今回のVRイベントにあった、もう1つの面白いテーマが「テレイグジスタンス」です。テレイグジスタンスとは「離れた場所にいるモノと、感覚の共有やリアルタイム操作ができるシステム」のこと。言葉にするとわかりにくいですが、たとえば遠くにあるロボットの目で風景を視て、自分の分身のように操作するような「ロボットと一体化して操る」ようなシステムのことを指します。震災時に人間が入れない地域での救助活動をしたり、離れた場所の患者の手術をするなど、今後のテクノロジーとして注目されている分野です。
今回のイベントで、まさにこのテレイグジスタンスを体験できたのが「ペンギンロボ コントローラー」のコーナー。今回のイベントは東京タワーメディアセンターで行われたのですが、ここから品川の水族館に浮かべた「ペンギンロボ」を操作する体験ができました。
まずは、ペンギンの羽の形をしたペンギンコントローラーを装着! これをパタパタ動かすと、品川のペンギンの羽もパタパタと動くらしい
HMDも装着。水族館にいるペンギンの視点で、プール内が見えるようになりました
羽にはジャイロが内蔵されており、身体の傾きを検知。身体を傾けることで、プールのペンギンも曲がります。はたから見ると間抜けですが、本人は真剣
下の動画はプールの中のペンギンの様子。このリアルな動きは大学生チーム「TRYBOTS」の研究によるものなのだそう。
もう1つのテレイグジスタンス体験が「指サッカー」。手首にカメラを装着して「指の視点」でプレイします。手首に装着したカメラは、頭のHMDと連動していて、頭を右に振ると手首のカメラも右に回転。まるで自分が右手のサイズになったかのような感覚を味わえます。自分の手首を動かすので「テレイグジスタンス(遠隔存在)」というほど「遠隔」ではないのですが、普段味わうことのない不思議な感覚を体験できます。
ユニフォーム型の手袋と、シューズ型の指サックをはめて指でサッカーをプレイ
HMDと背中にバックパックを装着。これで、手首のカメラが頭の動きに連動して回転します
プレイ中はこのようなスタイル。向かい側に設置された、小さなゴールにボールを入れるのが目標なのですが、意外に難しい……
体験者が見えている視界はこんな感じ。首を振ると、左右も見えます。指の視点でプレイするので、まるで小人になったかのような気分
なんとなく「VR = ゲーム」というイメージがあった筆者でしたが、今回のイベントに参加して、観光や遠隔操作などVRのさまざまな可能性を気づかせてもらいました。
ちなみに、リクルートといえば結婚雑誌「ゼクシィ」でも有名ですが、「ゼクシィ海外ウエディング 2016 Spring & Summer」では、スマホでVRが楽しめる組み立て式のVRアダプターが付録。これを使用してハワイの挙式会場5つがVRで楽しめるのだそうです。なんと、すでにVRの広告利用は始まっていたのですね。
これからVRが普及すれば、現在映画やテレビが3Dで楽しめるように、今後はVRという選択肢が選べる未来がくるかもしれません。とりあえず、筆者はPlayStation VRが予約できる日を心待ちにしつつ、VRが普及する未来を夢見ることにします。