「JRE POINTがいつの間にか貯まってた!」
JRE POINTは、JR東日本が提供するポイントプログラムですが、Twitterを検索すると、こうした喜び(驚き)のツイートを見かけることがあります。実は筆者もそのひとり。JRE POINTの貯め方は複数あり、クレジットカードのビューカードの利用で貯まるというのはよく知られていますが、JR東日本の日曜の鉄道利用でも、コツコツと貯められるのが大きな特徴となっています。
首都圏在住の筆者も、ライターという職業柄、取材、そして旅行などでJR東日本の在来線を日常的に利用しており、そのおかげでここ数年間で約4,000PのJRE POINTを貯めることができました。そこで、ここでは「貯める」「使う」という両面で進化を遂げているJRE POINTについて解説。そして今年は、JRE POINTを使ってJR東日本の新幹線きっぷを購入すると、通常と比べて半分以下のポイント数で利用できる2022年限定のキャンペーンが実施されているので、そちらもあわせて紹介します。
「JR東日本の共通ポイント」と位置付けられているJRE POINT
JRE POINTが誕生したのは2016年2月。元々JR東日本グループでは、クレジットカードやきっぷ予約などの各種サービス、駅ビルごとに24種類のポイントプログラムが混在していました。しかし、JRE POINTの誕生を契機にそれらのポイントをJRE POINTに統合する動きが始まり、2017年に「Suicaポイント(Suica利用で貯まるポイント)」、2018年に「ビューサンクスポイント(ビューカード利用で貯まるポイント)」とそれぞれ統合。2021年には「えきねっとポイント(指定席予約サービス「えきねっと」利用で貯まるポイント)」との共通化も行われ、予定されていたポイント統合は完了したといいます。
こうした経緯があるため、現在、公式サイトではJRE POINTを「JR東日本の共通ポイント」と説明しています。このように、サービスの範囲を拡大してきたJRE POINTの「貯め方」を、その後に「使い方」を見ていきましょう。
JRE POINTを貯められる主なシーンを大別すると以下の3つです。
〈1〉登録したSuicaの鉄道利用
〈2〉クレジットカード「ビューカード」の利用
〈3〉JRE POINT加盟店での買い物
まず、ほかのポイントプログラムではあまり見られない「鉄道利用」での貯め方について見ていきましょう。
鉄道利用でJRE POINTを貯める場合、まず覚えておきたいのは無記名のSuicaや記念Suicaは対象外となる点。手持ちの記名式Suica・Suica定期券を「JRE POINT Webサイト」で登録する作業が必要なので、忘れずに済ませておきましょう。また後述するように、カードタイプのSuicaよりモバイルSuicaのほうがポイント付与のレートが高く設定されています。カードタイプのSuicaを利用している場合、モバイルSuicaへの切り替えを検討してもよいでしょう。
在宅勤務がメインで、出社は週1〜2度のため、定期券を購入せずに通勤している方もいらっしゃることと思いますが、そうした状況でうれしいのが「在来線乗車ポイント」。JR東日本の在来線に乗車すると、モバイルSuicaで運賃50円ごとに1P、カードタイプのSuicaでは200円ごとに1Pが貯まります(定期券の乗車区間は対象外)。
たとえば、通勤でIC運賃473円の「東京―津田沼」を利用する場合、モバイルSuicaなら1回の片道利用で9P貯まります(カードタイプだと2P)。週2回(月8回)出社すると月間で「9P×2(往復)×月8回」=144P、年間では1,728Pと結構なポイントを獲得できます。
JR東日本の首都圏の鉄道をオフピーク通勤してもポイント付与(画像は公式サイトより)
現在、新型コロナウイルスの感染予防の観点から、密を避けるための時差通勤が推奨されていますが、こうした新たなライフスタイルに合わせた特典が「オフピークポイントサービス」です。このサービスは2021年4月から1年間限定実施の予定でしたが、好評だったことを受けて2023年3月末まで1年間延長されています。
このサービスでは、JRE POINTに登録済みのSuica通勤定期券を使って、平日に対象駅の「ピーク前(ピーク前1時間)」、あるいは「ピーク後(ピーク後1時間)」に入場した後、対象エリアの駅で出場することをオフピーク通勤と定義。サービスにエントリーのうえ、月に1〜4回オフピーク通勤すると1回につき5P、月に5回以上では大幅にアップして1回につき25P付与されます。
月10回オフピーク通勤すると、月間で170P獲得
たとえば、月に10回オフピーク通勤するなら、
1〜4回目:5P×4回=20P
5〜10回目:25P×6回=150P
となり、170P獲得できます。ただし、定期券区間内の利用は対象外で、1か月間に利用できるのは20回、420Pが上限です。「ピーク前」と「ピーク後」の時間帯設定は駅ごとに異なるので、公式サイトで事前に確認しておくとよいでしょう。
JR東日本「オフピークポイントサービス」:https://www.jreast.co.jp/offpeak_repeat/
また、Suicaを使って在来線の同じ「運賃区間」を月間で10回利用すると、運賃1回分のポイントを還元する「リピートポイントサービス」も実施されています。きっぷの回数券は乗車区間が同じである場合に割引の対象となりますが、「リピートポイントサービス」は運賃が同じであれば乗車区間は違っても還元対象になるのが特徴です(Suica定期券で、定期券区間のみを利用の場合は対象外)。
たとえば、IC運賃がいずれも220円の「東京―赤羽」「東京―蒲田」「品川―川崎」は同一の運賃区間になるので、それぞれ1回ずつ乗車すると同一運賃区間を3回利用とカウント。同一運賃区間を11回目以降の利用では、1回につき10%分のポイントが還元されます(IC運賃220円の区間の場合は1回につき22P)。この「リピートポインサービス」は、「在来線乗車ポイント」とも併用できるので、別途、運賃50円or200円ごとに1Pが付与されます。
このほか、
・「Suicaグリーン券」
・「タッチでGo!新幹線」(Suicaを使って予約不要で新幹線自由席などに乗車するサービス)
の購入・利用でもポイントが付与されます。こちらも「在来線乗車ポイント」同様、モバイルSuicaでは50円ごとに1P、カードタイプのSuicaで200円ごとに1Pと、付与レートに大きく差が付けられています。このほか、「モバイルSuica定期券」購入時には50円ごとに1P貯まりますが、カードタイプの定期券購入はポイント付与対象外なので注意が必要です。
JR東日本の鉄道利用でも貯められるのが、JRE POINTの大きな特徴
ここまで紹介してきたのは、基本的にJRE POINTをコツコツ貯める方法。短期間でより多くのポイントを獲得したい場合に効果的なアイテムは、やはりクレジットカードの「ビューカード」です。
「ビューカード」は複数の種類が発行されていますが、いずれもカード利用1,000円(税込)ごとに5PのJRE POINTが貯まります。ポイント還元率に直すと0.5%と平均的な水準ですが、JR東日本の対象サービスをビューカードで決済すると、還元率が大幅にアップする「VIEWプラス」という特典があり、短期間での大量のポイント獲得を後押ししてくれます。
「VIEWプラス」対象サービスのポイント付与率は下表のとおりです。「ビューカード」を使ってモバイルSuicaにチャージ、あるいはカードタイプのSuicaへのオートチャージされる際に1,000円ごとに15P付与。また、「モバイルSuica定期券」「モバイルSuicaグリーン券」「えきねっとでのJRきっぷ」購入時には3%分のポイント還元を受けられ、さらにカード利用とは別にモバイルSuicaやえきねっと利用分のポイントも加算されます。ただし、みどりの窓口や券売機で定期券やグリーン券を購入しても、通常のカード利用と同じ0.5%分のポイント還元しか受けられない点は注意が必要です。
「東京駅―大宮駅」のSuica定期券(6か月分)を購入すると、4,000P以上還元
たとえば、80,620円の「東京駅―大宮駅」のSuica定期券(6か月分)を購入した場合のポイント獲得数は以下のとおりです。
・カードタイプのSuica定期券をビューカードで決済:400P
・モバイルSuica定期券を一般のビューカードで決済:4,012P
・モバイルSuica定期券をビューゴールドカードで決済:4,812P
えきねっとを使って、北陸新幹線「東京―金沢」を片道予約すると、700P以上還元
また、えきねっとを使って、14,180円の北陸新幹線「東京―金沢」(指定席、チケットレス乗車)を申し込んだ場合のポイント獲得数は以下のとおりとなります。
・一般のビューカードで決済:703P
・ゴールドカードで決済:1,403P
このように、JR東日本の定期券を利用している方や、鉄道を使った出張や旅行が多い場合には、大量のポイントを一気に獲得できるチャンスが生まれます。なお、ゴールドカードでは各サービス利用時の還元率がアップしますが、最低でも11,000円の年会費が発生するので、利用頻度やそのほかの特典を考慮して検討するとよいでしょう。
また、「ビューカード」を使ってSuicaへのチャージ・オートチャージをすると、常時1.5%分のポイントが付与されます。Suicaが使えるお店は日本全国にあり、コンビニやスーパー、飲食店、書店、家電量販店など業種もさまざま。こうしたお店ではなるべくクレカ払いではなく、ビューカードでチャージしたSuicaで支払うことで、ポイントを効率的に稼げます。
JRE POINTは買い物や食事で貯めることもできます。JR東日本の商業施設である「アトレ」や「エキュート」はJRE POINT加盟店になっており、これらの加盟店でポイントカード(アプリでもOK)を提示すると100円(税別)ごとに1Pが貯まります。
また、JR東日本駅構内のKIOSKやacure(自動販売機)のほか、イトーヨーカドー(関東・甲信越・東北エリア)やデニーズ(関東・甲信越・中部エリア)では、登録したSuicaで支払うと100〜200円(税込)ごとに1Pが貯まります(還元率は店舗で異なる)。JREポイント加盟店は基本的に首都圏の駅ビル内に限られていますが、Suicaの場合より身近な店が多く、貯める機会は多そうです。
JREポイント加盟店のひとつである「アトレ」
貯めたJRE POINTをどう使うか。
これまではSuicaにチャージするのが王道でしたが、最近は使い道が広がってきており、新幹線・特急列車のきっぷ購入に使える特典チケットやグリーン車へのアップグレードにも利用できるようになりました。以下に主な使い方を紹介します。
JRE POINTは「1P→1円」として、1P単位でSuicaにチャージできます。ただし、チャージに使えるのは通常ポイントのみで、キャンペーンなどで付与される期間限定ポイントは対象外なので注意しましょう。
申し込みは、JRE POINT Webサイト・アプリで受け付けています。モバイルSuicaにチャージする場合はモバイルSuicaアプリで即時に受け取りができますが、カードタイプへのSuicaにチャージする場合は、申し込みの翌日以降かつ7日以内に自動券売機で受取操作をする必要があります。
通勤で疲れた時や近場の観光地に足を運んだ際に、ゆったりと移動を楽しみたい。そんな時には、JRE POINTをSuicaグリーン券に交換するのもひとつの方法です。湘南新宿ラインや常磐線、横須賀・総武線快速、東海道線などの普通列車グリーン車が対象で、テーブル付きのゆったりとした座席を手軽に利用できます。
普通列車グリーン車の運航エリア(JR東日本公式サイトより)
交換に必要なポイント数は、Suicaグリーン券1枚あたり600P(600円相当)。Suicaグリーン券の価格は下記のとおりです。「51キロ以上」や「平日・50キロまで」なら、JRE POINTをSuicaグリーン券に交換して使ったほうが割安に利用できますが、「ホリデー(土日祝日、年末年始)・50キロ以内」だと、わずかではありますが(20円分)割高になります。この場合は、いったんSuicaにチャージしてからグリーン券を購入するとよいでしょう。
Suicaグリーン券のメリットは、通常ポイントに加えて期間限定ポイントも使えること。キャンペーンなどで貯まったポイントや期限切れ間近のポイントを、有効に活用できます。
旅行好きの方ならぜひチェックしておきたいのが「JRE POINT特典チケット」。JRE POINTを使って特定区間の新幹線や在来線特急列車に乗れるサービスで、航空会社のマイルと同じ感覚で利用できます。新幹線は乗車券と料金券が一体となった「新幹線eチケットサービス」、特急列車は指定席特急券のみの「えきねっとチケットレスサービス」の商品と交換OK。ただし、どちらも期間限定ポイントは対象外となっています。
「新幹線eチケットサービス」の必要ポイント数は下記のとおり、乗車距離によって4つに分かれています。
0〜100キロ:2,160P
101キロ〜200キロ:4,620P
201キロ〜400キロ:7,940P
401キロ〜:12,110P
下の表に、新幹線の主要区間の交換に必要なポイント数をまとめました。たとえば「東京−新潟」は、片道7,940Pで交換可能。同区間は新幹線eチケットの通常価格が10,560円、「えきねっとトクだ値(えきねっとを使って当日までの申し込み)」は8,970円、「お先にトクだ値(えきねっとで13日前までの申し込み)」は6,850円です。JRE POINTの価値を「1P=1円」とすると、「お先にトクだ値」が取れなかった場合や出発12日前以降にきっぷを買う場合は、JRE POINTを特典チケットに交換したほうが有利といえます。
※1 新幹線eチケットサービス利用時
※2 えきねっとを使って当日までの申し込みが必要
※3 えきねっとを使って13日前までの申し込みが必要
新幹線eチケットサービスを申し込む際に、JRE POINTを使って普通車指定席からグリーン車・グランクラスにアップグレードできます。利用できるのは通常ポイントのみで、期間限定ポイントは対象外です。
たとえば東北・北海道新幹線「はやぶさ」の場合、グリーン車は3,500ポイント、グランクラス(飲料・軽食なし)は6,500P、グランクラス(飲料・軽食あり)は8,500Pでアップグレードが可能(別途、普通車指定席のきっぷが必要)。距離ではなく列車ごとにポイント数が設定されているため、できるだけ長距離の路線で利用するのがおすすめです。
2022年は、JR東日本の5方面(秋田・東北・山形・北陸・上越)の新幹線がそれぞれ周年を迎えるため、JR東日本は「新幹線YEAR2022」と名づけたイベントを開催しています。その目玉となるのが、「JRE POINT特典チケット 新幹線YEARスペシャル」。JRE POINTを新幹線eチケットに交換する際の必要ポイント数が、通常時の半分以下となる特典です。
「JRE POINT特典チケット」では、乗車距離に応じて必要ポイント数が4段階に分かれることは紹介しましたが、「新幹線YEARスペシャル」期間中は下記のとおり、通常の半分以下で交換可能です。
具体的な主要区間にあてはめてみると、必要ポイント数は下記のとおり。たとえば、「東京―秋田」はキャンペーンを利用すると片道6,000Pと、通常価格(17,820円)の3分の1程度、お先にトクだ値(11,570円)の半分程度となります(1P→1円で計算した場合)。ほかの区間でも概ね同程度の割引率となり、お得さは一目瞭然です。
※1 新幹線eチケットサービス利用時
※2 えきねっとを使って当日までの申し込みが必要
※3 えきねっとを使って13日前までの申し込みが必要
第1弾は2022年2月1日〜2月28日ですでに終わってしまいましたが、第2弾は6月1日〜6月14日、第3弾は9月26日〜10月7日に開催予定(すべて乗車期間)です。特典チケットへの交換は「えきねっと」から、乗車日の1か月前から申し込み可能。ただし、「JRE POINT特典チケット」は列車・席数・区間に制限があり、乗車したい列車に空席がある場合でも利用できないことがある点は注意が必要です。
非常にメリットのあるキャンペーンですが、2つの注意点があります。ひとつめは、特典チケット交換時の必要ポイント数が「おとな」と「こども」で変わらないこと。元々割安な価格設定の「こども」用にJRE POINTを使うと、利点は薄くなります。
また、特典チケットは乗車距離に応じて必要ポイント数が上下する仕組みのため、乗車駅を変えることでポイント数を節約することができます。たとえばガーラ湯沢まで行く場合、東京駅から乗ると乗車距離が200キロを超えるため必要ポイント数は3,900Pですが、200キロをわずかに切る上野駅から乗ると2,300Pに節約できます。運賃が余分にかかったり、時間を浪費したりするのであれば意味はありませんが、乗降駅を少しずらすことで1,000P以上節約できる場合があるので要チェック。「えきねっと」などでは、経路検索時に乗車距離も表示されるので、気になる方は確認してみるとよいでしょう。
〈乗車駅によって必要ポイント数が変わってくる区間の一例〉
東京→長野:222キロ(必要ポイント:3,900P)
大宮→長野:192キロ(必要ポイント:2,300P)
東京→ガーラ湯沢:201キロ(必要ポイント:3,900P)
上野→ガーラ湯沢:197キロ(必要ポイント:2,300P)
以上、JRE POINTの「貯め方」と「使い方」、そして2022年限定で実施されるキャンペーンについて説明してきました。
筆者がこのポイントの魅力に気付いたのは、久々にJRE POINTのWebサイトで自身の保有ポイント数を確認した時です。「ポイントを貯めている」という意識がほとんどなかったにもかかわらず、マイページで見ると4,000ものポイントが貯まっていました。筆者はビューカードを保有していないので、JR東日本の在来線利用やえきねっとを利用したチケットレス乗車、Suica登録店での買物や食事などで、「いつの間にか」貯めていたことになります。さらに運のよいことに、今年は「新幹線YEAR2022」という期間限定のキャンペーンが実施されているため、この4,000Pを使って新潟まで旅行することができました。
「新幹線YEAR2022」の第1弾は終了しましたが、第2弾(6月1日〜6月14日)、第3弾(9月26日〜10月7日)が予定されており、今はまだJRE POINTを貯めていないという方も、状況に応じてビューカードを利用していけば、キャンペーン参加に必要なポイントを貯められそうです(JRE POINTは、ビューカードを利用した翌月の中旬頃に加算されます)。もしキャンペーンを利用する予定がなくても、手持ちのSuicaをWebサイトに登録しておけば、自然とポイントが貯まっていくのは、JRE POINTの大きな魅力と言えそうです。この機会に、JRE POINTの“ポイ活”を始めてみてはいかがでしょうか?
編集者兼マイラー。JAL、ANAはもちろん、海外航空会社のマイレージにも詳しく、仕事の合間を縫って旅を楽しむ。ポイント、マイルの交換などカードの裏技にも精通。