レビュー
4K超えの4500×3000の28型液晶ディスプレイを搭載

画面を倒せば“液タブ”、起こせば大画面PC 「Surface Studio」の使い勝手をチェック

日本マイクロソフトの一体型デスクトップ「Surface Studio」が2017年6月15日に発売された。高精細な28型液晶ディスプレイを搭載するクリエイター向けのパソコンだ。今回、最上位モデルを試用する機会を得たので、その実力を詳しくチェックしていきたい。

28型液晶ディスプレイを搭載する一体型デスクトップのSurface Studio。価格.com最安価格は369,980円から(2017年6月30日時点)。今回試用した最上位モデルの価格.com最安価格は568,944円(同)

4K超えの超高精細な28型液晶ディスプレイを搭載

Surface Studioはクリエイター向けの一体型デスクトップ。最大の特徴は、大きなディスプレイだ。4Kを超える4500×3000という高解像度な28型液晶ディスプレイを搭載する。画面サイズは実測で横が約60cm、縦が約40cm。大きいだけでなく、ほかの「Surface」シリーズと同じ、縦横比が3:2のディスプレイなので、複数のウィンドウを開いて作業するときに便利だ。

解像度の高さも特筆すべきで、推奨スケーリングは200%となっているが、100%に設定すると、ExcelならBJ列・105行まで表示できる。200%でも、4つのウィンドウを開いて作業できるほど広い。クリエイターであれば大きなキャンバスとして使えるし、複数のウィンドウを開いて作業するビジネスパーソンにとっても便利なディスプレイと言える。

3840×2160の4K解像度よりピクセル数が約63%多い、4500×3000の28型液晶ディスプレイを搭載。画素密度は192dpi。推奨スケーリングの200%でも4つのウィンドウを開いて作業できる

スケーリングを100%に設定し、Excelを立ち上げると、BJ列・105行まで表示できた

スケーリングを100%に設定し、Excelを立ち上げると、BJ列・105行まで表示できた

画質については、DCP-P3、sRGB、鮮やか(Vivid)という3つのカラープロファイルが用意されており、「アクションセンター」や「設定」から変更できる。DCP-P3は、sRGBより25%多くの色を再現できる規格で、同社ではデジタル映画コンテンツを作成するときなどに最適としているが、写真や動画もキレイに表示できるので日常使いしてもよさそうだ。sRGBが用意されているのは、sRGBしか表示できない環境でどのように表示されるかを確認するときのため。推奨既定モードの鮮やかは、DCP-P3よりも暗い部分が明るく持ち上げられている印象で、映画やゲームなどに向いている。

DCP-P3

DCP-P3

sRGB

sRGB

鮮やか

鮮やか

軽い力でディスプレイを倒したり、起こしたりできる「ゼログラビティヒンジ」

この大きくて美麗なディスプレイは、液晶ペンタブレットのように倒して使うことが可能だ。台座部分とディスプレイは、「ゼログラビティヒンジ」と名付けられた2本のヒンジでつながっており、軽い力で倒したり、起こしたりできる。大きさからは考えられないほど、本当に軽い力で動かせるのに驚かされた。さらに、台座底の4つのゴム足には摩擦を抑える表面処理が施されており、軽い力で回転できる。よく観察すると、手前の右側のゴム足を軸にして回転しているようだ。台座の背面に外部インターフェイスが備わっているのだが、軽い力で回転させることができるので、周辺機器の抜き差しにはそれほど苦労せずに済みそうだ。

ディスプレイを倒すと、手前側にディスプレイがせり出す仕組みなので、壁際に設置することも可能。ただし、ディスプレイを一番深く倒す場合に、キーボードを置いたままだと、キーボードが挟まってしまうので気を付けたい。また、ピボットや高さを変えることもできない。

ディスプレイを一番深くまで倒した「スタジオモード」は、付属の「Surface ペン」を使って絵をかいたりするときに便利なモードだ。パームリジェクションも備わっており、画面に手をつきながらでも問題なく書き込める。なお、Surface Studioに付属するSurface ペンは、筆圧検知が1026段階の旧型となる。新しい「Surface Pro」のSurface ペンは、4096段階の筆圧検知と傾き検知をサポートするので、スペックは劣る。メモや趣味程度のイラストであれば問題はないが、プロのイラストレーターは、新しいSurface ペンのほうがうれしかったはずだ。

ディスプレイの背面にWindowsロゴが配置されている。余計な装飾ないシンプルなデザイン

ディスプレイの背面にWindowsロゴが配置されている。余計な装飾ないシンプルなデザイン

ゼログラビティヒンジと名付けられたヒンジにより、ディスプレイを軽い力で倒したり、起こしたりできる。ディスプレイを起こした状態で、強めにタッチ操作をしてもディスプレイが倒れることはない

ディスプレイを起こした状態。ディスプレイ部分はかなり薄く、その厚さは12.5mmしかない

ディスプレイを起こした状態。ディスプレイ部分はかなり薄く、その厚さは12.5mmしかない

スタジオモードと呼ばれる一番深く倒した状態。Surfaceペンを使うのに適した角度だが、椅子に座ったままだと少々書きにくい

底面には4つのゴム足がある。摩擦を抑える加工が施されており、軽い力で回転できる。背面にある外部インターフェイスに周辺機器などを接続する場合にも苦労しない

台座を回転させることを想定し、電源コネクターにはストッパーが付いている

台座を回転させることを想定し、電源コネクターにはストッパーが付いている

Surface Studioに付属するSurface ペンは旧型で筆圧検知は1026段階。4096段階の筆圧検知に対応する新型ではない

Surface ペンはディスプレイ部分の横に磁石で固定できる

Surface ペンはディスプレイ部分の横に磁石で固定できる

「Surface Dial」は対応アプリとユーザー次第

付属のキーボードとマウスはBluetooth接続タイプで、ケーブルレスで利用できる。キーボードは日本語配列の「Surfaceキーボード」。キーピッチは実測約19mm、キーストロークは実測約2mmのテンキー付きのフルサイズキーボードだ。クセのないオーソドックスなキー配列だが、BackSpaceキーが小さいのが少しだけ気になった。「Surfaceマウス」もシンプルなもので、Surface Studio用の特別な機能は見当たらなかった。

Surfaceキーボードは、Surface Studioと統一感のあるカラーリング。オーソドックスなキー配列だが、BackSpaceキーが小さい

Surface Studioと同じカラーリングのSurfaceマウス

Surface Studioと同じカラーリングのSurfaceマウス

キーボードとマウスはシンプルでいい意味で“普通”だが、オプションで用意される「Surface Dial」(直販価格は税込11,664円)は面白い。回したり、押したりして使うもので、たとえば、Webブラウザーであれば、ダイヤルを回すとスクロールなどできる。イラスト系のアプリなら、線の太さや色を、ダイヤルを回すことで変更できる。メニューバーやツールバーから変更するよりも直感的に変更することが可能だ。Surface Dialは底面が吸盤のようになっており、ディスプレイの好きなところに置いて使える。押し込むとSurface Dialの周囲にメニューが表示され、回して機能を選択する。さすがにディスプレイを90度にすると落ちてしまうが、スタジオモードにすれば安定して置ける。また、ディスプレイではなく机の上でも使用可能だ。この場合は、円形のツールがディスプレイ上に表示される。Surface Dialは、新しい操作スタイルなので、アプリ側の対応やユーザーの慣れが欠かせない。登場したばかりで、良し悪しは判断しにくいが、今後どのように進化し、どう使われていくのか注目したい。

イラスト系のアプリでは、線の太さや色などを直感的に変えられる。慣れればメニューバーやツールバーで変えるよりもスピーディーに行えそうだ

ディスプレイの上ではなく、机の上に置いても同じように操作できる

ディスプレイの上ではなく、机の上に置いても同じように操作できる

底面は吸盤のようになっており、ディスプレイにピタッと貼りつく

底面は吸盤のようになっており、ディスプレイにピタッと貼りつく

Windows 10のマップアプリでは、Surface Dialを使って、地図を回したり、拡大したりできる

Windows 10のマップアプリでは、Surface Dialを使って、地図を回したり、拡大したりできる

CPU、GPUともに1世代前だがパフォーマンスに不満なし

Surface Studioのラインアップは以下の3モデル。

・42L-00013 CPU:Core i5、メモリー:8GB、ストレージ:64GB SSD + 1TB HDD、GPU:GeForce GTX 965M 2GB GDDR5メモリー 直販価格は415,584円(税込)〜
・42Q-00012 CPU:Core i7、メモリー:16GB、ストレージ:128GB SSD+1TB HDD、GPU:GeForce GTX 965M 2GB GDDR5メモリー 直販価格は480,384円(税込)〜
・43Q-00013 CPU:Core i7、メモリー:32GB、ストレージ:128GB SSD+2TB HDD、GPU:GeForce GTX 980M 4GB GDDR5メモリー 直販価格は572,184円(税込)〜

CPUとGPUは、ともにモバイル向けのものを採用する。CPUは1世代前となる「第6世代Coreプロセッサー」、GPUも1世代前の「Maxwellアーキテクチャー」だ。米国では8か月前に発売されたモデルなので、このような構成となっているのかもしれない。今回試した最上位モデルは、CPUに4コア8スレッドの「Core i7-6820HQ」(2.70GHz、最大3.60GHz)を搭載していた。モバイル用ではあるが、TDPが45Wのパワフルなプロセッサーだ。ストレージはSSDとHDDを組み合わせたRapid Hybrid Driveで、高速な読み書きと大容量を両立している。試用したマシンは、SATA 6Gb/sの2TB HDDとNVMeの128GB SSD((東芝製)を搭載していた。

価格が価格なので、最新のCPUとGPUを搭載してほしかったところが、イラスト作成や写真の編集といった用途には、不満なく使えるスペックとなっているのではないだろうか。

パソコンの総合性能を測定できるFuturemark「PCMark8」(Home accelerated)の結果

パソコンの総合性能を測定できるFuturemark「PCMark8」(Home accelerated)の結果

Futuremark「3DMark」の「Time Spy」の結果は2925

Futuremark「3DMark」の「Time Spy」の結果は2925

Futuremark「3DMark」の「Fire Strike」の結果。最新のヘビーなゲームは別として、解像度を落とせば多くのゲームが楽しめそうだ

ストレージの読み書きの速度を測れる「CrystalDiskMark 5.2.1 x64」(ひよひよ氏作)の結果。NVMeのSSDが効いており、読み書きともに高速だ

外部インターフェイスは台座の背面に備わっている。USB 3.0×4、有線LAN、Mini DisplayPort、SDメモリーカードスロット、ヘッドホン出力を備える。USB 3.0の各ポートの間隔が狭いので大き目のUSB機器を接続する場合は干渉に注意

まとめ 新しいスタイルに興味のある方にチェックしてほしい1台

28型という大画面を倒して、液晶ペンタブレットのように使えるのは斬新で、最初は正直戸惑ったが、Surface ペンを使ってイラストやメモを気持ちよく書けた。クリエイターにとっては大きなキャンバスとして、創作活動を強力にサポートしてくれるのではないだろうか。価格は一番安いモデルでも40万円以上するが、アップルの「27インチiMac Retina 5Kディスプレイモデル」(199,800円から)と、ワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 27QHD」(25万円前後)を組み合わせれば、Surface Studioほどの価格となる。

もちろん、クリエイター以外の人が使っても満足度は高いはず。高画質な大画面ディスプレイでゲームを満喫するもよし、映像を楽しむもよし。大画面をタッチ&ペンで操作するという新しいスタイルに興味のある、デスクトップ派の方にぜひチェックしてもらいたい。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

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