コード決済の「PayPay」と好相性なクレジットカードとして知られる「PayPayカード」(年会費無料)。ヘビーユーザーとまではいかないものの、定期的にPayPayを使っている筆者にとっても以前から気になるカードだった。
ただ、PayPayをさほどひんぱんに使っていなかったこともあり、「まだいいか」と申し込みを先送りしてきた。だが最近、PayPayの利用機会が増えてきたこともあり、ついに入会して使い始めた。
結論から言えば「もっと早く申し込むべきだった」と感じている。
筆者が「PayPayカード」に対して感じる主な魅力は下記のとおり。
・PayPay残高に都度チャージする手間から解放
・PayPay利用時のポイント還元率が0.5%から常に1%以上にアップ
・ワイモバイルの携帯料金が月187円オフ
・Yahoo!ショッピングでいつでも5%還元
・複数枚の発行が可能で、Visa、MasterCard、JCBの使い分けも可能
といった点にある。
価格.comでもユーザーの支持を集め、一般カードランキングでトップ5の座をキープしている(2025年8月5日時点)。そこで本記事では、筆者が使い始めて感じたPayPayカードの魅力を詳しく紹介していきたい。
価格.com 一般カードランキングで、PayPayカードは5位の座をキープ(2025年8月5日時点)
PayPayはソフトバンクが主導して2018年10月にリリースしたQRコード決済。コード決済としては後発のサービスでありながらも、大型の還元キャンペーンでユーザー数を急速に伸ばしてきた。2025年7月時点の会員数は7,000万人と、コード決済で断トツのシェアを誇っている。
200円の利用ごとに「PayPayポイント」が1P(1円相当)貯まり、基本のポイント還元率は0.5%だ(後述するPayPay残高からの支払いの場合)。
筆者がPayPayのアプリをインストールしたのは2018年12月。そう、PayPayの知名度を一気に上げた「100億円あげちゃうキャンペーン(決済額の20%、ひとり最大5万円を還元)」につられて始めたのだ。
キャッシュレス決済は還元率「1%」が高還元の基準とされているが、2019年に入っても、PayPayはこの水準を上回る高還元キャンペーンをひんぱんに行い、筆者も利用を続けてきた。
しかし、潮目が変わったのが2020年ごろ。筆者の記憶では、この頃からPayPayによる高還元キャンペーンは鳴りを潜め、同年4月には基本還元率が「1.5%」から「0.5%」にダウン。こうした変更を受け、筆者がPayPayを使うのは自治体と連携したキャンペーン(還元率が10〜30%と高い)ぐらいで、利用機会は減っていった。
だがここ最近、「また、PayPayを使う機会が増えてきたな」と感じ始めてきた。理由として思い当たるのは、出社や旅行など外出機会の増加だ。
筆者は東京都内在住・在勤の会社員だが、昼食のために飲食店、とりわけ個人店に入ると、支払い方法が「現金 or PayPay」に限定されているお店が意外に多い。現金を持ち歩かないことも多い筆者は必然的に、PayPayを使うことになる。
さらに地方都市では、「現金orPayPay」の店舗の割合がさらに増える印象だ。昨年は札幌と宮崎に旅行したが、お土産や食事などで、PayPayを使う機会が非常に多かった。
もうひとつ、筆者のPayPay利用が増えてきた背景にあるのが「クーポン」の存在だ。
PayPayアプリの中にはクーポンがあり、これを事前に獲得した上で決済をすると5%程度のポイントを獲得できる。
内容は毎週月曜日に更新され、対象店は牛丼チェーンやカフェチェーンなど多岐にわたる。2024年秋には普段あまり割引がされないカレーチェーン「ココイチ」で15%還元となるクーポンが配布されて、これなどはかなり多用した。
また、ワイモバイルユーザーは、ヤフーやPayPayなどで特典を受けられる「LYPプレミアム会員」の特典が無料で利用できるが、PayPayクーポンの中には、「LYPプレミアム会員」限定のクーポンがあり、ワイモバイルユーザーである筆者はこれもよく利用する。
PayPayの中には、「LYPプレミアム会員」限定のクーポンがあり筆者はこれをよく使う(画像は2025年8月時点の公式サイトから)
こうしてPayPayの利用頻度が増えてくると、気になってくるのが「残高チャージ」の手間だ。
PayPayには支払い方法として、
・事前にチャージして残高払い
・クレジットカード払い
の2種類がある。
PayPayの支払い方法は「残高払い」か「(連携した)クレジット払い」の2種類(画像は公式サイトより)
筆者が選ぶ「残高払い」の場合、事前に以下の5種類いずれかの方法でチャージしておく必要がある。
〈PayPay残高にチャージする方法〉
(1)登録した銀行から(手数料無料)
(2)PayPayカードから(手数料無料)
(3)ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い(手数料は一部有料)
(4)セブン銀行とローソン銀行ATMから現金で(手数料無料)
(5)Yahoo!フリマ・Yahoo!オークションの売上金から(手数料無料)
携帯キャリアとしてワイモバイルと契約している筆者は、毎月の携帯料金の請求額にチャージ金額が合算される(3)の「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」を選んでいた。
手間もかからず、大変便利なのだが、このチャージ方法には大きな落とし穴がある。
毎月初回のチャージは無料となるものの、2回目以降は「2.5%」の手数料が発生してしまうのだ。30,000円チャージで750円、50,000円で1,250円。決済で獲得できるポイントを優に超えてしまう金額で、「2.5%」の手数料を負担するのは絶対に避けなければならないと感じていた。
ただ、PayPayの利用回数・金額が増えていくにつれて、月の後半にはPayPay残高が不足、そこで「ワイモバイルまとめて支払い」を使ってチャージしようとすると、すでにその月は利用済み、というケースが増えてきた。
そうなったとき、筆者は(4)のやり方を選び、
(1)銀行口座から現金を引き出し
(2)その現金を使って、セブン銀行ATMでPayPay残高にチャージ
という次善策を取るようになっていった。
ただこれは、「現金不要であるはずのキャッシュレス決済」を利用するために「現金を引き出す」という、少し矛盾した状況。何か月かそういうことが続くと、大きな違和感を抱いた。そして、「チャージしたうえでPayPayを使うのは面倒」という結論にいたり、PayPayカードを申し込むことにしたのだ。
PayPayカードは横型と縦型のデザインを選べるが、筆者は後者を選択。券面にカード番号の記載がない「完全ナンバーレス」で、デザインもシンプルで気に入っている
実際にPayPayカードを約7か月近くにわたって使ってみて、メリットに感じるのは以下の点だ。
最初に感じたのは、申し込みのスムーズさだ。
筆者がPayPayで本人確認をしていたためと推測しているが、入会にあたって必要となる名前や住所、生年月日などの項目はあらかじめ入力されていて、手続きの手間は通常のカード申し込みの半分以下に感じた。さらに、印象に残ったのは、カード発行の速さだ。
PayPayカードの公式サイトには、PayPayに登録できるバーチャルカード発行にかかる時間は「最短7分(申し込み5分+審査2分)」と書かれている。だが筆者の場合、申し込みを済ませた1分後には審査が完了し、発行が完了した旨のメールが届いた。そして、このバーチャルカードをPayPayに登録する作業も非常にスムーズだった。
これだけ早く発行され、利用開始できるのは大きな魅力に感じた。なお、プラスチックのカードは申し込みの6日後に自宅に届いた(かつては、カードを発行しない「カードレス」を選べたようだが、今はできない)。
PayPayカードの申し込み完了は18時13分。その1分後に、審査完了のメールが届いた
PayPayカードを発行したことで、以下の3つの支払い方法が可能になった。少しわかりにくいので整理しておく。
PayPay残高払い:残高から支払う。事前のチャージが必要(PayPayアプリを利用)
PayPayクレジット:PayPayにPayPayカードを連携することで可能になる支払い方法。チャージ不要(PayPayアプリを利用)
PayPayカード:クレジットカードを使った支払い方法。PayPayは使えないが、カード決済が可能な店舗で利用できる決済方法(物理カードを利用)
PayPay残高払いとPayPayクレジットはいずれも、PayPayアプリを使う決済方法だが、ホーム画面は前者が「赤」、後者は「青」になる(タップひとつで切り替え可能)。
基本のポイント還元率がPayPay残高払いは0.5%還元なのに対し、PayPayクレジットだと1%。PayPayカードを持っているならば、わざわざ還元率が半分になる「残高」で決済する必要性は基本的になさそうだ。
PayPayアプリでは、残高払いの場合は「赤」、PayPayクレジットで支払う場合は「青」と区別されている。そして、アプリホーム画面の端(赤枠部分)をタップすることで、簡単に切り替えられる
そして、PayPayには利用状況に応じて、還元率がアップする「PayPayステップ」という特典がある。前月に
(1)200円以上の支払いを30回以上
(2)支払金額10万円以上
という2つの条件をクリアすると、翌月の還元率が「0.5%」アップする。つまり、PayPay残高払いだと1%還元、PayPayクレジットとPayPayカードの利用なら1.5%還元となる。
少しややこしいのだが、PayPayステップの(1)と(2)の条件には、PayPayカード利用分も含まれる。
たとえば、ある月に
PayPayクレジット:200円以上の支払い20回、計3万円利用
PayPayカード:200円以上の支払い10回、計7万円利用
の場合、条件達成となり、PayPayクレジットおよびPayPayカードの翌月の還元率は1.5%還元にアップする。
なお、PayPayには他社のクレジットカード(PayPayカード以外のクレカ)を登録し、支払うことも可能だ。ただし、この際にPayPayポイントは付与されない。そして、当初は2025年1月に、PayPayにおける他社クレカの利用が停止になる予定だったが、利用停止の措置が撤回されている。
これはすでに説明したとおりだが、PayPay残高の金額を気にせずに利用できるのはやはり快適だ。ただ、PayPayクレジットになるとカード限度額までは利用可能となるため、使いすぎには気をつけようと思う。
PayPayアプリ内のクーポンについては説明したが、この中にソフトバンクユーザー限定のクーポンが用意されている。
たとえば2025年8月時点の内容をチェックすると、ZOZOTOWNやサンドラッグで10%付与など、メリットの大きい内容だ。
筆者はワイモバイルユーザーだが、妻は携帯をソフトバンクと契約している。そのため、PayPayカードの家族カードを発行し、妻にこうしたクーポンの利用を積極的にすすめている。
ソフトバンクユーザー限定のクーポンも魅力的(画像は2025年8月時点の公式サイトより)
PayPayは定期的に、通常より上乗せでポイント還元するキャンペーンを実施している。たとえば、2025年7月1日から7月28日にかけて行われていた「超PayPay祭」では、対象店舗での買い物で「1等(決済金額の100%還元)」、「2等(同5%還元)」、「3等(同0.5%還元)」が当たるくじを引くことができた。
くじの当選確率がPayPay残高での支払いは4回に1回なのに対し、PayPayクレジット、あるいはPayPayカードでは2回に1回にアップする設計となっていた。
今後もキャンペーンの際に、PayPayクレジットとPayPayカードの利用を優遇する仕組みは続く可能性が高く、この点もPayPayカードを持つメリットになりそうだ。
2024年12月から25年1月にかけて行われた「超PayPay祭」では、PayPayクレジットとPayPayカード利用の当選確率を上げていた(画像は公式サイトより)
ワイモバイルユーザーは、対象プラン(シンプル2 S/M/L)を契約している場合、通信料金をPayPayカードで支払うと月187円オフの特典が受けられる(ソフトバンクユーザーにも同様の特典あり)。
筆者はワイモバイルユーザーだが、こうした特典があることは、PayPayカードを申し込むまで知らなかった。年間になおすと2,244円分トクすることとなり、結構うれしい特典だ。
「Yahoo!ショッピング」で、PayPayカードを使って支払うといつでも5%のポイント還元を受けられる。さらに、ワイモバイル契約者など限定の特典もあり、筆者のPayPayアプリで確認すると、最大13%還元と記載されていた。
普段、筆者は、インターネットで買い物をする際にAmazonや楽天市場を中心に利用してきたが、10%超のポイント還元を受けられるのであれば、「Yahoo!ショッピング」の利用を増やすのもよさそうだ。
ワイモバイルユーザーでもある筆者はYahoo!ショッピングで13%還元になるとのこと。利用のメリットは大きそうだ
PayPayカードを使って、PayPay証券で投資信託の積み立てを行うと、毎月の積立額の0.7%が還元される。毎月の上限額である月10万円積み立てる場合は、700Pが付与される計算だ。
ただ、筆者はすでに「楽天カード」を使って、楽天証券で積立投資を行っており、このサービスの還元率は0.5%だ。
0.2%分、PayPayカードのほうが有利だが、クレカ積立を利用する際には、当然ながら対象となる投資信託などの取扱商品を比較する必要がある。PayPay証券の品揃えも見つつ、切り替えるかどうか慎重に検討しようと思っている。
いっぽう、PayPayカードの利用を始めてみて、注意するべきこと、覚えておきたいと感じたこともある。
1つめが、PayPayカードからPayPay残高にチャージしてもポイント還元がされない点だ。
たとえば、下記のような使い方をしても、
(1)PayPayカードからPayPay残高にチャージ:ポイント還元なし
(2)PayPay残高で決済:0.5%還元
となり、合計の還元率は0.5%にとどまる。
つまり、PayPayカードを持っているなら、上記の方法をとるより、PayPayカードと連携したうえで1%還元となるPayPayクレジットで支払ったほうが有利な支払い方法になる。
PayPayの公式サイトにも、PayPayカードからのチャージは還元対象外と大きく記載されている
PayPayには前述のとおり、前月に「(1)200円以上の支払いを30回以上」「(2)支払金額10万円以上」という2つの条件をクリアすると、翌月のポイント還元率が0.5%上乗せとなる「PayPayステップ」という特典がある。これをクリアすれば、PayPayクレジット払いの還元率は1.5%まであげることができる。
ただ、この条件のハードルは率直に言って高い。
たとえば、「楽天ペイ」は通常1%還元だが、「楽天カード」からチャージしたうえで決済をすれば、「無条件」で1.5%のポイント還元を受けられる。メインのキャッシュレス決済として、積極的に使っていかないと1.5%の還元を受けられないのは、PayPayのデメリットと言えそうだ。
PayPayクレジットとPayPayカード利用時のポイント付与は
・1回の買い物ごとに
・200円で2P
・端数は切り捨て
というルールで行われる。
そのため、そもそも200円未満の買い物ではポイント付与はされない。そして、同じ1%還元でも「100円で1P」のサービスよりも、切り捨てられるポイントが多い点は留意しておきたいところだ。
PayPayカードには、ショッピング保険はもちろんのこと、海外・国内旅行傷害保険も付帯していない(グレードが上の「PayPayカード ゴールド(年会費11,000円)」にはこの2つの保険は付帯)。
少し脇道にそれるが、PayPayのアプリには、決済以外にもさまざまな便利な機能・サービスが付帯している。その中から、主要なものを紹介していきたい。
筆者がよく使うのがこの「送金機能」だ。PayPayユーザー同士なら「無料」かつ「即座」にPayPay残高の範囲内で送金ができる。
もちろん今は、大手銀行やネット銀行などのアプリを使えば、比較的スムーズに口座振込は可能。だがこのときには、基本的には相手の口座番号を把握しておく必要があるし、手数料も原則発生する。
その点、PayPayの送金であれば、相手の携帯番号やPayPay ID、QRコードを読み込むことで、無料で簡単に送金ができる。
筆者は飲み会の際に参加費を幹事に支払うとき、あるいは、家族で買い物をしていて「残高が足りないから送って」と妻から頼まれたときに使っているが、1分足らずの操作で簡単に送金できてかなり便利だと感じている。
また、この送金機能を応用した複数人での割り勘が便利に利用できる「グループ支払い」機能もあるので、気になる方はチェックしてみてほしい。
参考HP:公式サイト「PayPay残高を送る」
PayPayのトップ画面にある「送る」ボタンを押して、送金作業ができる。また、簡単なメッセージ付きで送金することが可能
PayPayやPayPayカードの利用で貯まる「PayPayポイント」の利用方法として、「貯める」「支払いに使う」「運用する」の3パターンある。「支払いに使う」を選ぶと、PayPayでの買い物に「1P=1円」として利用可能だ。少しユニークなのが、このポイントを使って「疑似投資」の体験をできる「ポイント運用」だ。
ポイント運用ではETF(株価投資信託)やビットコインなど、9つのコースから1つを選ぶと、そのコースの値動きに応じて、ポイントが増減する仕組みになっている。ポイント運用は1Pから行うことができ、いつでも買い物に使えるポイントに交換できる。
あくまで扱うのはポイントなので、証券口座も不要で、投資をとりあえず体験したい、という場合には検討の価値があるサービスだ。
貯めたPayPayポイントの使い道は、「貯める」「支払いに使う」「運用する」の3パターン
PayPayアプリからは、さまざまな保険に加入することが可能だ。アプリ上から簡単な手続きで申し込め、保険料はPayPay残高やPayPayクレジットなどで支払える。
自動車保険や海外旅行保険などが用意されているほか、2024年夏には「熱中症お見舞い金(保険料1日100円から、治療保険金は最大3万円)」が話題になった。最近では、抗ウイルス薬を処方されたときに保障される「新型コロナ治療薬お見舞い金(保険料は月100円から、保険金は最大3万円)」も注目を集めた。
PayPayほけんの「新型コロナ治療薬お見舞い金」は、新型コロナの高額な治療費を保障するサービスとして話題を集めている
参考HP:公式サイト「PayPayほけん」
以上、PayPayカードの魅力について、筆者の経験を基に説明してきた。
利用にあたっていちいち残高を気にすることなく、さらに筆者の場合は、「ワイモバイルまとめて支払い」にかかる2.5%の手数料(月に2回目以降)を気にせずに利用できるのは快適だ。PayPay利用時の還元率も0.5%から2倍の1%にアップした点もメリットに感じている。
また、PayPayはほかのコード決済はもとより、クレジットカードと比べてもクーポンやキャンペーンの内容が充実しているのが魅力のひとつ。PayPayカードは年会費がかからないこともあり、PayPayを一定程度利用する機会があるなら保有するメリットはありそうだ。
なお、PayPayカード以外にも、年会費が無料、あるいは手ごろな年会費のクレジットカードは多くある。下記記事では、そうしたカードのうち、基本のポイント還元率が高水準、あるいは特定シーンで高還元になる、価格.comで人気の16枚のカードを紹介しているのでチェックしてみてほしい。