レビュー
倍速駆動IGZO液晶と高速CPUがもたらす、今期随一のなめらかな動作が魅力

久々の名機登場か、シャープ「AQUOS R」レビュー

2017年7月7日より、シャープのスマートフォン「AQUOS R」が、NTTドコモ、au、ソフトバンクの各通信キャリアより発売されている。台湾を本拠とする鴻海精密工業の傘下となり、製品のコンセプトが変更されたことでも注目されているが、どんな部分が生まれ変わったのか検証しよう。

価格.comの「スマートフォン」カテゴリーの人気ランキングで2位、総合で満足度も4.51点(いずれも2017年7月18日現在、NTTドコモ版「SH-03J」)という、高い注目度と満足度の「AQUOS R」。そのNTTドコモ版「SH-03J」を使って検証した

扱いやすいサイズのボディに、最高性能のCPUを備えたハイエンドモデル

シャープのスマートフォン「AQUOS」シリーズの高性能モデルは、従来、NTTドコモ版の「AQUOS ZETA」、au版の「AQUOS SERIE」、ソフトバンク版の「AQUOS Xx」という別々の名称でリリースされていた。だが、今夏より単一名称の「AQUOS R」として、通信キャリア各社から発売されるようになった。

AQUOS Rは、1440×2560のWQHD表示に対応する約5.3インチのIGZO液晶を備える高性能スマートフォンだ。ボディサイズは、約74(幅)×153(高さ)×8.7(厚さ)mm、重量は約169gで、最近のAndroidスマートフォンの中では、標準的な大きさと言えるだろう。

ディスプレイのサイズは約5.2インチ。最近のスマートフォンとしては、標準的な画面サイズと言える。ボディも絶妙なサイズで持ちやすい

従来のAQUOSシリーズは、狭額縁デザインを徹底的に追求したデザインが特徴だった。だが、新しいAQUOS Rは、狭額縁であることをことさらに追求はせず、正統的なプロポーションをしている。細部を見ても、鏡面処理を施した側面のアルミフレームに、多層膜構造を採用したつややかな背面パネル、そして適度な重量感と、樹脂製ボディのイメージが強かった従来のイメージが一新されている。

なお、カラーバリエーションは、ジルコニアホワイトとマーキュリーブラックに加え、NTTドコモ版はクリスタルラベンダー、au版はライトゴールド、ソフトバンク版はブレイズオレンジの各色がそれぞれ用意されている。このボディはもちろん、IPX5/8等級の防水仕様とIP6Xの防塵仕様をクリアしている。

今回検証に使ったのはマーキュリーブラック。ピアノのようなつややかさがあり、高級感は申し分ない

今回検証に使ったのはマーキュリーブラック。ピアノのようなつややかさがあり、高級感は申し分ない

側面部分は、エッジと曲面を複雑に組み合わせたアルミフレームで覆われている

側面部分は、エッジと曲面を複雑に組み合わせたアルミフレームで覆われている

キャップレスのUSB Type-Cポートを装備する(QuickCharge 3.0対応)

キャップレスのUSB Type-Cポートを装備する(QuickCharge 3.0対応)

基本性能を見てみよう。Qualcomm社の最新世代ハイエンド向けCPUである「Snapdragon 835 MSM 8998(2.2GHz×4+1.9GHz×4)」に、4GBのRAM、64GBのストレージ、最大256GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせている。プリインストールされるOSは、最新のAndroid 7.1.1で、さらに発売後2年間のOSバージョンアップが保証されている。なお、バージョンアップの頻度やタイミングについては、まだ明らかにされていない。

本機の基本的なハードウェア構成は、ソニーモバイル「Xperia XZ Premium」、サムスン「Galaxy S8/S8+」、HTC「U11」などと同じものだ。なお、ストレージには、転送速度の速い「UFS」メモリーを採用しているなど、処理性能には期待が持てる。実際の処理速度を調べるために、「Antutuベンチマーク」を使った、ベンチマークテストを行った。その結果は、総合スコア165639(3D:69930、UX:51549、CPU:33202、RAM:10958)で、同一のCPUを備えるライバル機とほぼ同レベルの処理性能を備えていることがわかった。

Antutuベンチマークの総合スコアは165,639(左画面)。同様のハードウェアスペックの「Xperia XZ Premium」の166,307(内訳、3D:69005、UX:53388、CPU:34281、RAM:9633。中央画面)や、「Galaxy S8+」の164803(内訳、3D:67203、UX:50243、CPU:37173、RAM:10179。右画面)と互角の結果だった

従来のAQUOSシリーズは、バッテリーの持続性を重視してCPUの処理性能にキャップを被せていたため、同じCPUを備える他社製品と比べると、処理性能や体感速度で少し見劣りする部分があった。だが、今回のAQUOS Rでは、処理性能の制限を行っていないことが、ベンチマークテストの結果にも現れている。体感速度も、処理の重いゲームとして知られるAndroid版の「艦隊これくしょん-艦これ-」をプレイしてみたが、テンポの遅れや引っかかりは感じられなかった。大型アプリの起動も文句なく速く、最新の高性能スマホらしいキビキビとした動作を堪能できる。

処理性能とともに、熱処理にもかなり注力していることをシャープはアピールしている。検証中に、実際の発熱を見てみたが、上記の「艦これ」のプレイやストリーミング動画の視聴、カメラを断続的に30分ほど使い続けたりしてもボディに熱を感じることはほぼ皆無で、ボディの一部分だけが熱くなることもない。従来のAQUOSシリーズも概して発熱を抑えたスマートフォンではあったが、処理性能の制限がなくなった本機でも、発熱の少なさは継承されている。

次に、AQUOSシリーズの特徴ともいえるバッテリー性能を見てみよう。搭載されるバッテリー容量は3,160mAhで、カタログスペック上の「電池持ち時間」(ユーザーのスマートフォンの1日あたりの平均利用時間で139分使った場合の数値)は、NTTドコモ版の「SH-03J」で約120時間、au版の「SHV39」で95時間となっている。これは、NTTドコモ版の2016年モデル「AQUOS ZETA SH-04H」の約 100時間や、au版「AQUOS SERIE SHV34」の約95時間と比較しても、むしろ向上している。(ソフトバンクについては電池持ち時間を公表していない)。

なお、今回は7日間検証を行い、1日6〜7時間程度のペースで利用したが、その間4回の充電を行った。単純に1回の充電あたり約42時間バッテリーが持続した計算で、およそ2日間近くは、バッテリーが持続したことになる。今期は「Galaxy S8+」や「Galaxy Feel」のようにバッテリーがかなり長持ちする製品があるが、AQUOS Rはそれらに次ぐレベルのロングバッテリー性能と言える。

検証を行った7日でバッテリーの充電は4回行った(途中半日ほど電源オフになっていた時間がある)

検証を行った7日でバッテリーの充電は4回行った(途中半日ほど電源オフになっていた時間がある)

その他センサー類は、さすがに高性能モデルだけあって豊富。指紋認証センサーとジャイロセンサーを搭載するほか、通信機能として、FeliCaとNFCに加えて、最新の規格であるBluetooth 5.0にも対応している、なお、本機はハイレゾ音源の再生にも対応するほか、Bluetoothの音声コーデックとして「apt X HD」にも対応しており、同コーデックに対応するワイヤレスヘッドホンと組み合わせることで高音質のハイレゾ再生を楽しむことができる。

Wi-FiもIEEE802.11a/b/g/n/acの各規格や、2×2のMIMO、MU-MIMOに加えて、Wi-Fi親機の検索時間を最大約50%削減する「FastScan」にも対応している。衛星測位システム(GNSS)も、アメリカ版「GPS」、ロシア版「GLONASS」、中国版「BeiDou(北斗)」、日本の「QZSS(みちびき)に対応しており、十分な測位性能を備えているといえよう。

ボディ前面にある指紋認証センサー。電源ボタンは兼ねていない

ボディ前面にある指紋認証センサー。電源ボタンは兼ねていない

フルセグ/ワンセグチューナーも搭載。テレビチューナー用のアンテナは、ヘッドホン端子に装着する外付けタイプ

スムーズなタッチ操作が可能な倍速駆動ハイスピードIGZO液晶

本機の大きな特徴であるディスプレイを見てみよう。本機は、従来のフルHDから、WQHDに解像度化されたIGZO液晶を搭載している。IGZO液晶の特徴であるリフレッシュレートの調節機能も継承されており、1〜120Hzの範囲で自動調節されるが、動画再生やWebコページの閲覧時などでは120Hzの倍速駆動となり残像感の少ないなめらかなスクロールが行える。

本機の画面操作のスムーズさは、ライバル機たちと比較したときの、明らかなアドバンテージとなっている。その理由は、残像が少なくなめらかな倍速駆動のIGZO液晶であることに加えて、もうひとつの魅力であるタッチ感度の高さによるレスポンスのよさも大きいように感じられた。軽いタッチ操作でも、指に吸い付くようになめらかにスクロールする。この操作感覚はちょっと癖になる心地よさがある。

また、液晶テレビAQUOSの技術を継承する広色域技術「リッチカラーテクノロジーモバイル」を搭載し、色域が前モデル「SH-04H」などと比較して、約23%向上している。特に赤や緑の表現力が増しており、より実物に近い色の映像を表示できるようになった。加えて、広範囲の輝度と色域情報を持つ「HDR 10」にも対応している。

左半分が、通常のSDR画質、左半分はHDR 10画質。HDR 10対応となり、明暗差の大きな映像の表現力が増している

上の写真だと、白が少しマゼンタに寄っているように見えるが、実機の発色は自然な色

上の写真だと、白が少しマゼンタに寄っているように見えるが、実機の発色は自然な色

解像度が高いため細かい活字の表現力は高い。ルビもにじみは見られず見やすい

解像度が高いため細かい活字の表現力は高い。ルビもにじみは見られず見やすい

シャープ独自のAI「エモパー」や、持ち上げるだけの「自動画面点灯」など、ユニークな機能も装備

今夏のAndroidスマートフォンでは、AI技術の導入が話題となっている。代表的なものにOS標準の機能である「Googleアシスタント」があるが、サムスンの「Bixby」、HTC「センス・コンパニオン」など、メーカー独自のAIを搭載するモデルもある。

AQUOS Rでは、シャープ独自の音声認識会話型AI「エモパー」の最新バージョンであるバージョン6を搭載されている。バージョン6で加わった機能のひとつとして、回転するクレードル「ロボクル」に対応した点があるが、AQUOS Rをロボクルとドッキングさせると、認識したユーザーに向けて、メールや着信、予定の管理、ユーザーが気になるものだとエモパーが判断した情報などを表示してくれる。ロボクルを使えば、よりロボット的にAQUOS Rを使うことができるようになるのだ。(「ロボクル」は、au版とソフトバンク版には同梱されるが、NTTドコモ版では別売り)。

自動で回転する充電クレードル「ロボクル」。AQUOS Rと組み合わせれば、ロボットのようにユーザーに向けて表示してくれる

エモパーはスケジュールの管理や天気予報、歩数のカウントなどの実用的な機能を備えている(左画面)。もうひとつはコミュニケーション機能で、たまに茶目っ気のある反応を見せてくれるので、スマートフォンにいっそう親しみを持てるようになるだろう

また、ユニークな機能として、本体を軽く持ち上げるだけでスリープから復帰する「自動画面点灯」や、自動で画面をスクロールさせる「スクロールオート」も搭載される。いずれも細かな工夫だが、検証中に何度も使い、手放せなくなった機能だった。

マルチAFやインテリジェントフレーミング機能でカメラ任せの撮影が可能

ハイエンドモデルで各機種が注力しているのがカメラ機能だ。AQUOS Rのメインカメラは、約2,260万画素のCMOSイメージセンサーにF値1.9で広角22mmのレンズを組み合わせたもの。いっぽう、インカメラは約1,630万画素のCMOSイメージセンサーに、F値2.0で広角23mm(いずれも35mmフィルム換算)のレンズという構成だ。なお、メインカメラについては4K動画の撮影にも対応している。

メインカメラは約2,260万画素のCMOSイメージセンサーにF値1.9で広角22mmのレンズという組み合わせ

メインカメラは約2,260万画素のCMOSイメージセンサーにF値1.9で広角22mmのレンズという組み合わせ

インカメラは約1,630万画素のCMOSイメージセンサーを採用。レンズは、F値2.0で23mmの広角撮影に対応

インカメラは約1,630万画素のCMOSイメージセンサーを採用。レンズは、F値2.0で23mmの広角撮影に対応

ポイントはメインカメラに搭載される新オートフォーカス機能だろう。5点のマルチオートフォーカスに対応しており、構図に応じたフォーカスが行いやすくなったうえに、迷いも少なく高速なピント合わせが行える。加えて、メインカメラには光学式手ブレ補正を備えているので、ピンボケや被写体ブレといった失敗写真を抑えられる。

以下に、メインカメラをオートモードで使った数点の撮影サンプルを掲載する。

新機能「インテリジェントフレーミング」機能は自動で動作する。左が元の画像、右はカメラが構図を調整したもの。カメラ任せでも見栄えのする構図の写真を撮影できる

22mmの広角レンズは大きな建物や、景色の全景を構図に収めるのに便利

22mmの広角レンズは大きな建物や、景色の全景を構図に収めるのに便利

室内でカラーサンプルを撮影、全般的に淡い仕上がりに感じられるが、飽和しやすい黄色のハイライト部分も陰影はしっかり残っている

10cmくらいまで寄って、中央の雄しべにフォーカスを合わせた。花粉の細かな質感がよく表現されている

10cmくらいまで寄って、中央の雄しべにフォーカスを合わせた。花粉の細かな質感がよく表現されている

手持ちでの夜景撮影。オートで撮影したところISO800とかなりの高感度撮影となり、暗部でのノイズが目立った。シャッター速度が十分に稼げていないせいで、タクシーなどで被写体ブレも一部に見られた

AQUOSシリーズの中では久しぶりの高い完成度を実現した名機

以上、「AQUOS R」をさまざまな角度から検証したが、全体的に完成度の高いスマートフォンであると感じた。本機のライバルは、4K表示対応のソニーモバイル「Xperia XZ Premium」、縦長の有機ELディスプレイを備えるサムスン「Galaxy S8」シリーズ、国内向け機能が復活したHTC「U11」など、いずれも完成度が高いハイエンドモデルだが、本機はWQHD表示対応で約5.2インチの画面という適度なサイズ感と、倍速で駆動するハイスピードIGZO液晶による、なめらかな操作フィールが特徴。また、発売後2年間のOSバージョンアップを事前に保証している点も、製品の寿命を考慮すると心強い点だ。

従来のAQUOSシリーズの魅力だったバッテリーの持続性は、これらのライバル機と比較して圧倒的ではなくなったが、それを補って余りある魅力がこの「AQUOS R」には備わっている。AQUOSシリーズとして久しぶりに「名機」と呼びうる条件がそろったバランスのよい製品だ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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