富士通は2018年1月16日、法人向けパソコンの新モデル発表会を開催し、その中で、昨年2017年12月に発表した個人向けモデルに搭載するAIアシスタント「ふくまろ」について報道陣に詳しく説明した。パソコンをスマートスピーカー化する注目の新機能であり、パソコンを新しい家族にする意欲的な取り組みだ。
独自のAIアシスタント「ふくまろ」を搭載する液晶一体型デスクトップ「ESPRIMO FH52/B3」
昨年、Amazonの「Alexa」、グーグルの「Google Home」など、スマートスピーカーが日本で発売され話題となった。スピーカーではなくパソコンで、同じことを実現しようという試みが富士通の「ふくまろ」だ。知性を象徴するフクロウと、家に福を呼込むダルマを組み合わせた親しみやすいキャラクターが、利用者のさまざまなシーンをサポートしてくれる。独自の音声解析技術によって、「ふくまろ」と音声会話やチャットでの会話が可能。AI技術には富士通の「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」を活用している。
「ふくまろ」は、フクロウとダルマを組み合わせて親しみやすいキャラクター。「○○○まろ」と、語尾に「まろ」がつく
「ふくまろ」ができることの例
話しかける内容の例。「ふくまろ」と発してから、お願い内容を話す
2018年1月時点で「ふくまろ」ができることは(1)音声アシスタント、(2)コンテンツ再生、(3)家なかチェック、(4)家電コントロールの4つ。(1)の音声アシスタントは、天気の読み上げや日常会話(キーワードに応答して決められた返答をするというもの)。(2)のコンテンツ再生は、パソコンやDLNAで接続したレコーダー内のコンテンツを再生できる機能だ。たとえば、「ふくまろ、沖縄の写真見せて」と話しかけると、「おっけ〜。写真うつすまろ」と応えて、ジオタグを元に沖縄で撮影した写真が表示される。
(3)家なかチェックは、スマートフォンに自宅の様子を通知してくれるというもの。「留守番モード」に設定すれば、部屋内で動きや音を検知すると、登録したスマートフォンにメッセージと画像を送ってくれる。子どもの帰宅確認、ペットの見守りなどを想定したものだ(事前にスマートフォンに「Skype」のインストールおよび設定が必要)。
(4)家電コントロールは、別売のIRコマンダーを使って、テレビやエアコン、照明などを音声で操作できるというもの。スマートフォンを使って、外出先からエアコンの操作なども可能だ。
IRコマンダーを使えば、テレビのオン/オフ、チャンネル変更、音量変更のほか、照明のオン/オフ、エアコンのコントロールなどが可能
IRコマンダー(FMVIRC1)。富士通の直販サイトでの価格は7,538円(税込)だが、モニターキャンペーン(先着200名)で980円(税込み)で購入できる
「ふくまろ」は、昨年末に発表したデスクトップパソコン「ESPRIMO FHシリーズ」だけでなく、2017年10月以降に発表したモデルにもアップデートを通じて提供する。
スマートスピーカーとの違いは、ディスプレイがあることと、クラウドに完全に頼る必要がないこと。写真や動画の表示は、ディスプレイのあるパソコンならではだし、カメラを使って撮影することも可能だ。パソコンのCPUパワーを上手に活用することで、データをすべてクラウドにアップロードする必要がなく、セキュリティ面の安心感もある。
「ふくまろ」はAIアシスタントなので、今後の成長も期待できる。同社では、パーソナライズ、感情認識など、ユーザーの要望に応じながら、「ふくまろ」を成長させていくという。
なお、レノボ傘下となった同社のパソコン事業だが、現時点では独自路線を継続していくことで両者の思惑が一致しており、今後も個人向け、法人向けとも富士通らしい製品を展開していくという。
「ふくまろ」は、利用者の好みを学習したり、感情を認識したり、成長していく予定だ
「ふくまろ」に対応する「ESPRIMO FH90/B3」
昨年10月に発表した「LIFEBOOK AH77/B3」も「ふくまろ」に対応する