レビュー

モーターの極太トルクを“後輪”で味わう!電気自動車「Honda e」の愉楽の走り

「MT(マニュアルトランスミッション)」など、内燃機関のエンジン車でしか味わえない楽しさを追求する守旧派の自動車ライター、マリオ高野です。

電気自動車時代が本格的に到来すればMTはなくなると絶望しつつ、電気自動車ならではの新しい魅力があるのも事実。今回乗ったホンダのコンパクトな電気自動車「Honda e」は、それを実感させてくれました。

老若男女を問わず親しみやすいデザイン。全幅は1.7mを少し超えますが全長は4m未満で、これまでのコンパクトカーと変わらない感覚で乗れます

老若男女を問わず親しみやすいデザイン。全幅は1.7mを少し超えますが全長は4m未満で、これまでのコンパクトカーと変わらない感覚で乗れます

“未来のクルマ”っぽいデザインがイイ

まず注目すべきはデザインの秀逸さ。エンジンとトランスミッションを必要としない電気自動車はデザインの自由度が高く、エンジン冷却のためのフロントグリルは必要ないので、フロントマスクがとてもスッキリします。これだけでも「未来のクルマ感」が劇的に向上するので、予備知識ナシでパッと見ただけでも、先進的なコンパクトカーであることを伝えてくれるでしょう。

ボディの全幅は1,750mmで従来のコンパクトカーよりワイドながら、ドアミラーレス効果もあって(“ミラー”の位置にはサイドカメラを装備)、肥大化したようには見えません。むしろ、いかにも空気抵抗の少ない流麗さが際立つなど、昔のモーターショーで見た未来のクルマっぽさがあります。

ライトまわりのデザインが前後でほぼ同じ、というのも個性的。車重は1.5トンを超えますが、重さを補ってあまりあるトルクの太さがあり、走りは軽快です

ライトまわりのデザインが前後でほぼ同じ、というのも個性的。車重は1.5トンを超えますが、重さを補ってあまりあるトルクの太さがあり、走りは軽快です

ホイールベースは「フィット」と同じ2,530mmですが、最小回転半径は4.3mと軽自動車よりも小さく、小回りが効くのは大きな魅力です

ホイールベースは「フィット」と同じ2,530mmですが、最小回転半径は4.3mと軽自動車よりも小さく、小回りが効くのは大きな魅力です

Honda eの製品画像
ホンダ
3.65
(レビュー14人・クチコミ378件)
新車価格:495万円 (中古車:378〜459万円

横一面に並ぶ5つのモニター

内装には、さらに特別感が満載。世界初の5スクリーン式ワイドビジョンインパネにより、インパネの横一面に長いモニターが並ぶ様子はなかなか壮観。各部の質感は、従来の国産コンパクトカーとは一線を画すレベルにて、やはり特別感が得られます。

横一直線に連なるモニターの斬新さと、木目調パネルの落ち着き感がうまくバランスされた新しさがあります

横一直線に連なるモニターの斬新さと、木目調パネルの落ち着き感がうまくバランスされた新しさがあります

筆者のようなガチのアクアリストとしてはツッコミどころしかない「アクアリウム映像」など、進化の過渡期ならではのナゾ機能もありますが、モニターの楽しみ方は、アイデア次第でいかようにも広がりそうです

筆者のようなガチのアクアリストとしてはツッコミどころしかない「アクアリウム映像」など、進化の過渡期ならではのナゾ機能もありますが、モニターの楽しみ方は、アイデア次第でいかようにも広がりそうです

実際の航続距離は、満充電からごく普通に走らせて170〜180kmといったところで、エコランに徹すれば200kmも可能。多少、活発に走らせても150km程度は心配ないでしょう

実際の航続距離は、満充電からごく普通に走らせて170〜180kmといったところで、エコランに徹すれば200kmも可能。多少、活発に走らせても150km程度は心配ないでしょう

ドライブの「D」やニュートラルの「N」、パーキングの「P」などの切替はすべてスイッチ操作となっており、シフトレバーさえありません。そして、足元空間の圧倒的なスッキリ感など、着座環境が従来のガソリン車と異なる部分が多く、これまた特別感がすごいのでありました。

ここまで潔くスイッチでまとめられると、シフト操作云々を語るのは不毛すぎると、文句を言う気が失せる効果もあります

ここまで潔くスイッチでまとめられると「シフト操作云々を語るのは不毛すぎる」と、文句を言う気が失せる効果もあります

ガソリン車のRRとはまた違う!

走らせて見ると、「音が静か」「電気モーターならではの極太トルク」「重いバッテリーを床下に搭載することによる低重心」といった、現行型のすべての電気自動車に共通する特徴は強く感じられるのですが、さらにHonda eは「RR」というレイアウトであることが大きなポイントです。

「RR」と言っても、もちろん「リアエンジン・リアドライブ」ではなく、「リアモーター・リアドライブ」なのですが、アクセルを踏むと前が引っ張るのではなく“後輪が押し出している感覚”が実に濃厚。FF(前輪駆動)やAWD (四輪駆動)よりも、電気自動車ならではの極太トルクの気持ちよさがより味わいやすいのはRRのHonda eの大きな魅力です。

また、ガソリン車のRRの場合は、重いエンジンを後ろに積むことで後輪のトラクションが増すなど、特別なフィーリングが魅力ですが、Honda eの場合、後ろに積まれるモーターはエンジンほど重くはないので、従来のRRとはまた違った感覚を伴います。

装着するタイヤはミシュランの「パイロットスポーツ4」。エコカー向けではない、スポーツ性重視のタイヤを装着します

装着するタイヤはミシュランの「パイロットスポーツ4」。エコカー向けではない、スポーツ性重視のタイヤを装着します

車体の前後重量配分は、ジャスト50対50。さらに、ミッションやマフラーなどの重量物もないので、前後だけでなく左右の重量配分もピッタリ50対50になっており、内燃機関車では極めて実現が困難なバランスのよさを実現。RRならではの後輪がグイグイ押す感覚と、完璧に均等な車体の重量バランスや接地感により、走りのスムーズさは未曾有レベルの気持ちよさが得られるのでありました。

コンパクトカーながらタイヤはRRらしく前後で異径サイズなので、重量配分は均一でも、グリップ感は前後でかなり違うという部分も、独自性の高いハンドリングをもたらす要因に。

高速巡行時の快適性はコンパクトカーとしては最高レベル。重量バランスがよいので、悪天候下でも操縦性に不安を感じることはありません

高速巡行時の快適性はコンパクトカーとしては最高レベル。重量バランスがよいので、悪天候下でも操縦性に不安を感じることはありません

手動変速と引き換えにした別の愉悦

シティコミューターとしての割り切りにより、航続距離は短め(実走の航続距離は頑張っても200kmほど)なので、東京都心から箱根や筑波山へ! といったドライブを楽しむには充電する場所や時間をしっかり計画しておく必要がありますが、クネクネした道でもHonda eならではの軽快感がすこぶる気持ちよく、MT好きの守旧派ドライバーも、新境地を開いた走りの楽しさにおいては満足できるはず。この新しさが得られるのなら、乗り出し400万円台という価格は、ギリギリ手を出したくなる設定と言えるでしょう。

Honda eには、手動で変速をする楽しさと引き換えに、これまでになかった新しい楽しさや気持ちよさがあると感動できました。それでもやっぱり、内燃機関エンジンを手動で変速させてクルマを走らせる快楽を諦めるわけにはいかないというのが、守旧派系クルマ好きとしての偽らざる本音ではありますが、Honda eはそんな人にも、電気自動車の明るい未来を感じさせてくれるのは間違いありません。

この試乗の模様は動画でもご覧いただけます。

HONDA
Honda e[Advance]


■サイズ
全長:3,895mm
全幅:1,755mm
全高:1,510mm
車重:1,510kg

■モーター
最高出力:154PS/3,497〜10,000rpm
最大トルク:315Nm/0〜2,000rpm

■充電走行距離
308km

■駆動方式
後輪駆動

■車両価格
4,950,000円

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

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Honda eの製品画像
ホンダ
3.65
(レビュー14人・クチコミ378件)
新車価格:495万円 (中古車:378〜459万円
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