マネー連載
FP山崎俊輔のマネーリテラシー向上委員会

怪しい儲け話にダマされないための、4つのシンプルなルール

ファイナンシャルプランナーの山崎です。前回は現代流バーゲンセールとの賢い付き合い方について書きました(「バーゲンセールは買い物術としてアリ?ナシ?」)。今回は、毎年のように起こる投資詐欺事件についてです。事件が起こるたびにニュースに取り上げられ、注意喚起もされているのに、無くなる気配はありません。手を替え品を替え、さまざまな手口を繰り出してくるこうした商品の具体的特徴と見分けるための4つの簡単なポイントを詳しく解説していきます。

「食品事業オーナー」「ワインファンド」毎年起こる投資詐欺

今年も金融商品、投資詐欺案件でトラブルが発生しています。

負債総額1,053億円に債権者数は3万人。
東京商工リサーチによれば、ケフィア事業振興会(以下、ケフィア)と関連会社の3社が9月3日、東京地方裁判所から破産開始決定を受けました。ケフィアは干し柿やジュースなど加工食品製造事業のオーナーになれば、半年で10%程度の利子を付けて元本を戻すとうたっていました。しかし、昨年11月ごろから契約者への支払いが滞るようになっていました。


実はこのケフィア、秋葉原にビルを1つ持っていて、今では差し押さえの紙が貼られて無人となっています。毎週秋葉原に通う私としては、だまされた人にサブカル好きな人が含まれていないことを祈るばかりです。

今回のケフィアに限らず、預かったお金が実態としての事業や投資商品に回っていない、というトラブルは毎年何件か起きています。

2016年には、約2,000人から計77億円を集めていたワイン投資ファンド「ヴァンネット」が破たんしました。ビンテージワインを購入し、熟成しておけば値上がりが見込めるという触れ込みでしたが、事業の実態はなかったようで、少なくとも約36億円が債務となったとみられています。

2013年には米国の資産運用会社「MRIインターナショナル」が破たんし、顧客8,700人から集めた約1,300億円が消えたといわれています。こちらは、米国の医療機関での診療報酬を保険会社に請求できる権利を債権化した金融商品(MARS投資)を販売し、年利6.0〜8.5%の高い利回りが得られると宣伝していましたが、これもまた事業の実態は存在しない案件だったようです。

2011年には和牛オーナー制度として知られていた、安愚楽(あぐら)牧場が破たん、約7万3,000人の出資者から集めた4,300億円の被害がありました。こちらは、いわゆる和牛商法といわれるもので、出資者に雌牛のオーナーになってもらい、生まれた子牛の売却代金を配当していました。そして満期になると、オーナーが購入した際に払った契約金と同額で雌牛を買い戻しており、実質的に元本保証、年3〜8%程度の利回りをうたっていました。当初は保証していた配当金を払っていたそうですが、次第に、新規契約者の出資金を配当金に回す自転車操業(ポンジ・スキーム)を余儀なくされ、途中からは事業を行っていないのに、集金をしていたようです。

この手の投資詐欺や破たんしたニュースを見ると「なんで、まただまされたのだろう」と思うかもしれません。しかし毎年何かトラブルが起きるところをみると、だまされる理由があるはずです。事前に見分けるヒントのようなものはないのでしょうか。

「売る人は全力でウソをつく」から見分けるのが難しい

実のところ、投資詐欺や金融商品の詐欺については、見分けにくいものです。なぜなら「売り物」が悪いのではなく「売る人」が悪いことがこの手の詐欺のポイントだからです。

先にあげたワイン投資ファンドだって、きちんとビンテージワインを購入し、きちんとカーブを契約して保管しながら売却すれば、利回りは低かろうとビジネスは成立したはずです。多くの詐欺事件も最初はきちんとビジネスをやっていて、途中から自転車操業になっていきます。「売り物」自体は悪くないわけですが、「売る人」がウソをついてしまったことにより破たんになっていくのです。

問題は事業の「実態がない」ということなのですが、これを見極めるのもそう簡単ではありません。最初はちょっとだけ実態があったりしますし、一般の人間が空洞化したあとも実態のあるなしをチェックすることは非常に困難です。

しかも「売る人が全力でウソをついている」ことを思えば、見分けることはなかなか難しいに決まっています。誰だって詐欺を働く場合に、簡単にバレるウソはつきませんから、ウソを見分けるのは至難の業です。

「要注意」商品を見破る4つのルール

そこで今回は「こういうタイプは怪しい」というフィルタリングルールをいくつか紹介しましょう。すべてが×というわけではないのですが、傾向としてあやしい可能性があるものを見つけるヒントになるはずです。

注意1:「安全」「確実」「高利回り」を同時にうたうキャッチコピー

原則として、「安全で確実」と「高利回り」は同居しません。それでもウチの商品は理由があって「安全、確実、高利回り」です、というのが詐欺的な商品のやり口です。インフレ率に加えて年4%以上の利回りがあるとしたら、それなりのリスクがあります。むしろリスクがないのに高利回りになるほうがおかしいといってもいいくらいです。「リスクはあるけど元本は割れず増やせます」というような文言があったら、基本的に怪しいと踏んでください。

注意2:「やたらと縦に長く」「カウントダウンタイマー」設置のホームページ

銀行や証券会社のホームページで投資商品についてチェックした後、「これはあやしいのかなあ」と思っている商品のページを見てみてください。「やたらと縦長なページ」で解説をしてあり、かつ「カウントダウンタイマー」であなたを急がせるタイプのホームページはまともな金融機関には絶対にありません。やたらと縦長なホームページの全てがあやしいとは言いませんが、疑わしい商品がかなり多いと思います。少なくとも、私は購入に値する商品を見たことがありません。

カウントダウンタイマーも怪しむべきで、その手のサイトに来たら1度ブラウザを落として翌日アクセスしてみてください。おそらくカウントダウンはリセットされてまたスタートしていると思います。タイムカウントをすることで、「今すぐ手続きをしなくっちゃ」と契約まで行かせる仕掛けになっているわけです。もしそうなら、カウントダウンそのものはウソということになり、その商品は大いに怪しむべきでしょう。

注意3:顧客の「喜びの声」がやたらと多く掲載されたページ

もしすでに詐欺が進行中である場合、新規顧客の資金から過去の顧客の契約に対して、利益が出ていないのに過剰な配当金を出す「タコ足配当」が行われています。これはつまり「昔から利用しているお客」は高利回りを得ていることを意味します。

ということは、すでにうまくもうかっている人がいるわけですから、そうした顧客は喜びの声を上げます。しかし、新しい顧客のお金が右から左へ流れているからこそ「喜びの声」があるわけです。

そもそも、過去の実績は将来の実績を保証してくれるわけではないのが、金融商品の原則です。しかし、個人の感想や意見として「喜びの声」を載せることで、これはいいものだと思わせることができます。怪しい商品のページを数多くチェックしてきた私の感覚では、「喜びの声」があまりにも多いページは、疑ってかかってみるべきと思います。

注意4:公募型の投資信託で十分!匿名投資組合、外国籍商品には手を出さない

商品名で具体的にいってしまえば、国内で販売されている公募型投資信託以外の商品に手を出す必要は普通の人にはないと思います。ネット証券の口座を作れば、誰でもいつでも買えるもので、私たちの投資は十分です。
逆に危ないのは外国で販売されているものをあえて日本で購入することと、匿名投資組合のスキームで行われる投資商品を購入することです。

過去のトラブル事例のほとんどが外国籍の商品を直接購入するものか、匿名投資組合(匿名組合)の仕組みで起きています。外国の商品が悪いとか、匿名投資組合の仕組みが悪いというわけではないものの、悪いやつらがこれを使うとその悪事がバレるのに時間がかかってしまうところに難点があります。外国籍の商品の場合、私たちが直接外国語で解約手続きを求められることもあるようです。

日本国内で買える投資信託でも世界中に投資ができますし、国内で販売されている投資信託は金融庁のチェックが厳しく行われているので「実は運用の実態がなかった」「自転車操業がされていた」のようなことはまず起きません。

詐欺かどうかの区別がつかない商品は避けるのが無難

こういう話をすると「いや、でも、○○は問題なかった」のような声が上がってくるのですが、紹介した4パターンが100%クロだといっているわけではありません。まっとうに商売をしている投資商品もあります。

しかし、悪いヤツがいたときに、ふるいにかけて除外することがあらかじめ困難であることのほうが私たちにとっては大きな問題です。むしろそうした可能性がある商品については「判断が難しい」ということを素直に認めて、手を出さないことが賢明な判断だと思います。

あなたがもし、個人資産が9,000万円あるのなら、100万円を捨てても惜しくはないと考え、運が良ければ年7%の利息がもらえる商品に手を出す、というのもいいでしょう。
しかし、一口100万円程度かかる商品を買ったら、財産の数割、あるいはほとんど全額になってしまうような普通の人は手を出さないほうが無難です

もうけたい気持ちはわかりますが「手を出さなくて、もうけ損ねた」ことよりも「手を出さなくて、損をしなくてすんだ」のほうが大事だと考えてみてください。

・投資初心者の方は以下のコンテンツもチェックしてみてください
株の初心者でもわかる株式投資の始め方
株式投資のリスクと回避方法とは?
マンガでわかる証券口座を開くメリット!
価格.com投資信託比較

山崎俊輔

山崎俊輔

フィナンシャル・ウィズダム代表。FPとして、現役世代のお金と幸せのバランスについてユニークな視点でアドバイスする。連載多数。アニメもゲームも愛するオタクで、マンガの蔵書は約4,000冊。

ご利用上の注意
  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の保険商品や金融商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
  • 本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
  • 本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、価格.comサイト利用規約(http://help.kakaku.com/kiyaku_site.html)にご同意いただいたものとします。
関連記事
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る