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「プレゼン資料作り」「会議の仕切り」で副業。会社員2人の実話

社外にチャンス。会社員が平凡スキルで副業を実践。しかも成功して独立へ!【資料作り 編】

副業の経済規模が8兆円に迫る

近年、よく聞くようになった「副業」という言葉。「もうやっているよ」という人もいれば、「稼げるならやってみたい」「本業以外に仕事なんてしたくない」「そもそも会社が認めていない」など、人によってとらえ方はさまざまでしょう。しかし、私たちの社会に副業が確実に広がりつつあるのは数字が証明しています。

クラウドソーシングサービス大手、ランサーズの「フリーランス実態調査2018」(※)によると、副業の経済規模は現在約7.8兆円に達したそうです。2015年の2.8兆円と比較すると約2.8倍に伸長。筆者個人は予想以上に副業をやっている人が増えてきていると感じましたが、皆さんはいかがでしょうか?

※出典:ランサーズ「フリーランス実態調査2018」(https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/

みんな、なんの副業をしているの?

筆者は、ビジネス系のライターとして20年以上「会社員の副業」をテーマに取材をしてきた経験があります。その中でよく耳にしたのが「自分には副業として売れるスキルなんてない」という言葉です。確かに、見ず知らずの人からお金をもらうのですから、「相当に高度なスキル」が求められると身構えてしまう気持ちはよくわかります。

しかし今はネットの力によって、「仕事をしたい人」と「仕事を頼みたい人」が出会いやすい時代です。もしかしたら、「会社員の普通のスキル」を必要としている人もいるのではないか? 前述の「7.8兆円」という数字を担っているのは、高度なスキルを持った特別な人ばかりではなく会社員として普通に働く人たちではないか? そんな仮説から今回の企画がスタートしました。

「プレゼン資料作り」「会議の仕切り」を会社の外で売った2人の元会社員

さまざまな伝手(つて)を頼りに出会ったのが、今回取材した2人。1人目は、会社員の傍ら「プレゼンの資料作り」の副業をしていた園塚充弘さん。副業で実績を積み、現在はプロモーションコンサルタントとして独立されています。

2人目は園部浩司さん。本業で年間1,000本以上の会議を仕切ってきた経験から、「ファシリテーション」のスキルを副業で教えて人気を博し、こちらも今では独立を果たしています。

2人の元会社員が、「一見当たり前に見えるビジネススキル」を、どうやって会社の“外”で稼げる副業に育てたのか? その道のりを聞いてきました。副業に興味のある人に参考になるのはもちろん、会社員として働いている人にも何かしら仕事のヒントを見つけてもらえる内容です。今回は前編として、プレゼン資料作成の園塚さんの例からお伝えします。

※本企画の後編はこちらです。
社外にチャンス。会社員が平凡スキルで副業を実践。しかも成功して独立へ!【会議の仕切り 編】

※企業によっては従業員の副業を禁止している場合があります。会社員の方が副業を行う場合は、勤務先の就業規則等をご確認ください。

自分では「当たり前」と思っていたスキルを、会社の外でどう生かしたのか?

自分では「当たり前」と思っていたスキルを、会社の外でどう生かしたのか?

【資料作りで副業 編】「プレゼン資料作り」の副業で月30万円を稼いでわかった、スキルより大切だったもの

大手電機メーカーに在籍していた園塚充弘さん。副業で販売したのは「プレゼン資料作り」のスキルです。

「正直、最初は『プレゼン資料作り』のスキルが会社の外で売れるか自分でも半信半疑でした。使うソフトはなんの変哲もないパワーポイントですし、作る資料も自分にとっては当たり前のレベルのものでしたから」(園塚さん)

園塚充弘(そのづか・みつひろ)さん。37歳。会社員時代から、副業マッチングサービスの「ココナラ」を利用して「プレゼン資料作成」の副業をスタート。当初は「休日1日つぶして数千円稼ぐのがやっと」という状態から、レベルアップと信用蓄積を重ねて「1件10万円以上」の稼げる副業に成長。昨年会社を退職し、プロモーションコンサルタントとして独立

▼園塚さんの副業の概要
本業⇒ 電機メーカーのサラリーマン(当時)
副業⇒ プレゼン資料の作成・ブラッシュアップ
お客さん⇒ 中小企業の経営者、個人でビジネスをやっている人、会社員で「昇進試験のプレゼン」を控えている人 など
集客方法⇒ ウェブサービスの「ココナラ」をメインに活用

社内で資料作りが評価されていた

園塚さんは大学院を卒業後に就職。大手電機メーカーの経営企画の職に就きます。事業計画の作成、各事業部の予算策定やモニタリング、幹部社員の各種資料作成のサポートなどが主な仕事だったと言います。

「プレゼン資料作りも私の仕事のひとつで、かなりの数をこなしていました。新人が任されることが少ない『事業部長の資料作成の責任者』を僕は入社2年目に任されていたので、ある程度の評価を得ていたのかなと思います」(園塚さん)

そのスキルをなぜ副業で売ることに?

「入社して6年が経ち、転職を考えるようになったんです。そうなると、転職市場、つまり会社の外で自分がどれくらい価値があるか気になり出します。客観的な評価を知る意味で、このスキルを副業で売ってみようと思い立ちました」(園塚さん)

ココナラでスキルを販売

園塚さんがスキルを売る場に選んだのは「ココナラ」。さまざまなスキルを商品として出品し、売り買いすることができるスキルのフリーマーケットとして知られるウェブサービスです。最近は副業のマッチングの場としても知られています。園塚さんが副業を始めようと思った2013年はさまざまなクラウドソーシングサービスが世に出始めた頃で、「新しい稼ぎ方」として話題を呼んでいました。そんな中、園塚さんはなぜココナラを選んだのでしょうか?

「ココナラ以外のクラウドソーシングサービスは、ビジネス案件に対してコンペで受注者が決まる仕組みでした(当時)。コンペに勝たなければ仕事にありつけないわけです。対してココナラは自分が提供するスキルの販売価格を自分で決め、依頼を待つという仕組み。こちらのほうが提供者とお客の関係が対等で、自分の性格にも合っていると感じました」(園塚さん)

ココナラ

ココナラ
●運営会社:株式会社ココナラ
●サービス開始時期:2012年7月
●登録会員数:約100万人
●アドレス:https://coconala.com/

丸一日つぶして6,000円。正直実入りは少なかったけど……

2013年5月、園塚さんはココナラで「プレゼン資料作り」スキルの販売を開始。販売したのは

・ゼロからの新規作成
・既にある資料のブラッシュアップ


の2プラン。いずれも、1枚あたり500円の値段で請け負うことからスタートしました。

「最初はほとんど稼げませんでしたね。1枚500円なので6枚作っても3,000円。平日夜や土日を作業にあてていたんですが、休日を丸一日費やしてもせいぜい6,000円程度。時給に換算したら、普通にアルバイトをしたほうがいいという状況で」

普通なら嫌気がさしてもおかしくないような状況ですが、園塚さんはコツコツと継続。むしろ精神的には充実していたと言います。

「プレゼン資料作成の依頼主は、中小企業の社長や個人事業主、大学の研究者、管理職のサラリーマンなど本当に多種多様な人たちでした。本業では絶対に接点のない世界の人たちと出会い、幅広い分野の資料にも直接触れられるわけです。もちろん、これらの資料はビジネスの現場で使われる本物です。好奇心が刺激されて楽しかったですね。それに加えて、自分のスキルが社外でも一定の価値があることを知ることができたのも大きかった。本業の収入があったこともあり、副業ではお金を二の次にして楽しさを優先できました」(園塚さん)

すぐに大きくは稼げなかったものの、会社ではできない経験や、スキルの向上を副業の報酬としてとらえた園塚さん。副業を続けるうちに、少しずつ、お金がついてくることになります。

園塚さんの販売した「プレゼン資料作成」のブラッシュアップの一例。ビフォー&アフターでスキルを視覚的にアピール(園塚さん提供

園塚さんの販売した「プレゼン資料作成」のブラッシュアップの一例。ビフォー&アフターでスキルを視覚的にアピール(園塚さん提供)

プロを名乗るとメール1通にも気が抜けない

実績と信頼を少しずつ貯めていった園塚さん。それにともない、1枚500円だったプレゼン資料の単価を、1,000円、2,000円、4,000円と少しずつアップさせます。やがて1人平均10万円以上の受注を受けるようになり、副業月収は最高で30万円にまで到達したといいます。値上げにはある種の覚悟が必要になってくると思います。園塚さんはなぜ、値上げができたのでしょうか?

「当然、プレゼン資料作成のスキルが上がっていった実感が自分の中にあったからなのですが、ある意味でそれは結果論と感じています。今振り返って重要だと感じているのは、『なぜ自分はスキルを上げていけたのか』という点。僕は、マインドの変化が大きかったと思います。実はココナラでスキルの販売を始めたときから、自分のプロフィール欄に『プレゼン資料作成のプロ』という肩書きを付けていました。プロと名乗るのは自由です。資格が必要なわけでもありませんしね。でも当然、実力の裏付けが必要です。この結果、自分でも驚くほど仕事に向かう姿勢が変わったんです。『プレゼン資料作り』に全力で取り組むのはもちろん、メール1通書くのにも、言葉選びに慎重になったりして(笑)。自分で自分のハードルを上げた感じですね」(園塚さん)

会社の仕事なら、自分の中で70点くらいのクオリティでも上司からOKをもらえるかもしれない。でも社外では「ベストを尽くさないと次の仕事につながらないかもしれない」と緊張感が高まったと話す園塚さん。書店などで気になるプレゼン関連の書籍を見つけたときは必ず目を通したり、資料作りに関連するコピーライティングの勉強をしたりするなど、自発的にスキルを磨く意識が高まっていったと言います。

こちらも園塚さんのプレゼン資料改善例(園塚さん提供)

こちらも園塚さんのプレゼン資料改善例(園塚さん提供)

「おかげで、プレゼンに勝った」の声がうれしい

園塚さんの実力は、お客さんのレビューという形でダイレクトに跳ね返ってきます。そして、好意的なレビューは次の注文を生む好循環に。なかには、「絶対通したい重要なプレゼンの資料」などの重要な案件を任せてきた中小企業の社長もいたそうです。

「お客さんからは感謝の言葉をたくさんいただきました。『大満足。おかげ様でプレゼンに勝てました!』なんて書いてもらった日には、会社の仕事では得られない満足感が味わえたものです。会社の仕事は、普通にできて当たり前という環境でしたから。人に褒めてもらうと自分のエネルギーやモチベーションになるということを、この年齢になってあらためて実感しましたね」(園塚さん)

収入の増加にともなって、働き方も「費やした時間」から「成果物の質」を重視するように自然と変わっていったと言います。

「昔に比べるとだいぶ事情は変わってきたと思いますが、会社の仕事は、『がんばったから』とか『長い時間をかけたから』とか温情的要素もゼロではないですよね。でも副業だとそうはいきません。極端な話、1時間かかろうが100時間かかろうがお客さんには関係がない。問われるのは成果物の質だけです。そんな副業のシビアな世界を経験してから、生産性やクオリティが上がっていきました。それが結果的に、本業にもプラスに働く副産物までついてきました」(園塚さん)

ココナラでは「ぷれぜん仙人」の名前で活動する園塚さん。好意的なレビューが多く寄せられ、5段階評価で4.9というきわめて高い評価を得ています(画像はココナラより)

ココナラでは「ぷれぜん仙人」の名前で活動する園塚さん。好意的なレビューが多く寄せられ、5段階評価で4.9というきわめて高い評価を得ています(画像はココナラより)

会社の中から外へ。違う景色が成長をうながす

園塚さんが副業で手がけたプレゼン資料作成は70件以上。会社の中では見えにくかった「プレゼン資料作り」のスキルの価値を知り、プロとして実力を磨いた結果、現在はフリーのプロモーションコンサルタントとして独立を果たします。

「独立した今、会社の中では自分のスキルの価値に気づきにくかったとあらためて感じます。僕のいた環境に限った話かもしれませんが、どちらかというと会社の中は減点主義の傾向にあったので、才能や実力が小さくまとまってしまうのかもしれません。自分にとっては当たり前のスキルでも、それを欲しがっている人は、探せば世の中にたくさんいるもの。それに気づけるのも副業の魅力のひとつですし、そういったお客さんたちに自分のスキルを認めてもらえると、世界が広がっていきますよね」(園塚さん)

園塚さんの実体験は、自分の仕事にプロ意識を持ってレベルを上げていくことで新しい可能性が生まれることを教えてくれました。そして、そのきっかけとなったのが副業という会社の”外”の世界だったことは注目したいポイントです。誰しも転職や独立を望んでいるわけではないでしょうし、そもそも副業が就業規則等で禁じられている人だってまだまだ多いことでしょう。しかし、副業という形でなくても、会社の”外”に少し目を向けてみることで、新しい世界が開ける可能性があることは頭にとどめておいても損はないと思います。

後編は、園塚さんと同じく、会社の中で磨いた「ファシリテーション=会議の仕切り」のスキルを副業の世界で花開かせた園部さんの登場です。「失敗や苦手意識があったからこそ、ファシリテーションを売れる商品にできた」と話す園部さん。園塚さんとはまたひと味違う副業体験を、ぜひお読みください。

社外にチャンス。会社員が平凡スキルで副業を実践。しかも成功して独立へ!【会議の仕切り 編】

※本記事は、取材者及び執筆者個人の見解です。企業によっては従業員の副業を禁止している場合があります。会社員の方が副業を行う場合は、勤務先の就業規則等をご確認ください。

【関連記事】
園塚さんも活用しているココナラをはじめ、副業マッチングサービスと呼ばれる4社に取材。最新の副業ニーズについて聞いた記事です。

百瀬康司

百瀬康司

フリーランスのライター。副業をはじめ、投資、貯蓄、節約などマネー企画全般を幅広く取材。ビジネスや働くママのジャンルでも取材経験が豊富。雑誌、Web、夕刊紙、書籍で執筆を行い「真に価値ある情報提供」を使命とする。

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