2024年10月15日より、三井住友カ―ドのセブン-イレブンでのポイント還元率が最大10%にアップ
ここ1月間程度のキャッシュレス関連のニュースの中から、マネー担当の編集部員やライターが気になったものをピックアップしてお伝えする当連載。
今月のトップニュースは、2024年10月1日に発表された、三井住友カードとセブン-イレブンの新たな取り組みについて。2024年10月15日より、全国2万店を超えるセブン-イレブンの店舗において、三井住友カードのポイント還元率が最大10%に上がることが明らかになりました。10%還元になる貯め方を中心に解説します。
最大10%還元は「セブン-イレブンアプリ」(スマホ画像右)のポイントと、対象の三井住友カードを登録したスマホのタッチ決済(スマホ画像左)のポイントを合算したもの。詳しくは<ニュース1>で解説
このほか、三井住友銀行の個人向け店舗の新形態である「Olive LOUNGE(オリーブ ラウンジ)」2号店の話題や、KDDIが「auスマートパスプレミアム」をリニューアルする形で始めた「Pontaパス」についてもお伝えします。
3行サマリー
○2024年10月15日よりセブン-イレブンにて三井住友カードで決済すると「Vポイント」が最大10%還元
○10%還元は「セブン-イレブンアプリ」の提示と「スマホのタッチ決済」との合算値
○大型特典の登場で「Vポイント」や「スマホのタッチ決済」の普及が加速するか
三井住友カードとCCCMKホールディングス、セブン-イレブン・ジャパンは、2024年10月1日に「Vポイント×セブン-イレブンの新たな取り組み発表会」を開催。10月15日より、全国のセブン-イレブンで最大10%の「Vポイント」が貯まる新特典を始めることを発表しました。
右から、大西幸彦三井住友カード社長、永松文彦セブン-イレブン・ジャパン社長、高橋誉則CCCMKホールディングス社長兼CEO
これまでもセブン-イレブンは、三井住友カードの特典「対象のコンビニ・飲食店で最大7%ポイント還元」の対象店であり、セブン-イレブンの店舗で、対象の三井住友カードを登録したスマホのタッチ決済で支払うと最大7%となる「Vポイント」が還元されていました。10月15日からは、本特典の対象店のうち、セブン-イレブンのみポイント還元が大きく強化される形になります(現時点で、そのほかの対象店のポイント還元率は据え置き)。
10%還元の内訳は次のとおり2段階に分かれています。
・まず、「セブン-イレブンアプリ」の会員コードを提示すると、買い物金額に対して0.5%の「セブンマイル」が還元されます。
・その後、対象の三井住友カードを登録したスマホのタッチ決済で支払うと、買い物金額に対して9.5%の「Vポイント」が貯まります(※)。
本特典の登場と合わせて、2024年10月15日より「セブンマイル」を「Vポイント」に交換できるようにもなるため(10マイル=10P)、これらを合算することで、最大10%の「Vポイント」が獲得できるというわけです。
※リアルカードでタッチ決済した場合は、現状のルールどおり5%還元。
セブン-イレブンで最大10%の「Vポイント」を受け取るための設定と手順を、もう少し詳しく確認しておきましょう。
まずは、支払い前の設定について。「セブン-イレブンアプリ」(※)を利用するのが、目新しい点になります。
※セブン-イレブンアプリ……セブン-イレブンの公式アプリ。「7iD」に会員登録することで、クーポン獲得や抽選キャンペーンへの参加、「セブンマイル」を貯めるなどの各種特典が利用できます。
(1)「セブン-イレブンアプリ」をダウンロードし「7iD」を設定。
(2)「セブン-イレブンアプリ」内のバナーから専用ページに移り、「Vポイント」を設定。設定後は「セブンマイル」を10マイル単位で「Vポイント」10ポイントに交換が可能。
(3)三井住友カードの「Vpassアプリ」から、SMBCグループ各社サービスのIDと「Vポイント」を設定。「Vpassアプリ」から対象の三井住友カードを「Apple Pay」や「Google Pay」に登録。
※いずれも、すでに設定済みの場合は対応不要とのこと。
画像は三井住友カード提供
続いて、店頭での支払いの手順について。ここでは “提示”と“決済”の2つのアクションが必要です。
商品の読み取りが終わった後、支払う前に、設定済みの「セブン-イレブンアプリ」を提示してバーコードを読み取ってもらいます。これで0.5%分の「セブンマイル」が貯まる状態になります
その後、レジで「クレジットカード払い」を選び、対象の三井住友カードを登録したスマホのタッチ決済で支払えばOK。リアルカードではなく、スマホのタッチ決済で支払うのがポイント
ここまで、セブン-イレブンにおける「三井住友カードホルダー向け」の10%還元特典について解説してきましたが、本特典と合わせて、「三井住友カードを持っていない人向け」にも、セブン-イレブンでの10%還元特典が発表されています。
この特典は、2024年10月15日以降、毎週金曜日限定で実施されるもの(直近では2024年10月18日の予定)。10%還元に必要なのは、前出の「セブン-イレブンアプリ」に加えて、「Vポイント」関連アプリのひとつである「VポイントPayアプリ」です。
「VポイントPayアプリ」は、Visaのタッチ決済や「iD」決済に対応した店舗で、「VポイントPay残高」を使って支払える決済用のアプリのこと。「VポイントPay残高」には、貯まっている「Vポイント」や、クレジットカード、銀行口座からチャージが可能です。
金曜日にセブン-イレブンにて、「VポイントID」と連携済みの「VポイントPayアプリ」のタッチ決済で支払うと、9.5%分の「VポイントPay残高」が還元されます(レジでは「クレジットカード払い」を選択)。「セブン-イレブンアプリ」分の0.5%分と合わせて、10%還元になります。
ただし、この方法で貯まるポイントは「VポイントPay残高」と「セブンマイル」になるため、獲得したポイントをすべて合算したい場合は、「セブン-イレブンアプリ」で貯まった「セブンマイル」を「Vポイント」に交換し、それを「VポイントPay残高」にチャージする作業が必要になります。
▼「VポイントPayアプリ」を含め、「Vポイント」に関連するアプリについては下記の記事で詳しく解説しています。
今回のセブン-イレブンとの協業について、三井住友カードの大西幸彦社長は「『セブンマイル』と『Vポイント』がつながることで、双方のお客様にこれまで以上のおトクを実感してもらえるのではないかと考えている」とコメント。そして、本取り組みをきっかっけにして、「モバイルベースでのタッチ決済の加速」を図る意図があると説明しています。
それを裏付けるように、今回の発表では、2025年1月1日より「対象のコンビニ・飲食店での最大7%還元」特典におけるリアルカードの扱いが“改悪”となることも明らかになりました。
今後、三井住友カードの「ポイントアップ特典対象のコンビニ・飲食店」における、決済方法別のポイント還元率が順次変化していきます。画像は三井住友カード提供
これまでは、「対象のコンビニ・飲食店」でのスマホのタッチ決済で7%還元(10月15日以降、セブン-イレブンでは10%還元)、リアルカードでのタッチ決済では5%が還元されていましたが、2025年1月1日以降は、リアルカードでのタッチ決済の還元率が1.5%へと大きくダウンします。
もっともおトクな「セブン-イレブンでのスマホのタッチ決済」と比べると8.5%もの“格差”が生じることになり、「スマホのタッチ決済を普及させたい」という三井住友カード側の強い意図が感じられます。その理由については明らかにされていませんが、これまで、「スマホを使って決済する」というシーンにおいて「PayPay」や「楽天ペイ」などのコード決済勢に遅れを取ってきたことに対し、本腰を入れて巻き返しを図ってきたとの見方もできそうです。
いずれにせよ、コンビニ業界トップのセブン-イレブンにおける10%還元のインパクトは大きく、「Vポイント」や「スマホのタッチ決済」の普及を加速させる予感があります。
(以下、2024年10月11日追記)
「三井住友カード×セブン-イレブンで10%還元」の発表から間もない2024年10月10日、セブン-イレブンでの新たな高還元特典が発表されました。
2024年11月1日以降、セブン・カードサービスが発行するクレジットカード「セブンカード・プラス」を使ってセブン-イレブンで決済すると、10%分の「nanacoポイント」が貯まるようになります(要「7iD」との連携)。さらに、「セブンカード・プラス」の支払い口座をセブン銀行口座に設定するとセブン-イレブンでの還元率が1%上がり、合計11%還元となります。
現時点ではこれ以上の詳細は未定ながら、三井住友カードでの10%還元に続きインパクトの大きいポイント還元特典が出てきたのは事実。セブン-イレブンのポイント関連の動きがにわかに活発化しています。
3行サマリー
○10月、三井住友「Olive」がモチーフの「Olive LOUNGE」2号店が下高井戸にオープン
○同店は、銀行・スタバ・シェアラウンジが一体となった個人顧客向けの新コンセプト店舗
○誰でも利用可能だが「Olive」ユーザーには10%還元や専用スペースの無料利用特典あり
三井住友銀行は、2024年10月7日に、同行と三井住友カードの共同商品「Olive(オリーブ)」をモチーフとした店舗「Olive LOUNGE(オリーブ ラウンジ)下高井戸店」をオープンさせます。
同店は、2024年5月にオープンした渋谷店に続く、「Olive LOUNGE」の2号店。「Olive LOUNGE」は、銀行とほかのテナントが共存したオープンなスペースをコンセプトとする、三井住友銀行の新しい店舗形態です。
2024年10月7日にオープンする「Olive LOUNGE下高井戸店」(東京都世田谷区)。画像は三井住友銀行提供
「Olive LOUNGE下高井戸店」は、京王電鉄京王線・東急電鉄世田谷線が乗り入れる下高井戸駅前に立地していた、旧三井住友銀行下高井戸支店がリニューアルされるもの。1階には「スターバックス」が出店し、そのすぐ奥には三井住友銀行のATMコーナが設置されるほか、金融に関するセミナーなどを開催するイベントスペースも設置されます。
画像は三井住友銀行提供
2階には三井住友銀行が入り、窓口では口座開設などの各種手続きや資産運用などの相談を受けられるほか、「Olive」の操作方法や、「Vポイント」の使い方を案内する専門のスタッフも配置される予定です。
また、カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営するコワーキングスペース「SHARE LOUNGE」も併設され、ビジネスパーソン向けに、快適で機能性の高いオフィススペースが提供されるとのこと。利用料はプランによって変動し、ソフトドリンクが飲み放題のプランの場合60分1,100円から利用できます。
画像は三井住友銀行提供
施設の名称にも冠されている「Olive」のアカウント契約者には、併設する「スターバックス」や「SHARE LOUNGE」の利用料金を「Olive」を登録したスマホのタッチ決済で支払うと、利用金額の10%相当の「Vポイント」が還元される特典があります。
また、店舗2階に設けられる、「Olive」のアカウント契約者専用スペースの「Oliver’s Place(オリバーズプレイス)」を無料で利用することもできます。同伴者1名まで同行可能で、混雑時を除いて時間の制限なく利用可能とのことで、「Olive」ユーザーはちょっとした優越感を抱くことができそうです。
3行サマリー
○KDDIが会員サービス「auスマートパスプレミアム」を「Pontaパス」にリニューアル
○ローソンで使えるクーポンの発行や、「au PAY」の還元率アップ特典などが追加
○KDDIがローソンの経営に加わったことにより、Ponta×ローソンの関係が強化
KDDIは、約1,500万人が利用しているauの有料会員サービス「auスマートパスプレミアム」をリニューアル。2024年10月2日より、月額548円の「Pontaパス」として、新たにサービスの提供を始めました。
画像はKDDI提供
「Pontaパス」では、新たに3つの特典が追加されます。ひとつめが、「ウィークリーLAWSON」で、ローソン商品の無料・割引クーポンなど、ローソンでの買い物がおトクになるクーポンが、毎月合計600円相当以上提供されます。提供される内容にもよりますが、仮にすべて使うことができれば、月額料金(548円)の元が取れる計算です。
2つめは「Pontaパスブースト」です。この特典は、毎月エントリーのうえ、特典対象のPontaの提携社で「au PAY(コード払い)」で決済すると、「Pontaポイント」の還元率がアップするというもの。
対象提携社のひとつであるローソンでは、通常0.5%の還元率が最大4倍になります(最大2%還元・200円で4P)。ローソン以外の対象の提携社では、最大2倍です(最大1%還七鹿黒200円で1P)。還元上限は月500ポイント、1回の決済につき150ポイントまでとなります。
対象期間中にPonta提携社で1ポイント以上貯めると、抽選で100人に1万ポイントが当たる抽選も実施されます。初回の対象期間は2024年10月2日から12月31日で、以降3か月ごとに年4回実施予定です。
3つめは、ローソン・ユナイテッドシネマの劇場鑑賞料金(大人2,000円)の割引です。2025年1月9日上映分までは800円割引、以降は600円割引が適用されます。
「Pontaパス」では、飲食店などの無料クーポン・割引クーポンをはじめ、映像・音楽・書籍サービスが見放題となる特典、スマホ修理代金のサポート特典など、旧「auスマートパスプレミアム」で提供されていた特典も引き続き提供されます。そのうえで、前出の3つの特典が追加され、月の利用料金も据え置かれているので、おトク感はアップしたと言えるでしょう。
KDDIは、2024年4月にローソンに対するTOB(株式公開買い付け)を実施。現在は同社と三菱商事が共同でローソンを経営しています。これにともない、今年春には「auスマートパスプレミアム」の「Pontaパス」へのリニューアルが予告されており、今回これが具体化した形です。2024年10月からは、ローソンの店舗にて「Pontaパス」とのコラボ商品(2種類のパン)も販売されるなど、ローソンと「Ponta」の関係性が強まっています。
ローソンと「Pontaパス」のコラボ商品の第1弾として登場した、「大きなピザパン」(左・214円)と「切れてるシュガーバターフランスパン」(右・214円)。「Pontaパス」会員はPontaパスアプリから提供されるクーポンを使って半額で購入できます。画像はKDDI提供
最後に、現在実施されているキャッシュレス関連のキャンペーンの中から、編集部がチョイスした3つのキャンペーンをご紹介します。
期間中にキャンペーンページからエントリーのうえ、ウエルシアグループの店舗で「モバイルVカード」を提示して買い物をすると、通常200円につき1ポイント貯まる「Vポイント」が、キャンペーン期間中は3倍貯まります(処方せん調剤のみの店舗は対象外)。特典ポイントの上限は1万ポイント、有効期限は2025年2月28日まで。
実施期間:開催中〜2024年10月31日まで
キャンペーン期間中に「JCB Biz ONE」の一般もしくはゴールドに新規入会すると、カード入会月を含む3か月後の月末までの合計利用金額に応じて1,000〜8,000Pの「Oki Dokiポイント」が受け取れます。たとえば、「JCB Biz ONE」の一般カードで、10万円以上30万円未満利用した場合は1,000ポイント、30万円以上利用した場合は4,000ポイントです。
実施期間:開催中〜2025年3月31日まで
本キャンペーンの対象となるのは、三菱UFJカード、MUFGカード、DCカード、NICOSカードの個人会員(一部を除く)。キャンペーン登録のうえ、各期間中に対象カードを買い物で利用すると、「50円以上の利用1回を1口」として抽選を実施し、「1回の買い物金額の最大15倍(上限10万円)の現金」が合計100名(各回50名)に、「17種類から選べる電子ギフト券(Amazonギフトカードなど)500円分」が合計9,900名(各回4,950名)に当たります。
実施期間:第1回 開催中〜12月31日/第2回 2025年1月1日〜年3月31日