レビュー

PS5「ペルソナ3 リロード」全クリレビュー! ペルソナ5ファンでも楽しめる?

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2024年2月2日に発売された「ペルソナ3 リロード」を全クリまでプレイしたので、その感想を交えたレビューをお届けする。筆者は、2016年に発売され大ヒットを飛ばした「ペルソナ5」から本シリーズの大ファンになった。そのため、本作のオリジナル版に当たる「ペルソナ3」についてはプレイしたことがないものの、その評価の高さからリメイク版「ペルソナ3 リロード」は気になっていたタイトルだ。

筆者を始めとして「ペルソナ5」とその関連シリーズしかプレイしたことのないという人も多いと思う。そこで今回は「ペルソナ5」から本シリーズに入った人でも「ペルソナ3 リロード」を楽しめるのか。この視点でレビューをしていく。

「過去作のリメイクを『ペルソナ5』と比較するのはどうなのか?」というご指摘もあると思うが、上記の意図でレビューしていることをご了承いただきたい。なお、本記事はストーリーに一部触れており、場合によってはネタバレに感じられる可能性があるため、注意して読み進めてほしい。

「ペルソナ3 リロード」とは?

「ペルソナ3 リロード」は、2006年にPlayStation 2で発売された「ペルソナ3」のリメイク作。開発は、現在の「ペルソナ」シリーズを手掛けるアトラスのP-Studioが担当。名作と名高い「ペルソナ3」が、現代の「ペルソナ」チームによってどのように生まれ変わるのか、発売前から注目していた人もいるだろう。

本作は、深夜0時に訪れる隠された時間、影時間の謎と、影時間に襲い来るシャドウたちを相手に、ペルソナ使いとして覚醒した主人公が仲間たちと寮生活を送りながら、1年間の冒険を繰り広げるRPGだ。

オリジナルの「ペルソナ3」は、学園生活という舞台設定や、華やかでスタイリッシュなゲームサウンドなど、現在も続くシリーズのフォーマットを築いた作品であり、現代の「ペルソナ」シリーズの実質的な原点とも言える作品だ。

そんな名作のリメイクに当たる本作では、グラフィックやUI、キャラクターデザインの刷新などビジュアル面が一新されただけではなく、ゲームシステムも一部変更され、現代に「ペルソナ3」を復活させるべくさまざまな工夫が施されている。次章からは実際にプレイした感想を元に本作を掘り下げていこう。

醍醐味である学園生活

「ペルソナ」と言えば1年を通した学園生活という設定だろう。主人公は、高校2年生としての学生生活と、ペルソナ使いとしての活動を同時に進行する。限られた1年という期間でどれだけ自身のやりたいことを効率よくプレイするのか。これが本作の肝とも言える部分だ。

現実世界での活動は、異世界での活動に深い影響を及ぼすため、“リアル”を充実させることが非常に重要となる。

高校生としての日常生活をこなし、人間力を上げて登場人物たちとの交流を深めていく

高校生としての日常生活をこなし、人間力を上げて登場人物たちとの交流を深めていく

そんな現実生活において、最も重点的にプレイすることになるのは、各キャラクターとの「コープランク」だ。ペルソナには「魔術師」や「恋愛」など21種類の属性があり、各属性に応じた人物が現実世界に存在する。

彼らと交流して親密度を上げると、より強力なペルソナを誕生させられるようになる。それだけではなく、コープランクは実質的なサイドクエストにもなっているため、限られた時間でどのキャラクターと関係を深めていくか、親密度によって得られるメリットも考慮しながら進めていくのが醍醐味だ。

選択肢によってキャラの心象が変わり、親密度に影響を与える。

選択肢によってキャラの心象が変わり、親密度に影響を与える。

「ペルソナ3」ではクラスメイトや生徒会、部員など学校の面々だけではなく、学校外では本屋の店員や小学生、人気芸能人などと交流することができる。女性キャラクターとは選択肢次第で恋愛関係に発展することもある。

各キャラクターとの親交を深めるためには、主人公の人間力パラメーターも同時に上げていく必要があり、限られた時間の中でプレイヤーの選択肢や思考が重要なゲームデザインは非常にやりがいがある。

しかし、コープランクがキャラクターと仲間になった時点から開始されないのは気になった。ゲーム序盤に仲間にしていても、ゲーム中盤にならないとゲームのシステム上コープランクが始まらない。つまり、序盤で仲間になり主人公と多くの時間を過ごしていたキャラクターとの親密度はゲーム中盤からでないと上げられないのだ。仲間になってから時間がかなり経過した状態で親密度を上げろと言われても、プレイヤーとしては今さら感が残る。

「ペルソナ5」では仲間になった時点からコープランクがスタートすることもあったため、序盤のプレイ中は「今作は過去作品のリメイクだから、コープランクが存在しない」と思っていたほど。これはプレイしていて違和感を覚えた点だ。

豪華な戦闘と単調なダンジョン

本作は、影時間になるとシャドウたちの魔窟と化した謎の塔・タルタロスが出現し、その階層を探索する。それぞれの仲間の強力な必殺技テウルギアや、隠しボスと戦えるモナド通路、戦闘報酬が豪華になる大アルカナカードなど、さまざまな新規要素の追加によってバトルはオリジナルから大幅に進化している。

また総攻撃などの演出やコマンドUIも完全に刷新され、現代のゲームとして十分過ぎるほど豪華だ。P-Studioが制作するバトルの演出やUIは世界トップクラスにあり、これを見ずして「ペルソナ」は始まらない。

本作で新たに登場した必殺技テウルギア。豪華な演出と共に強力な攻撃や効果が繰り出される

本作で新たに登場した必殺技テウルギア。豪華な演出と共に強力な攻撃や効果が繰り出される

いっぽうで、タルタロスがダンジョンとしてプレイしていて凄く楽しいか? と言われると少し疑問だ。タルタロスはエリアごとに風景が決まっており、代わり映えしない迷路のような構造のダンジョンが何階層も続く。そしてこれ以上進められないという地点に到達するまで、同じような風景の中、戦いを繰り返さなければいけない。

タルタロス内部は風景の変化や攻略の多様性に乏しく、長時間プレイしていると飽きやすい

タルタロス内部は風景の変化や攻略の多様性に乏しく、長時間プレイしていると飽きやすい

「ペルソナ5」では、ストーリーが進むごとに歪んだ欲望を具現化した世界・パレスが登場し、パレスごとにまったく異なる風景、ダンジョン構造、攻略法が用意されており、本編のダンジョンとは別にメメントスという追加ダンジョンも用意されていた。

また、ゲームのシステム上、タルタロスから出たくても限界までプレイしないと実質出られないという問題もある。タルタロスからは基本いつでも撤退できるのだが、撤退するとその日の活動時間が終わってしまうため、時間制限がある本作では完全なデメリットだ。

そのため、これ以上今は進めないという点に到達するまでプレイしてから出ないと損だという心理状態にどうしてもなってしまう。しかもダンジョンが単調なため、飽きているのにプレイしなければいけないという義務感や作業感が生まれてしまう。過去作のリメイクであるため、しょうがない点かもしれないが、やはりプレイしていて気になってしまった。

ミステリアスで後半から盛り上がるストーリー

本作のストーリーの第一印象はかなりミステリアス。現実の世界で謎の無気力症候群が発生し、その現象と影時間で悪さをするシャドウとの関係が明らかになるところからゲームが始まる。

シャドウの正体や、シャドウが人間を襲っているのかなどの事情は最初まったくわからない。得体のしれない敵と戦い続けるうちに、徐々にその全貌が明らかになっていくという構造だ。

このストーリー展開も「ペルソナ5」とは大きく異なる。「ペルソナ5」は、主人公サイドを苦しめる絶対悪の敵と戦う勧善懲悪ものであり、序盤から大きなモチベーションを持ってストーリーを楽しめる。

しかし、本作は序盤からシャドウの正体や目的がわからず、自分が戦っている理由なども見いだしづらいため、ストーリー展開としてはスロースタートな印象だ。

序盤こそ明確なモチベーションを見いだしづらいが、後半に差しかかるに連れストーリーのボルテージはどんどん上がっていく。最終的には十分楽しめたのだが、そこにいたるまでの時間は長かった。これは好き嫌いによるものの、これからプレイする人は序盤で止めてしまわず、後半パートまでプレイしてみはいかがだろうか。

総評

「ペルソナ5」とあえて比較しながらレビューしてきたが、「ペルソナ3 リロード」と「ペルソナ5」は本質的にまったく別のゲームだと感じる。そのため、本作をプレイする場合、「ペルソナ5」のイメージをあまり引きづらないほうがいいだろう。特に、完全な悪者が次々出てくることによって生まれるストーリーへのモチベーションと、止め時を失う熱中度に関してはまったく異なる。

本作はオリジナルをプレイしたことがあってもう一度遊んでみたい人や、「ペルソナ5」シリーズの実質的な原点として興味を持てる人に全力でおすすめしたい。

「ペルソナ」シリーズの“青春を謳歌するというゲーム体験”は最高に楽しい。過ぎ去った高校時代を取り戻す感覚、誰もが本当は送りたかった青春時代の疑似体験であり、それが味わえるだけでも、本作は大人となったプレイヤーにとって魅力的な作品だろう。

ぐう実況(ゲーム紹介系YouTuber)
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ぐう実況(ゲーム紹介系YouTuber)
YouTubeを中心に活動するゲーマー。PSやPCのソフトを中心にゲーム紹介をする機会が多く、同分野を専門に活動しています。プライベートでは任天堂などの作品も頻繁に遊びます。
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水川悠士(編集部)
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水川悠士(編集部)
デジタル系メディアから価格.comへ。スマホ、スマートウォッチなどのガジェット周り、ゲーム関連を担当。触ってきた製品は数えきれないほど多いです。価格.comマガジンのYouTubeにも出演中。
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