数多くのゲームをプレイするライターの筆者が厳選! 2025年上半期にプレイしたPS5向けゲームのなかで、特に面白かった5本をランキング形式で紹介する。ちなみに、ランキングの順位は完全に筆者個人による独自の見解、価値観によるものなので、その点をご理解のうえ、読み進めていただきたい。
「スプリット・フィクション」
「スプリット・フィクション」は、2人協力プレイのアクションアドベンチャーゲームを得意とする、Hazelight Studiosの真骨頂とも呼べる作品だ。
ほかのプレイヤーとゲーム画面を分割して共有し、互いに連携・協力しながら、さまざまステージのクリアを目指す。SF世界を描き出すのを得意とするミオと、ファンタジー世界を描き出すのを得意とするゾーイ。この2人の作家を同時に操作して、互いの空想世界を冒険していく。
描かれる世界観やゲーム性は実に多種多様。サイバーパンクなSF世界から動物に変身できる魔法世界まで訪れる世界は幅広く、シューティングやカーチェイス、剣技アクションといった、王道の3Dアクションだけでなく、「スーパーマリオブラザーズ」シリーズや「メトロイド」シリーズのように横スクロールで進めていくパートなど、味わえるゲーム体験はさまざまだ。各ステージにいくつか用意されたサイドストーリーをくまなく回れば、さらに多様な世界・ゲーム体験を楽しめる。
2人の女性作家それぞれの背景が徐々に明らかになっていき、互いの描く世界や価値観に共鳴していく、2人協力プレイならではの物語もプレイヤーの没入感をさらに高めている。アクションゲーム性が増すことで、同スタジオの2人協力プレイデザインがより際立つ内容となっている。
「モンスターハンターワイルズ」
PS5タイトルとして国内最大のヒットを叩き出した「モンスターハンターワイルズ」。一部で賛否両論もあるが、筆者個人としては、複雑さと広大さを同時に兼ね備えた新たなフィールドデザインと、「モンスターハンター」シリーズが持つ「自然との共生と狩り体験」というテーマがよりリアルかつ鮮明になった作品として大いに楽しめた。
前作「モンスターハンター:ワールド」は、シームレスにつながりながら複雑でわかりにくいマップ構造が欠点とも呼ばれていたが、本作では、新騎乗動物であるセクレトによって、この問題が解決。標的となるモンスターへの自動追尾や、騎乗中でのアイテムの使用・採取まで多くの操作がスムーズになり、新たなフィールド「禁足地」の広大な大地と自然の豊かさを常に味わいながら、戦う狩り体験へと進化した。
「モンスターハンターワイルズ」で登場した新騎乗動物・セクレト
筆者が個人的に高く評価したいのは、「モンスターハンター」シリーズでとりわけ大事にされてきた料理要素がさらに高クオリティになったこと。PS5の描写力を生かし、選んだ食材によって料理の演出や見た目が変わるのはシリーズ初の試みであり、各街に固有の食事場面が用意されている。
「モンスターハンターワイルズ」の食事シーン
「モンスターハンター」シリーズにおいて、食事は、自然の恵みをいただくハンターが一方的にモンスターを蹂躙する存在ではなく、彼らと共存して、自然を調和する存在であることを視覚的に示す要素として長らく大事にされてきた。このことを開発陣たちが強く意識し、実践されたことが筆者は特にうれしかった。
装備のバランスや、やり込み要素へのモチベーションの持ちにくさなど、一部の不満点が改善・強化されるかは、今後の大型アップデート次第だと思う。こちらも大いに期待したい。
「Clair Obscur: Expedition 33」
フランスのゲームスタジオ・Sandfall Interactiveが手掛けたターン性リアルタイムRPG。「FINAL FANTASY」シリーズや「ペルソナ」シリーズなど、日本のさまざまなRPGの影響を色濃く受けながら、フランスらしいゴシックなビジュアルと濃厚なストーリー・演出によって、国内でも多くのRPGファンから高く評価されている。
本作の世界には、とあるルールが存在する。主人公たちが暮らす街の遠くには「ペイントレス」と名付けられた少女がいて、彼女には数字が刻まれている。数字に刻まれた年齢の人は一瞬にして塵となってしまうため、街には「ペイントレス」の数字以上の年齢の人はいない。
この数字が34→33に変わり、主人公ギュスターブがひとつ年上の恋人ソフィーを失う場面から物語が始まる。「ペイントレス」討伐隊に加わり、街の対岸へ仲間たちと漕ぎ出すギュスターブ。恋人を失った悲壮感を抱える主人公という設定は、まさに男女の関係が物語に深く関わってきた、「FINAL FANTASY」シリーズに深く影響を受けたところだろう。
ほかにも、コマンドバトルをベースに敵の弱点に合わせて攻撃を変えるバトルは「ペルソナ」シリーズを彷彿とさせ、タイミングよく敵の攻撃に対してカウンターや回避ボタンを押すリアルタイム性が加わることで、海外ゲームらしい躍動感のあるバトルが味わえる。
「Clair Obscur: Expedition 33」のバトル画面
総じて、日本のRPG作品をフランスらしい独自の解釈で再構築したのが「Clair Obscur: Expedition 33」と言える。日本のRPGらしい物語やバトル・探索と海外ゲームの美麗で精錬されたグラフィック、その両方を味わえる、なんとも贅沢なゲームとなっている。2025年発売タイトルのなかでも、RPGファンはプレイ必須の作品になるだろう。
「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH」
「メタルギア」シリーズで有名な小島秀夫監督が立ち上げたKojima Productionsの処女作である、「DEATH STRANDING」の続編。荷物を運ぶという独特な要素に重きを置いたゲーム性と、現代の情報社会を風刺する特徴を持つ「DEATH STRANDING」シリーズであるが、続編である本作に待ち受けていた物語はあまりに痛切なものだった。
物語は主人公サムと、前作でともにアメリカ大陸を横断したBBのルーが辺境の地で仲よく暮らす場面から始まる。そこに前作でサムを支えた「BRIGES」に代わる新たな配送組織「跳ね橋部隊」のフラジャイルが、サムにとある依頼を出す。しかし、その先に待ち受けていたのはサムにとってあまりに残酷な展開であった。心を壊したサムにフラジャイルはオーストラリア大陸をつなぐ依頼を提案する。
新たな仲間となる「跳ね橋部隊」のメンバーたち
前作から大幅に強化された、配送をサポートするアイテムや建築物。モノレールなどの新たな大型インフラ。そして、より凶悪化した敵を倒すために用意された豊富な武器の数々。配送面でもアクション面でも前作から多くの進化を遂げたことは一目瞭然だ。
アメリカ大陸以上に壮大な自然の中、荷物を届けるゲーム体験が魅力
あらゆるゲームプレイが、本作のテーマである「我々はつなぐべきだったのか?」「人々を“縄”でつなげばつなぐほど、我々は“棒”を必要とした」という言葉に集約されていく。サムの壊れた心が修復されていくとともに、新たな仲間と出会うだけでなく、宿敵であるヒッグスとの戦いも、前作以上に過激で踏み込んだものへと発展していく。すべてプレイし終わった先に待つカタルシスと解放感は、まさに超大作と呼ぶにふさわしい完成度だ。
100時間以上のゲームプレイと重厚な物語で描かれる、小島秀夫監督という巨匠の壮大な現代風刺。監督の作品が好きな人はぜひ、ご自身の目で全容を確認していただきたい。
「キングダムカム・デリバランス II」
「キングダムカム・デリバランス II」は、15世紀のチェコを忠実に再現したオープンワールドRPGで、これまでどんな作品も描いたことがないリアルな中世ヨーロッパを作り出した。
フス戦争直前のチェコを生きる青年ヘンリーの人生をとおしながら、史実どおりのチェコのオープンワールドを駆けまわっていくのが本作の醍醐味。中世チェコに生きるさまざまな人々と交流したり、武芸に励んだり、お祭りに出たり、酒を飲んだり、博打を打ったり……。戦争や疫病といった暗いイメージを持たれがちな中世ヨーロッパという舞台に対して、本来きっと存在したであろう平穏な日常を味わえる貴重なゲームだ。
15世紀のチェコを忠実に再現。リアルな日常を体験できる
そしてさまざまな女性とのロマンスや、相棒であり主君であるハンス・カポン卿との友情など、ドラマチックな物語展開でヘンリーの人生を描きぬく。前作をプレイしていなくても楽しめるゲーム内容で、世界売上累計300万本を超える大ヒット作となった。
筆者は前作「キングダムカム・デリバランス」の時点で大ファンだったのだが、本シリーズの魅力が多くのゲーマーに伝わったことを心からうれしく思う。まだプレイしていない人はぜひ遊んでみてほしい。