あらゆるモノやサービスの値上がりを感じる今日この頃。筆者もあれこれ節約を意識するようになりました。そのひとつが「クレカの使い方」。これまでは手持ちのクレカをなんとなく使っていましたが、できるならもう少しポイント還元率を上げて、節約効果を実感したいところです。
クレカの使い方に“ひと工夫”加えると、ポイント還元率がアップ?
そこで今回は、おトクなポイ活情報を発信している、“たるけん”こと足澤憲さんにご協力いただき、筆者のようなポイ活の“超初心者”でも取り組みやすい、クレジットカードのポイント還元率アップの方法を教えてもらいました。
取材協力・監修 足澤 憲(たるさわ・けん)さん
還元率の高い決済方法を教えてくれるアプリ 「ポモチ」の開発者で、株式会社オモチ取締役、CTO、COO。25の銀行口座と45枚のクレカを使いこなすキャッシュレス決済の達人。豊富な知識と自らの経験を生かし、TV、雑誌、Webなどでおトク情報を発信中。
価格.comのクレカ人気ランキングなどを見ると、昨今のクレカのポイント還元率は「0.5%」が基準。「1%」を超えるカードになると「還元率がいいカード」に位置付けられるようです。
足澤さんによると、こうした状況の中、ポイ活初心者でもクレカの使い方を工夫することで「1.5%」程度のポイント還元率を狙うことは十分に可能だといいます。特に、次の2つは、ビギナーでも比較的取り入れやすい「基本の型」だそうです。
●解説
これは、クレカとそのほかの決済方法(スマホ決済、プリペイドカードなど)を組み合わせて支払う方法です。特定の決済方法と組み合わせることで、通常よりも多くポイントが付与されたり、1回の買い物で、クレカ分とそのほかの決済分のポイントが付いたりと(いわゆる「2重取り」)、おトクになるものがあります。
ポイ活マニアの人の中には「3つ以上の決済方法」を組み合わせる “猛者”もいますが、初心者の人はわかりやすい「2つの組み合わせ」から始めるのがおすすめです。本記事では「組み合わせ編」で3例紹介します。
●解説
クレカによっては、年間に一定額以上使うことでボーナスポイントが加算されるものがあります。この特典をうまく利用すると、通常のポイント還元でもらえるポイントと合わせて、実質的なポイント還元率を「1.5%」程度にすることができます。本記事では、この特徴を持つクレカの中から2券種を「年間利用額編」で紹介します。
今回は初心者向けの記事ということで、比較的ポピュラーなクレカを使い、かつ、下記の4つの条件に当てはまる方法を足澤さんに教えていただきました。
1 還元率1.5%以上になる
2 特定の店(優待店など)ではなく、その決済方法が使える店ならどこでも「還元率1.5%以上」が適用される
3 年会費などのコストがさほどかからない(無料のものや、利用条件で無料になるものも含む)
4 やり方が比較的シンプルで取り入れやすい
最初に紹介するのは、JR東日本系のクレカである「『ビュー・スイカ』カード」と、「モバイルSuica」を組み合わせる方法です。
「『ビュー・スイカ』カード」は、JR東日本系列のクレカです。貯まるポイントは、JR東日本の鉄道や系列の店舗で貯めて、使える「JRE POINT」(ジェイアールイーポイント)です
「『ビュー・スイカ』カード」の基本のポイント還元率は「0.5%」。しかし、「モバイルSuica」にチャージ(オートチャージを含む)する場合は、1,000円のチャージごとに「JRE POINT」が15ポイント貯まります。つまり、ポイント還元率は「1.5%」です。
「JRE POINT」は、JR東日本グループが付与する共通ポイントです。「モバイルSuica」へのチャージ後は、「1P=1円」として、鉄道はもちろん、交通系ICカードでの支払いに対応している全国の店舗でのショッピングに利用できます。つまり、「『ビュー・スイカ』カード」でチャージをした「モバイルSuica」を支払いに使うことで、実質的に「1.5%」還元で買い物をしている、ということになります。
ちなみに、「Suica」には、「モバイルSuica」のほかに「カードタイプのSuica」(※)もあります。「『ビュー・スイカ』カード」から「カードタイプのSuica」にチャージする場合、オートチャージであれば「1.5%」還元になりますが、駅のATMや多機能券売からの「手動チャージ」の場合は「0.5%」還元になるので注意が必要です。
※「『ビュー・スイカ』カード」自体に「Suica」の機能を付帯させることもできます。
●解説
オートチャージは駅の改札の入出場時に、残高が一定額以下だと自動で残高がチャージされる便利な機能です。たとえば、終電間際で急いでいるときに残高不足で改札で止められて困る……というようなこともありません。オートチャージの対象となる残高や、1回あたりのオートチャージ額も自分で設定できます。「カードタイプのSucia」を使う場合でも、ぜひオートチャージ機能を活用するといいでしょう。
「『ビュー・スイカ』カード」には524円の年会費がかかるので、この点はご注意ください。年会費が気になる人は、ビューカードの一種で、年に1度でも使うと翌年度の年会費(524円)が無料になる「ビックカメラSuicaカード」を検討されてもいいかもしれません。
続いては、楽天グループが提供しているクレカ「楽天カード」と、スマホ決済の「楽天ペイ」の組み合わせです。
「楽天カード」は、年会費永年無料の人気カード。通常のポイント還元率は「1%」で、貯まるポイントは「楽天ポイント」です
「楽天カード」の通常のポイント還元率は「1%」。しかし、「楽天ペイ」と組み合わせることで、最大「1.5%」還元が狙えます。内訳は以下のとおりです。
(1)「楽天カード」から、楽天グループの電子マネー「楽天キャッシュ」にチャージすると、チャージ額の「0.5%」のポイントが付与されます。
(2)「楽天ペイ」は、支払い額の「1%」のポイントが付与されます。
(3)「楽天ペイ」で支払う際、支払い方法を「チャージ残高払い」に設定することで(1でチャージした残高で支払う)、合計で「1.5%」の還元率に。
つまり、元々高還元の「楽天カード」での支払いに「楽天ペイ」をかませるだけで、「0.5%」が上乗せされる形になるわけです。
かつて、「楽天ペイ」を含め、スマホ決済の各サービスは還元率で競っていた時期がありました。その際は、この組み合わせのような「1.5%」還元はけっして珍しくはありませんでしたが、スマホ決済間の“おトク競争”が落ち着きつつある現在、この還元率の高さは魅力的です。
参考:スマホ決済各サービスの“最大”のポイント還元率
「PayPay」は利用状況によって「1.5%」還元になる場合がありますが、利用額などが高め設定されておりそのハードルは高めです。そして、「d払い」「au PAY」はいずれも最大「1%」還元です。
※編集部調べ。2024年2月時点
●解説
この組み合わせで実現する「1.5%」還元は比較的簡単で取り入れやすく、スマホ決済をからめる方法としては、貴重な存在と言えます。「楽天ペイ」では、「楽天ポイント」の「期間限定ポイント」を支払いに使えるのもありがたいですよね。なお、「楽天カード」以外の他社のクレカの場合、このケースではポイントが付かないので注意が必要です。
組み合わせ編の最後は、「リクルートカード」などの高還元カードと、楽天の電子マネーの一種「楽天Edy」との組み合わせです。
「リクルートカード」はポイント還元率「1.2%」の高還元カード。しかも年会費は永年無料。貯まるポイントは「リクルートポイント」です
この方法では、「『楽天Edy』へのチャージに対応したクレカ」を使います。その際、できるだけ高還元のカードを使うのがコツになります。
「『楽天Edy』へのチャージに対応したクレカ」のひとつである「リクルートカード」は、「1.2%」という昨今の基準ではなかなか見ない還元率の高さを誇るクレカです(※)。「楽天Edy」にチャージすると、チャージ額の「1.2%」のポイントが貯まります(貯まるポイントは「リクルートポイント」)。
そして、「楽天Edy」での買い物では、「0.5%」分の「楽天ポイント」が貯まります。つまり、この2つの組み合わせによって実質的に「1.7%」還元になるわけです。
※ただし、「楽天Edy」へのチャージでポイントが付与されるのは、「Visa」か「Mastercard」ブランドの「リクルートカード」のみ。「JCB」ブランドの「リクルートカード」は対象外なのでご注意ください。
ちなみに、前出の「楽天キャッシュ」と「楽天Edy」は、どちらも楽天グループに属するサービスですが、別々の電子マネーとして存在しています。
元々「楽天キャッシュ」は、「チャージできる楽天ポイント」のような存在で、楽天グループの対象サービスでの支払いに使えるものでした。いっぽう、「楽天Edy」は、楽天グループに留まらず、全国の「楽天Edy」加盟店での支払いに使える電子マネーです(「楽天キャッシュ」と「楽天Edy」の相互交換も可能)。
●解説
「リクルートカード」の「1.2%」という還元率は今の時代には貴重です。しかも、「楽天Edy」のような電子マネーにチャージした際もこの還元率が適用されるのはうれしいですよね。
注意点としては、「楽天Edy」へのチャージ上限があげられます。1回のチャージ金額は2万5,000円までで、ひとつの「楽天Edy」にチャージできる金額の上限は5万円までなのでご注意ください。また、クレカと決済で異なるポイントが貯まるので、貯めた後の使い道も事前に考えておいたほうがいいでしょう。
ここからは、クレカの利用額によってポイント還元率を上げる方法です。まずは、SMBCグループが発行する「三井住友カードゴールド(NL)」からご紹介します。
「三井住友カード ゴールド(NL)」はポイント還元率「0.5%」(貯まるポイントは「Vポイント」)、年会費5,500円のゴールドカードです。ただし、「年間利用額」の条件をクリアすると、ポイント還元率、年会費ともにおトクになります
「三井住友カード ゴールド(NL)」の基本のポイント還元率は「0.5%」です。これに加えて、対象のコンビニや飲食店にて、本カードを設定したスマホのタッチ決済で支払うと、最大「7%」還元などのポイントアップ特典もあります。
今回注目したいのは、本カードの「年間利用額」の条件をクリアすることで得られるメリットです。
「三井住友カード ゴールド(NL)」では、年間100万円利用すると、ボーナスポイントとして10,000ポイントが付与されます。当然ながら、通常のポイント(5,000ポイント・前出のポイントアップ特典は考慮せず)も付与されるので、合計で1万5,000ポイント以上が貯まる計算です。つまり、実質的に「1.5%」還元が達成できるのです。
そして、「年間100万円」をクリアした際に受けられるメリットはこれだけではありません。「三井住友カード ゴールド(NL)」は5,500円の年会費がかかりますが、年間100万円以上の利用で、翌年度以降の年会費が永年無料となります。つまり、「年間100万円」を使える人にとっては、「年会費無料で実質『1.5%』還元のゴールドカードを保有できる」ことになります。
●解説
本カードの特典は、ポイ活ファンの間で俗に“100万円修行”とも呼ばれているもの。ムリなく目指せるのであれば、トライする価値のある特典です。ただし、注意点が2つあります。ひとつは、100万円にカウントされない支払いがあること。たとえば、交通系ICへのチャージや「クレカ積立」の利用額などは対象外です。
もうひとつは「支払いすぎ」です。ボーナスポイントは100万円以上の支払いに対して10,000ポイントのみ。それ以上支払っても増えません。たとえば、200万円支払ってしまうとポイント還元率は「0.5%」。通常のポイント還元率と合わせても、実質「1%」にしかなりません。
丸井グループの「エポスゴールドカード」も、年間の利用額によってメリットが増えるクレカです。
「エポスゴールドカード」はポイント還元率「0.5%」(貯まるポイントは「エポスポイント」)、年会費は5,000円です。このクレカにも、「年間利用額」の条件をクリアすると、ポイント還元率、年会費ともにおトクになる特典があります
「エポスゴールドカード」の通常のポイント還元率は「0.5%」です。しかし、年間50万円利用すると2,500ポイント、100万円を利用すると10,000ポイントのボーナスポイントが、基本のポイントとともに付与されます。これを考慮した実質的なポイント還元率は、年間50万円利用の場合は「1%」、年間100万年の場合は「1.5%」となります。
また、「エポスゴールドカード」では5,000円の年会費がかかりますが、年間の利用額50万円以上をクリアすると、翌年度以降の年会費は永年無料となります(※)。
なお、一般カードの「エポスカード」で貯まる「エポスポイント」には2年間の有効期限がありますが、「エポスゴールドカード」で貯めた「エポスポイント」は「永久ポイント」扱いとなり有効期限はありません。現「エポスカード」ユーザーの人で年間50万円以上使える見込みのある人は、ゴールドへの切り替えを検討するメリットはあるかもしれません。
※一般カードの「エポスカード」の利用状況によって「エポスゴールドカード」のインビーテーションが届く場合があります。この場合は、初年度から「エポスゴールドカード」の年会費は永年無料です。
●解説
「エポスゴールドカード」も“修行”に適したクレカで私も好きでよく使う1枚です。前出の「三井住友カードゴールド(NL)」と似た仕組みですが、じつは、「エポスゴールドカード」のほうが「年間利用額」での特典付与を先に導入していました。
余談になりますが、「エポスゴールドカード」には「選べるポイントアップショップ」という特約店があり、この店舗で使うと「1.5%」の還元率になります。つまり、「年間100万円利用」と合わせると「2.5%」還元になります。かつては、この対象に「モバイルSuica」が含まれていて、【組み合わせ編1】よりおトクな方法として知られていました。今は残念ながら「モバイルSuica」が対象外となってしまいましたが、本カードにはこのような魅力があることは頭に入れておいてもらえればと思います。
慣れていない人からすると、ポイ活には「複雑そう」「わかりにくい」という印象を持つ人も多いと思います。筆者もまさにそのひとりで、これまでは面倒くささが先に立って、なかなか日常生活に取り入れるところまで行っていませんでした。その点、今回足澤さんに教えていただいた5例は、筆者のような“超初心者”でも取り入れやすく、また、長く続けられそうな印象を受けます。
●解説
「組み合わせ編」のほうは一度設定しておけば、後は普通に買い物するだけでOKです。「決済方法を組み合わせること」は、今どきのポイ活の土台となる知識でもあり、今後より複雑なポイ活にチャレンジする際の基礎知識でもあります。まずは、本記事で紹介した方法からトライしてもらえればと思います。
また、「年間利用額編」のほうは、あまり考えずに取り組めるという意味では、「組み合わせ編」より簡単かもしれません。記事で触れた「カウント対象外となる支払い」や「払いすぎ」などに気を付けていただきながら、おトクを体感してください。
この2つのポイ活「基本の型」をぜひゲーム感覚で楽しみながら取り組んでみてほしいと思います!