レビュー

直感的な操作と軽快な動作はそのまま! バッファロー製「nasne(ナスネ)」レビュー

いよいよバッファローの「nasne(ナスネ)」が発売される。同社がソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)からnasneを継承し、2021年春に発売することが発表されてから約5か月。継承発表時は、nasneがTwitterのトレンドに入るなど、ファンは大喜びだった。今回は3月末発売予定のバッファロー製nasneを試すことができたのでレビューしていきたい。

※バッファローによると、「nasne」の初回出荷分、二次受注分ともに(予約)完売となりました。販売に関する新しい情報はこちらのURLから確認できます。
Amazon公式ストア:https://www.amazon.co.jp/dp/B08WQ6346B?m=AI2RETK4J3VKJ
[2021年4月15日追記]

左上にBUFFALOロゴがつくバッファロー製nasneのパッケージ。公式キャラクターのトルネフもうれしそうな表情。バッファロー公式ストアでの価格は29,800円(税込)

左上にBUFFALOロゴがつくバッファロー製nasneのパッケージ。公式キャラクターのトルネフもうれしそうな表情。バッファロー公式ストアでの価格は29,800円(税込)

SIE製とバッファロー製の違いは?

nasneは、地上/BS/110度CSデジタルチューナーとHDDを搭載したネットワークレコーダー&メディアストレージ。テレビやスマートフォン、タブレット、パソコンなどさまざまな機器でテレビ番組や動画、写真、音楽などを楽しめる。テレビで利用するためにはSIEの家庭用ゲーム機「PlayStation」が必要だが、2012年に発売された最初のnasneは「PlayStation 3」(PS3)用だったので、その歴史は長い。そんなnasneだが、2019年にSIEが出荷終了を発表。ニコニコ実況との連携機能も昨年2020年12月に終了することが発表された。このままnasneが終わってしまうと思いきや……。バッファローがSIEからnasneを継承することとなり、Twitterでも大盛り上がりとなったのだ。

バッファローはNASや外付けHDDなどを手がける周辺機器メーカーで、nasneを継承するのにピッタリすぎるメーカーだ。なお、ハードウェアはバッファローが製造・販売するが、TVアプリケーション「torne(トルネ)」などのアプリやサービスはSIEが引き続き担当するという。つまり、nasneの魅力である直感的な操作性と軽快な動作は、バッファロー製nasneでもしっかりと引き継がれるのだ。

まず、SIE製nasneと新しいバッファロー製nasneの違いを見ていこう。本体のサイズは少しだけ大きくなっているが、楕円形のデザインはSIE製nasneから変わっていない。細かいところでは、ファン用の穴が設けられていたり、B-CASカードがminiB-CASになっていたりする。見た目で大きく違うのは、SONYロゴがBUFFALOロゴになっていること。

本体デザインはSIE製のnasneからほとんど変更されていない。ロゴはバッファローのものに変わっている

本体デザインはSIE製のnasneからほとんど変更されていない。ロゴはバッファローのものに変わっている

SIE製のnasneにはなかったファン用の穴が設けられている

SIE製のnasneにはなかったファン用の穴が設けられている。短い期間しか試用していないが、ファンの音が聞こえることはなかった

外観はほとんど変わっていないが、中身は時代に合わせて大幅にパワーアップしている。内蔵HDDが1TBから2TBに倍増しており、外付けできるストレージ容量が2TBから6TBにアップ。拡張ストレージとしてポータブルHDD/SSDに対応し、電源を気にせずに増設できるようになった。静音ファンも内蔵されており、安定した動作も期待できる。

画質はiPhone/iPad向けTVアプリケーション「torne mobile」の視聴画質が480pのSD画質から720pのHD画質にアップしている。

バッファロー製nasneとSIE製nasneの仕様比較(バッファローのWebサイトより)

バッファロー製nasneとSIE製nasneの仕様比較(バッファローのWebサイトより)

接続方法はSIE製と同じ

本体にはLAN端子、テレビアンテナの出力の入力、電源、拡張ストレージ用のUSB端子がついている。USBとLANの位置が変わっているが、搭載されているポートは変わらない。付属品も基本的に同じだ。

付属品は基本的にSIE製のnasneから変わっていない。ACアダプター、LANケーブル、アンテナケーブル、それに取扱説明書が入っている。ACアダプターはSIE製のものとは形状が変わっている

付属品は基本的にSIE製のnasneから変わっていない。ACアダプター、LANケーブル、アンテナケーブル、それに取扱説明書が入っている。ACアダプターはSIE製のものとは形状が変わっている

端子類はレイアウトが少しだけ違うが、SIE製nasneと同じ

端子類はレイアウトが少しだけ違うが、SIE製nasneと同じ

注意点はSIE製のnasneと同じく、LANケーブルを接続しなければならず、無線LANで接続できないこと。壁のアンテナ端子とルーターが離れている場合や、レコーダーと一緒にnasneを使う場合は、分波器や長めの各種ケーブルが必要になる。

nasneの接続方法(バッファローのWebサイトより)

nasneの接続方法(バッファローのWebサイトより)

設定はtorne mobileをインストールしたスマートフォンやタブレット、または「torne PlayStation 4」を使って「PlayStation 4」(PS4)で行う。どちらもアプリは無料だ。設定自体はいたってシンプルで、基本的に画面の指示に従えばいい。

PS4を使ってnasneを利用するには、PlayStation Storeから専用アプリのtorne PlayStation 4(無料)をダウンロードする。「PlayStation Network」のアカウントの作成も必要

PS4を使ってnasneを利用するには、PlayStation Storeから専用アプリのtorne PlayStation 4(無料)をダウンロードする。「PlayStation Network」のアカウントの作成も必要

不正コピーを防止するための暗号化技術HDCPがPS4で有効になっていない場合は、システムから有効にする。HDCPを有効にしないと先の設定にはすすめない

不正コピーを防止するための暗号化技術HDCPがPS4で有効になっていない場合は、システムから有効にする。HDCPを有効にしないと先の設定にはすすめない

同じネットワーク内のnasneを登録する

同じネットワーク内のnasneを登録する

地域を選択してチャンネルスキャン。地上、BS、110°CSデジタルの順でスキャンはすすむ

地域を選択してチャンネルスキャン。地上、BS、110°CSデジタルの順でスキャンはすすむ

オンラインサービスを有効にしておくと、「NEWS(オシラセ)」画面でさまざまな情報が見られる。あとは性別や誕生年を入力して設定は完了。torne mobileの設定も基本的にtorne PlayStation 4と同じだ

オンラインサービスを有効にしておくと、「NEWS(オシラセ)」画面でさまざまな情報が見られる。あとは性別や誕生年を入力して設定は完了。torne mobileの設定も基本的にtorne PlayStation 4と同じだ

直感的なアプリと軽快な動作は一度使うとほかは使えない

設定が終わったので実際に使っていこう。

テレビでnasneを使うには、PS4を起動して、torne PlayStation 4を立ち上げる。テレビ、ビデオ、ガイド(番組表)、サーチ(番組検索)などのメニューが円形にアイコンで並んでおり、直感的に操作できる。無駄にクルクルしてしまうほど、動作は非常に軽快だ。番組表のレスポンスも早く、素早く移動できる。

録画画質はDRモード(高画質)と3倍モード(標準)の2種類から選べる。4Kテレビで試したが、3倍モード(標準)でも見られないことはないが、スポーツや映画など高画質で見たい番組はDRモード(高画質)で録画しておくといいだろう。もちろん、各種繰り返し録画にも対応する。

torne PlayStation 4のホーム画面

torne PlayStation 4のホーム画面

カラフルな番組表。素早く移動ができてストレスなし

カラフルな番組表。素早く移動ができてストレスなし

録画画質はDRモード(高画質)と3倍モード(標準)の2種類。4Kテレビを使っている人はDRモードで録画しておきたいところ。スマートフォンやタブレットで使うという人は3倍モード(標準)でいいだろう

録画画質はDRモード(高画質)と3倍モード(標準)の2種類。4Kテレビを使っている人はDRモードで録画しておきたいところ。スマートフォンやタブレットで使うという人は3倍モード(標準)でいいだろう

サーチ(番組検索)はジャンル、サブジャンル、キーワードなど多くの項目で番組を探せる

サーチ(番組検索)はジャンル、サブジャンル、キーワードなど多くの項目で番組を探せる

オンラインサービスを有効にすると、公式キャラクターの「トルネフ」が気になる番組を紹介してくれるほか、アンケートなどにも参加できる

オンラインサービスを有効にすると、公式キャラクターの「トルネフ」が気になる番組を紹介してくれるほか、アンケートなどにも参加できる

スマートフォンやタブレットでの使い勝手も見ていこう。今回はアップルの「iPad」を使って、宅内で利用してみた。まず驚いたのが起動の早さ。筆者はソニー製のレコーダーと「Video & TV SideView」を使って、iPadでテレビを見ているが、アプリを立ち上げてテレビや録画番組を視聴するまでにかなり待たされる。それに比べて、nasneとtorne mobileは待たされることなくテレビ番組を視聴することができた。

また、Video & TV SideViewで録画番組を見ているときに、CMを飛ばそうと30秒早送りをタップすると数十秒、下手をすると1分ほど待たされる。そのため、CMをそのまま見たほうがいいと早送りすることはしなかったが、nasneとtorne mobileは早送りも早戻しも、待たされることは一切ない。

サムネを見ながら見たいシーンに飛べる機能も秀逸だ。15秒/30秒/1分/2分/5分の間隔でサムネが表示され、好きなところにすぐに飛べる。

なお、torne mobileを使って、nasneに録画した番組やテレビを見るために有料の「視聴再生機能」(税込610円)が必要だ。この機能があれば外出先からの録画予約や放送中の番組の視聴、録画番組の視聴ができる。通信費をかけたくないという場合は「書き出し機能」(税込860円)を追加購入するといいだろう。

torne mobileのホーム画面

torne mobileのホーム画面

「視聴再生機能」は税込610円。これがないとnasneをスマートフォンやタブレットで使うことはできない

「視聴再生機能」は税込610円。これがないとnasneをスマートフォンやタブレットで使うことはできない

BDレコーダーのようにディスクに書き出したいという場合は、ソニーストアから購入できる「PC TV Plus」を利用しよう。3,300円(税込、PC1台用)と少し割高のパソコン用ソフトだが、このソフトがあればnasneを経由してテレビ番組を視聴したり、録画番組を視聴したりできる。2021年3月24日のアップデートでバッファロー版のnasneにも対応している。

バッファロー製nasneとSIE製nasneの対応アプリケーションの違い。バッファロー製nasneは、PS3やPlayStation Vitaのtorneには非対応。テレビ(BRAVIA)にも対応しない

バッファロー製nasneとSIE製nasneの対応アプリケーションの違い。バッファロー製nasneは、PS3やPlayStation Vitaのtorneには非対応。テレビ(BRAVIA)にも対応しない

ファイルサーバーの設定などは「nasne HOME」で行う。nasneをNASのように使いたい人向けだ

ファイルサーバーの設定などは「nasne HOME」で行う。nasneをNASのように使いたい人向けだ

VOD全盛の時代だからこそ、小型かつリーズナブルなnasneは“買い”

バッファロー製の新しいnasneを試したが、直感的なアプリと軽快な動作はSIE版のnasneとそん色はなかった。歴史のある製品なので、価格.comには「PS3やBRAVIA連携の機能がなくなって残念」というクチコミがあるいっぽう、歓迎する声も多く見られた。VOD全盛の時代に、レコーダーを買うのを躊躇する人もいるだろう。場所も取るし、見る時間もない。そんな人も、置き場所を取らないコンパクトなnasneがあれば、テレビ番組をさくっと録画できる。SIE版nasneよりも5,600円ほど価格はアップしているが、内蔵HDDの容量が1TBから2TBに倍増していることを考えると、リーズナブルなほうではないだろうか。スマートフォンやタブレットでもテレビ番組や録画番組を見られるので、場所や時間にとらわれずに、スキマ時間に楽しめるのもうれしい。

「PlayStation 5」(PS5)を使っているという人も心配はいらない。2021年の年末商戦期にはPS5用のtorneの提供も予定されている。PS3、PS4、PS5と三世代にわたってtorneとnasneは続くことになるのだ。バッファローが継承したnasne、SIEが長年手がけてきたtorneと各種サービスが今後どんなふうに進化していくのか今から楽しみだ。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!

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