巨大台風、豪雨、首里城の火災など、今年2019年も多くの災害が日本列島を襲いました。被害にあわれた方には心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、被害の報道などを受けて「何か力になりたい」という思いを抱いた人も少なくなかったのではないでしょうか? そこで今回は、共通ポイントやクレジットカード決済で貯まるポイントなどを対象にした、「ポイントでできる寄付」に注目したいと思います。
矢野経済研究所の調査(※)によると、2018年のポイントサービスの市場規模は1兆8,930億円(ポイント発行ベースの推計)にまで達し、数年後には2兆円を超える見込みだそうです。そのいっぽう、ほとんどのポイントには有効期限があり、使われずに失効してしまうポイントも少なくないようです。2016年の調査で日本の寄付市場は約7,700億円と推計されていますが(日本ファンドレイジング協会調べ)、もし失効してしまうポイントが少しでも寄付に向けられるようになったら……? 日本の寄付や社会貢献活動に大きな影響を与えるに違いありません。そして、それを後押しするかのようにポイントで寄付する仕組みが充実してきています。
※2018年度の国内ポイントサービス市場規模は1兆8,930億円まで拡大(矢野経済研究所)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2178
共通ポイントやクレジットカードで貯まるポイントなどを社会貢献に活用できる仕組みが整い始めています
今回紹介するのは下記の20種類の寄付プログラムです。これらを、寄付するポイントによって「共通ポイント」「クレジットカードのポイント」「交通系ポイント」「ショッピング系ポイント」の4つのカテゴリーにわけて紹介します。皆さんがすでにお持ちのポイントの活用方法として、あるいは新たにクレジットカードを探す際などの参考としてご活用いただければと思います。
※掲載している寄付プログラムは、2019年11月26日時点のものです。
まずは、「4大共通ポイント」と呼ばれている「Tポイント」「楽天スーパーポイント」「Pontaポイント」「dポイント」の寄付プログラムから紹介します。
※各寄付プログラムの見出しは、【名称/運営企業】です。名称のない寄付プログラムの場合は共通ポイント名が入っています。
ヤフーが運営する日本最大級の寄付ポータルサイトです。Tポイントを使って1ポイント(=1円換算)から寄付ができます(クレジットカードでの寄付も可能です)。寄付の対象はさまざまで、首里城の復興支援、難病やケガに苦しむ人を救うものなどがあり、なかにはユーザーからの寄付と同額をヤフー株式会社が寄付し、合計で寄付額が2倍になる「マッチング寄付」が適用される寄付先もあります。寄付を行うにはYahoo JAPAN IDの取得(無料)が必要です。
画像はYahoo!ネット募金公式サイトより
Yahoo!ネット募金/ヤフー株式会社
主な寄付の対象:首里城の復興支援、台風19号の災害支援
公式サイト:https://donation.yahoo.co.jp/
Tポイント・ジャパンが運営するTポイントの寄付サイトです。Tポイントを1ポイント単位で寄付できます。同じくTポイントを寄付で使える「Yahoo! ネット募金」とは異なる寄付先も用意されているので、Tポイントを使って寄付をしたい時には、両方を比較して寄付先を選ぶと良いでしょう。
画像はTポイント募金公式サイトより
Tポイント募金/株式会社Tポイント・ジャパン
主な寄付の対象:首里城の復興支援
公式サイト:https://tsite.jp/donation/index.pl
年間で約2,000億ポイント以上が発行されている人気ポイント楽天スーパーポイントが使えるインターネット募金です。1ポイント=1円から各団体に寄付ができます(楽天スーパーポイントのほか、クレジットカードや楽天銀行への振り込みによる寄付も可能)。寄付の対象はさまざまで、台風19号の被害支援募金や森林の整備活動などが用意されています。
画像は楽天クラッチ募金公式サイトより
楽天クラッチ募金/楽天株式会社
主な寄付の対象:台風19号の被害支援募金(2020年1月14日まで)
公式サイト:https://corp.rakuten.co.jp/donation/
画像はPonta公式サイトより
全国の提携社やネットサービスの利用で貯まる共通ポイントのPontaは、Ponta webを通じて50ポイント単位(1ポイント=1円)で各団体に寄付できます。寄付の対象はさまざまで、台風19号の災害支援、地球環境保全の活動支援、難民・避難民の人道支援などが用意されています。
Pontaポイント/株式会社リクルートホールディングス
主な寄付の対象:台風19号の災害支援(2019年12月31日まで)
公式サイト:https://spend.ponta.jp/Form/Product/ProductList.aspx?shop=0&cat=113
画像はdポイント公式サイトより
NTTドコモが提供するポイントサービスdポイント。1ポイント=1円から各団体に寄付できます。寄付の対象は被災地支援募金、子どもの未来応援基金、BHNテレコム支援協議会(東南アジアの開発途上国・地域の生活向上支援や国内外の自然災害被災者の支援などにあてられる)の3つ。1回の寄付につき最大99,999ポイントまで申込み可能です。
dポイント/株式会社NTTドコモ
主な寄付の対象:台風19号の災害被災者支援募金(2019年11月30日まで)
公式サイト:https://dpoint.jp/ctrw/web/use/donation/donation_use_detail.html
クレジットカードで決済すると、各カードの還元率に応じてもらえる「クレジットカードのポイント」。ギフトと交換したり、マイルや共通ポイントなどに交換したりするのが一般的ですが、ポイントの交換先として寄付を用意しているカードも多くあります。ここでは10社をピックアップして紹介します。
※各寄付プログラムの見出しは、【カード名・ポイント名/運営企業】です。
画像はセゾンカード公式サイトより
セゾンカードを使うと貯まる「永久不滅ポイント」。1口100ポイント(=500円換算)から各団体に寄付できます。寄付の対象はさまざまで、首里城の再建支援、台風19号の災害支援など。ユニークなものとしてはサッカー日本代表の強化資金にあてられるものも用意されています。公式サイトのポイント交換先のカテゴリーから「チャリティ」を選択して申し込みます。
セゾンカード・永久不滅ポイント/株式会社クレディセゾン
主な寄付の対象:首里城再建の支援(2020年1月15日まで)、台風19号の災害支援(2019年12月15日まで)
公式サイト:https://www.saisoncard.co.jp/point/item/search/?categ=charity&point=all
画像はJCBカード公式サイトより
JCBカードの利用で貯まる「Oki Dokiポイント」。200ポイント以上1ポイント単位から各団体に寄付できます。1ポイント=5円換算。会員専用Webサービス「MyJCB」にログインのうえ、ポイント交換先として「ポイントチャリティー」から「日本赤十字社」などを選択して申し込みます。
JCBカード・Oki Dokiポイント/株式会社ジェーシービー
主な寄付の対象:日本赤十字社を通じて台風などの災害義援金にあてられる
公式サイト:https://www.jcb.co.jp/point/use/transfer/
画像は三井住友カード公式サイトより
三井住友カードの利用で貯まる「ワールドポイント」。1口200ポイントを1,000円に換算し、台風19号の災害義援金として寄付できます。会員専用Webサービス「Vpass」にログイン後、「景品の検索・交換申込」→「期間限定景品を検索」→「令和元年台風第19号災害義援金」を選択して申し込みます。クレジットカードによる寄付も可能です。
三井住友カード・ワールドポイント/三井住友カード株式会社
主な寄付の対象:台風19号の災害義援金(2020年1月31日まで)
公式サイト:https://www.smbc-card.com/mem/wp/keihin.jsp
画像はライフカード公式サイトより
ライフカードの利用で貯まる「ライフサンクスポイント」。ポイント交換先としてチャリティーコースが用意され、ブログラムに応じたポイント数で各団体に寄付できます。寄付の対象はさまざまで、東日本大震災の復興義援金(100ポイント=500円換算)、東京2020オリンピックを目指すアスリートへの支援(200ポイント=1,000円換算)など。
ライフカード・ライフサンクスポイント/ライフカード株式会社
主な寄付の対象:東日本大震災の復興義援金(2020年3月31日まで)
公式サイト:http://www.lifecard.co.jp/card/service/point/goods/chrty.html
画像はエポスカード公式サイトより
エポスカードの利用で貯まる「エポスポイント」。1ポイント=1円に換算し、500ポイント以上500ポイント単位で各団体に寄付できます。会員専用Webサービス「エポスNet」にログインし、「支援団体に寄付する」から日本赤十字社などを選択後、「ポイントで寄付する」から申し込みます。
エポスカード・エポスポイント/株式会社エポスカード
主な寄付の対象:日本赤十字社を通じて台風などの災害義援金にあてられる
公式サイト:https://www.eposcard.co.jp/epospoint/guide.html?from=top_gvnavi_point_rp
画像はポケットカード公式サイトより
ポケットカードの利用で貯まる「ポケットポイント」。1ポイント=1円に換算し、カード会社名義で各団体に寄付されます。すべて300ポイント以上100ポイント単位で交換できます。寄付の対象はさまざまで、ユニセフ、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、遺児の奨学金(あしなが育英会)、緑の募金など。
ポケットカード・ポケットポイント/ポケットカード株式会社
主な寄付の対象:遺児の奨学金を通じて病気や災害、自死で親を亡くした子どもたちに対し、奨学金の貸与と心のケアの物心両面での支援にあてられる
公式サイト:https://www.pocketcard.co.jp/service/point/exchange/charity.html
画像はau WALLET カード公式サイトより
au WALLET カードやau携帯電話などの利用で貯まる「au WALLETポイント」。KDDIが運営する社会貢献サイト「キボウのカケハシ」から、100ポイント=100円単位で各団体へ寄付することができます。寄付の対象はさまざまで、東日本大震災の被災地支援、高齢者や障害者の生きがい創出を目的とした支援など。寄付は同ポイントのほか、クレジットカード やじぶん銀行口座からの送金などでも可能です。
au WALLET カード・au WALLETポイント/KDDI株式会社
主な寄付の対象:東日本大震災発生時に0歳だった赤ちゃんが、無事20歳を迎えるその日まで20年間継続的に支援する「ハタチ基金」
公式サイト:http://kakehashi.kddi.com/
画像はダイナース公式サイトより
ダイナースクラブカードの利用で貯まる「ダイナースポイント」。1口1,000ポイント単位(500円相当)で台風19号の災害支援金として寄付することができます。会員専用オンラインサービス「クラブ・オンライン」にログイン後、「日本赤十字社 専用賞品コード:5268791 【チャリティ/日本赤十字社 令和元年台風第19号災害義援金】」から申し込みます。
ダイナースクラブカード・ダイナースポイント/三井住友トラストクラブ株式会社
主な寄付の対象:台風19号災害義援金(2020年3月6日まで)
公式サイト:https://www.sumitclub.jp/JPCRD/col/action/WA2010101Action/RWA2010101
画像はオリコカード公式サイトより
オリコカードの利用で貯まる「オリコポイント」。同カードポイントサービス「暮らスマイル」および「オリコポイント」のポイントを寄付できます。寄付の対象はさまざまで、東日本大震災義援金、台風19号災害義援金など。会員専用Webサービス「e-Orico」にログインして申し込みます。
オリコカード・オリコポイント/株式会社オリエントコーポレーション
主な寄付の対象:台風19号災害義援金(2020年2月29日まで)
公式サイト:https://www.orico.co.jp/creditcard/point/
画像は出光カード公式サイトより
出光カードの利用で貯まる「出光プラスポイント」。ポイント交換により社会貢献コースから寄付できます。必要なポイント数は社会貢献の内容ごとに異なり、台風19号災害義援金(100ポイント=100円分を1口)、鎮守の森保全育成のための寄付(200ポイント=200円分を1口)、日本赤十字社への寄付(500ポイント=500円分を1口)などがあります。会員専用Webサービス「ウェブ ステーション」から申し込みます。
出光カード・出光プラスポイント/出光クレジット株式会社
主な寄付の対象:台風19号災害支援金(2020年1月6日まで)
公式サイト:http://www.idemitsucard.com/privilege/present/catalog/kouken.html
3つ目のカテゴリーでは、JR東日本の共通ポイントである「JRE POINT」と、JAL、ANA両社のマイルを寄付で活用する方法を紹介します。
※各寄付プログラムの見出しは、【ポイント名/運営企業】です。画像はJR東日本公式サイトより
JR東日本の在来線に乗ったり、駅の店舗で買い物したりすると貯まる共通ポイント「JRE POINT」。1ポイント=1円換算で各団体に寄付できます。寄付の対象はさまざまで、首里城復興ユネスコ募金、日本赤十字社、東日本大震災子ども支援募金など。JRE POINT Webサイトにログインして申し込みます。
JRE POINT/東日本旅客鉄道株式会社
主な寄付の対象:首里城復興ユネスコ募金(2020年1月31日まで)
公式サイト:https://www.jrepoint.jp/item/list/?category=015
画像はJAL公式サイトより
JALマイレージバンク会員は、JALチャリティ・マイルを通じてマイルによる寄付ができます。環境保全や慈善活動に取り組む団体を多方面に支援。必要なマイル数はチャリティごと異なり、1マイル=1円換算でマイル相当数が寄付されます。寄付の対象は、首里城再建支援マイル(1口3,000マイルから)、台風19号被災者支援マイル(1口500マイルから)など。
JALマイル/日本航空株式会社
主な寄付の対象:首里城再建支援マイル(2019年12月22日まで)、台風19号被災者支援マイル(2019年11月30日まで)
公式サイト:https://www.jal.co.jp/jalmile/use/charity/
画像はANA公式サイトより
ANAマイレージ会員は、マイルを使って寄付・支援ができます。必要なマイル数は寄付・支援の内容によって異なり、1マイル=1円換算でマイル相当数が寄付されます。寄付の対象はさまざまで、ユネスコへの寄付(1口3,000マイル)、WonderFly(新たなモノづくりやコトづくりに挑戦する人が集う新プラットフォーム)への支援(1口1,800マイルから)、社会起業家の支援(1口3,000マイル)など。
ANAマイル/全日本空輸株式会社
主な寄付の対象:世界各地のさまざまな問題に立ち向かうチェンジメーカー(社会起業家)を支援(2020年3月31日まで)
公式サイト:https://www.ana.co.jp/ja/jp/amc/reference/tukau/donation/
最後は、ショッピングで貯まるポイントの寄付プログラムの紹介です。イオンの電子マネー「WAON」と、セブン-イレブンなどで貯まる「nanaco」の2つを取り上げます。
画像はWAON公式サイトより
イオンの電子マネー「WAON」をチャージしたり、買い物で貯めたりできるのが、プリペイドカードの「WAONカード」です。その一種として「ご当地WAON」があります。このカードは、買い物などの利用で地域貢献ができるもの。具体的には、ユーザーが応援したい地域のご当地WAONを購入し、WAON加盟店でそのカードを支払いに利用すると、利用金額の0.1%をイオンが自治体などの寄付にあてる仕組みになっています。現在、ご当地WAONは全国約51か所分発行されています(2019年9月時点)。そのひとつ「首里城WAON」は、期間限定で通常の0.1%から10倍の1%に寄付額が引き上げられており、首里城火災のお見舞いと復興支援にあてられます。
ご当地WAON/イオン株式会社
主な寄付の対象:「首里城WAON」を通じた首里城火災のお見舞いと復興支援(2020年2月29日まで)
公式サイト:https://www.waon.net/card/region/
画像はnanaco公式サイトより
セブン−イレブンなどでの買い物で貯まる電子マネー「nanaco」。nanacoポイントを1ポイント=1円換算で、1ポイントから各団体に寄付できます。寄付の対象はさまざまで、首里城火災の支援金募金など。nanacoサイトの会員メニューにログイン後、「ポイント交換・ポイント募金」メニューの「ポイント募金」を選択して申し込みます。
nanaco/株式会社セブン・カードサービス
主な寄付の対象:首里城火災の支援金募金(2020年12月31日まで)
公式サイト:https://www.nanaco-net.jp/point/use/bokin.html
この企画のリサーチを始めた当初は、ポイントでできる寄付がどれくらいあるのか未知数でした。しかし、結果的に種類・内容ともに充実していることがわかり、よい意味で裏切られた印象です。ここに掲載できなかったものも多いので、お持ちのクレジットカードやポイントサービスについて一度チェックされてみてはいかがでしょうか?
多くのポイント寄付を調べてきて筆者が特に興味を抱いたのは「1. Yahoo!ネット募金」と「19. ご当地WAON」でした。「Yahoo!ネット募金」は、寄付の案件によってヤフーがユーザーの寄付額と同額を負担し、実質的に寄付額が倍増となる「マッチング寄付」の仕組みが採用されています。また「ご当地WAON」は、WAON加盟店での買い物などの利用額に応じて寄付額が増える仕組みになっています。いずれも他社にない寄付の仕掛けで、ポイントでの寄付の魅力を高める取り組みだと感じました。
最後に、寄付金控除についても触れておきます。納税者が国や地方公共団体、特定の公益増進法人などに寄付をすると、確定申告することで所得控除(寄付金控除)や税額控除(寄付金特別控除)を受けることができます。ただし、寄付先が寄付控除の対象となる団体であっても、ポイントでの寄付の場合はほとんど控除の対象にはならないようです。実際、今回紹介した20のポイント寄付プログラムのうち16のサイトで「寄付金控除の対象にはならない」や「領収書の発行はしていない」という旨の記載がありました(セゾンカード、au WALLEETカード、ライフカード、JRE POINTの計4サイトでは寄付金控除に関する記載は見つかりませんでした)。
ただし、記事内では取り上げませんでしたが、インヴァスト証券のようにユーザーがFX取引を通じて貯めたポイントを認定NPO法人に寄付することができ、それが寄付金控除の対象となるような仕組みもあるようです(※)。今後、ポイントでの寄付の控除の扱いについては変わっていく可能性があることは心に留めておいていただければと思います。
※参考:インヴァスト証券「社会貢献ポイントプログラム」
https://www.invast.jp/missionproject/about/
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使い道がないポイントや、商品などに交換できるほどの数が貯まっていない端数のポイントでも有効に活用できるポイント寄付。思い立ったらすぐにネット経由で寄付できる気軽さも魅力です。2019年の締めくくりに、ポイントの使い道のひとつとして寄付に関心を寄せてもらえれば幸いです。
※本記事は、執筆者の⾒解です。また、各サービスをご利⽤の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。