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隠れた名作! 中世ヨーロッパのリアルライフが楽しめるPS5「キングダムカム・デリバランス II」全クリレビュー

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2025年2月の発売からわずか2週間足らずで売上200万本を達成し、Game Of The Year 2025にもノミネート確実と評されるほど高い評価を受けた「キングダムカム・デリバランス II」。日本での知名度はあまり高くないが、実際にプレイしてみても、高評価に納得の内容だった。

PS5「キングダムカム・デリバランス II」

「キングダムカム・デリバランス II」とは?

本作の特徴をまとめると、以下の4つだ。

1. 15世紀のチェコを舞台にしたオープンワールド
2. リアリティを徹底的に追求したゲームシステム
3. 自由度の高い成長システム
4. ドラマチックなストーリー

「キングダムカム・デリバランス II」は、チェコのWarhorse Studiosが開発したオープンワールドゲーム。前作は2018年に発売された「キングダムカム・デリバランス」で、本作は続編にあたる。

15世紀のチェコを忠実に再現したオープンワールドが大きな特徴であり、魔法やドラゴンなどのファンタジーが一切登場しないリアリティにこだわったゲームとなっている。

主人公ヘンリー(左)とハンス・カポン卿(右)

主人公ヘンリー(左)とハンス・カポン卿(右)

作品内の時代背景は、1403年のフス戦争(1419ー1434)という中世ヨーロッパにおける劇的な転換点となった戦争が起こる少し前。主人公はいなか町出身の青年ヘンリー。前作では鍛冶屋の息子のヘンリーが騎士になっていく物語が描かれたのだが、今作は貴族であり友人でもあるハンス・カポン卿の従者となったヘンリーのその後にスポットが当てている

次章からは具体的なゲーム内容を解説しよう。

リアリティを徹底したゲームシステム

史実上の中世チェコを舞台にした本作だが、特徴はリアリティを徹底的に追及したゲーム性だ。ヘンリーは特殊な能力を持つスーパーヒーローではなく、ただの一般人であり、現実の我々同様に空腹や睡眠などをケアする必要がある。

多種多様なパラメータでヘンリーの健康状態や衛生状態などを管理する

多種多様なパラメータでヘンリーの健康状態や衛生状態などを管理する

当たり前のように空腹ゲージや睡眠ゲージといった健康パラメータが登場し、定期的に食事や睡眠をとらないとヘンリーのパフォーマンスはどんどん下がっていく。食べ物には腐敗システムが付いており、腐った食べ物を食べると食中毒で最悪死んでしまうほか、生の食材は調理して食べることが求められる。

乾燥台で食べ物を乾かすヘンリー。肉類や植物を乾燥させると腐りにくくなるうえに栄養価が上がる

乾燥台で食べ物を乾かすヘンリー。肉類や植物を乾燥させると腐りにくくなるうえに栄養価が上がる

さらに服の汚れもゲームに影響する。服が血や泥で汚れていると、ヘンリーの魅力ポイントが下がり、NPCに話しかけてもまともに取り合ってくれない場合がある。そういった場合は浴場に行って身体を洗うか、水場で洗濯をしなければいけない。

水桶である程度汚れを落とすことはできるが、完璧にきれいにするには浴場か洗濯場に行く必要がある

水桶である程度汚れを落とすことはできるが、完璧にきれいにするには浴場か洗濯場に行く必要がある

錬金術や鍛冶の場面では、よりリアルな要素が登場。薬草や鉄鉱石などの素材で薬や武器を作れるが、完成までの工程はプレイヤーが手作業で行わなければいけない。たとえば、錬金術の場合、薬草をすりつぶし、鍋に液体を入れ、レシピどおりに時間を計るというように細かい作業が求められる。

以下の動画では、錬金術の作業工程を解説しているので、ぜひご覧になっていただきたい。薬を完成させるまでの工程が非常に細かく決められていることがわかるだろう。

戦闘も特殊で、ヨーロッパの伝統的な剣技を細部まで再現。剣以外にこん棒や斧など多様な武器が用意されているが、それぞれで覚えるコンボが異なるなど、武器ごとの特徴が落とし込まれている。

また、ファストトラベルすると時間が進むため、昼に出発すれば夜になるし、ヘンリーの体力も消耗する。

ファストトラベル中にイベントに遭遇することも。避けようとしても確率で回避不可能になるため、通常のゲームのようにスムーズにファストトラベルできない

ファストトラベル中にイベントに遭遇することも。避けようとしても確率で回避不可能になるため、通常のゲームのようにスムーズにファストトラベルできない

リアリティを徹底的に追及したゲーム性は、15世紀のチェコに実際に存在したであろう平穏な日常を体験できる瞬間がいくつも詰まっている。主人公のヘンリーは朝起きて馬を走らせ、盗賊退治などの仕事をこなし、夕方になったら浴場に行き、帰宅して酒を飲んで寝る。ときに女性と交遊し、ギャンブル(ダイス)で浪費してしまう。

女性とのロマンスイベントも豊富

女性とのロマンスイベントも豊富

中世ヨーロッパは戦争や疫病などで暗黒時代というイメージを持っているかもしれないが、本作は本来の中世ヨーロッパに存在したであろう日常が描かれている。その日常をヘンリーというひとりの若者の人生をとおして体験できるのが本作の醍醐味なのだ。

自由度の高い成長システムと中世ならではのNPCとの交流

成長システムも自由度が高く、なかでもユニークなのはパークシステムだろう。話術・馬術・弓術・隠密・窃盗・錬金術・学力など膨大な数のパークが用意されており、それぞれのパークを上げることでヘンリーができることもおのずと変わってくる。

特に重要なのはNPCとの会話に関係してくるパークだ。ゲームを進めるには、NPCから情報を聞き出したり、協力関係になったりすることが非常に重要。また、ヘンリーの態度や印象で評判が上がったり下がったりする。

評判が悪いとNPCが協力しなかったりするため、会話の選択は非常に重要。NPCはあくまで中世ヨーロッパの人間であるため、現代の価値観で会話を選ぶと一見正しそうでも評判が下がることもある。想像力を働かせて選択しなければならない。

会話の選択画面。上部の数値で成功の可能性を示しているが、いちばん高い選択肢を選べばいいとは限らない。相手をよく見て判断する必要がある

会話の選択画面。上部の数値で成功の可能性を示しているが、いちばん高い選択肢を選べばいいとは限らない。相手をよく見て判断する必要がある

会話には「脅迫する」「説得する」「賄賂を渡す」など、いくつかの選択肢が用意されているが、会話が成功するかはヘンリーの成長度次第。たとえば、衛兵に私有地侵入で見つかってしまった場合、罰を受けるか衛兵の説得が求められる。説得を選んだ際に、ヘンリーの学力や魅力が低いと衛兵が受ける印象を悪くしてしまうが、学力や魅力が高いと絶妙なジョークで切り抜けられたりする。

ヘンリーを成長させてスキルが増えるだけではなく、NPCとの会話で中世ヨーロッパならではの駆け引きを味わえるのも本作の大きな独自性だ。ユニークなNPCがたくさん登場するので、メインストーリーだけでなくサイドストーリーやサブイベントも余すところなく楽しんでほしい。

【まとめ】リアリティ追求系ゲームが好きなら遊ぶ価値あり

「キングダムカム・デリバランス II」は、中世ヨーロッパの世界を堪能できる傑作だ。当時の宗教や暗黒時代を脚色して描いた作品は、ゲームや映画、漫画などさまざまな媒体で取り扱われているが、中世ヨーロッパの平穏な日常をそのまま映し出した作品は非常に珍しい。

リアリティを追求したオープンワールドが好きな人はもちろん、歴史的な視点で中世ヨーロッパが好きな人にはぜひ遊んでいただきたい。

ぐう実況(ゲーム紹介系YouTuber)
Writer
ぐう実況(ゲーム紹介系YouTuber)
YouTubeを中心に活動するゲーマー。PSやPCのソフトを中心にゲーム紹介をする機会が多く、同分野を専門に活動しています。プライベートでは任天堂などの作品も頻繁に遊びます。
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水川悠士(編集部)
Editor
水川悠士(編集部)
デジタル系メディアから価格.comへ。スマホ、スマートウォッチなどのガジェット周り、ゲーム関連を担当。触ってきた製品は数えきれないほど多いです。価格.comマガジンのYouTubeにも出演中。
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