ソニーは2018年1月23日、音楽制作向けのスタジオレコーディングマイクの新製品として、ボーカル録音用マイク「C-100」と、楽器録音用マイク「ECM-100U」「ECM-100N」の3製品を発表した。いずれも、50kHzまでのハイレゾ収録が可能で、ハイレゾ時代の高品位なスタンダードマイクとされている。
左から順に、楽器録音用マイク「ECM-100U」「ECM-100N」、ボーカル録音用マイク「C-100」
ソニーのスタジオレコーディングマイクとしては、CD制作のために開発された真空管式コンデンサーマイク「C800G」(1992年に発売)以降、26年ぶりとなる新製品。同社のスタジオレコーディングマイクで初のハイレゾ仕様となるハイファイモデルとなり、従来のマイクでは減衰しやすい高域もしっかり集音できるのが特徴。
従来のレコーディングマイクの多くが20〜30kHzを境に、周波数特性が落ち込む傾向がある(減衰しやすいというだけで録音できていないわけではない)のに対し、今回登場した3モデルは、新開発の自社製コンデンサーユニットを搭載することで、50kHzまで減衰せず、フラットな周波数特性を実現。高域の質感や抜けのよさなどにこだわった。同社によれば、レコーディングスタジオやコンサートホールで録音されたクオリティーを忠実に再現できるという。
なお、C800Gの販売価格は60万円前後だが、今回登場した3製品はいずれも10万円台となっている。基本的にはミュージシャンやエンジニアなどのプロ向け製品だが、DTMユーザーやシンガーソングライターなど、自宅録音を行うハイアマチュアにも手が届く製品となっている。
ボーカル録音用マイク「C-100」
「C-100」は、ダイヤフラムを内蔵する集音部(マイクカプセル)が筐体の中ほどに垂直に設置されたサイドアドレス型のコンデンサーマイク。高域用と低域用の2Wayマイクカプセル構成を採用し、高域の広がりと豊かな中低域を両立させた。ボーカルを引き立たせるため10kHz前後を少し持ち上げた周波数特性でチューニングされている。これにより、同社によれば、芯があり存在感のあるボーカルを実現できるという。
指向特性は切り替え式で、単一/全指向/両指向の3種類に対応。周波数特性は20〜50,000Hz。ダイナミックレンジは113dB以上(単一指向時)。信号対雑音比は70dB以上(全指向時)。出力コネクターはXLR-3-12Cタイプ。電源は外部供給式でDC44V〜52V。本体サイズは、40(最大径)×175(全長)mmで重量約290g。付属品は、クレードルサスペンション、ウィンドスクリーン、スタンドアダプター、キャリングケース。
市場想定価格は税別で157,000円前後。発売日は3月17日。
楽器録音用マイク「ECM-100U」「ECM-100N」。本体サイズはいずれも同じ19(最大径)×130(全長)mmで重量約130g
楽器録音用マイクとなる「ECM-100U」と「ECM-100N」は、筐体の先端部にマイクカプセルを搭載したエンドアドレス型となるエレクトレットコンデンサーマイク。ボーカル録音用マイク「C-100」に対して、「ECM-100U」と「ECM-100N」は、楽器そのものの音色を生かすフラットな周波数特性が特徴。「ECM-100U」は楽器に近づけて録音する近接タイプの単一指向性モデルで、「ECM-100N」はスタジオの空気感など空間に響く音を色付けなく集音できる全指向性モデルとなっている。
単一指向性モデル「ECM-100U」
全指向性モデル「ECM-100N」。先端部に無数のスリットが設けられている
共通仕様は、周波数特性が20〜50,000Hz、信号対雑音比が73dB以上、出力コネクターはXLR-3-12Cタイプで電源は外部供給式(DC44V〜52V)。そのほかの仕様については、ダイナミックレンジは、「ECM-100U」が121dB以上で、「ECM-100N」が124dB以上となっている。付属品は、マイクロホンホルダー、ウィンドスクリーン、スタンドアダプター、キャリングケース。
市場想定価格は税別で「ECM-100U」が100,000円前後、「ECM-100N」が112,000円前後。発売日は3月13日。