レビュー

PS5だから実現できた最高の「Horizon」体験。DLC「焦熱の海辺」全クリレビュー

「Horizon Forbidden West」の拡張コンテンツ(有料追加DLC)「焦熱の海辺」が2023年4月19日に配信された。本編はPS4とPS5で発売されたタイトルだが、この追加DLCはPS5限定のコンテンツであり、PS5のマシンスペックだからこそ実現できる「Horizon」の体験を生み出すことを目的に開発された。今回は、この追加DLCをすべてクリアしたうえでのレビューをお伝えしていく。結論を述べるとするならば、本編では味わえなかった最高の「Horizon」体験が堪能できるコンテンツだと感じた。

PS5限定コンテンツとして追加された、「Horizon Forbidden West」の拡張コンテンツ(有料追加DLC)「焦熱の海辺」

PS5限定コンテンツとして追加された、「Horizon Forbidden West」の拡張コンテンツ(有料追加DLC)「焦熱の海辺」

本レビューでは、ストーリーにも触れていくので場合によってはネタバレに感じられることがあるかもしれないため、その点に関しては注意していただきたい。

「Horizon」シリーズとは?

本DLCは、本編である「Horizon Forbidden West」を所有しており、かつ、メインクエストをクリアしていないとプレイできない。そのため、まずは、本編を所有していない人に向けて「Horizon Forbidden West」、しいては前作を含めた「Horizon」シリーズについて簡単に解説しよう。

「Horizon」シリーズは、2017年3月に発売された「Horizon Zero Dawn」に始まるSFオープンワールドアクションゲームだ。“機械獣”と呼ばれる巨大な機械達に支配され、人々が原始的な生活を送る1000年後の地球を舞台に、主人公アーロイの物語が描かれる。

SFオープンワールドアクションゲーム「Horizon」シリーズの2作目「Horizon Forbidden West」

SFオープンワールドアクションゲーム「Horizon」シリーズの2作目「Horizon Forbidden West」

1作目である「Horizon Zero Dawn」では、なぜ地球が機械獣に支配されたのか、その真相をアーロイが解き明かし、それに関連したアーロイの出生の秘密が明らかになるという物語が描かれた。

2作目の「Horizon Forbidden West」では、謎の勢力“ファー・ゼニス”との戦いに身を投じながら、さまざまな仲間と出会い自分の居場所を見つけるアーロイの物語が描かれた。

本シリーズは、開発元であるGuerrilla Gamesが誇る世界最高峰のゲームエンジン“DECIMAエンジン”による超美麗なグラフィック、多種多様な武器で巨大な機械獣を倒す迫力満点のバトル、唯一無二と言えるポストアポカリプス世界をベースにしたオープンワールド、そして世界の謎を解き明かしていくストーリーなど、ゲームを構成するあらゆる部分のクオリティが非常に高い作品として知られる。完全新規タイトルとしては史上最高の売り上げ記録を叩き出すなど、名実ともにSIE Studioタイトルの中で代表的な作品のひとつだ。

「Horizon」シリーズは、超美麗なグラフィックなどあらゆる部分のクオリティの高さが魅力

「Horizon」シリーズは、超美麗なグラフィックなどあらゆる部分のクオリティの高さが魅力

そして、「Horizon Forbidden West」の追加DLCである「焦熱の海辺」は、本編の物語を終えたアーロイがロサンゼルスを訪れ、クエン族の戦士セイカとの出会いやファー・ゼニスの一員ロンドラとの戦いが描かれる。

先述したとおり、本編がPS4とPS5の縦マルチで発売されたのに対して、追加DLCはPS5限定だ。つまり、PS5のマシンパワーを存分に生かして作られたタイトルであり、本編以上に美麗かつ新鮮なゲーム体験が用意されているというわけだ。この部分こそ本DLCの醍醐味と言えるだろう。

PS5だからこそ実現できた「Horizon」の新体験

本DLCを語るうえで外せないのは、まず美麗なグラフィックだ。本編と格段に違うということはさすがにないが、草花や水、光の表現は本編よりも躍動感や質感の点において進化しており、PS5ならではの美しさが垣間見える。

本編と本DLCのグラフィック比較。場所は違うが草花の光沢や質感がより鮮明に表現されている

本編と本DLCのグラフィック比較。場所は違うが草花の光沢や質感がより鮮明に表現されている

グラフィックの美しさ以上に押さえておきたいのが、PS5の処理能力を生かしたダイナミックなゲーム体験の数々だ。本DLCでは、マップの高度が本編の3倍まで高くなっており、はるか上空までサンウィング(プテラノドンの機械獣)に乗って飛び、巨大な雲の中を飛ぶ壮大なプレイが体験できる。

雲は遠くから見ると巨大な塊のような見た目をしているのだが、近づくと水蒸気であることがわかり、飛び込むと霧となってプレイヤーの視界を遮る。微細な粒子をも表現するPS5のマシンパワーで”雲”という物体の性質を表現しているのだ。

また、本DLCで新たに登場した機械獣は、水中と空中をシームレスに移動できる。空中から水中に飛び込んだ際の水しぶき、機械獣で水中を移動することによって生じる水流の表現、これらも確実にPS5でないと映し出せないものであり、機械獣に乗っているだけでもPS5ならではの体験を味わえる。

PS5の処理能力を最大限生かして水や雲の微細な粒子まで表現

PS5の処理能力を最大限生かして水や雲の微細な粒子まで表現

ほかにも、高低差が激しい巨大な滝や溶岩地帯をサンウィングで飛行したり、新登場の乗り物、ボトルシップで水しぶきを上げながら海を渡ったりなど、高い処理性能を備えるPS5だからこそ実現できたゲーム体験は本DLCならではだ。

水上を高速で進むボトルシップ。水しぶきの表現がすばらしい

水上を高速で進むボトルシップ。水しぶきの表現がすばらしい

筆者が最も感動を覚えたのはラスボス戦だ。ラスボスには「Horizon」の世界を象徴する、とある巨大な機械獣とのバトルが描かれるのだが、本編では静止したひとつのオブジェクトとしか描かれていなかった巨大な機械獣が、オープンワールドを動き、シームレスなエンカウントでアーロイと激しいバトルをノンストップに繰り広げる。その迫力は、シリーズ中で間違いなく最高峰であり、これを味わわずして本DLCは語れないだろう。

「焦熱の海辺」のストーリー

本DLCには新たな物語が追加されたが、メインストーリーに加えてサイドストーリーが3つと、クリアまでの時間自体は短めだ。筆者は約10時間ですべてのクエストをクリアできた。ほかにも、新たに追加された機械獣は3体で、マップのアクティビティも数多く用意されたというわけではなく、あくまでも追加コンテンツというボリュームだ。

追加コンテンツということでストーリーのボリューム自体はそれほど多くない。主人公アーロイのパートナーとして登場するのがセイカだ

追加コンテンツということでストーリーのボリューム自体はそれほど多くない。主人公アーロイのパートナーとして登場するのがセイカだ

ストーリーに関しては、ネタバレになるので詳細は語れないが、今までひとりで戦うことが多かったアーロイだが、本作ではセイカというパートナーとともに行動し、共通の敵に立ち向かう中で特別な関係性を作り上げていく。DLCという短い物語ゆえに、強引な展開が多少なりともあるが、アーロイというキャラクターを掘り下げるうえでは非常に重要な描写であったと思う。

パートナーのセイカとともに共通の敵に立ち向かい、特別な関係性を作り上げていく

パートナーのセイカとともに共通の敵に立ち向かい、特別な関係性を作り上げていく

本編にも関わる重要な展開、そして新たな出会いが「焦熱の海辺」では描かれているので、「Horizon」という作品をより深く知るためにはぜひプレイしておきたいDLCだと思う。

総評:PS5のポテンシャルの高さを堪能できる重要な作品

PS5のマシンスペックをフルに生かした「焦熱の海辺」のゲーム体験は間違いなく価値のあるものであり、ぜひプレイしておくべきコンテンツだ。特に、このDLCのクオリティを基準にさらに高品質なゲーム体験を目指して次作が作られるかもしれないと思うと、今から興奮が止まらない。

本編となる「Horizon Forbidden West」を含め、「Horizon」というゲームシリーズは、PS5のファーストパーティータイトルの中できわめて重要な作品で、特に海外の社会情勢やトレンドを理解するという意味では「The Last of Us」に並ぶほどの作品だ。PS5を持っている人はぜひプレイしてみてほしい。

ぐう実況(ゲーム紹介系YouTuber)

ぐう実況(ゲーム紹介系YouTuber)

YouTubeを中心に活動するゲーマー。PSやPCのソフトを中心にゲーム紹介をする機会が多く、同分野を専門に活動しています。プライベートでは任天堂などの作品も頻繁に遊びます。

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