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自動車税、固定資産税などの「キャッシュレス納税」が便利! 支払い手段も多様化

かつては、税金の納付場所といえばコンビニや金融機関が一般的でしたが、最近は「PCやスマホを使って、家にいながら税金を納付できる方法」が急速に増えています。この記事では、そんな「キャッシュレス納税」の方法をご紹介します。
(最終更新日:2023年4月7日)

一部の自治体を除き、「自動車税(種別割)」や「軽自動車税(種別割)」は例年5月末日が納付期限。記事を参考に、お住まいの自治体のキャッシュレス納税への対応状況をチェックしてみてください

一部の自治体を除き、「自動車税(種別割)」や「軽自動車税(種別割)」は例年5月末日が納付期限。記事を参考に、お住まいの自治体のキャッシュレス納税への対応状況をチェックしてみてください

「どこに納める税金か」によって方法が変わる

税金には国が課税主体となる「国税」と、地方自治体が課税主体となる「地方税」があります。地方税はさらに、都道府県に納付する「自動車税(種別割)」や、市区町村に納付する「軽自動車税(種別割)」「固定資産税」などに分かれます。キャッシュレスで納付する際は「どこに納める税金か」によって方法が異なります。

本記事は、
・「国税……所得税、贈与税、相続税など」
・「都道府県に払う地方税……自動車税(種別割)など」及び「市区町村に払う地方税……軽自動車税(種別割)、固定資産税など」
の順に話を進めていきます。

【国税】2022年よりスマホ決済でも納付できるようになった

まずは「所得税」「贈与税」「相続税」など、国に納める国税から説明します。国税は、2017年より、クレジットカードでの納付に対応。さらに、2022年12月より、スマホ決済での納付(国税庁の表記では「スマホアプリ納付」)にも対応するなど、キャッシュレスで納付できる手段が増えています。

クレカで納付できる「国税クレジットカードお支払サイト」

国税のクレジットカードでの納付は、専用サイトの「国税クレジットカードお支払サイト」を利用します。

「国税クレジットカードお支払サイト」より

「国税クレジットカードお支払サイト」を運営しているのは、国税庁長官が指定した納付受託者である「トヨタファイナンス株式会社」。画像は「国税クレジットカードお支払サイト」より

「国税クレジットカードお支払サイト」は、ほぼすべての国税の税目の納付に使えます。1回の手続きにおける利用可能額は「1,000万円未満かつ利用するクレジットカードの限度額内」となっており、これを超える金額の場合は、納付手続きを複数回行うことで利用が可能です。

対応しているクレジットカードはVisa、Mastercard、JCB、アメックス、ダイナースのほか、トヨタファイナンス発行の「TS CUBIC CARD」。サイトの指示に従い、利用者情報や納付書の番号、クレジットカードの情報を入力するだけで24時間オンラインでの納付が可能です。

「国税クレジットカードお支払サイト」で納付できる税目
・申告所得税及び復興特別所得税、・消費税及び地方消費税、・法人税(連結納税を含む)
・地方法人税(連結納税を含む)、・相続税、・贈与税
・源泉所得税及び復興特別所得税(告知分)、・源泉所得税(告知分)
・申告所得税、・復興特別法人税(連結納税を含む)
・消費税、・酒税、・たばこ税、・たばこ税及びたばこ特別税、・石油税
・石油石炭税、・電源開発促進税、・揮発油税及び地方道路税、・揮発油税及び地方揮発油税
・石油ガス税、・航空機燃料税、・登録免許税(告知分)、・自動車重量税(告知分)
・印紙税、・国際観光旅客税、・国際観光旅客税(告知分)
※本税のほか、附帯税(加算税、延滞税など)の納付も可能です(附帯税のみの納付でも可能)。

手数料がかかるのでクレカのポイントとの“収支”に注意

国税クレジットカードお支払サイトでの納付時にはクレジットカードの分割払いやリボ払いが使えるため、大きな金額になる際は心強い存在です(ただしカード会社側の手数料は別途かかります)。また、納税額に応じて、利用したクレジットカードのポイントも貯まります(※)。たとえばポイント還元率1%のクレジットカードで10万円分納付した場合、単純計算で1,000円分のポイントが貯まります。

※クレジットカードによっては、税金の納付の場合はポイント付与の対象外のものや、通常よりも低いポイント還元率が適用されるもの(楽天カードなど)があります。詳細は各カードのルールをご確認ください。

ただし、国税クレジットカードお支払サイトでは決済手数料がかかるため、貯まるポイントとの「収支」にご注意ください。たとえば、先ほど例に出した「10万円を納付する場合」は手数料が836円かかります。ポイント還元率1%のクレジットカードで支払う場合は164円分得することになりますが、ポイント還元率が0.5%のクレジットカードで支払う場合は逆に336円マイナスになります。

国税クレジットカードお支払サイト上に納付予定金額を入力すると手数料がわかるようになっているので、支払う前に確認するとともに、還元率の高いクレジットカードのご用意も検討されるといいでしょう。

▼国税クレジットお支払サイトの手数料
納付税額           決済手数料
・1円〜10,000円       83円
・10,001円〜20,000円   167円
・20,001円〜30,000円   250円
・30,001円〜40,000円   334円
・40,001円〜50,000円   418円
50,000円以降も、10,000円を超えるごとに決済手数料加算。

▼ポイント還元率1%のクレジットカードで10万円を納税した場合
獲得ポイント1,000ポイント(1,000円相当)−836円=164円
▼ポイント還元率0.5%のクレジットカードで1万円を納税した場合
獲得ポイント500ポイント(500円相当)−836円=−336円

▼国税クレジットカードお支払サイト
https://kokuzei.noufu.jp/

スマホ決済での国税の納付も2022年12月にスタート

続いて、2022年12月より始まった、スマホ決済で国税を納付する方法(正式名称は「スマホアプリ納付」)です。これは、「コンビニや税務署などの窓口で税金を納付する際にスマホ決済が使う方法」ではなく、GMOペイメントゲートウェイ株式会社が運営する「国税スマートフォン決済専用サイト」を通じて、各種スマホ決済で直接国税を納付する方法になります。現時点で「スマホアプリ納付」が対応しているスマホ決済サービスは下記の6サービスです。

国税の「スマホアプリ納付」で使えるスマホ決済サービス
・PayPay
・d払い
・au PAY
・LINE Pay
・メルペイ
・Amazon Pay
※2023年4月3日時点

各スマホ決済サービスとも、納付前にあらかじめチャージが必要となるため、事前に残高を準備しておく必要があります。また、「スマホアプリ納付」の限度額は30万円と、クレジットカードでの国税の納付よりも限度額が低く設定されており、スマホ決済サービスによっては、別途30万円以下の限度額が設けられている場合があるようなので、こちらも事前にチェックしておくことをおすすめします。

国税の「スマホアプリ納付」で納付できる税目
・申告所得税及び復興特別所得税、・消費税及び地方消費税、
・法人税(グループ通算、連結納税を含む)、・地方法人税(グループ通算、連結納税を含む)
・相続税、・贈与税、・源泉所得税及び復興特別所得税、・源泉所得税(告知分のみ)
・酒税、・たばこ税、・たばこ税及びたばこ特別税、
・石油税、・石油石炭税、・電源開発促進税、・揮発油税及び地方道路税
・揮発油税及び地方揮発油税、・石油ガス税、・航空機燃料税
・登録免許税(告知分のみ)、・自動車重量税(告知分のみ)
・印紙税、・国際観光旅客税
※本税のほか、附帯税(加算税、延滞税など)の納付も可能です(附帯税のみの納付でも可能)。

「スマホアプリ納付」は手数料無料

国税のクレジットカード払いと異なり、「スマホアプリ納付」には手数料がかからないというメリットがあります。ただし、現在「スマホアプリ納付」に対応している各スマホ決済サービスとも、税金を含む「請求書払い」はポイント付与の対象外となっており、ポイント獲得のうまみはありません(※)。

スマホ決済サービスによっては、「前月の利用回数によって翌月のポイント還元率アップ」などの特典を設けているものがあり、税金の支払いもその利用回数にカウントされるものもあるようです(PayPayなど)。おトクさにこだわる人は、そういった特典のあるスマホ決済サービスを選ぶと良いでしょう。

※2023年3月までは、「au PAY」のみ0.5%のポイント付与があったのですが、2023年4月よりルールが変わりポイント付与の対象外になっています。

【地方税】統一コードを用いたオンライン納付がスタート

続いて地方税です。前出のとおり、地方税は税目によって、納付先が「都道府県」と「市区町村」と異なります。かつては、納付先の地方自治体によって、キャッシュレスでの納付への対応状況はまちまちでした。しかし、2023年4月以降より、原則としてどの地方自治体に納める地方税であっても、納付書に印字された「eL-QR(エルキューアル)」(地方税統一QRコード)を利用した、クレジットカードやスマホ決済などでの納付が可能となっています(※)。

ここでは、本記事がテーマとしている「キャッシュレス納税」の方法として、主にクレジットカードとスマホ決済での納付方法をご紹介します。

※「eL-QR」を用いた納付に対応した地方税の税目は下記のとおり。対応税目は今後拡大予定とのこと。詳細は各地方自治体の公式サイトなどをご確認ください。
自動車税(種別割)、個人事業税、不動産取得税、市・県民税(普通徴収)、固定資産税・都市計画税、軽自動車税種別割

2023年4月以降発送される地方税の納付書のイメージ。「eLマーク」「eL-QR」「eL番号」が印字されており、これらを用いたオンラインでの納付が可能となりました。納付書のレイアウトは、地方自治体や納付書の種類によって異なる場合があります(画像は「地方税お支払サイト」より)

2023年4月以降発送される地方税の納付書のイメージ。「eLマーク」「eL-QR」「eL番号」が印字されており、これらを用いたオンラインでの納付が可能となりました。納付書のレイアウトは、地方自治体や納付書の種類によって異なる場合があります(画像は「地方税お支払サイト」より)

「地方税お支払いサイト」でクレカ納付が可能

まずクレジットカードでの納付ですが、2023年4月1日に運用が始まった専用サイト「地方税お支払いサイト」を通じて行います。

画像は「地方税お支払いサイト」より

画像は「地方税お支払いサイト」より

手順は下記のとおりシンプルです。

STEP1 「eL-QR」の読み取り
「地方税お支払サイト」のトップ画面で「eL-QR読取」を選択。「カメラを起動する」を押し、「eL-QR」を読み取ります(PC、スマホどちらでもOK)。
※「eL番号」を直接入力することも可能です。

STEP2 納付額を確認
納付額や納付先を確認して、「お支払い」へ。支払う納付書を追加する場合は「続けて読み取る」をクリック。

STEP3 支払い方法を選択
支払い方法で「クレジットカード」を選択します。そのほか、選べる決済方法は下記のとおりです。
・クレジットカード
・インターネットバンキング
・口座振替(ダイレクト方式)
・Pay-easy(ペイジー)

STEP4 手続き完了
支払完了メールの受信を確認。

納付上限額は1回の納付につき1,000万円未満で、システム利用料として、最初の1万円までは37円かかり、以降、1万円ごとに75円が加算されます。国税の場合と同じく、クレジットカード側で付与されるポイントとの「収支」をあらかじめチェックしておきたいところです。

スマホ決済アプリでも「eL-QR」を用いた納付ができる

続いて、スマホ決済での地方税の納付方法です。これまでも、地方自治体によっては、納付書に印字されたコンビニ支払い用のバーコードを読み取る方法で、スマホ決済での支払いに対応しているところがありました。しかし、「利用できるスマホ決済が地方自治体によって違う」「地方自治体によってはどのスマホ決済にも対応していない」など、わかりにくさは否めませんでした。

2023年4月以降は、原則としてどの地方自治体であっても納付書に「eL-QR」が印字され、下記のスマホ決済を用いた納付が可能となります。

※2023年3月までに発行された納付書には「eL-QR」が印字されていないため、下記のスマホ決済での納付に対応していない可能性があります(上記のとおり、地方自治体によって対応するスマホ決済が異なっているため)。詳細は各地方自治体にご確認ください。地方自治体によっては、2023年3月までに発行された納付書を、「eL-QR」付きの納付書として再発行してくれるところもあるようです。

「eL-QR」の読み取りに対応しているスマホ決済アプリ(2023年4月6日時点)
※日付の記載のないアプリはすでに対応中のもの。

■主要スマホ決済
・au PAY 
・PayPay
・楽天ペイ(2023年4月17 日より対応予定)
・d払い(2023年4月17 日より対応予定)
・ファミペイ
■銀行系アプリ
・楽天銀行アプリ
・京銀アプリ
・北陸銀行ポータルアプリ
・YOKA!Pay(熊本銀行)
・YOKA!Pay(十八親和銀行)
・YOKA!Pay(福岡銀行)
・どうぎんアプリ(2023年4月12日より対応予定)
・はまPay(2023年4月12日より対応予定)
・Bank Pay(2023年4月19 日より対応予定)
・Wallet+
■その他
・エフレジ公金支払い
・さるぼぼコイン
・PayB
・モバイルレジ
・atone
・真庭市地域通貨 まにこいん(2023年4月24日より対応予定)

支払いに使える残高やポイント付与の有無はスマホ決済によって異なる

基本的な納付方法はいずれも同じで、スマホ決済アプリを立ち上げ、スマホのカメラで納付書の「eL-QR」を読み取り、納付する流れです。クレジットカードで納付する場合と異なり、「地方税お支払サイト」を介すことなく、直接アプリ上で支払う仕組みとなっています。

支払い上限額や手数料は各アプリによって異なるようですが、筆者が確認した限り、おおむね支払い上限額は30万円、手数料は無料としているアプリが多いようです。また、支払いに使える「残高の種類」やポイント付与の有無についても各アプリによってルールが異なるようです。

下記は、現時点で筆者が確認できた、「『eL-QR』を利用した地方税の納付でポイント付与などのメリットがあるスマホ決済アプリ」です。現時点ではメリットのないスマホ決済も、今後キャンペーンなどを実施する可能性がありますので、実際に納付するタイミングで各スマホ決済アプリのルールをチェックするといいでしょう。

「eL-QR」を利用した地方税の納付にメリットのあるスマホ決済例(2023年4月6日時点)

・楽天ペイ(楽天カードユーザー限定)
楽天ペイは、電子マネー「楽天キャッシュ」での請求書払いに対応しています。楽天カードから楽天キャッシュへのチャージには0.5%分の楽天ポイントが付与されるので、実質的に、地方税の支払いでも0.5%分のポイントが付くことになります。
※楽天ペイによると、自動車税の納付時期に合わせて「抽選で全額還元、はずれても全員もれなく最大1%還元」のキャンペーンの開催が予告されています。

・ファミペイ
これまでの「請求書払い」と同様に、「eL-QR」を利用した地方税の支払い1件につき、ファミペイボーナスが10円相当付与されます。また、「eL-QR」での決済方法に「ファミペイ翌月払い」を利用すると、利用額の0.5%分のファミペイボーナスも付与されます。2023年5月までは下記の関連キャンペーンも実施されています。

〈関連キャンペーン〉
2023年5月31日まで、「ファミペイ翌月払い」の利用で最大4%還元
https://famipay.famidigi.jp/cp/cp089/230301/

まとめ

以上、「PCやスマホを使って、家にいながら税金が支払える」「ポイント還元など、条件によっておトクが狙える可能性もある」キャッシュレス納税についてご紹介しました。おトクに納税できるかどうかは手数料や納付額、利用するクレジットカードやスマホ決済の条件が関係してきますので、その点はご注意いただきつつ、ぜひ皆さんもキャッシュレス納税を検討していただければと思います。

車検のスケジュールにご注意を

最後に一点、車検を控えている人はスケジュールにご注意ください。車検を受ける際は、運輸支局で自動車税の納税確認が行われますが、キャッシュレスで納付した場合、納税情報がシステムに反映されるまで2〜3週間ほどかかる場合があるようです。納付直後に車検を控えている人は、金融機関窓口などで納付するようにしましょう。

また、従来は車検時に納税証明書が必要だった軽自動車税ですが、2023年1月より、納付情報を軽自動車検査協会がオンラインで確認できる「軽JNKS(ケイジェンクス)」というシステムが稼働したことにより、納税証明書の提示が原則不要となっています(※)。ただし、自動車税と同様、納付直後の場合はシステムへの反映が間に合わない可能性があるようなので(反映までには10日前後かかるようです)、時間に余裕がない人は金融機関などで納付したほうが安全です。

※自動二輪車(バイク)・原付・小型特殊自動車は軽JNKSの対象外なので、車検の際には従来通り、紙の納税証明書の提示が必要。

野 洋介(編集部)
Writer / Editor
野 洋介(編集部)
書籍や月刊マネー誌の編集者を経て価格.comマネー編集部。“世界3大投資家のひとり”を含む投資家、専門家、経営者、副業実践者などへの取材経験豊富。名字の読みは「の」。ルーツは北陸(らしいです)。
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