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「ジムニー」5ドア「ノマド」が4月発売!価格やスペック、後席まですべてを詳報

2025年4月3日、スズキの「ジムニー」シリーズ初となる5ドアの「ジムニーノマド」が発売される。「ジムニーノマド」の開発者は、「新型コロナウイルスの影響もあり、クルマで出かける人が増えたため、『ジムニー』にも5ドアボディのニーズが生まれた」と述べる。ちなみに、従来の3ドア「ジムニー」「ジムニーシエラ」も継続して販売される。

インドでは2023年にすでに発売されていた「ジムニー」5ドアモデルが、日本でも「ジムニーノマド」という車名でいよいよ発売される

インドでは2023年にすでに発売されていた「ジムニー」5ドアモデルが、日本でも「ジムニーノマド」という車名でいよいよ発売される

「ジムニーノマド」は、スズキ「フロンクス」と同様にインド工場で生産される輸入車だ。「フロンクス」を見てもわかるとおり、近年のインド工場の生産精度は大きく向上しており、日本国内の工場と同等の品質を備えている。

「ジムニーノマド」と同様に、インドで生産され日本へ輸入されているのがスズキ「フロンクス」だ

「ジムニーノマド」と同様に、インドで生産され日本へ輸入されているのがスズキ「フロンクス」だ

今回、「ジムニーノマド」の価格やスペック、装備などの詳細について解説するほか、実車に触れることもできたので、後席に座ったときの広さや印象などについてもお伝えしたい。

■スズキ 新型「ジムニーノマド」のグレードラインアップと価格
FC:2,651,000円(5MT)/2,750,000円(4AT)

「ジムニーシエラ」をベースにホイールベースを拡大

■「ジムニーノマド」と「ジムニーシエラ」のボディサイズを比較
-全長-
ジムニーノマド:3,890mm
ジムニーシエラ:3,550mm
-全幅-
ジムニーノマド:1,645mm
ジムニーシエラ:1,645mm
-全高-
ジムニーノマド:1,725mm
ジムニーシエラ:1,730mm
-ホイールベース-
ジムニーノマド:2,590mm
ジムニーシエラ:2,250mm

5ドアの「ジムニーノマド」は、3ドアの「ジムニーシエラ」をベースに開発されている。「ジムニーノマド」の全長(3,890mm)は、「ジムニーシエラ」よりも340mm長い。全幅(1,645mm)は、「ジムニーシエラ」と同じだ。全高(1,725mm)は、「ジムニーシエラ」よりわずかに5mm低い。

「ジムニーノマド」のフロント、リアエクステリア

「ジムニーノマド」のフロント、リアエクステリア

「ジムニーノマド」のホイールベース(2,590mm)は、「ジムニーシエラ」よりも340mm長い。ホイールベースと全長の拡大分が等しいため、前後のオーバーハングの長さも変わらず、悪路の登降坂でボディの前後を擦りにくい。開発者は、「悪路の走破性が重要なので、ホイールベースをあまり拡大したくなかった」と述べている。

「ジムニーノマド」(上)と「ジムニーシエラ」(下)のサイドを比較

「ジムニーノマド」(上)と「ジムニーシエラ」(下)のサイドを比較

現在、5ナンバーサイズに収まる5ドアのSUVは貴重だ。「ジムニーノマド」が登場する前は、スズキ「クロスビー」とダイハツ「ロッキー」、トヨタ「ライズ」のみであった。全長は、「クロスビー」が3,760mm、「ロッキー」「ライズ」は3,995mmで、「ジムニーノマド」はこの2車の中間に位置する。

また、「ジムニーノマド」と「ジムニーシエラ」はフロントグリルの仕上げが少々異なる。「ジムニーシエラ」は無塗装だが、「ジムニーノマド」はガンメタリックで、部分的にメッキ装飾も施されている。

内装については、インパネ周辺は基本的に「ジムニーシエラ」と共通だ。「ジムニーノマド」のグレードはFCのみで、「ジムニーシエラ」に当てはめると上級のJCに準じる。ステアリングホイールは本革巻きになり、エアコン吹き出し口などの装飾も「ジムニーシエラ」のJCと同様に採用されている。

「ジムニーノマド」のインパネ

「ジムニーノマド」のインパネ

後席と荷室が広くなり使い勝手が向上

「ジムニーノマド」の最大の特徴が、全長とホイールベースを拡大して5ドアになったことで、後席の居住性と乗降性が向上していることだ。

身長170cmの大人4名が乗車したとき、「ジムニーノマド」の後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシひとつ少々。「ジムニーシエラ」は握りコブシ半分程度だったので、膝先空間が広がった。さらに、「ジムニーノマド」は後席に座った乗員の足が前席の下に収まりやすく、頭上にも握りコブシひとつぶんの余裕があるため、4名で乗車してもそれほど窮屈には感じないはずだ。ちなみに、後席には1段階のみではあるがリクライニング機能も備わっている。

「ジムニーノマド」のリアシート

「ジムニーノマド」のリアシート

ただし、後席で注意したいのが座面の長さだ。ファミリーカーとしての実用性は損なわないものの、大腿部のサポート性を考えると座面をあと30mmくらい長くしてほしかった。

さらに、フレーム構造のボディを採用した悪路向けのクルマなので、最低地上高を210mm確保している影響で床が高い。それでも、乗降性は「ジムニーシエラ」よりも「ジムニーノマド」のほうが格段にすぐれていることも付け加えておきたい。

「ジムニーノマド」の荷室は、「ジムニーシエラ」よりも広い。後席を使っているときの荷室長は590mm、後席を格納した2名乗車時は1,240mmになる。「ジムニーシエラ」は、後席を使っているときは240mm、後席の背もたれを倒した2名乗車時でも980mmだ。

「ジムニーノマド」の荷室。上がリアシートを立てた状態で、下がリアシートを倒した状態

「ジムニーノマド」の荷室。上がリアシートを立てた状態で、下がリアシートを倒した状態

後席を使った場合、「ジムニーシエラ」は荷室面積が狭いが、「ジムニーノマド」なら5ドアハッチバックのような広さとして使える。ただし、後席の背もたれを倒すと、広げた荷室の床に傾斜ができてしまう。ミニバンなどと違って、荷室の床が平らにはならないことには注意したい。

動力性能や走破性は変わらない

「ジムニーノマド」の動力性能は「ジムニーシエラ」と同じで、エンジンは1.5L直列4気筒、最高出力は102ps(6,000rpm)、最大トルクは13.3kg-m(4,000 rpm)になる。トランスミッションは、5速MT と4速ATが設定されている。5速MTはシフトレバーの操作性がよく、操る楽しさを味わえる。ギヤ比も「ジムニーシエラ」と共通だ。

「ジムニー」シリーズの走りにおける特徴は、強固なラダーフレームにボディ、エンジン、サスペンションなどを搭載していること。「ジムニーノマド」は、「ジムニーシエラ」に比べて全長とホイールベースをそれぞれ340mm拡大している。フレームの中央付近を延長し、左右方向の骨格となるセンタークロスメンバーを加えている。「ジムニーシエラ」の基本設計を生かしながら、後席と荷室の広い5ドアボディを実現しているのが「ジムニーノマド」だ。

5速MTと4速ATで装備が異なることに注意

「ジムニーノマド」の装備は、「ジムニーシエラ」のJCグレードをベースにしながら上級化している。衝突被害軽減ブレーキは、「ジムニーシエラ」JCが装着するタイプは「デュアルセンサーブレーキサポート」だが、「ジムニーノマド」は2個のカメラセンサーを使う「デュアルカメラブレーキサポート」だ。フロントブレーキは、「ジムニーシエラ」はソリッドディスクだが、「ジムニーノマド」は放熱効果の高いベンチレーテッドディスクを採用している。車重が100kg増えているためだ。

4速ATに装着されているクルーズコントロールは、「ジムニーシエラ」JCでは車間距離を自動制御できないが、「ジムニーノマド」ならアダプティブタイプになる。注意したいのは、「ジムニーノマド」も5速MTになると、クルーズコントロールが車間距離を自動制御できない仕様に変わることだ。後退時ブレーキサポートや後方誤発進抑制機能も、4速ATのみに装着されて5速MTには付けられないので注意したい。

運転支援機能や安全装備を充実させるなら4速ATを選びたいが、ジムニーシリーズでは5速MTの人気も高い。安全装備は、5速MTも4速ATと同様に充実させてほしい。

大半の装備は「ジムニーノマド」が「ジムニーシエラ」よりも充実しているが、例外もある。それがLEDヘッドランプの上下調節機能で、「ジムニーシエラ」はオートレベリングだが、「ジムニーノマド」はマニュアルレベリングになる。

「ジムニーノマド」のWLTCモード燃費は、4速ATが13.6km/Lで、5速MTは14.9km/L。「ジムニーシエラ」JCの14.3km/L・15.4km/Lよりも燃料消費量が多い。LサイズSUVであるトヨタ「ハリアー」のNAエンジン車でも、4WDのWLTCモード燃費は14.7km/Lなので、「ジムニーノマド」はボディサイズの割に燃費はよくない。

また、「ジムニーノマド」の最小回転半径は5.7mと、これも「ハリアー」と同じ数値だ。「ジムニーシエラ」の4.9mに比べて大回りになる。「ジムニーノマド」を購入する時には、燃費と小回りの利きに注意したい。

価格はライバルと比較すると買い得

■スズキ 新型「ジムニーノマド」のグレードラインアップと価格
FC:2,651,000円(5MT)/2,750,000円(4AT)

「ジムニーノマド」のグレード構成は、前述のとおりFCのみ。駆動方式は、後輪駆動をベースにした4WDになる。価格は、5速MTが265万1,000円、4速ATが275万円。4速ATが9万9,000円高いが、先に述べたとおり4速ATはクルーズコントロールが車間距離を自動調節できるアダプティブタイプになり、安全装備の後退時ブレーキサポートなども加わる。装備の違いを考えると、5速MTと4速ATの価格は実質的に同額だ。

「ジムニーノマド」FCの価格は、「ジムニーシエラ」JCよりも56万6,500円高いが、4速AT同士で比べると、前者は安全装備が充実してクルーズコントロールもアダプティブタイプになる。リヤフォグランプや荷室のランプなども加わるので、LEDヘッドランプのレベリング機能がオートからマニュアルに簡素化されたことを差し引いても、ロングボディ化にともなう実質価格は約40万円だ。「ジムニーノマド」が「ジムニーシエラ」に比べて買い得とは言えないが、十分に納得できる価格設定になる。

「ジムニーノマド」FCの4速AT(275万円)と同等の価格帯には、トヨタ「ヤリスクロス」に1.5L NAガソリンエンジンを搭載したZアドベンチャー4WD(278万2,000円)、マツダ「CX-3」に1.5L NAガソリンエンジンを搭載した15Sアーバンドレッサー4WD(277万4,200円)、ホンダ「ヴェゼル」に1.5L NAガソリンエンジンを搭載したG4WD(264万8,800円)などがある。「ジムニーノマド」がラダーフレームに副変速機を備えた4WDを搭載する本格的な悪路向けのSUVであることを考えると、同じ価格帯のSUVと比較しても買い得だ。

心配なのが納期だ。発売後、短期間で1年を超えるかも知れない。現行「ジムニー」は、元々人気が高く納期が長い。5ドアボディの「ジムニーノマド」FCが前述の価格なら、人気を高めることは間違いないだろう。購入するなら商談を早めに開始したい。

スズキは、インドの生産体制を整えて納期の遅延を抑えてほしい。適切な納期でユーザーに届けられることも、商品力の大切な要素になるからだ。

「ジムニーノマド」動画解説!

以下の動画では、「ジムニーノマド」の実車をもとに内外装をチェック。後席へ実際に乗り込んで、その広さを確かめたほか、荷室の広さなどもしっかりとチェックしました。

以下の動画では、「ジムニーノマド」の開発者へインタビュー。「なぜ、いまジムニーの5ドアがラインアップに加わったのか」「室内をさらに広くできるのか」など、気になる点を質問してみました。「ジムニーノマド」が気になる方は、ぜひ動画もチェックしてみてください。

渡辺陽一郎
Writer
渡辺陽一郎
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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