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後悔しない保険選びのツボ

「クレジットカードの付帯保険」だけで海外旅行は安心?

夏休みを利用して海外へ旅行された人もいるのではないでしょうか。楽しい旅行でも、思わぬトラブルに遭遇することもあります。海外を旅行する際、クレジットカード付帯の保険だけで安心でしょうか?海外旅行保険との補償の違いなどについても考えてみましょう。

海外旅行中は、移動の疲れや時差、気温や気候の違い、水アタリや食アタリなどで体調を崩しやすくなります。乗り物に乗る時間が長いうえ、観光ということで危険な場所へ行くこともあり、事故に遭ったりケガをしたりする機会も増えます。感染症にかかることもあり得ます。

さらには、犯罪率が高い国や地域などでは、スリや強盗に遭うリスクも高まります。手荷物を奪われたり、壊されたりすることもあるでしょう。ほかにも、航空機の遅延や欠航などで余計な費用がかかる場合もあります。ジェイアイ傷害火災保険のデータでは、海外旅行で保険金の請求につながった事故の発生率は3.4%(2017年度)。29人に1人が事故に遭っている計算です。同保険会社の海外旅行保険で特に請求件数が多いのは次のとおりです。

※ジェイアイ傷害火災保険HPより

私ごとで恐縮ですが、海外旅行の回数が多いわけではないにもかかわらず、家族やグループの友人が事故に遭った経験があります。多いのは息子関係で、ハワイで風邪をひいて高熱を出し(星空を見る山登りツアー)、さらにはミネラルウォーターの硬水にあたって腸炎になり、下痢が止まらずマウイとホノルルで病院探しの旅になってしまいました。

タイでも氷入りのドリンクで水アタリをして下痢が止まらず病院へ。私自身は飛行機の遅延に2回見舞われたことがあり、某アジアの国では目の前で友人がひったくりの被害に遭ったこともあります。

現地で病気になった際には、保険会社の日本語デスクに電話をすると、日本語が通じるスタッフがいる病院を手配してくれました。しかも、治療費は保険で直接払いだったためストレスフリーでした。通院のためのタクシー代や、日本に帰ってからの治療費なども後日追加で請求できて、本当に助かりました。

海外では、入院・手術となると数百万円かかる例もあります。中には1000万円を超えるケースもあるようです。外務省もホームページで強調していますが、海外へ行くときには海外旅行保険は必須といえます。
外務省 海外安全ホームページ「海外旅行保険加入のおすすめ」

海外旅行保険の補償内容は?

海外旅行中のリスクに備える主な方法としては、海外旅行保険に入る方法と、クレジットカードの付帯サービスで備える方法があります。まずは、海外旅行保険について整理しておきましょう。

海外旅行保険は、旅行の日程に合わせて加入する保険です。海外旅行中の事故・ケガでの診療費や入院費、死亡補償のほか、家族の渡航費や通訳の手配なども行う保険会社もあります。また、特約で疾病治療や賠償責任、携行品損害、救援費用等の補償も付けられ、海外旅行中のトラブルに広く備えられる補償内容になっています。

契約は、旅行会社のカウンターや損保代理店、インターネットでできるほか、空港にある損保代理店のカウンターや専用機でも加入することもできます。保険料は渡航先や日数、補償額、特約を付けるかどうかで変わりますが、さらに、保険会社によっても異なります。

海外旅行保険の主な補償内容は次のとおりです。
・傷害死亡・後遺障害
海外旅行中のケガや事故で、事故から所定の期間内に亡くなったときや、後遺障害が生じた場合に保険金が支払われます。保険会社によっては、「傷害」に限らず、旅行中の病気で亡くなったときも補償しています。
・傷害・疾病治療費用
海外旅行中にケガをしたり、病気になったりして病院で受診した際にかかった治療費等を補償してくれます。救援費用補償との合計に上限枠が設けられていることも。
・救援費用
海外旅行中のケガや病気が原因で死亡したときや、入院した際に家族が現地に駆け付ける費用などを補償してくれます。
・賠償責任
海外旅行中に誤って他人にケガを負わせたり、他人の物を壊したりして損害を与え、法律上の賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。
・携行品損害
海外旅行中に、盗難や破損、火災などで携行品(カメラ、衣類、パスポートなど)に損害が生じた場合に保険金が支払われます。
・航空機遅延費用
予定していた航空機が遅れたために、予定外の宿泊代や食事代、移動のタクシー代などが発生した場合の補償。
・旅行変更費用
保険会社が定める事由により出国を中止したり、途中で旅行を取りやめて帰国したりした場合に、保険金が支払われます。

このほかにもさまざまな特約があります。
なお、日本語で24時間対応するアシスタンスサービスがあり、日本語の通じる病院や、保険会社が直接払いをしてくれる提携医療機関を紹介してもらうこともできます。

ここで、実際の海外旅行保険の例を見てみましょう。ハワイへ7日間、旅行するという条件で試算したものですが、保険料は死亡補償3000万円、治療・救援費用5000万円、携行品損害30万円、賠償責任1億円の「おすすめプラン」が3580円、死亡補償と治療・救援費用を1000万円に抑えた「保険料節約プラン」は2750円。

補償の範囲も、緊急の歯科治療や、航空機に預けた手荷物が遅れたときにかかった費用、弁護士に相談する場合の費用、テロ対応でかかる費用など多岐にわたります。また、ほかにも航空機遅延や旅行キャンセル費用、旅行中断費用、ペット預け入れ延長でかかる費用を補償する特約も付けることができます。

※ジェイアイ傷害火災保険HP「たびほ」で試算

クレジットカード付帯の海外旅行保険の特徴

最近は、クレジットカード付帯の海外旅行保険を活用する人も増えています。限度額や補償内容はカードによって差があるので、まずは自分が利用しているカードに付いている保険の内容をしっかり確認する必要があります。

カード付帯の補償を海外旅行保険と比べると、次のような特徴があります。

・カードによっては、補償額が小さいことも。複数カードの補償は傷害死亡・後遺障害以外は合算できるものの、各カードに付帯する保険金額に応じて損害額を按分して請求することになります。
・複数カードに補償があっても、傷害死亡・後遺障害は合算されません。最も高い保険金額が限度となります。
・カードの海外旅行保険には「自動付帯」と「利用付帯」があり、「利用付帯」の場合は、そのカードで一部でも旅行代金を支払わないと補償されません。
・日本語で24時間対応するアシスタンスサービスが利用できるカード会社もあります。キャッシュレス(直接払い)が可能でも、対象国が限定されている場合もあります。
・キャッシュレス対象外の国では、いったん治療費を立て替え、領収書と診断書等をもらっておいて、帰国してから請求します。
・さまざまな特約が用意されている海外旅行保険に比べ、補償の範囲は限られます。

こうした点を理解したうえでコストをかけずに上手に活用できる人にとっては、カード付帯の海外旅行保険が向くといえそうですが、本当の安心を買いたいなら海外旅行保険に加入したほうがいいでしょう。カード付帯の補償を活用する際には、現地で事故が起きたときの連絡方法や請求方法などまで確認しておきましょう。


健保の「海外療養費制度」では足りない!

ちなみに、日本の公的医療保険には、「海外療養費制度」というものがあります。海外旅行中にケガや病気で海外の病院で受診した場合、公的医療保険で認められている医療費については、帰国してから請求すれば、3割など自己負担以外は給付されます。

こうした制度があるなら、海外旅行保険はなくてもいいのでは?などと考える人もいるかもしれませんが、それはキケンかもしれませんです。治療費は国ごとに異なるのに、制度では「国内の医療機関で同様の治療を受けたときの治療費」が基準です(実際には、支払った外貨に対し、支給決定日の為替レートで換算します)。

例えば、海外で虫垂炎で入院・手術をした場合、国によっては数百万円の治療費がかかることもあります。しかし、日本だと約40万円が平均的な治療費で、自己負担3割の人の場合で約28万円の給付です。残りを自己負担するのはきついのでは?

なお、この制度の支給対象となるのは、日本国内で保険診療として認められている医療に限られ、保険適用外の医療は対象外です。治療を目的として海外へ行くのも対象外です。また、申請するには現地で「海外診療内容明細書」や「領収明細書」をもらっておく必要があります。しかも、日本語に翻訳した書類を付ける必要があり、翻訳の費用も自己負担しなくてはなりません。

まとめ

海外旅行時には、やはり海外旅行保険にしっかり入ることが最も安心といえます。しかし、補償は限定されるとはいえ、カード付帯の保険も上手に使えば有効です。旅行前に、補償額が十分か確認するだけでなく、現地で事故に遭ったときの日本語のアシスタンスサービスや、キャッシュレスサービス等にも対応しているかどうかなど、しっかり確認してから出発しましょう。

豊田眞弓

豊田眞弓

FPラウンジ代表。経済誌などのライターを経て1994年より独立系FPとして活動。個人相談業務のほか講演、マネーコラムへの寄稿などを行う。ライフワークとして子どもや大人の金銭・金融教育にも携わる。

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