりません。2020年10月に入って改良を受けたので、当分の間は現行型を販売するでしょう」。

インターネットなどを使って、海外の新型車情報が簡単に手に入れられる昨今なら、北米でローグがフルモデルチェンジすれば、日本の発売時期についてたずねられるのは当然だ。日産は、エクストレイルのフルモデルチェンジについて、今後のスケジュールを明らかにすべきと思う。

以上から、直近でエクストレイルがフルモデルチェンジされる可能性は低いのだが、2021年末から2022年には実施されるはずだ。そこで、北米仕様のローグをベースに、次期エクストレイルについて先取り解説したい。

上が現行「エクストレイル」、下が新型「ローグ」のフロントエクステリア

上が現行「エクストレイル」、下が新型「ローグ」のフロントエクステリア

まず、新型ローグの外観はフロントフェイスが特徴的だ。中央には日産車を象徴するV字型グリルが装着されるほか、新たに薄型のLEDヘッドランプを配置して水平基調に仕上げられている。ボディサイドなどは、現行型に比べてよりSUVらしさのあふれる力強い印象を受ける。サイドウィンドウの下端のラインを後方へ水平に伸ばしているので、後方視界もすぐれていそうだ。

新型「ローグ」のサイドエクステリア

新型「ローグ」のサイドエクステリア

新型ローグの全長は4,648mm、全幅は1,839mm(インチをミリに換算)。このボディサイズは、先代ローグの値をほぼ踏襲している。ホイールベースも2,705mmと同じ値で、居住空間の広さは現行型と同等になる。ローグは、もともとホイールベースが長いため、後席の足元にも十分な余裕がある。リヤゲートの角度を立てていることもあり、荷室容量も十分に確保されているため、ファミリーカーとしても使いやすい。

新型「ローグ」の走行シーン

新型「ローグ」の走行シーン

新型ローグは、ボディサイズは現行型と同等なのだが、プラットフォームが刷新されている。そのため、走行安定性や乗り心地は向上しており、衝突安全性能も引き上げられている。さらに、サスペンションも新たに開発された。前輪側がストラット、後輪側にはマルチリンクが採用されている。

新型「ローグ」の走行シーン

新型「ローグ」の走行シーン

パワートレインは、2.5L直列4気筒DOHC直噴エンジンに、エクストロニックCVTが組み合わせられている。最高出力は181PS(6,000rpm)、最大トルクは25kg-m(3,600rpm)。実用回転域の駆動力を高めた扱いやすいエンジンなのだが、日本仕様はエンジンが異なる可能性がある。税額などが考慮されれば、現行型と同じく2Lエンジンが踏襲されるだろう。

新型「ローグ」のエクステリア

新型「ローグ」のエクステリア

さらに、日本仕様は「キックス」と同様に、北米仕様では用意されていない「e-POWER」搭載モデルが採用される可能性も高い。現行エクストレイルでは、1モーターのハイブリッド車が設定されているが、NAエンジンと比べたときの燃費向上率は10〜14%ほどに留まる。4WDのWLTCモード燃費は、NAエンジンが12.6km/Lで、ハイブリッドは13.8km/Lだ。これでは、ハイブリッド車を購入することによって燃費を節約する効果は乏しい。

そこで、次期エクストレイルではハイブリッドをe-POWERへと進化させるはずだ。ちなみに、セレナに採用されているe-POWERモデルは2WDのみだが、WLTCモード燃費は18km/Lに達する。そのため、次期エクストレイルの4WDに採用しても16〜17km/Lくらいになるだろう。

「エクストレイル」の悪路走破イメージ

「エクストレイル」の悪路走破イメージ

開発するうえでの課題は、e-POWERの4WD化だ。エクストレイルはFFベースのシティ派SUVだが、オフロードの走破性を高めるためのさまざまな走行モードが設定されており、NAエンジン車の荷室には水洗いの可能な処理を施すなど、車両の性格そのものは悪路向けの本格SUVに近い。そうなると、キックス e-POWERのようなFFの2WDモデルのみでは魅力に欠ける。

「ノート」のe-POWER搭載モデルには、後輪をモーターで駆動する4WDが用意されているが、後輪側の最高出力は4.8PS、最大トルクは1.5kg-mとパワーが小さい。たとえば、雪上の坂道発進などで、前輪の駆動力の伝達を助けてくれるような役割に留まる。

2021年に発売が予定されている、日産のクロスオーバーEV「アリア」

2021年に発売が予定されている、日産のクロスオーバーEV「アリア」

次期エクストレイルに搭載されるe-POWERは、前後輪に強力なモーターが備えられた4WDが求められるだろう。ベースシステムとして考えられるのは、2021年の中盤に発売が予定されている電気自動車のSUV「アリア」だ。アリアは、前後輪にパワフルなモーターを搭載している。アリアに90kWhの駆動用電池を装着したモデルでは、2WDの最高出力は242PS、最大トルクは30.6kg-mだが、4WDになると394PS、61.2kg-mに達する。ここまで高性能ではないとしても、次期エクストレイルのe-POWERは、後輪に十分な性能を持たせた4WDが採用されるだろう。ちなみに、トヨタ「RAV4」のハイブリッドとPHVも、リヤ側に最高出力54PS、最大トルク12.3kg-mのモーターを搭載して、悪路の走破力が高められている。次期エクストレイルの発売が遅れていることに対して好意的な見方をすれば、e-POWERや新しい4WDシステムの開発に時間を要していることが考えられる。

話を新型ローグに戻すと、装備も進化している。安全性能については、全方位運転支援システムの「セーフティシールド360」を、全車に標準装備。衝突被害軽減ブレーキは、2台先を走行する車両を検知したり、自転車にも対応している。さらに、後方の並走車両を検知して警報を発したり、後退時にも衝突被害軽減ブレーキを作動させる。また、プロパイロットも進化しており、カーナビの地図情報を活用することによって、走行速度を最適に調節する機能などが備わっている。

次期エクストレイルの予想価格については、ライバル車との競争が激しいことからNAエンジンについてはさほど変わらないだろう。4WDがおよそ300〜350万円。ハイブリッドはe-POWERに進化するので、NAエンジンに比べて50万円前後の上乗せになる350〜400万円くらいになりそうだ。RAV4ハイブリッド(4WD・X・E-Four:3,596,000円/4WDハイブリッドG:4,029,000円)と、同等の価格設定が考えられる。

日本の自動車メーカーが、海外で新型モデルを発売しながら日本では旧型モデルを売り続けるということには少々疑問が残る。前述の通り、新型ローグは安全装備が進化して、プラットフォームの刷新によって衝突安全性や走行安定性が向上している。海外では新型モデル、国内は旧型モデルという販売方法では、日本のユーザーは海外よりも安全性の劣ったクルマを手に入れることになってしまう。

それを避けるためには、海外とのフルモデルチェンジの時間差をできるかぎり短く抑え、国内で販売しているエクストレイルも早急にフルモデルチェンジすべきだ。e-POWERの開発が間に合わないのであれば、NAエンジンだけ先にフルモデルチェンジするという方法もあるだろう。日産は「これからの日産は、国内市場を大切にする」という趣旨の発信をしている。日本のユーザーに愛された時代の日産を、取り戻してほしい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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