レビュー

驚異の高評価! PS5「バイオハザード RE:4」全クリレビューで解き明かす魅力とは?

カプコンから2023年3月24日に「バイオハザード RE:4」(PS5/PS4/Xbox series X|S/PC)が発売された。本作は2005年に発売され、世界中で絶賛された「バイオハザード 4」のリメイク作品でありながら、海外のゲームメディアを中心に非常に高く評価されている。

本作のメタスコアは93点。これがどれほど高い点数かとい言うと、たとえば、一昨年発売され高い評価を得た「バイオハザード ヴィレッジ」が84点、4年前に発売されリメイク作品の原点として大成功を収めた「バイオハザード RE:2」が91点であることからもわかるだろう。

調査してみたところ、「バイオハザード」シリーズで本作の93点以上のメタスコアを獲得したのは1作だけ、なんと原作である「バイオハザード4」の96点だけであった。「バイオハザード RE:4」は、実にここ15年以上の期間でのシリーズ最高評価作品というわけだ。

今回は、この「バイオハザード RE:4」をクリアまでプレイしたので、本作がなぜここまでの高評価に結びついたのか、その詳細を深掘りしつつ筆者自身の感想を交えながらレビューしていく。

「バイオハザード RE:4」とは?

まずは、本作の概要から紹介していこう。「バイオハザードRE:4」は、2005年に発売された「バイオハザード4」のリメイク作で、「バイオハザード RE:2」、「バイオハザード RE:3」に続く「REシリーズ」の3作目に当たる。

原作となる「バイオハザード4」は、それまで定点カメラが主流だったシリーズのシステムを一新し、ビハインドビュー視点(第三者視点/TPS)でのホラーシューティングゲームとしての地位を確立する多大な功績を成し遂げ、シリーズの転換点となった作品だ。

原作「バイオハザード4」(2005年発売)

原作「バイオハザード4」(2005年発売)

それ以外にも、敵を倒すたびに弾丸やハーブ、通貨が手に入ることにより生まれる敵を倒すこと自体の楽しさ、迫力のムービーを生かしたドラマチックなストーリー展開など、当時のTPSとしてはあまりに完成されたゲームデザインが評価され、2005年のゲーム・オブ・ザ・イヤー(スパイクTV)にも輝いた。

ファンの間でもいまだに最高傑作と言われることも多い「バイオハザード4」のリメイクである本作は、マップの構造からアクション、バトルデザイン、ストーリーの描き方にいたるまで最新のゲーム技術を元にリメイクされた。そのため、現代ホラーシューティングとしての完成度は、シリーズ最新作にふさわしいクオリティが実現されているのは言うまでもない。

しかし、本作のすばらしい点は単純な「バイオハザード」最新作としての完成度だけでなく、原作への“リスペクト”、「バイオハザード4」の”再現性”にあるというのがプレイしていて最も強く感じられたことだ。ここからは本作のゲーム要素をひとつずつ見ていき、本作の高評価の理由に触れていく。

原作の中毒性に加えて新たなやりごたえを実現

最初に注目する点は、シューティングアクションの部分だ。これについて掘り下げるためには、そもそも原作である「バイオハザード4」について改めて振り返る必要がある。

「バイオハザード4」の特徴は、ホラーゲームとシューティングアクション、それぞれのゲーム性を見事なバランスで配合していたことは有名だ。主人公のレオンは、迫り来る敵を倒しながら、味方のアシュリーを守らなければいけない場面が多々あり、骨太で手を焼きがちなバトルデザイン、そしてホラーゲームとしてのベースが作られていた。

本作に登場する敵、ガナードは寄生生物プラーガに寄生され、人ではなくなったモノたちだ。戦闘ではアシュリーを守りながら戦う場面が多く難易度も高い

本作に登場する敵、ガナードは寄生生物プラーガに寄生され、人ではなくなったモノたちだ。戦闘ではアシュリーを守りながら戦う場面が多く難易度も高い

バトルの難易度が高い場面が多々登場する「バイオハザード4」だが、画期的だったのは敵を倒すことの楽しさにゲームの重点が置かれていたことだ。それまでの「バイオハザード」シリーズでは、敵を倒してもアイテムが手に入らず、マップ上を探索して限られた弾薬で敵を倒す、あるいは敵をうまくやり過ごすサバイバル要素が主軸だった。

しかし、原作では敵を倒すたびに、弾薬や通貨、回復アイテムなど、さまざまなアイテムが手に入り、敵を倒すことに意味が生まれる。迫り来る敵を倒してアイテムを手に入れること自体が喜びや楽しさにつながっており、戦闘に大きなやりがいが生まれる作りになっていたのだ。ホラーゲームの楽しさは残しつつも、シューティングアクションとして敵を倒すというアクションが強調されていた。

敵を倒すたびに入手できるアイテムが戦闘のやりがいにつながる

敵を倒すたびに入手できるアイテムが戦闘のやりがいにつながる

そのほかにも、ハンドガンやショットガン、ライフルといった基本的な武器から、サブマシンガン、ボウガン、手榴弾、マグナムなど非常に多くの武器が登場するのも、バトルの楽しさを向上させる要素だ。こういった武器は、探索だけでなくショップを利用することでも入手できる。

次々と現れる敵を多種多様な武器で倒していき、武器ごとの試し打ちや使い分けもバトルの大きな魅力だった。さらに、近接攻撃システムが導入されたことにより、銃で敵をひるませた後に近接攻撃を繰り出すなど、銃だけに頼らない多様な戦術が実現されていたことも特筆すべきポイントだ。

シューティングだけでなくメレーやナイフなどの近接アクションが使える

シューティングだけでなくメレーやナイフなどの近接アクションが使える

そして、シューティングアクション性とホラーサバイバル性の両方を調整するシステムとしてアタッシェケースが導入されていた。持てる武器やアイテムの数に制限をかけることで、どの武器やアイテムを持っていくかという取捨選択が必要になると同時に、アイテムの組み合わせや整理の仕方によって持ち運べるアイテムに余裕が生まれる。このゲームデザインこそが、プレイヤーにとって骨太な戦闘に向けて試行錯誤するきっかけになっており、クリアできた時の達成感を増大させていた。

「バイオハザード4」にとってアタッシェケースは象徴的なシステム

「バイオハザード4」にとってアタッシェケースは象徴的なシステム

原作の話が長くなってしまったが、こういった要素が「バイオハザード4」が高く評価されている理由だ。リメイクとなる本作では、グラフィックやモーションを始めに、最新技術で原作のすべてを作り直しながらも、原作の根幹とも言える評価が高かった部分が忠実に再現されており、プレイ中に「バイオハザード4」のゲーム体験を思い出すこともできる。これが本作において第一に注目するべき点である。

加えて、本作は原作のゲーム性をそのまま踏襲しただけではなく、新規要素が適度に散りばめられており、「バイオハザード4」を現代の最新ゲームとして甦らせるのに大きく貢献している。

その代表格が新たに導入されたナイフアクションである。今作は、敵の攻撃をナイフでタイミングよく弾けばひるませられるパリィアクションが追加されている。今作では敵の動きが原作よりも若干速くなっており、不用意に接近されることが多いのだが、防ぎきれない攻撃はナイフでカバーすることが必要不可欠である。

本作ではナイフによるパリィアクションが追加され、敵の攻撃を防ぐことができる

本作ではナイフによるパリィアクションが追加され、敵の攻撃を防ぐことができる

しかし、ナイフは耐久値がゼロになると壊れてしまうため、耐久値を気にしながら戦闘を行う必要がある。ナイフによる新しい攻撃を加味したバトルは、戦闘中に常に注意しなければ敵の攻撃を余計に浴びてしまう。このドキドキ感は、アクションとホラーサバイバルの両立に成功しているポイントだと思う。

ほかにも、ボス戦は原作時の雰囲気を残しつつも新たなバトルデザインに作り替えられるなど、最新のホラーシューティングとして必要な要素を踏まえながら、「バイオハザード4」のプレイ体験をパワーアップさせている。

原作に登場したボスもすべてリメイクされ、新たなボス戦も堪能できる

原作に登場したボスもすべてリメイクされ、新たなボス戦も堪能できる

本作では、原作のようなバトルのやりがい、敵を倒すこと自体の楽しさをベースにしつつも、ナイフアクションなどの新要素が補填的に原作の魅力を増強し、新鮮さにもつながっている。ここが、ユーザーから高評価を得ている大きな理由のひとつだろう。

豊富な探索、カスタマイズ要素によって生まれるゲームボリューム

「バイオハザード4」には、プレイヤーをサポートする要素が多数登場するが、やはり最も重要なのはショップだ。フィールドの要所に設置され、戦闘や探索で手に入れた通貨を消費することで武器やアイテムの購入やアップグレードなどを行える。

ショップでさまざまな機能を利用できるのが「バイオハザード4」の醍醐味である

ショップでさまざまな機能を利用できるのが「バイオハザード4」の醍醐味である

ショップで重要なのは武器をカスタマイズできることだ。先ほど、「バイオハザード4」は多彩な武器が特徴のひとつと述べたが、1つひとつの武器はショップでカスタマイズすることでアップグレードできる。

武器の性能を単純に上げるだけではなく、ストックやスコープなど各種アタッチメントを装着することで、武器の使いやすさが変わるなど、豊富な武器カスタマイズが原作時から大きな魅力だった。

ショップでは武器のカスタマイズが可能で、戦闘に大きな影響を与える

ショップでは武器のカスタマイズが可能で、戦闘に大きな影響を与える

「バイオハザード4」がすぐれていたのは、ショップで売却して通貨が得られる財宝を探すために、マップを隈なく探索することが必要不可欠なことだった。村、教会、古城、そして孤島の研究所、マップはどれも探索しがいのある構造になっており、カギを見つければ最初訪れた時は開かなかった扉や箱が開き、中に財宝が隠されている。アイテムを発見する楽しさが終始貫かれていたのだ。

発見した財宝はショップで売却することで多くの通貨が獲得できる

発見した財宝はショップで売却することで多くの通貨が獲得できる

加えて、財宝の中には宝石と組み合わせることで売却額がアップするものもあり、探索をすればするほど武器カスタマイズや装備集めがはかどり、よりプレイの多様性が広がるのだ。

本作の「バイオハザード RE:4」においても、このゲームデザインが貫かれていることはもちろんのこと、新規要素が追加され探索やカスタマイズのやりごたえがさらに増強された。

そのひとつがサブクエストである。本作ではサブクエストを受注できるのだが、クリアすると”スピネル”を報酬としてゲットできる。原作ではただの宝石だったスピネルは、今作ではショップで物々交換ができるアイテムに設定されている。

スピネルを使った物々交換でしか手に入らないアイテムも存在し、なかにはドロップするアイテムの傾向を変えられる特殊なスーツケースや、財宝の隠し場所がマップに表示される地図、特定の武器専用のアタッチメントアイテムなどのレアアイテムもある。進め方によって、物々交換は通常の通貨を使ったショップ利用と同じくらいの価値が出てくるのだ。

これがサブクエストをクリアする明確な動機付けになっており、新要素の埋め込み方として非常にうまく働いている点だと感じた。

本作ではサブクエストのクリア報酬、スピネルを使うことで特殊なアイテムと物々交換できる

本作ではサブクエストのクリア報酬、スピネルを使うことで特殊なアイテムと物々交換できる

ショップで購入できる武器の種類が原作から増えただけでなく、カスタマイズで強化できる上限もアップされた。探索で発見できる財宝の数も格段に増えるなど、原作の一連のゲームデザインがさらに魅力を増しており、ゲーム自体のボリュームアップにもつながっているのである。

原作時のゲームデザインに新規要素を適度に取り入れることにより、原作の楽しさと目新しさの両方を演出。リメイクの完成度の高さがうかがえる部分だ。

最新技術によって解像度とドラマチック性が増した物語

本作では、キャラクターデザインやムービーのカットシーンはすべて一から作り直されているほか、原作にはなかった日本語フルボイスも実現。それだけでなく、物語もアップデートされていて、原作と少し異なる展開を加えることで深みが増している。

象徴的なのが物語の冒頭に「バイオハザード RE:2」の映像が差し込まれていること。今作がラクーン事件を経験した主人公レオンの後日談として描かれていることを示しているわけだが、「バイオハザード RE:2」から6年の間にレオンがどうして警官を辞めて大統領直属のエージェントになったのか、教官であるクラウザーとはどのような関係性だったのか、原作では詳細に触れられなかった部分にメスが入れられ、「バイオハザード RE:2」と密接につながった物語として描き直されているのだ。

本作の主人公レオンは「バイオハザード RE:2」の記憶を大きく引きずっている

本作の主人公レオンは「バイオハザード RE:2」の記憶を大きく引きずっている

登場人物に目を向けると、たとえば、元アンブレラの研究員であり作中のサポートキャラとして登場するルイスは、原作以上に活躍するキャラクターに変貌を遂げている。登場人物1人ひとりの描き方に関しては原作にはなかった掘り下げがなされていると感じた。

今作の物語において何よりも重要なのは、より解像度が高く描写されていた主人公レオンの心境だ。ラクーン事件という壮絶な災害を経験し生き残ったレオンは、本作の物語において「何かを守る」ことに大きな目的を見出している。レオンの脳裏には常にラクーン事件で死んでいった、自分が守れなかった人々が焼き付いており、それがゆえにエイダにさとされながらもアシュリーを救うことを諦めない、「今度こそ誰かを救える存在になる」という深い決意を抱く様子が見えるのだ。

アシュリーを守ろうとするレオンの心情描写も丁寧に描き直されている

アシュリーを守ろうとするレオンの心情描写も丁寧に描き直されている

本作の物語は、レオンがアシュリー救出の任務をとおして「他者を守れる人間になれるか?」に一貫されており、「バイオハザード RE:2」をプレイした人であればレオンの心情描写に大きな進化が見られることがはっきりわかるだろう。

心理面でのレオンの成長は、原作でも触れられていたが、原作時には描き切れなかった部分を最新グラフィックによる表情の豊かなムービーを駆使しながらドラマチックに描いている。これにより「バイオハザード4」という物語の解像度が飛躍的に上がっており、原作ファンにとっても新鮮な物語体験という側面を提供しているのである。

ゲームシステムだけではなく、物語に関しても原作からよりドラマ性を強調し、「バイオハザード4」という物語を補強している点も、リメイクとしての本作が高い評価を得ている理由のひとつだろう。

総評:「バイオハザードRE:4」はどんな方にオススメか?

本作は、根本的なゲームの楽しさ、やりがいの多くを原作から継承しつつ、新規要素はあくまでそれを補填するものとしての役割に徹底することで完成度の高い作品に仕上がっている。ホラーシューティングの最新作としても遊べるうえに、「バイオハザード4」で感じたあの“楽しさ”を再体験でき、シリーズ最高傑作とも言われた原作の面白さを底上げしているのだ。

ゲームクリア後には、より高い難易度でのゲームクリアや武器全強化、タイムアタックなどが用意されており、「バイオハザード」ファンも申し分なく長く遊べる作品になっていると思う。また、1周当たりのボリュームも決して短くなく、1回遊んだら十分な人でも満足できるはずだ。

個人的な感想にはなるが、18年前のゲームでありながらその根幹を変えずにここまでプレイしていてのめり込めるリメイク作になってしまう原作の完成度には改めて驚かされたし、「バイオハザード4」という作品がいかにすばらしいゲームだったのかを再認識できた。「REシリーズ」の中では、初代である「バイオハザード RE:2」以上のクオリティだと評価しても過言ではないほどだ。

ぐう実況(ゲーム紹介系YouTuber)

ぐう実況(ゲーム紹介系YouTuber)

YouTubeを中心に活動するゲーマー。PSやPCのソフトを中心にゲーム紹介をする機会が多く、同分野を専門に活動しています。プライベートでは任天堂などの作品も頻繁に遊びます。

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