昨今、マネー関連のニュースで話題になることの多い「ポイント経済圏」というキーワード。ECサイトや小売店、携帯、金融など、さまざまなサービスで横断的にポイントを貯めたり、使えたりするシステムのことを表しています。そのポイント経済圏のうち主要なプレイヤーとされているのが「楽天ポイント」「Vポイント」「dポイント」「Pontaポイント」「PayPayポイント」の5つのポイントサービスです。
利用者の取り込みを図る各陣営の争いは非常に活発。サービスの追加や変更もひんぱんに行われており、ユーザーからすると、どのポイントが自分にとってメリットが大きいのかを判断しにくい側面もあります。
そこで本記事では、どのポイントが自分にとって貯めやすく、使いやすいのかを理解するために「各ポイントサービスの概要」「好相性なクレカ」「好相性なコード決済」「効果的な貯め方・使い方」を紹介。クレジットカード・ポイントに詳しい菊地崇仁さんに各ポイントの強みと弱みについても解説してもらいました。
【監修者】菊地崇仁さん
北海道札幌市出身。日本電信電話株式会社(現NTT東日本)を退社後、友人と起業したシステム設計・開発・運用会社を経て、06年にポイント交換案内サービス「ポイ探」の開発に携わり、11年3月代表取締役に就任。以後、ポイント、クレジットカード、マイレージに関する豊富な知識を生かし、テレビや雑誌などでも活躍中
それぞれの特徴を説明する前に、各ポイントと関連が深いサービスと、ポイントを貯めたり、使えたりする主要加盟店をそれぞれ表にまとめました。ただ、楽天ポイント、Vポイント、dポイント、Pontaポイントは加盟店でポイントカード(アプリ)の提示によりポイントを貯められるのに対し、PayPayポイントは基本的に、PayPayなどでの決済でポイントを貯めていくサービスのため、加盟店の表には記載していません。
各公式サイトを参照し、主要な店舗を編集部でピックアップしています。
※掲載店を一部修正しました(2024年6月14日)
ポイント還元のキャンペーンを数多く行っている楽天ポイント
楽天ポイントは楽天グループが2002年に始めたポイントサービス(実店舗での利用は2014年から)。「楽天市場」を中心に楽天グループのECサイトで多くのポイントを貯められる点に特徴があります。近年、楽天ポイントに関しては「改悪」のニュースが少なくありませんが、ポイントの貯めやすさに関しては依然、ほかのサービスより勝っているという評価が一般的。2023年は年間で約6500億円相当のポイントが発行されました。
ポイントカード(アプリ)の提示では基本的に、100〜200円で1Pを貯められます。楽天グループのサービスのほかにも、リアル店舗としては、ファミリーマートや吉野家、西友などでポイントの利活用ができます。
参考HP:楽天ポイントカード「使えるお店」
「期間限定ポイント」の有効期限切れに注意
楽天ポイントは、「ポイント○倍」などのキャンペーンがひんぱんに行われ、こうした機会をうまく活用すれば多くのポイントを獲得できます。ただ、カード提示や楽天カードの決済で貯まるのが「通常ポイント」なのに対し、こうしたキャンペーンで貯まるのは「期間限定ポイント」となっています。
前者の有効期限は最終獲得月を含む1年間となっていますが、後者の場合、2週間〜2か月程度と短い点は注意が必要です。
期間限定ポイントの有効期限は「楽天ポイントクラブ」アプリなどでチェックできます
楽天ポイントを効率的に貯めるなら、「楽天カード」は持っておきたいアイテム。年会費無料で、利用金額100円ごとに1P貯まり、還元率は常時1%。楽天市場では3倍の3%還元(100円で3P)になります。
なお、上位カードとして「楽天ゴールドカード」(年会費2,200円)、「楽天プレミアムカード」(年会費11,000円)があります。従来、この2枚のカードの楽天市場での還元率は5%(100円で5P)でしたが、現在は「楽天カード」と同じ3%還元に改悪されています。その意味で、これら上位カードを保有するメリットは薄れたと言えそうです。
楽天ポイントを貯める際に、楽天カードと併用したいコード決済サービスが「楽天ペイ」です。楽天カードなどからオンライン電子マネーの楽天キャッシュにチャージしたうえで、「楽天ペイ」で決済をすると1.5%還元(200円で3P)となります。基本的には、楽天カードでクレジット払い(1%還元)するよりも0.5%分ポイント還元率がアップするので、楽天ペイ対応店舗では積極的に使ったほうが、より多くのポイントを獲得できます。
SPU活用で楽天市場の還元率をアップ
楽天ポイントを貯めるのに有効活用したいのが「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」という特典。楽天グループのサービスの利用状況に応じて、楽天市場で買い物をする際のポイント還元率がアップする仕組みになっています。
公式HP:SPUの対象サービス・達成条件
楽天市場での通常の還元率は1%ですが、たとえば、楽天カードで買い物をすると「+2%」、楽天モバイルの対象プラン契約で「+4%」などと上乗せされていきます。現実的なハードルは高いですが、すべての条件をクリアすると最大17%還元までアップさせることが可能です。
毎月5と0の付く日に「楽天カード」を利用すると、4%還元に
楽天市場では、日常的にキャンペーンやセールが開催されています。なかでも利用しやすいのは、毎月5と0の付く日に「楽天カード」を利用すると、還元率が4%になるキャンペーン。
もうひとつが、プロ野球「楽天イーグルス」と、Jリーグ「ヴィッセル神戸」が勝利した翌日に「+1%(両チームが買ったときは+2%)」になるキャンペーンです(いずれも購入前のエントリーが必要)。たとえば、「楽天イーグルス」が4日に勝利した場合、翌日5日に「楽天カード」で買い物をすると、2つのキャンペーンが適用され、楽天市場での還元率は5%になります。
楽天ポイントは「1P→1円」として楽天市場や加盟店で使えるほか、通常ポイントの場合は「2P→1マイル」のレートでANAとJALのマイルにも交換できます。そのほかの有効な使い道を紹介します。
楽天カード代金への充当
まず挙げられるのが、「1P=1円」として楽天カード利用代金へ充当する使い方。たとえば、10万円のカード利用代金があり、1万ポイントを充当した場合、引き落とし金額は9万円に。さらに、獲得できるポイントは「10万円×1%」=1,000Pと、充当前と変わらないのがうれしいところ。ただし、こちらに対応しているのは通常ポイントのみで、期間限定ポイントでは充当できません。
楽天ペイなら期間限定ポイントも消化できる
楽天ポイントは、楽天ペイの支払いの際に充当できます。先ほど「有効期限が短く失効に要注意」と書いた期間限定ポイントも支払いに利用できるのが大きなメリット。また、大手コンビニ3社のうち支払いに楽天ポイントを使用できるのはファミリーマートだけですが、楽天ペイであればこれに加えてセブン-イレブンとローソンでも利用できるので、使い道も広がります。
楽天ポイントは、国内有数のECサイトである「楽天市場」で多くのポイント獲得が期待できること、そして、金融や携帯電話など楽天グループ内のサービス連携がうまくできていることから、貯めたポイントを幅広いシーンで使うことができるのが大きな強みと言えそうです。
近年改悪の話題が目立つものの、依然、「貯めやすさ」と「使いやすさ」の面ではほかのサービスを一歩リードしている印象です。ただ、期間限定ポイントの使い道が限定されたり(楽天ペイで利用不可になるなど)、SPUの仕組みが終了したりすれば、この優位性は揺らぐ可能性はあります。
Tポイントと統合する形で、2024年4月にリリースされたVポイント
三井住友フィナンシャルグループのVポイントに、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のTポイントが統合する形で生まれたのが新Vポイント。2024年4月にリリースされたばかりの新サービスです。街中のさまざまなお店で利活用できるTポイントの利点と、三井住友カードの決済で多くのポイントを貯められる旧Vポイントの特徴をあわせ持つポイントサービスです。
ポイントカード(アプリ)の提示では、基本的に100〜200円で1Pを貯められます。Tポイントの提携店であったTSUTAYAやファミリーマート、ENEOSなどに加え、統合後にはゼンショーグループ(すき家、なか卯、はま寿司など)やジュンク堂書店が提携店に加わり、これらの店舗でポイントを貯めたり、使えたりできるようになりました。
有効期限はポイントを利用してから1年間で、貯めたり使ったりしていけば順次延長されていきます。
参考HP:Vポイント「お店を探す」
Vポイントの獲得に大きく貢献してくれるのが「三井住友カード(NL)」。年会費は無料。カード利用200円で1Pと基本のポイント還元率は0.5%ですが、セブン‐イレブンやローソン、マクドナルドなどの対象店舗でタッチ決済(スマホ限定)で支払えば7%還元にアップします。グレードがひとつ上の「三井住友カード ゴールド(NL)」は年間100万円以上使えば、翌年1万ポイントがプレゼントされるうえ、翌年以降、5,500円の年会費が無料となります。
〈三井住友カード 7%還元対象店舗〉
〈コンビニ〉セイコーマート、セブン-イレブン、ポプラ、ミニストップ、ローソン
〈ファーストフード〉マクドナルド、モスバーガー、すき家
〈ファミレス・回転寿司〉サイゼリヤ、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵、そのほかのすかいらーくグループ飲食店、ココス、はま寿司
〈カフェ〉ドトールコーヒーショップ、エクセルシオール カフェ
さらに多くのポイントを獲得したい場合、「三井住友カード プラチナプリファード」(年会費33,000円)が候補に入ってきます。このカードはポイント特化型のプラチナカードという位置づけで、ポイント関連の特典が充実しています。
基本のポイント還元率は1%(100円で1P)。特約店ではポイント還元率がアップし、ANA航空券の購入時には「+1%」、さとふる(ふるさと納税)では「+4%」、宿泊予約サイトのExpedia利用時は「+14%」などとなります。さらに、カード利用100万円ごとに1万ポイントが還元されるので(最大は400万円利用時の4万ポイント)、使い方によっては年会費を上回るポイント獲得が可能になります。
現状、Vポイントを貯められるコード決済はありません。
「ココイコ!」の特典では、事前エントリーで0.5〜2.5%分のポイントが上乗せ
Vポイントの場合、前述の7%還元の対象店舗で、三井住友カードを使って買い物をするのが効果的な貯め方になりますが、それ以外にも、「ココイコ!」というポイントアップの特典を活用する方法もあります。
この特典では、事前に対象店舗を選んでエントリーしたうえで、三井住友カードで決済すると0.5〜2.5%分のポイントが上乗せされます(店舗によってはキャッシュバックの場合も)。対象店舗はビックカメラ(+0.5%)、タカシマヤ(+1%)、洋服の青山(+1.5%)など多岐にわたるのでチェックしておくとよいでしょう。
クレカ積立サービスでは券種などに応じて、積立額の0.5〜3%のポイント還元
また、三井住友カードはSBI証券と連携し、クレジットカードを使った積立投資のサービスを展開していますが、このサービスでも、毎月の積立額に対して一定数のポイントを貯められます。
毎月の積立額の上限は10万円。積立額に対する還元率は券種によって異なり、最大0.5%還元の「三井住友カード(NL)」だと月500ポイント(年間6,000ポイント)、最大1%還元の「三井住友カード ゴールド(NL)」だと月1,000ポイント(年間12,000ポイント)、最大3%還元の「三井住友カード プラチナプリファード」だと月3,000ポイント(年間36,000ポイント)を貯められます(プラチナプリファードは2024年9月までは5%還元)。
「VポイントPay アプリ」をダウンロードすれば、貯めたVポイントをVisaタッチの加盟店などで「1P=1円」として利用可能
Vポイントは「1P→1円」として提携店で使えるほか、「500P→250マイル」としてANAマイルにも交換できます。そのほかの有効な使い道を紹介します。
Visaのタッチ決済加盟店などで「1P=1円」で利用可能
ほかのポイントサービスにはない、Vポイントの特徴的な使い道がVisa加盟店でのショッピング。Vポイントは、スマホ用の決済アプリ「VポイントPay アプリ」を利用することで、「1P=1円」としてVisaのタッチ決済やiDの加盟店、ネットショッピングなどで利用可能です。
三井住友カードの利用代金にも充当可能
また、三井住友カードの支払い代金に「1P=1円」として充当するのもおすすめの使い道。この場合でも、充当後ではなく、充当前の金額に対してポイント還元されるのもメリットとなります。
Vポイントは、三井住友カードを使えばセブン‐イレブンやローソン、マクドナルドなどで7%という高いポイント還元を受けられるのが大きな利点。貯めたポイントもVisaのタッチ決済加盟店など、国内はもちろん海外でも使えるのは利便性が高いでしょう。
ただ、大手携帯キャリアと連携しておらず、ネットショッピングの分野が弱いのが弱点。7%還元の対象店となるコンビニや飲食チェーンの利用が多い人向けのポイントと言えそうです。
Amazon利用時にもポイントを貯められるようになり、注目を集めるdポイント
「dポイント」はNTTドコモが2015年に始めたポイントサービスですが、ドコモユーザーにかぎらず誰でも利用可能です。飲食チェーンなどを中心に加盟店を拡大してきましたが、経済圏としてはネットショッピングに弱さがあるとされてきました。しかし、2024年4月にAmazonと提携することを発表。日本最大級のネットショッピングサイトでポイントを貯められるようになり、弱かったEC分野が大きく強化されました。
ポイントカード(アプリ)の提示では、100〜200円で1Pを貯められます。ローソンやファミリーマートのほか、ケンタッキーフライドチキン、すき家などが加盟店になっています。
参考HP:dポイントクラブ「たまる・つかえるお店」
さらに、3か月間の累計dポイント獲得数に応じて、翌月のポイント還元率が「1倍(変化なし)〜2.5倍」まで変動する仕組みを採用。ポイント2倍(3か月累計600P獲得)までなら、さほどハードルは高くなく、貯めやすいポイントプログラムです。
なお、2024年10月以降はdポイントクラブがリニューアルされ、翌月のポイント還元率が「1倍(変化なし)〜2倍」になります。上限の倍率は下がるものの、現在、ポイント1.5倍は100ポイントの獲得が条件ですが、50ポイントと達成しやすくなります。
ポイントの種類は、通常ポイントと、キャンペーンなどでもらえる期間・用途限定ポイントの2種類。通常ポイントの有効期限は、最終獲得月より48か月後の月末です。
dポイントを貯められるクレジットカードは「dカード」。年会費無料。100円ごとにdポイントが1P貯まり、基本還元率は1%と高水準なので、ドコモユーザー以外にもメリットのあるカードです。
特典が上乗せされる特約店が豊富にあり、たとえばJALの航空券購入では還元率が「+1%」になり2%還元、家電量販店のノジマでは2%のポイント還元(決済+ポイントカード提示)に加えて、3%オフで買い物できます。
なおドコモユーザーからは、ワンランク上の「dカード GOLD」(年会費11,000円)が人気を集めています。ドコモのケータイやドコモ光の利用料金に対して最大10%(税別1,000円ごとに100P)が還元されるのが魅力です。ドコモの利用状況によっては、年会費を上回るポイント獲得も期待できそうです。ただし、機種購入代金や手数料などは還元の対象外となる点は要注意。
また、購入から3年間、最大10万円の補償が付く「ケータイ補償」や国内主要空港のラウンジの無料利用など、ゴールドカードならではの特典も光ります。
ドコモのスマホ決済「d払い」を利用すると基本的に、200円ごとに1P貯まり0.5%還元になります。さらに、d払いの支払い方法にdカードを指定すると0.5%分が上乗せされ合計1%のdポイントを獲得可能です。
dポイントクラブのリニューアルを紹介しましたが、2024年10月以降はd払い特典も追加されます。3か月の累計dポイント獲得数に応じてd払いの還元率が最大2%にアップします。
Amazonでの5,000円以上の買い物で1%還元
前述のとおり、NTTドコモとAmazonは2024年4月から提携を開始。これにより、Amazonで5,000円以上の買い物をすると1%分のdポイントが還元されます(還元上限は1回につき100P)。ドコモを通じてAmazonプライムの月間プランに登録すると、毎月120Pが還元されるほか、所定の条件を満たすとAmazonでの還元率を最大3.5%まで上げることができます。
所定の条件を満たすと、Amazonでの還元率は3.5%までアップ(画像はNTTドコモのプレスリリースから)
毎週金曜と土曜日は対象のネットサービスで最大4%還元
またNTTドコモは、毎週金曜・土曜にネット通販でのd払いでポイントがアップする「d曜日」というサービスを実施。毎月、事前にエントリーしたうえで、対象サイトにおいてd払いで決済すると、最大4%分のポイントが還元されます。対象サイトにはメルカリやユニクロオンラインストアなどの有名サイトも名を連ねています。なお、Amazonも対象店で、前述のポイント還元を加味すると最大6.5%還元になります。
dポイントは「1P→1円」として加盟店で利用やドコモ携帯電話料金に充当できるほか、「1,000P→500マイル」としてJALマイルにも交換できます。そのほかのお得な使い方を紹介します。
ドコモユーザーはd払いで、Amazonでの買い物に充当可能
ドコモユーザー限定で、d払い設定にすることでdポイントをAmazonでの支払いに「1P→1円分」として利用できます。期間・用途限定ポイントも利用できるので、キャンペーンでもらったポイントの使い道に困ったときにもおすすめです。
ポイントで投資
投資一任サービス「THEO+ docomo」ではdポイントで入金できるサービスがあり、期間・用途限定ポイントも利用できます。また、2024年7月から、マネックス証券でdカードを使ったクレカ積立サービスを開始することを発表しています。
ローソンでのお試し引換券を使って買い物
また、dポイントとPontaポイントに関しては、ローソンで「お試し引換券(お持ち帰り限定)」に交換することが可能です。「1P=2円」程度のレートで対象商品と交換できるので、気になる方をチェックしてみるとよいでしょう。
参考HP:ローソン公式サイト「お試し引換券 対象商品」
dポイントは、d払いユーザーを対象にしたキャンペーンをひんぱんに行っており、これをうまく活用すれば多くのポイント獲得を期待できそうです。また、5,000円以上の買い物という条件はつくものの、Amazonの買い物でポイントを貯められるのはほかのポイントサービスにはない魅力と言えそうです。
銀行や証券など金融サービスとの連携が不十分なのが弱みとされていましたが、マネックス証券でのdカードを使ったクレカ積立のサービス開始(2024年7月5日)も発表されており、今後のさらなる展開に注目しています。
auユーザーと相性のよいPontaポイント
「Pontaポイント」は、KDDIや三菱商事、ローソンなどが出資する「ロイヤリティ マーケティング」が2010年に始めたポイントサービス。auの携帯電話や金融事業(auじぶん銀行、auカブコム証券)、そして、「じゃらん」などのリクルート系のサービスでポイントの利活用できる点に特徴があります。
参考HP:Pontaポイント「提携店・サービス」
ポイントカード(アプリ)の提示では基本的に、100〜200円で1Pを貯められます。ローソンやドラッグストアのトモズ、ケンタッキーなどでポイントの利活用が可能です。ローソンで還元されるポイントは利用時間によって異なり、0時〜15時59分は0.5%(税別200円ごとに1P)、16時〜23時59分は1%(税別200円ごとに2P)となります。ポイントの有効期限は、最終利用日(貯める・使う)より1年後の同日です。
Pontaポイントを貯めやすいのが「au PAY カード」。年会費は無料。100円でPontaポイントが1P貯まり、還元率は1%。auユーザーなら検討の価値があるのが「au PAY ゴールドカード」で、au携帯電話料金の最大10%分のポイント還元を受けられます(ただし、端末代金や各種手数料などは計算の対象外)。年会費は11,000円かかりますが、au携帯電話の利用状況によっては、年会費分のポイント還元を受けられる可能性があります。
好相性なスマホ決済は「au PAY」。200円の決済ごとにPontaポイントが1P貯まり、還元率は0.5%。Pontaポイントの加盟店でau PAYで決済した場合、決済で0.5%(200円ごとに1P)+Pontaカード提示で0.5%または1%が貯まり、合計1〜1.5%の高還元となります。
「au PAY」のアプリでは、Pontaポイントカードを表示可能。ポイントカードの提示と決済が同一アプリ内でスムーズにできる点も便利です
毎月5日、8日、15日、25日は、抽選で1P〜3,000Pが加算
au PAYユーザーを対象にした「たぬきの吉日」というキャンペーンは要注目。毎月8日と5の付く日(5日、8日、15日、25日)にau PAYで200円以上決済をするたびに抽選が行われ、通常ポイントとは別に「1等(3,000P)」「2等(100P)」「3等(20P)」「4等(10P)」「5等(1P)」のいずれかが加算されます。
さらにこれらの日に、au/UQモバイルユーザーはローソンやスシローなどの対象店舗(大手の飲食チェーンやドラッグストアなど)でau PAYを使うと、auユーザーは5%、UQモバイルユーザーは3%還元となります(1か月の還元上限はauが500P、UQモバイルは300P)。「au PAY」ユーザーは、毎月5の付く日と8日の買い物が狙い目です。
クレカ積立では1%還元、年会費無料のカードとしては高水準
au カブコム証券では「au PAYカード」を使った積立投資に対してポイント還元を実施しています。毎月の積立額の上限は10万円で、ポイント還元率は1%のため、月間で最大1,000P(年間12,000P)貯められることになります。
楽天証券(楽天カード)やSBI証券(三井住友カード)も同種のサービスを行っていますが、両サービスでは年会費無料のカードの場合、還元率は基本的に0.5%。その点、年会費無料の「au PAYカード」で還元率が1%であるのは、メリットと言えそうです。
Pontaポイントは「1P→1円」としてローソンなどの提携店で利用できるほか、「2P→1マイル」としてJALマイルに交換できます。そのほかのお得な使い方を紹介しましょう。
au PAYマーケット限定のポイントに1.5倍に増量可能
食品や日用品、家電などを扱うECサイト「au PAYマーケット」では、「お得なポイント交換所」というサービスを提供。こちらは、保有するPontaポイントを最大1.5倍に増量したうえで、「au PAYマーケット」限定で使えるポイントに交換できるサービスです(月間で交換の上限数があります)。
au PAY残高に「1P=1円」でチャージ可能
Pontaポイントは100Pから、「1P→1円」としてau PAY残高にチャージできます(月間合計2万円まで)。au PAYで支払うと0.5%のPontaポイントが還元されるので、「貯めたポイントを残高にチャージ」→「残高から支払い」→「0.5%分のポイント還元」というサイクルで利用ができ、貯めたポイントを使いながら貯められるという利点があります。
Pontaポイントは、関連する多くのサービス名称を「au○○」に統一しています。とりわけ、金融サービスにおけるポイントの利活用は充実しており、au PAYカードを使って、auカブコム証券でクレカ積立をすれば、1%分のポイント還元を受けられるのは魅力的な特典と言えそうです。
ただし、ECサイトの「au PAYマーケット」はAmazonや楽天市場と比べると、知名度や利便性の面から言ってやや力不足な点は否めません。
なお、KDDIは2024年4月にローソンのTOB(株式公開買い付け)を成立させ、ローソンを三菱商事とともに共同経営することになりました。現在、ローソンでは、Pontaとdポイントの2種類のポイントを同等に扱っています。ローソンはdポイントの取り扱いを続ける意向を示していますが、今後、ローソンにおけるPontaの位置づけを変えてくるのか(dポイントと差をつけてくるのか)に注目しています。
年間約6000億円相当が発行されているPayPayポイント
PayPayポイントはこれまで紹介した4種類のポイントと異なり、ポイントカード(アプリ)の提示で貯めたり、使ったりする機能はなく、コード決済の「PayPay」やクレジットカードの「PayPayカード」で決済することで付与されるポイント。貯めたポイントは、PayPay支払時に「1P=1円」として利用可能です。
PayPayは、コード決済サービスで約7割のシェアを占めており、利用できる店舗も400万か所を超えています。このように、全国各地にあるPayPayが使える店舗ならどこでも貯めたり、使えたりするのがこのポイントのメリットです。2022年度のポイント発行額は6000億円相当に達し、6500億円相当とされる楽天ポイントを猛追しています。
PayPayポイントを貯められる「PayPayカード」は年会費無料。200円につき2PのPayPayポイントが貯まり、ポイント還元率は1%。Yahoo!ショッピングやLOHACOでは、還元率は5%にアップします。また、PayPay残高にチャージできるクレジットカードはPayPayカードのみとなっています。
また、PayPayは通常利用時には通常200円で1P貯まり、ポイント還元率は0.5%。しかし、PayPayに登録したPayPayカードを支払い元とし、前月に2つの条件(200円以上を30回以上の決済、合計10万円超利用)をクリアすると、還元率は1.5%にアップします。
Yahoo!ショッピングでのキャンペーンで貯める
Yahoo!ショッピングはPayPayポイントを上乗せで還元するキャンペーンを多く行っています。たとえば、毎月1日に3,000円以上の決済をすれば還元率が「+3%」となる「ファーストデー」や、2つ以上のストアで買い物をすると還元率が1%ずつ上乗せされる「ストアラリー」(最大の上乗せ率は9%)を定期的に実施しています。
ただ、Yahoo!ショッピングのキャンペーンでは、特典内容がPayPayポイントの付与ではなく、使い道が限られる「Yahoo!ショッピング商品券」である場合も少なくないので、この点は注意が必要です。
自治体連携キャンペーンで10〜30%還元
また、PayPayは、全国各地の自治体と連携し、当該自治体内の個人商店などで決済をすることで10〜30%のポイントを還元するキャンペーンを実施しています。
クレジットカードの高還元の基準が「1%」とされるなか、これだけの高い還元率のキャンペーンができるのは、事業者支援などを目的に、各自治体の税金が原資となっているためです。こちらも、大量のPayPayポイントを獲得できる好機なので、自分が住むエリアや勤務先の自治体でこうしたキャンペーンが実施されていないか、チェックするとよいでしょう。
ポイント運用のサービスで、投資の疑似体験が可能
PayPayポイントは、PayPay支払時に使うのが最も一般的な利用方法ですが、ポイントを運用に回し擬似的な投資を体験することにも使えます。
こちらは「PayPayポイント運用」というサービスで、リスク許容度に応じた7種類のコースを選んで運用することで、ポイントが増減する仕組みになっています。1Pから運用にまわすことができ、ポイントはいつでも引き出すことができます。まずは現金ではなく、ポイントで投資の体験をしてみたいという方にはメリットのあるサービスです。
PayPayポイントの最大の強みは、コード決済サービスで圧倒的なシェアを持つ「PayPay」の利用でポイントを貯められたり、使えたりできる点。支払い方法が「現金」と「PayPay」のみの店舗も少なくなく、こうした状況を見ても魅力的なポイントサービスと言えそうです。
ただ、PayPay銀行でPayPayポイントを効率的に貯められる特典は少ないなど、ほかのサービスとの連携は不十分。名称は「PayPay○○」への統一が進んでいますが、連携内容は物足りないものとなっています。
以上、5つの主要なポイントサービスの特徴を紹介してきました。
メインで貯めていくポイントを選ぶ際、自身が利用機会の多い店舗やサービスを見て判断するのが基本的なやり方になりますが、携帯キャリアで選ぶというのもひとつの方法です。
Vポイントを除いて、「楽天ポイント=楽天モバイル」「dポイント=NTTドコモ」「Pontaポイント=au」「PayPayポイント=ソフトバンク」と、大手携帯キャリアと各ポイントの結びつきが非常に強くなっているからです。
また、基本的には、貯めるポイントはひとつに絞るのが賢いやり方とされていますが、これまで見てきたようにそれぞれのポイント(経済圏)には強みと弱みがあります。1種類のポイントでは生活全般をカバーできない場合、手間はかかりますが、メインとサブで複数のポイントを使い分けるやり方を検討してもよいかもしれません。
なお、ポイントは発行企業の裁量で、その価値や交換方法などが改悪されることはよくあることです。その意味でも、「貯めて一気に使う」よりも「コツコツ使う」というやり方が大事になってくるでしょう。