ファイナンシャルプランナーの山崎です。前回は「国の年金制度」について書きました。今回は、ネットショッピングなどでも行われている「バーゲンセール」についてです。「バーゲン」と聞いて、ワクワクする人も多いのではないでしょうか。でも、注意して買わないと結局は損をしてしまうことも。専門家として、賢い付き合い方について解説します。
かつてバーゲンといえば、夏物と冬物の処分で年に2回くらい行われるものでした。あるいは、ボーナスシーズンを目当てにした夏と年末年始に家電量販店が行うセールも定番でしたが、やはり年数回行われるものでした。
ところが、今の時代、バーゲンセールは年中行われています。例えば、
・「Amazonのプライムデーやタイムセール、Kindleのセール」(ほぼ毎日何かしら開催)
・「Yahoo!ショッピング『5のつく日キャンペーン』」(毎月3回開催)
・「無印良品がお得に買える無印良品週間」(年5回程度開催)
などなど、数え上げればキリがありません。現代のバーゲンは頻繁に行われていることが特徴で、私たちの物欲を常に狙っています。
しかも、かつてのデパートのセールであれば「行かなければそもそも買わなくてすむ」という対策もありえたのですが、ネットショッピングのセールでは、そうもいきません。スマホやパソコンでブラウジングしていると広告が表示されたり、メルマガが届いたりして、あなたを手招きするからです。
テレビの通販番組で思わず電話をしてしまったという人、あるいはネットのセールで思わず購入ボタンをクリックしてしまった人にはいくつかの共通項があります。
1.タイムリミットに弱い
第1の特徴は、「タイムリミット」です。「あと○時間で終了します」とか「あと○個で終了!注文はお早めに」という画面をみると、ついショッピングサイトに移動してしまうタイプの人はすでに売り手の術中にはまっています。
2.「お買い得!」という表示や「割引率」目が止まる
大きなPOP表示や割引率表示は要注意です。定価の値段に×が書かれていて、例えば「45%オフ」と書いてあっても「お、安いな」と考えるのは失敗のもとにも。ちょっと検索すると、どのサイトでも55%オフで売られている商品の広告であったりします。
3.「ポイント還元率」に弱い
最後の特徴は「ポイント」です。家電量販店の10%ポイントを引いた「実額」と、ネットショップの最安値を比較することを価格.comのユーザーなら誰でも知っていると思いますが、ポイント還元率が通常よりアップするというのは売り上げを増やす常套手段のひとつです。
ファイナンシャルプランナーとして買い物をアドバイスするとき、実は「安いかどうか」はあまり重要ではありません。
「安いから買おう!」と考えるのが、なぜ良くないのかというと「必要か、どうか」という本質的な部分を抜きにして購入判断をしてしまうからです。
「欲しい」という物欲と、「必要」という必然性が買い物の要素にはあります。このとき「必要」だけを設定すると人生は味気なくなります。例えば、1万円の型落ちAndroidスマホがあればiPhoneXはいらない、といえばそれはその通りですが、やはり人生つまらないですよね。
一方で、「欲しい」という勢いだけに頼ると予算はいくらでも倍増します。そこが買い物の工夫のしどころです。
このときセールはそういう冷静な判断をさせないことにより、あなたの財布をゆるめ、買い物をするよう誘っているわけです。
安値の買い物の必勝法はどこか釣りに似ている、というのが私の考えです。「このくらいの値段なら買ってもいい」というラインを自分で設定して釣り餌を仕掛けておいて、ショップのほうがそこまで値下げしたとき「待っていました!」と買うような感じです。
価格.comにアカウントを設定して、お好みの商品について「お気に入り」登録をしておくと、「値下がり・最安変動お知らせメール」という機能があります。ショップ側が大幅値下げをしてきて、かつ、その金額があなたが買ってもいいと思える値段であったとき、すぐ入手できるわけです。
※【参考リンク】価格.com「値下がりお知らせ・最安変動お知らせ」の設定方法
個人的にはセールで衝動買いするより、こちらの機能で安値を待つほうが上手な買い物になると思います。もちろん、短期的なセールやポイント10倍のような条件がキャッチしきれないことがありますから、バーゲンセールのサイトを見るのもいいでしょうが、本当に欲しいもので値段もこなれていることを確認のうえ、注文ボタンをクリックするようにしましょう。
「なんでこんなもの買ったんだっけ?」とあとで思い返すような雑貨が部屋にゴロゴロしていることのないようにしたいものです。
※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。
フィナンシャル・ウィズダム代表。FPとして、現役世代のお金と幸せのバランスについてユニークな視点でアドバイスする。連載多数。アニメもゲームも愛するオタクで、マンガの蔵書は約4,000冊。