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マツダ「CX-50」はなぜ北米専用車!?日本での発売は?

アメリカ市場向けなのに、日本でも大きな話題となった「CX-50」

「日本でも、我々の想像以上に大きな話題となっていて、とても驚いている」。マツダ本社の広報部関係者は、2021年11月15日にアメリカ市場向けに発表された新型クロスオーバーSUV「CX-50」についての所見を延べた。

北米で2022年春から販売開始予定のマツダ「CX-50」

北米で2022年春から販売開始予定のマツダ「CX-50」

CX-50は、アラバマ州ハンツビルに新設したマツダとトヨタとの合弁企業(MTM)において2022年1月18日から製造が開始されており、北米での販売開始は2022年春が予定されている。

マツダの北米統括会社である、マツダ・ノースアメリカ・オペレーションのジェフ・ガイトンCEOは、「CX-50はアメリカ市場向けに開発され、アクティブなアウトドアライフを楽しむ人々をターゲットとしている」と説明する。SUV市場での競争が激しさを増す北米において、マツダが新たな戦略車を得たことに北米事業の現地統括者として歓迎の意を示したと言えるだろう。

マツダ「CX-50」はオフロード性能を重視したSUVだ

マツダ「CX-50」はオフロード性能を重視したSUVだ

CX-50の発表時に公開された動画や画像では、ルーフキャリアを装着したスポーティーなSUVがオフロードを攻めている様子が紹介された。近年のマツダ車ではカバーできていなかった、オフロード性能を強調したモデルであることがすぐにわかる。

マツダ「CX-50」のフロントエクステリア

マツダ「CX-50」のフロントエクステリア

マツダ「CX-50」のリアエクステリア

マツダ「CX-50」のリアエクステリア

CX-50の外観デザインは、CX-30の発展形という印象だ。オフロード志向のユーザーを意識して、マツダとして初となる外装色「Zircon Sand」も採用されている。

走行性能については、「インテリジェント・ドライブ・セレクト」、または「Mi-Drive」と組み合わせられた、「i-Active AWD」(四輪駆動)が標準装備されている。搭載エンジンは、アメリカのオンロードやオフロードなどの走行環境を加味して、SKYACTIV-G 2.5とSKYACTIV-G 2.5ターボがラインアップされ、6 ATトランスミッションと組み合わせられている。また、ハイブリッド車も追って登場する予定だという。価格については、本稿執筆時点(2022年1月下旬)では未公開である。

新たな挑戦となった第6世代

CX-50は、どのような経緯で誕生したのだろうか。その実態を探るために、CXシリーズに関する、おおまかな流れを少し振り返っておきたい。第6世代(商品群)におけるCXシリーズの第1弾は、2012年に登場した初代「CX-5」だ。
(一部テキストを修正いたしました/2022年2月4日)

マツダ「CX-5」(初代)

マツダ「CX-5」(初代)

CX-5の製品画像
マツダ
4.54
(レビュー735人・クチコミ62035件)
新車価格:267〜407万円 (中古車:49〜389万円

CX-5は、マツダの歴史においてエポックメイキングな存在と言えるだろう。マツダは、経営不振からフォード傘下となり、そこから再び独り立ちするために、マツダとしてし得るさまざまな工夫を実現させたのが第6世代なのだ。

CX-5が誕生する少し前、筆者はマツダの広島本社で、マツダ幹部から新事業計画の詳細を聞いた。マツダ幹部が強調したのは、ソウルレッドによって華やかさを増す「魂動デザイン」、マツダ独自の燃焼理論を持つエンジン「SKYACTIV」、そして製造工程における徹底した効率化という3本柱の事業だった。そうした、第6世代における新生マツダの象徴として、C、DセグメントのFF(前輪駆動車)をベースとしたまったく新しいCX-5が誕生したのだ。

そして、のちにBセグメントでFFベースの「CX-3」、3列シートを備えた「CX-8」(日本市場など)や「CX-9」(北米市場向け)など、CXシリーズの多様化が進んでいった。

今後は第7世代と第6世代が混在

CX-5を筆頭とする第6世代は、グローバルで大成功を収め、マツダのブランド価値は一気に上昇した。その勢いを追い風として、2019年に登場した「MAZDA3」から第7世代へと切り替わった。

マツダ「MAZDA3」ファストバック

マツダ「MAZDA3」ファストバック

第7世代から投入される商品は、スモール商品群とラージ商品群に分類される。マツダは、2021年10月に「クロスオーバーSUV商品群の拡充計画」を発表しているが、その中で「CX-50は、MAZDA3やCX-30などと同じスモール商品群に属する」と述べている。いっぽう、FR(後輪駆動車)ベースのラージ商品群には「CX-60」(2列シート)、「CX-70」(ワイドボディ2列シート)、「CX-80」(3列シート)、「CX-90」(ワイドボディ3列シート)が属し、それぞれ2022年から2023年にかけてグローバルで発売が開始される予定だ。導入される主な市場は、CX-60が欧州や日本、CX-70が北米、CX-80が欧州や日本、そしてCX-90が北米とされている。

こうなると、今後マツダがグローバルで販売するモデルは、第7世代のスモール商品群やラージ商品群に加えて、第6世代のCX-3、CX-5、CX-8、CX-9が混在することになる。第6世代が今後、どのような扱いになるのかが大いに気になるところである。

日本で「CX-50」が発売されない理由

なかでも、日本のユーザーの関心が高いのは、第6世代として累計販売台数が多いCX-5についてだろう。各自動車関連メディアがこれまで、「CX-5の後継車がCX-50」といった記事を掲載してきたという経緯もあるからだ。

マツダ「CX-50」のフロントフェイス

マツダ「CX-50」のフロントフェイス

この点について、CX-5の開発統括を行ってきたマツダ商品本部の松岡英樹氏に話をうかがった。松岡氏は、「CX-5は、都会派SUVという商品性が強い。いっぽうで、CX-50はアメリカでの需要が近年高まっているオフロード走行のイメージを優先した商品だ。ただし、CX-5でも当然、オフロード性能を十分に高めている」として、2モデルの基本的な商品性の違いを説明する。そのうえで「だからこそ、アメリカではCX-5とCX-50を併売していく」というのだ。アメリカ市場は、SUVとピックアップトラックからなる「ライトトラック」と呼ばれるカテゴリ―が市場全体の6割以上を占めている。日本を含めて、グローバルでSUVシフトが進んでいるとはいえ、SUV大国であるアメリカではより多彩なSUVのニーズがあるということなのだ。

では、CX-50はなぜ、日本導入の予定がないのか? この点について、松岡氏は「(これまでの発表どおり)日本での導入予定はない。その代わり、CX-5に多様な商品イメージを持たせて、オフロード志向ユーザーにも対応する」と説明する。それが、2021年後半に公開された、「CX-5フィールドジャーニー」だ。松岡氏は「そもそも、初代のCX-5は、オフロード志向のユーザーにも受け入れられていた。それが2代目になって、都会派のイメージが強くなった。マツダ社内のCX-5ユーザーの中でも、オフロードへの対応強化を求める声があり、今回の商品改良につながった」と、商品企画の舞台裏を教えてくれた。

マツダとしては、CX-50はアメリカ専用車として位置付け、CX-5との差別化を図る構えだ。とはいえ、日本のマツダファンの中には、アメリカからCX-50を逆輸入するユーザーが出てきてもおかしくはないだろう。CX-50のライバルであるスバル「アウトバック」では、北米専用にオフロード走行性能を高めてラギッドな外装が施された「アウトバック ウィルダネス」が発表され、こちらも日本での関心が高かった。つまり、日本でのCX-50への関心の高さの裏には、ウィルダネスの影響も少なからずあるのではと思われる。いずれにしても、CX-50は当面、アメリカ専用車であることは間違いなさそうだ。日本においては、CX-5が改良を重ねて、その魅力をさらに向上させていくことに期待したい。

桃田健史

桃田健史

世界の自動車産業を専門として、自動運転やEV、テレマティクス、公共交通、高齢化問題など幅広く執筆する自動車ジャーナリスト。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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CX-5の製品画像
マツダ
4.54
(レビュー735人・クチコミ62035件)
新車価格:267〜407万円 (中古車:49〜389万円
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