めまぐるしく変化するキャッシュレス関連の動向を、月イチで伝える本連載。今月のトップニュースは、昨日(2023年10月27日)より東京都が始めた「食べて応援! 海の幸キャンペーン」についてです。これは、東京電力福島第1原発の処理水放出にともなう、水産物への風評懸念の払しょくを目的に行われるもの。都内の対象の寿司店、鮮魚小売店(合計約1,100店)で「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」「au PAY」のいずれかで支払うと、支払った金額の30%分のポイントが還元されるおトクな内容です。利用方法や注意点などをお伝えします。
このほか、「PayPay」が始めた、0.7%還元の「クレジットつみたて」や、三井住友カードによる「24時間いつでも最短10秒でカード番号を発行」する新サービスについてもご紹介します。
魚好きの人必見! 対象のスマホ決済で、ランチや会食がおトクになるキャッシュレスキャンペーンが東京都で始まっています(画像はイメージです)
東京都は、都内の対象の寿司店・鮮魚小売店にて対象のスマホ決済で支払うと、決済額の最大30%が還元される「食べて応援! 海の幸キャンペーン」をスタートしました。期間は2023年10月27日から12月8日までで(ただし、予算の関係で早期終了の可能性はあるようです)、都内在住・在勤でない人も利用可能です。
ご存じのとおり、東京電力福島第1原発の処理水放出にともない、国内水産物の買い控えなどの風評被害が懸念されています。国内最大の消費地である東京都は、本キャンペーンを通じて水産物の消費を喚起し、この懸念払しょくに貢献したい構えです。
飲食店のほか、鮮魚小売店もキャンペーンに参加(画像はキャンペーン参加店のひとつ「sakana bacca」のプレスリリースより)
このキャンペーンに参加する店舗は、都内にある1,134の寿司店・鮮魚小売店などです(2023年10月27日時点)。対象店は公式サイトにて検索が可能で、「23区」「多摩」「島しょ」などの「地域」や、対象の「4つのスマホ決済」(後述)などで絞り込むこともできます。
たとえば、当社(カカクコム)所在地の「渋谷区」では、2023年10月27日時点で47の店舗が本キャンペーンに参加しています。ラインアップは街中でよく見かける寿司チェーンが中心ですが、なかには「磯丸水産」のような海鮮に力を入れている居酒屋もあります。いっぽう、渋谷という土地柄からか、現時点では鮮魚小売店の参加店はないようです。
筆者が以前住んだことがある「文京区」「大田区」「北区」などもチェックしてみましたが、「渋谷区」とは違って個人店と思われる寿司店が増え、鮮魚小売店の参加も確認できました。また、地元民の間で有名だった「和食懐石の店」だったり、筆者も何度かお世話になったことのある「海鮮が得意な惣菜店」だったりと、公式サイトの表記である「すし店や鮮魚小売店」に留まらない業種も参加しているようです。
このように、同じ「都内」とはいえ、参加店舗のラインアップは地域によってけっこうな違いがありそうです。読者の皆さんも行動圏の参加店をチェックしてみてはいかがでしょうか?
「食べて応援! 海の幸キャンペーン」の「渋谷区」の対象店は、寿司チェーンが中心(画像は公式サイトより)。筆者もさっそくランチに利用しようと計画中。なお、公式サイトによると、参加店舗は順次追加予定とのことです
「食べて応援! 海の幸キャンペーン」に参加する主な飲食チェーン
ちよだ鮨、魚がし日本一、築地すし好、柿家すし、小僧寿し、銚子丸、すしざんまい、回転寿司みさき、スシロー、くら寿司、かっぱ寿司、はま寿司、磯丸水産、目利きの銀次、築地食堂源ちゃん など
※2023年10月27日時点でキャンペーン公式サイトで確認できたもの
▼キャンペーン公式サイト内の店舗検索ページ
https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/suisan/search.html
「食べて応援! 海の幸キャンペーン」で「最大30%還元」の対象となるスマホ決済は、「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」「au PAY」の4つです。
キャンペーン期間中の1決済サービスあたりの還元上限は1,000円相当まで(1会計あたりの上限額も1,000円相当)。つまり、「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」「au PAY」のそれぞれで1,000円相当まで還元されるので、仮に4つのスマホ決済サービスすべてで利用すれば、合計で4,000円相当まで還元されます。
ひとつ注意したいのは、対象店によって使えるスマホ決済が異なること。たとえば、前出の「渋谷区」の場合、47の対象店すべてが「PayPay」には対応しています。いっぽうで、残り3サービスについては、対応状況が店舗によってバラバラです。いざ支払う段になってあわてないためにも、事前に公式サイトなどで対応決済サービスを調べておくほうがよいでしょう。
あるいは、今回に限らず、今後もこうしたスマホ決済のキャンペーンの恩恵を享受するためにも、各スマホ決済サービスを「使えるようにしておく」のもよいでしょう。その際は、スマホ決済単体で使うよりも少しおトクになる、公式クレカの併用もぜひご検討ください(下記ボックス参照)。
スマホ決済サービス+公式クレカでおトクになる例(2023年10月時点のルール)
・楽天ペイ+楽天カード
楽天カードから楽天キャッシュ残高にチャージ……0.5%還元
楽天ペイで支払い(楽天キャッシュ残高を使用)……1%還元
合計1.5%還元
※「食べて応援! 海の幸キャンペーン」の30%還元と合わせると、合計31.5%還元
・d払い+dカード
d払いの通常の還元率……0.5%還元
d払いの支払方法にdカードを設定しての支払い……0.5%還元
合計1%還元
※「食べて応援! 海の幸キャンペーン」の30%還元と合わせると、合計31%還元
PayPay証券は、2023年10月15日より、キャッシュレス決済「PayPay」内のミニアプリ「PayPay資産運用」において、「PayPayカード」の「クレジット(旧あと払い)」利用した「クレジットつみたて」の提供を始めました。
「PayPay」版の「クレカ積立」とも言える「クレジットつみたて」がスタート(画像は「PayPay」公式サイトより)
まずはおさらいから。「PayPay資産運用」は、PayPay内で資産運用ができるサービスです。ユーザーは、170以上の「コース」(PayPay証券が扱うETFや投資信託から、同証券が選定した銘柄についている略称)から好きなものを選んで投資することができます。購入は100円以上から1円単位から可能で、少額から運用できるのが特徴です。また、「PayPayマネー」や「PayPayポイント」を運用に使うこともできます。
「PayPay資産運用」では2023年9月より、「PayPay残高」を利用して、投資信託の積み立てができるようになっていました。今回、投資信託の積み立ての支払い方法として、新たに「クレジット(旧あと払い)」が加わった形になります。
「クレジット(旧あとばらい)」は、月間の「PayPay」の利用額をまとめて後払いできる支払方法のことで、利用するには「PayPay」公式クレカの「PayPayカード」あるいは「PayPayカード ゴールド」のどちらかが必要です。
「クレジットつみたて」では、月間の積立額(※)によって、0.7%分の「PayPayポイント」が付与されます(月間の付与上限は350ポイント)。「PayPay残高」で積み立てる場合の還元率は、月間積立額に対して0.5%(月間の付与上限は250ポイント)なので、ややおトクに設定されています。「クレジットつみたて」の積立設定可能額は毎月100円〜5万円まで。複数の投資信託を積み立てる場合は、その合計額でカウントされます。
※「クレジットつみたて」で設定できる購入頻度は「毎月」のみ。
PayPay証券は、来年2024年1月から始まる「新NISA」に向けて「PayPay資産運用」のサービス拡充を進めています。今回の「クレジットつみたて」の導入もその一環のようです。
「クレジットつみたて」は、ほかの証券会社が手がける「クレカ積立」と同種のサービスと位置付けることができます。この中には、「マネックス証券×マネックスカード」の「1.1%」や、「auカブコム証券×au PAYカード」の「1%」など、「クレジットつみたて」以上の還元率を設定しているサービス(組み合わせ)も存在します。その意味で、「クレジットつみたて」が「すごくおトク」というわけではありません。
いっぽうで、昨今の「ポイント経済圏」人気の高まりから、「ひとつのポイントにまとめて貯めたい」というニーズも存在します。その観点で見ると、汎用性の高い「PayPayポイント」が貯まるという点で、「クレジットつみたて」に魅力を感じるユーザーも多いはずです。新NISA開始を控え、「PayPay経済圏」のユーザーを中心に注目されそうなサービスと言えます。
「 完全ナンバーレスクレカ」をいち早くリリースするなど、クレジットカード業界の中でも新サービス導入に積極的な三井住友カード。同社は、2023年10月18日より、24時間いつでも最短10秒で「カード番号・有効期限・セキュリティコード」を発行するサービスを始めました。24時間利用できる即時発行サービスの提供は、クレジットカード業界で初の試みだそうです。
三井住友カードが、一部カードでの24時間最短10秒でのカード番号発行に対応(画像は三井住友カードのプレスリリースより)
三井住友カードはこれまでも、一部のカードで、日中の時間帯(9時〜19時30分)での即時発行の受付やカード番号の発行に対応していました。2023年10月18日以降は、夜間帯(19時31分〜翌8時59分)でも同様のサービスを受けられるようになりました。
発行されたカード番号は、インターネットショッピングで利用できるだけではなく、Apple PayやGoogle Payなどのモバイル決済サービスに登録することで、VisaやMastercardの加盟店や全国のiD加盟店ですぐに支払いに使えます。
総務省の調査によると、インターネットの利用率は「夕食後から就寝前」が最も活発で、ピークの21〜22時台には、10〜20代の約50%がインターネットを利用していると言います。三井住友カードはこの点に着目し、夜間帯のネットショッピングにおける急な「クレジットカード需要」に応える目的で、24時間即時発行を始めたようです。
なお、夜間帯に申し込んだ場合、即時発行承認後の利用可能額は、「ショッピング利用枠5万円、利用方法は1回払いのみ」となりますので注意が必要です。夜間帯の申し込みでは、あくまでも、簡易的なクレカ機能が提供されるということのようです。後に、改めて三井住友カードの審査が行われ、ショッピング利用枠の増枠や、キャッシング利用枠、リボ払い・分割払い利用枠などが決まっていき、リアルカードも発行されます。
三井住友カードの24時間即時発行の対象カードは以下の4券種(遷移先の公式サイトより「即時発行」が可能です)。選べる国際ブランドはVisaかMastercard。満18歳以上の人が発行対象です。
※ただし、「三井住友カード プラチナプリファード」のみ、選べる国際ブランドはVisaのみで、20歳以上が発行対象。
最後に、現在実施されているキャッシュレス関連のキャンペーンの中から、編集部がチョイスした3つのキャンペーンをご紹介します。
「全国のJR WebチケットサービスでJCBカードを使うと、利用金額の最大20%をキャッシュバック」など、3つのキャンペーンをご紹介(画像はJCB公式サイトより)
期間中にエントリーのうえ、全国のJR WebチケットサービスにてJCBカードで決済すると、利用金額の最大20%がキャッシュバックされます(上限1,000円相当)。
対象サービスは「えきねっと」「スマートEX」「エクスプレス予約」「e5489」「しこくスマートえきちゃん」「JR九州インターネット列車予約」で、コンビニや駅の窓口などでの支払いは対象外です。また、一部のカード発行会社は、キャッシュバックではなくポイントプレゼントでの還元になる場合があります。
開催中〜2023年11月15日
https://www.jcb.jp/campaign/content/c23_036jr2310/index.html
「au PAYカード」が、会員数900万人突破を記念し、1億「Pontaポイント」を対象者で頭割りして還元するキャンペーンを開催中です。
期間中にエントリーのうえ、「au PAYカード」「au PAYゴールドカード」を2万円以上利用するのが条件です。なお、「au PAYゴールドカード」を利用した場合は、山分けされる「Pontaポイント」が「au PAYカード」の2倍になります。付与ポイントの上限はひとり1,000ポイントです。
開催中〜2023年12月31日
https://www.kddi-fs.com/campaign/2310-9million/
ドコモは、2023年11月1日から2024年1月5日までの間、キャンペーン対象企業が発行するポイントを「dポイント」に交換すると、5.5%分増量になるキャンペーンを開始します。参加条件は「dポイントカード」の利用者情報の登録と、キャンペーンのエントリーの2点です。
キャンペーン対象企業は、「ジャックスカード」「JCB」などのカード会社のほか、「松井証券」「りそな銀行」「東京電力エナジーパートナー」など多岐にわたっており、それぞれキャンペーン開始時期が異なるのでご注意ください。
2023年11月1日〜2024年1月5日(キャンペーン期間・エントリーはすでに開始)
https://dpoint.docomo.ne.jp/cp_2/alliance_231101_4783/index.html