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スマホ時代の重要セキュリティ問題!「生体認証」の種類を知ろう

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メールや写真などのプライバシー情報からクレジットカードのデータまで、スマートフォンにはありとあらゆる重要情報が入っている。本記事では、そんなスマホ内の情報を守るために重要なセキュリティ技術「生体認証」の種類と未来への展望について解説していこう。

指紋、顔、虹彩、静脈……生体認証の種類と特徴を知ろう

指紋、顔、虹彩、静脈……生体認証の種類と特徴を知ろう

スマホ時代の心強いセキュリティ技術!「生体認証」をおさらい

今やスマートフォンは、それを持つユーザーの分身とも言える存在だ。その中には、メール、メッセージ、知人の連絡先や撮影した写真など、プライバシー情報がギッシリ詰まっている。さらに最近では、銀行・証券取引に加え、「Apple Pay」などのスマホ決済や、アプリベースで支払いを行うことも普通になってきて、スマホは財産の管理とも切り離せない存在になりつつある。

それと同時に、スマホからのプライバシー流出や、金銭的損害が発生する懸念が高まっていることも事実。また、LINEやFacebook、TwitterにInstagramなどスマホで使えるSNSサービスも全盛だが、これらの「なりすまし」被害も心配になる。ポケットに入る端末ひとつですべてを操れるのは非常に便利な半面、手元から離れたり紛失した際のリスクも増しているのだ。

モバイルSuicaや、クレジットカードと紐づく決済まで、スマホで金銭支払い・管理をすることももはや当たり前になった

このような状況下で、“スマホのセキュリティ”は非常に重要なテーマで、いろいろなアイデアや新技術が登場している。従前のIDやパスワードによる管理では、利用者が長い数列や文字数を複数記憶したり入力するのがもはや限界と言えるし、ハッキングに対する強度も十分に高められない。そこで、次世代のセキュリティが求められているのだ。

現時点でのその答えが「生体認証」。バイオメトリクス(biometrics)とも呼ばれ、各人固有の生体的特徴を「鍵」として利用する考え方と、それを実現する技術だ。現時点でスマホに搭載されているものとしては「指紋認証」「顔認証」「虹彩認証」、そのほかにATMマシンなどに使われる「静脈認証」もある。それぞれを解説していこう。

1.指紋認証

「指紋認証」は最新のスマホで採用実績が多く、すでに利用しているユーザーも多いであろう。

たとえばiPhoneに採用されている指紋認証システムは「Touch ID」と呼ばれており、端末のロック解除のほか、アプリの購入・課金時にパスワードの代わりとしても利用できる。Apple Payの支払いにおいてはこのTouch IDが必須となっており、従前のクレジットカードと4桁の暗証番号の組み合わせに比べて、セキュリティ性を高めている。

古くから「指紋」はこの世に2つと同じパターンが存在しないとされ、個人の特定に利用されてきた。ある研究によると、一卵性双生児で紋様が似ているケースでも、特徴点をきちんと分析すれば100%区別することが可能なのだとか。もっとも身近ですぐれた方法と言えるだろう。

スマホでの指紋認証利用は、ユーザーに負担が少なく、識別の精度やスピードも申し分ない半面、物理的なコピーも比較的容易で、強度の面では不安が残る。また、手袋をつけている場合はそれをいちいちはずしてから認証させる必要があるなど、些細だが使い勝手の面で不便も残る。(参考情報:指紋照合の原理/富士通研究所

iPhoneの指紋認証機能「Touch ID」。ちなみにTouch ID機能は、MacBook Pro (15-inch, 2016) 以降、 MacBook Pro (13-inch, 2016, Four Thunderbolt 3 Ports) 以降の端末にも採用されている

こちらはAndroid端末(ソニーモバイル「Xperia」シリーズ)の指紋認証設定画面。指紋認証機能は、スマホの現行機種ほとんどに搭載されている

2.顔認証

「顔認証」は、スマホに搭載されているカメラ機能を利用し、「顔」の特徴を鍵に個人を特定するというアイデアだ。さまざまな技術が存在するので一概には言えないが、主に目、鼻、口の位置関係や輪郭を個人差として識別する。生体認証用として専用のデバイスを搭載する必要がないので、ハードウェアとしては安く上げられる。

その半面、簡易的なシステムでは、たとえば「写真」のような誰でも簡単に制作できるコピーでも利用できてしまうので、セキュリティ機能としては脆弱な面もある。スマホでの利用においては、当面、あくまでも簡易的な手段と考えるべきだ。また、逆光や一方向からの強い光などで、顔の見え方が大きく変わる状況では、認識率が低下するなど不安定な要素も残る。

3.虹彩認証

「虹彩認証」は、スマホに搭載されるカメラを利用し、目の「虹彩」の模様を「鍵」にして個人を特定するというアイデア。虹彩とは、目に入る光の量を調整するために、瞳孔の大きさを調整する部分。端的には、黒目と白目の間にある色付きの部分で、その複雑な模様の特徴を利用して個人を識別する。

富士通製のスマホは、2015年から一部のモデルで虹彩認証機能を搭載している。また、サムスン“Galaxy”シリーズの最新機種「Galaxy S8/Galaxy S8+」が、よりセキュリティ強度が高い認証手段として、この虹彩認証機能を採用したことも話題になった。

Galaxy S8/Galaxy S8+は、インカメラの隣に虹彩認証用の赤外線カメラを装備する。暗い場所でも認証が行える

虹彩認証は、顔認証に比べると不正コピーの難易度は高い。だが、デジカメの撮影解像度が飛躍的に高まっていることもあり、たとえばSNSに投稿した顔のアップ写真からでもコピーが可能となるなどのリスクも心配されている。また、認証時はサングラスやメガネをしていると認識されにくかったり、目の位置を所定のポイントに合わせる必要があるなど、使い勝手としてはまだ障壁も多い。

ちなみにWindowsパソコン/タブレットの場合、Windows 10にはデフォルトの生体認証機能「Windows Hello」が搭載されている。指紋認証、顔認証、虹彩認証をサポートするシステムで、パソコン側の仕様によって対応は異なる(写真は「Surface Pro」)

4.静脈認証

銀行のATMマシンなど、高いセキュリティが要求される用途では、指先や手のひらを対象にした「静脈認証」が採用されるケースが多い。可視光ではなく、赤外線を利用して血中のヘモグロビンを検出する方法では、周囲の光環境に左右されにくく、精度の高い認証が行える。また、体内に存在する静脈は、外部から見ることができず、写真撮影もできないので、原理的にコピーの作成が難しいという利点がある。

スマホへの適用に際しては、ATMマシンのような高度なセンサーを搭載できるのはかなり先になりそうだが、日立が手のひらを撮影したカメラ画像から静脈を推定して判定する手法を発表済みなので、簡易静脈認証として実用化される日も近そうだ。実際、Windowsパソコン向けには、静脈認証でログインできるようになる端末が発売されている。

日立製作所「PC-KCA110」は、Windowsパソコン用の指静脈認証装置。本製品を使用すれば、指の静脈を認証してWindows パソコンにログインできるようになる

さいごに。IoT/スマートホームへの応用も期待される生体認証

スマホが生活の中心となった今、生体認証がさらに広がっていくのは間違いないだろう。AIを活用すれば、スマホ操作のクセを見抜き、本当に所有者が操作しているのか否かを判定するシステムも実現できるかもしれない。

いっぽう、いくら高度な生体認証を行っても、生体の特徴から生成される認証の基準はデジタルデータにすぎない。このデジタルの「鍵」が流失してしまうリスクをゼロにするには、暗号化技術や、鍵の流出を防ぐチップレベルでの構造強化なども重要だ。

現在の生体認証は、IDやパスワードの代用的な位置付けだが、今後は個々の技術の精度や堅牢性をさらに高めたり、複数の技術を併用することで信頼性が向上すると期待できる。位置情報、加速度センサーによる動きの特徴検出、声紋、心電など、既存技術との組み合わせによる発展性は無限だ。

将来、スマホに限らず、生体認証がさまざまな場面で活用される可能性もある。たとえば家なら、ドアや監視カメラに生体認証装置を組み込むことで、セキュリティ性能を高められる。また、最近期待されているのは家電だ。IoT化やAI化で自動化が進むとされる家電の操作も、生体認証システムをく組み合わせることでより個人の生活に沿った快適なものにできるだろう。各人で異なる食事の時間、視聴するテレビ番組、好みの室温などを加味した「最適」な制御が可能になり、まるで家の中に優秀な執事がいるかのような生活も夢ではないはずだ。

また、生体認証が完璧に行えるようになった暁には、最終的にはスマホを使わなくてもよくなるだろう。いつでもどこでも、生体認証を通じて触れた装置を自分の端末のように扱えるようになったり、カードやスマホがなくても本人の体ひとつで買い物や移動が可能になったり、言い換えると「顔パス」ができる時代が来るかもしれない。人々の快適な生活に深く関わる生体認証。今後も、その進化から目が離せない。

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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2018.1.15 更新
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