ファンドアナリストが徹底伝授! 初心者でもわかる資産運用のイロハ

投資信託でよく聞くインデックスファンドとアクティブファンドの違いって何?

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投資信託という名前を聞いたことがありますか? 毎月1万円ずつなど、少額で世界中の株式や債券などに分散投資できる金融商品のことです。コツコツと長期にわたり積み立て投資できるため、老後の資産づくりなどを目的に投資信託を買う人が増えています。つみたてNISAやiDeCoなど、投資信託を運用しつつ節税メリットが得られる制度も増えており、関心が高まっています。

とはいえ、資産運用にあまり縁がなかった人にとっては、投資信託の仕組みが難しく映ったり、運用するメリットがピンとこなかったりするのも事実。そんな投資初心者でも不安なく投資信託で資産運用を始められるよう、投資信託評価会社の三菱アセット・ブレインズでファンドアナリストを務める吉田開(よしだ・はるき)さんが、投資信託の仕組みや資産運用の必要性などについて、くわしく解説します。

こんにちは。三菱アセット・ブレインズの吉田です。これから毎月1回、投資信託の仕組みや資産運用の必要性など、いろいろなテーマで書いていきたいと思います。第1回は、投資信託を選ぶ際に必ず耳にする「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の違いについて解説します。ファンドとは、日本語で投資信託(投信)のことです。証券会社や銀行などを通じて皆さんが購入できるファンドは約6,000本あり、大きくインデックスファンドとアクティブファンドの2種類に分けられます。

雑誌やインターネットでは「資産運用はインデックスファンドだけで十分」という論調をよく見かけます。コストが高いことなどを理由にアクティブファンド=悪、との決めつけ記事も多いですが、本当にそうでしょうか? 投資信託の仕組みなど基本を押さえつつ、アクティブファンドとインデックスファンドの違いや選び方などを紹介します。

インデックスファンドとアクティブファンドの違いとは?

投資信託の代表的な分類に、インデックス型の運用をしているのか、アクティブ型の運用をしているのかによる区分けがあります。一般に、前者をインデックスファンド、後者をアクティブファンドと呼びます。

インデックスファンドとアクティブファンドの主な違いは、以下のとおりです。

違い1:運用目標はインデックスファンドが指数連動、アクティブファンドは指数を上回る成果

運用目的から確認しましょう。インデックスファンドは、特定の指数と投資信託の値動きが一緒になるよう運用されています。大部分のインデックスファンドでは、ファンドの名前に「インデックス」という単語が入っています。指数とは、一般的に株式市場、債券市場など特定の市場で取引されている商品全体の平均的な値動きを指します。株価指数ならば、証券取引所で売買されている各企業の株式(銘柄)の価格(株価)を平均化したものです。

たとえば、テレビでよく目にする日経平均株価は、日本の各業界の代表企業など225社をピックアップしてそれぞれの株価を足し合わせ、平均したものです。日本の株価指数には東証株価指数(TOPIX、トピックス)もありますが、これは、東証1部上場企業すべての株価を、発行済み株式数を考慮したうえで足し合わせて平均化しています。

日経平均株価と一緒の値動きになることを目的としたインデックスファンドであれば、日経平均株価が1%値上がりした日は、投資信託も同じように1%値上がりします。日経平均株価が1%値下がりすれば、やはり1%値下がりします。

一方でアクティブファンドは、日経平均株価のような指数を上回る運用成果を出すことが目的です。たとえば、日経平均株価が1か月で10%値上がりするとしたら、20%の値上がりを目指す運用をします。そのため、企業の成長力などを丹念に分析し、指数を上回る値上がりが期待できそうな銘柄を選別してファンドに組み入れます。

違い2:運用コストはインデックスファンドが安く、アクティブファンドは高い

投資信託で資産運用する際に大切な、コストも比べてみましょう。投資信託を購入すると、売却しないかぎり、運用会社などに対して「信託報酬(しんたくほうしゅう)」という手数料を支払い続けます。

信託報酬は毎営業日、投資信託に投資しているお金(投資元本)から差し引かれます。支払う金額は、1年間合計で投資元本の1%前後というものが多いようです。

たとえば、信託報酬が年1%の投資信託で100万円運用するケースを考えてみましょう。この場合、1年間で合計1万円を信託報酬として運用会社などに支払います。仮に1年間、投資信託の価値が変わらなかった場合、1年後の投資元本は99万円に減ります。

信託報酬が高いほど、投資元本が増えにくかったり、目減りしやすかったりします。運用がうまくいって10%値上がりしたとしても、信託報酬が5%であれば、投資元本は10%−5%=5%しか増えません。運用成果のよしあしに大きく影響するため、投資信託を購入する際には、信託報酬を必ず確認しましょう。

さて、信託報酬について確認したところで、インデックスファンドとアクティブファンドの信託報酬を比べてみましょう。三菱アセット・ブレインズがすべての投資信託を集計したところ、アクティブファンドは平均で1.57%、インデックスファンドは0.61%でした(2017年8月末時点のETF、ラップ専用を除く公募追加型投信を対象に三菱アセット・ブレインズが集計)。

アクティブファンドのコストが高い理由は運用に手間がかかるため

なぜ、この差が生じるのでしょうか? 一番の大きな理由は、投資信託を運用するのが比較的簡単か、大変かという手間の掛け方の違いです。

インデックスファンドは、指数に連動することが目標です。単純にいえば、指数と同じ銘柄を組み入れれば完成します。日経平均株価に連動するインデックスファンドならば、皆さんから預かったお金で225社の株式を買うだけです。買う銘柄などがほぼ決まっているため人手がかからず、運用するコストも抑えられます。

一方でアクティブファンドは、指数を上回る運用成果が目標なので、指数と同じ銘柄構成にしては意味がありません。日経平均株価を上回る目標を持ったファンドならば、225社の中で値下がりしそうな銘柄を組み入れず 、大きな値上がりが見込める銘柄をたくさん組み入れる、などの運用が必要になります。

そのため、運用を担当するファンドマネージャーだけでなく、企業調査が専門のアナリスト、投資戦略を立てるストラテジストなどたくさんの人が関わります。その分、人件費などがかさんでしまうため、インデックスファンドより信託報酬が高くなるのです。

もちろん、それでも指数を上回れるとはかぎりません。銘柄選びを間違ってしまえば、運用成果が指数を下回ることに加え、コスト負担も重くのしかかるダブルパンチになります。

これまで見てきたことからわかるように、市場平均を目指して機械的に投資するわかりやすさ、コストの安さ、アクティブファンドが銘柄選択を間違うリスクなどを踏まえれば、インデックスファンドが人気になるのも納得です。「コストだけ高くて実際に指数を上回る成果が達成できるかわからない」というアクティブファンドばかりであれば、投資するメリットはあまりないといえるでしょう。

インデックスファンドとアクティブファンド、どちらの運用実績が良い?

それでは、具体的にインデックスファンドとアクティブファンド、どちらのタイプがより高い運用成果を得られるのか、見ていきましょう。

運用実績はアクティブファンド>インデックスファンド

国内株式ファンドを例にとり、インデックスファンド、アクティブファンドにわけて直近の運用実績(年率収益率)を調べました。意外かもしれませんが、下の表のとおり、信託報酬による投資元本の目減り分を含めても、収益率はアクティブファンドがインデックスファンドを上回る好成績でした。

2017年8月末時点の公募追加型株式投資信託(ETF、ラップ専用を除く)のうち国内株式を投資対象とするものをもとに三菱アセット・ブレインズが集計。信託報酬分の目減りを含む

直近1年ではアクティブファンドの値上がり率がインデックスファンドを10ポイント上回ったほか、過去3年、過去5年のいずれも、アクティブファンドの運用成績がインデックスファンドを上回りました。確かにアクティブファンドの保有コスト(信託報酬)は高いですが、それを上回る運用成果を出している、運用が上手なファンドマネージャーが運用しているアクティブファンドも数多く存在するのです。

これは、国内株式にかぎった話で、外国債券などほかの資産にもつねにあてはまるわけではありません。また、最近の国内株式の市場環境がアクティブファンドにとって優位であったといわれており、将来も同じような結果になるともかぎりません。しかし、アクティブファンドの中にも良い投資信託はある、ということだけはわかっていただけたと思います。

インデックスファンドはほんとに良い運用手法? 指数に投資することの問題点

指数に連動する(=指数に投資する)ことはわかりやすいうえ、非常にたくさんの銘柄に分散投資していることにもなるので、特定の銘柄の株価が大きく値下がりしても、投資信託の価値全体に与える影響は小さくなります。インデックスファンドは、一見すると効率的に運用できるように見えます。

しかし、市場を丸ごと買う、というインデックスファンドの運用手法が本当に効率的かどうかは考えものです。

たとえば、先ほど挙げたTOPIXを見てみましょう。TOPIXに連動するインデックスファンドは、東証1部上場企業のほぼすべてに投資します。中には、業績が振るわなかったり、経営上問題があったりする企業もあるでしょう。

2017年9月30日時点のTOPIXは、昨年末と比べ10%ほど上昇しています。しかし、こまかく見ていくと、TOPIXの構成銘柄約2,000のうち、およそ2割にあたる420社の株価は昨年末を下回っており、足を引っ張っています。もっとほかに有望な銘柄があるにもかかわらず、皆さんはインデックスファンドの購入を通じて、間接的にこうした株価が振るわない銘柄にも投資していることになるのです。

コストが高くても運用成績が好調なアクティブファンドは?

保有コスト(信託報酬)が運用成績に大きな影響を与えることは間違いありません。コストが低いほうが、それだけ投資元本の目減りが少なくなるため、インデックスファンドは安定した収益を得やすいといえます。しかし、投資信託の運用成果は、保有コスト(信託報酬)が高いか安いかだけで決まるものではありません。下の表のように、保有コストがインデックスファンドより高くても、インデックスファンドを遙かに上回る運用成績をたたき出す投資信託は、意外とたくさんあります。

※2017年8月末時点の公募追加型株式投資信託(ETF、ラップ専用、DC専用を除く)のうち国内株式を主要投資対象とするものから以下の条件をもとに年率収益率(5年)の昇順で三菱アセット・ブレインズが抽出(純資産残高10億以上、テーマ型や通貨選択型ファンドを除く上位10本のアクティブファンド)。信託報酬による目減り分を含む

こうした運用成績は、運用会社のホームページや目論見書などで確認できます。確かにアクティブファンドの数は多く、探すのは手間かもしれませんが、これらを参考に、インデックスファンドに勝てるアクティブファンドを探してみることも投資の醍醐味といえるのではないでしょうか。

※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。

吉田開

吉田開

三菱アセット・ブレインズ(http://www.mab.jp/)ファンドアナリスト。1989年、秋田県生まれ。大学卒業後、地方銀行にて投資信託をはじめとするリスク性金融商品の販売を経験。2016年2月同社に入社後、投資信託の評価分析業務に携わる。日本証券アナリスト協会検定会員、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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2017.10.18 更新
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