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待望の上級SUV「クラウンエステート」ついに発売!買い得グレードから購入時の注意点まで徹底解説

2025年3月13日に発売された、トヨタ「クラウンエステート」。当記事では、「クラウンエステート」の内外装やパワートレイン、燃費のほか、価格や買い得グレード、購入の際の注意点まで詳しく解説しよう。

発表から数年を経て、いよいよ発売されたトヨタ「クラウン」のSUV、「クラウンエステート」。全長4,930mm、全幅1,880mmと大きなボディサイズを有する上級SUVだ

発表から数年を経て、いよいよ発売されたトヨタ「クラウン」のSUV、「クラウンエステート」。全長4,930mm、全幅1,880mmと大きなボディサイズを有する上級SUVだ

発売が延期されていた「クラウンエステート」

トヨタ「クラウン」は、初代モデルが1955年に発売され、2025年に生誕70周年を迎える。70年も続く長寿モデルは珍しい。同様の例としては、1951年にトヨタ「ジープ」として発売され、1954年に改名された「ランドクルーザー」くらいである。

「クラウン」の販売が絶頂期を迎えたのは、バブル経済が華やかだった1990年。1か月平均で、約1万7,300台が登録されている。2024年に国内販売1位を記録した、ホンダ「N-BOX」の1万7,189台をも上回っている。

だが、「クラウン」の登録台数はその後減少し、2021年には1か月平均約1,800台となった。これは、最盛期の10分の1だが、トヨタの基幹車種であるために引退はさせたくない。そこで、これまでセダンのみだった「クラウン」をシリーズ化し、SUVを3タイプ、法人向けセダンを1タイプの合計4タイプへと広げた。

2022年7月15日に世界初公開された、トヨタの新型「クラウン」シリーズ。左から「クラウンクロスオーバー」「クラウンスポーツ」「クラウンセダン」「クラウンエステート」

2022年7月15日に世界初公開された、トヨタの新型「クラウン」シリーズ。左から「クラウンクロスオーバー」「クラウンスポーツ」「クラウンセダン」「クラウンエステート」

そのうち、「クラウンクロスオーバー」「クラウンスポーツ」「クラウンセダン」の3タイプは2023年11月までにすでに発売されたが、「クラウンエステート」はトヨタの型式指定申請に関する不正問題などの間接的な影響を受けて大幅に延期されていた。だが、そんな「クラウンエステート」が2025年3月13日にようやく発売された。

ボディは大きく車内は上質で快適

「クラウンエステート」はLサイズのSUVで、「クラウン」シリーズの中でも上級車種に位置する。ボディは大きく、全長4,930mm、全幅1,880mm、全高1,625mm。最小回転半径は5.5mと少々大きめだが、後輪操舵を採用しているので小回り性は向上している。全幅がワイドなため、購入の際は車庫入れや縦列駐車、左右に車両がある状態での乗降性などを確認しておきたい。

「クラウンエステート」のエクステリアは、ワゴンとSUVを融合させた新しいデザインが採用されている。ボディカラーは「ブラック×プレシャスブロンズ」

「クラウンエステート」のエクステリアは、ワゴンとSUVを融合させた新しいデザインが採用されている。ボディカラーは「ブラック×プレシャスブロンズ」

内装の基本デザインはほかの「クラウン」シリーズと共通だが、上級車種なので細部は上質だ。光沢のあるパネルなどが積極的に採用されている。

「クラウンエステート」の内装は、メーターやディスプレイを水平に配置することで視線移動を最小限に抑えるデザインが採用されている

「クラウンエステート」の内装は、メーターやディスプレイを水平に配置することで視線移動を最小限に抑えるデザインが採用されている

さらに、車内の広さは国産SUVの中でも最大級だ。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席の膝先空間は握りこぶし3つ分に達し、頭上にも余裕がある。「クラウンスポーツ」の後席膝先空間は握りこぶし2つ分で、「クラウンクロスオーバー」は2つ半だが全高が1,540mmに抑えられているので頭上が狭い。だが、「クラウンエステート」は前後席ともに頭上や足元空間に十分な広さがあるので、ゆったりと快適に座れる。

「クラウンエステート」は、「クラウン」シリーズの中で最も広い室内空間を確保している

「クラウンエステート」は、「クラウン」シリーズの中で最も広い室内空間を確保している

「クラウン」シリーズの中でも積載性はトップクラス

「クラウンエステート」は荷室も広く、後席を使った状態での荷室長は1,070mm、背もたれを倒すと約2,000mmに達する。ディーラーオプションでフルフラットラゲージマット(3万6,300円)が用意されているなど、車中泊も想定されている。ちなみに、「クラウンスポーツ」の荷室長は959mmで、荷室容量は「クラウンエステート」が570L、「クラウンスポーツ」は397Lだ。「クラウンエステート」の積載性は、かなりすぐれていると言えるだろう。

「クラウンエステート」のラゲッジルーム

「クラウンエステート」のラゲッジルーム

メカニズムは「クラウンスポーツ」と共通

パワーユニットとグレード構成は、2.5L直列4気筒エンジンを積むハイブリッドのZ(635万円)と、プラグインハイブリッドのRS(810万円)の2種類のみだ。

システム最高出力は、ハイブリッドが243psで、プラグインハイブリッドは306psになる。駆動方式は、どちらも前輪駆動をベースにした4WDで後輪操舵が採用されている。これらのメカニズムは、「クラウンスポーツ」と基本的に共通だ。

「クラウンエステート」の走行イメージ

「クラウンエステート」の走行イメージ

燃費は車重が影響

ハイブリッドのWLTCモード燃費は20.3km/L、プラグインハイブリッドはガソリン時の燃費が20.0km/L、1回のフル充電でEV走行できる距離は89km(いずれもWLTCモード)だ。たとえば、「ハリアーハイブリッド」の4WDは21.6km/L、「ハリアーPHEV」の4WDは20.5km/L。「クラウンエステート」はボディが大きく重いために、「ハリアーハイブリッド」などよりも燃費値は若干劣る。

価格は「クラウンスポーツ」よりも少し高め

「クラウンエステート」の価格は、ハイブリッドのESTATE Zで635万円と、「クラウンスポーツ」Zの590万円よりも45万円高い。また、「クラウンエステート」PHEVのESTATE RSは810万円で、「クラウンスポーツ」PHEVのSPORT RSの765万円と比べると、こちらも同様に45万円高くなる。「クラウンエステート」は、全長を210mm、ホイールベースを80mm拡大して、後席の足元空間や荷室を拡大させているので、その対価と考えてよいだろう。ボディサイズの違いにどのくらいの価値を見出すかによって、「クラウンエステート」か「クラウンスポーツ」かの選択が決まる。

トヨタ「クラウンスポーツ」

トヨタ「クラウンスポーツ」

「クラウンエステート」のPHEVは、「ハリアーPHEV」に比べると割高だ。「ハリアーPHEV」は、「クラウンエステート」のPHEVと異なり急速充電器は使えないが、装備内容の近いハイブリッドZ レザーパッケージE-Fourとの価格差は105万2,000円に収まる。しかも、「ハリアーPHEV」には、パノラミックビューモニターや後席シートヒーターなど17万円相当の装備も加わるので、正味価格差は88万円だ。「クラウンエステート」PHEVの155万円に比べて、67万円安い。

トヨタ「ハリアーPHEV」

トヨタ「ハリアーPHEV」

ちなみに、「アルファード」「ヴェルファイア」のエグゼクティブラウンジは、ハイブリッドとPHEVとの価格差は183万円なので、それに比べると「クラウンエステート」は割安に上級化できるという見方もある。

なお、PHEVは補助金の交付対象で、「クラウンエステート」と「ハリアー」のPHEVは55万円、「アルファード」「ヴェルファイア」のPHEVは44万円になる。補助金を引いた実質正味価格差は、「クラウンエステート」が100万円、ハリアーは「33万円」だ。

買い得グレードはハイブリッド

「クラウンエステート」の買い得グレードは、ハイブリッドのESTATE Zだ。購入を検討する際には、「クラウンエステート」のハイブリッド(ESTATE Z)、「クラウンスポーツ」のハイブリッド(SPORT Z)、「ハリアー」ハイブリッドの3車種で乗り比べることを推奨したい。特に、「ハリアー」ハイブリッドは4WDのE-Fourのほかに2WDも用意されており、ハイブリッドG・2WDなら価格は411万9,000円と、「クラウンエステート」ESTATE Zよりも223万1,000円安い。

近年のトヨタは販売可能な台数が少ない

「クラウンエステート」の購入時には注意点が多い。2025年3月中旬時点で、すでに受注停止が始まっている販売会社がある。受注可能な台数が少ないので、契約を急ぐ必要がある。転売を避けるため、業者か否かの調査が行われる場合もある。

販売店によっては、抽選でユーザーを決める場合もある。「2025年3月13日〜16日にかけて、購入希望者に来店してもらい、商談申込書に記入してもらった上で抽選を行い、商談を開始する」という方法が取られているようだ。

最近のトヨタ車は販売可能な台数が少なく、たとえば「クラウンエステート」の月販基準台数はハイブリッドで1,000台、プラグインハイブリッドで500台だ。「クラウンスポーツ」では、販売総数の89%がハイブリッドで、「クラウンエステート」の月販基準台数ではハイブリッドは67%である。そのため、販売店によってはハイブリッドの受注停止にいたっている。

最近のトヨタ車では、販売店が通常の受注を停止しても、定額制カーリースのKINTOでは取り扱いを続けることが多い。KINTOも検討する価値があるが、購入ではなく契約期間終了後には返却が必要で、制約も多い。ユーザーにとって最も安心して使える方法は、所有権を手に入れる購入である。通常の販売による購入を可能にしたうえで、定額制カーリースに対応してほしい。クルマを愛するユーザーのニーズに合った方法が求められる。

渡辺陽一郎
Writer
渡辺陽一郎
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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