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格安SIMで新生活をはじめたい人必見!

大手携帯キャリアとの違いやデメリットは? 格安SIM/格安スマホの基礎知識【2018年春版】

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コストの安さが人気の「格安SIM」や「格安スマホ」は、仮想移動体通信事業者(MVNO)が提供する通信サービスだ。大手携帯キャリアよりも料金が安いことには、それなりの理由がある。就職や進学を迎える新年度にあわせて格安SIMや格安スマホに乗り換えたいけれど、大手携帯キャリアとの違いがわからなくて迷っている……という人のために、MVNOの基礎知識をわかりやすく解説しよう。

格安SIMの基礎知識を2回に渡り解説する

格安SIMの基礎知識を2回にわたり解説する

そもそも「格安SIM」や「格安スマホ」とは?

まずは、格安SIMや格安スマホのことを知るうえで避けては通れない「SIM」や「MVNO」といった用語の意味を、順を追って確かめておこう。

●SIM

最初に知っておきたいのは、格安SIMの「SIM」という言葉だ。

現在販売されているスマートフォン(スマホ)やフィーチャーフォン(ケータイ)には、爪ほどの大きさの小さなICカードがセットされている。このICカードは「SIMカード」、略してSIMと呼ばれている。SIMカードには通信回線と端末を結びつけるための情報が記録されており、セットした端末を自分の端末として利用することができるのだ。

SIMカードは、ユーザーと端末を結びつけるために必要となる小さなICカードだ

SIMカードは、ユーザーと端末を結びつけるために必要となる小さなICカードだ

●SIMロック&SIMフリー

SIMという単語を含む「SIMロック」と「SIMフリー」という言葉についても確認しておこう。

SIMロックとは、スマホやタブレットなどのモバイル端末を、ある特定の通信会社でしか使えないように設定することだ。SIMロックを掛けられた端末では、その通信会社のSIMカードをセットしないと、音声通話やモバイルデータ通信の機能が使えない。

SIMフリーとは、上記のSIMロックが掛けられていない状態のことを指す言葉だ。SIMフリーの端末では、通信規格さえ適合していればどの通信会社でも使えるのがメリット。最近ではアップルの「iPhone 8」、ASUSの「ZenFone 4」、ファーウェイの「P10 lite」などのように、NTTドコモ、au、ソフトバンクのすべてで使えるSIMフリースマホも登場している。

なお、大手携帯キャリアで販売されている端末は基本的にSIMロックが掛けられているが、2015年5月1日以降に発売された端末については、原則としてロックを解除してSIMフリーの状態にできる(ただし、解除できるようになるまでの日数などに条件がある)。

SIMロックが掛かっていないSIMフリースマホは、好きな通信会社と組み合わせて使うことができる(写真はファーウェイの「P10 lite」)

●MVNO

次に確認しておきたい言葉は「MVNO」だ。

MVNOとは「Mobile Virtual Network Operator」の略で、日本語では「仮想移動体通信事業者」を意味する。MVNOは大手携帯キャリアの基地局設備やネットワークに相乗りをすることで、スマホをはじめとしたモバイル端末向けの通信サービスを提供している。

相乗りをするには「帯域」と呼ばれる情報の通り道を大手携帯キャリアから借りる必要があるので、そのための費用は掛かる。だが、自分で基地局などを設置したり管理したりする必要はないため、設備投資費を節約できる。そのため、結果的にユーザーの利用料金を大手携帯キャリアよりも安く設定できるというわけだ。

●格安SIM

いよいよ本題だ。広い意味での「格安SIM」とは、先に述べたMVNOが提供する、大手携帯キャリアよりも割安な通信サービスを指す言葉だ。

当初、MVNOの通信サービスは、おもに大手携帯キャリアの中古スマホと組み合わせて使うことが想定されており、「MVNOのSIMカードに差し替えるだけで、スマホの通信コストが安くなる」とアピールされていた。格安な料金で使える通信会社のSIMカード、すなわち「格安SIM」というわけだ。

大手携帯キャリアとは提供する通信会社が異なるものの、通信できるエリアは相乗りしている大手携帯キャリアと変わらない。また、電話番号を変えずに通信会社を乗り換えられる「携帯電話・PHS番号ポータビリティー」(MNP)制度にも対応しているので、大手携帯キャリアで使っていた電話番号を格安SIMに持ち越して使い続けることも可能だ。

なお、狭い意味では、MVNOが提供するSIMカードのことを格安SIMと呼ぶこともある。

格安SIMとは、大手携帯キャリアよりも割安な通信サービスのことを指す(画像は楽天モバイルのWebサイト)

格安SIMとは、大手携帯キャリアよりも割安な通信サービスのことを指す(画像は楽天モバイルのWebサイト)

●格安スマホ

そして「格安スマホ」とは、格安SIMとSIMフリースマホを組み合わせた商品のことを指す。必ずしもスマホ本体が安いわけではなく、なかにはファーウェイの「Mate 10 Pro」のように、税込価格が8万円を超えるような端末も格安スマホとして販売されている。

本来の格安SIMは、(通信規格が適合していれば)好きなSIMフリースマホや大手携帯キャリアの中古スマホと組み合わせて使えるのが特徴だ。ただし、どの端末で使えるのかは自分で確認しなければならないし、組み合わせ方を間違えればせっかく契約した格安SIMが使えなかったりもする。

そんなとき、「格安スマホ」としてMVNOが自ら販売しているSIMフリースマホを選んでおけば、組み合わせで悩む心配はいらない。それに、回線の契約と端末の購入を同時に済ませられるので、スマホを買い替えつつ大手携帯キャリアから乗り換えたり、初めてスマホを契約したりする人にとってはお手軽だ。

格安スマホとは、格安SIMとSIMフリースマホを組み合わせた商品だ

格安スマホとは、格安SIMとSIMフリースマホを組み合わせた商品だ

MVNOにはどんな特徴がある?

MVNOは大手携帯キャリアとは異なる事業者なので、サービスやサポートの内容にも違いがある。主な特徴をまとめてみよう。

●月額料金が安い

大きな違いは格安SIM最大の特徴でもある料金プランの安さだ。たとえば、格安SIMでは毎月3GBまで高速通信できるプランが月額およそ1,600〜1,800円で提供されている。それに対して、大手携帯キャリアで同程度通信するには5,000〜6,000円かかるので、純粋に料金プランの価格を比較すれば格安SIMのほうが安い。

一例として、音声通話SIMが人気の格安SIM「楽天モバイル」の料金プランと、大手携帯キャリアのauが提供する「auピタットプラン(シンプル)」および「auフラットプラン(シンプル)」の月額料金を通信容量別に比較してみた。毎月10GBを超える大容量プランでは差額が縮まるものの、毎月3GBから5GBの範囲では楽天モバイルのほうが大幅に安い。

楽天モバイルとauピタットプラン・auフラットプランの料金比較

楽天モバイルとauピタットプラン・auフラットプランの料金比較

●料金プランの種類が多い

大手携帯キャリアでは毎月一定の通信容量が使えるプラン構成が一般的だが、格安SIMにはより個性的なプランを備えたものがいくつかある。

たとえば、U-NEXTの「U-mobile」やDTIの「DTI SIM」では、大手携帯キャリアでは選べなくなってしまった使い放題の料金プランが提供されている。月額料金は音声通話機能付きの契約でも3,200円前後なので、大手携帯キャリアの大容量プランよりも低コストなのが特徴だ。

また、ソニーネットワークコミュニケーションズの「nuroモバイル」では、高速通信できる期間を「1日当たり5時間まで」という合計時間で管理する「時間プラン」を提供している。時間で管理できるので、「2時間の映画を2本見たら残りは1時間」といったように、直感的に把握しやすいのが特徴だ。

時間プランの利用イメージ(ソニーネットワークコミュニケーションズ提供)

時間プランの利用イメージ(ソニーネットワークコミュニケーションズ提供)

●一部アプリの通信が使い放題になる

特定のアプリによる通信だけが使い放題になっていて、料金プランの通信容量を消費しない「カウントフリー」と呼ばれる機能を提供する格安SIMも登場している。

代表例のひとつは「BIGLOBEモバイル」だ。有料オプションの「カウントフリー・オプション」を契約することで、YouTube、AbemaTV、Apple Music、radiko.jpといったコンテンツサービス10種類(2018年3月1日時点)の通信が使い放題。対象のコンテンツサービスは随時追加されている。

もうひとつの例は「LINEモバイル」だ。LINEモバイルではLINEによる通信をはじめ、Twitter、Instagram、FacebookといったSNSや、LINE MUSICによる通信の一部が使い放題になっていて、どれだけ使っても通信容量を消費しない(ただし、LINE Liveの視聴など、一部に使い放題の対象外となる機能もある)。

●キャリアメールが使えない

当然ながら、格安SIMにはデメリットもある。たとえば、大手携帯キャリアでは当たり前のキャリアメールも、格安SIMで提供しているのはワイモバイルやUQ mobileに限られる。

ほかの格安SIMでも独自のメールアドレスを発行しているところはあるが、大手携帯キャリアからはPCメールとして扱われてしまうため、受信者が迷惑メールの設定でPCメールを拒否していた場合、相手に届かないこともある。

また、学校の連絡網など一部のサービスでは、大手携帯キャリアのメールアドレスしか登録できない場合もある。こうしたサービスの利用が必須なユーザーは、代替手段がない格安SIMには簡単に乗り換えられないだろう。

●通信速度が遅い時間帯がある

スマホを利用する人が多い平日の12時台や夕方から夜にかけての時間帯において、格安SIMの通信速度は遅くなりやすい。MVNOが大手携帯キャリアから借りている帯域には限りがあるからだ。

情報が通る帯域を道路、情報を自動車にたとえて、同じ台数の車が車線の多い道路と少ない道路を走るときの様子を想像してもらいたい。MVNO自身が持つネットワーク設備やその設定(信号機や交通ルールに相当する)を工夫することで渋滞を緩和することはできるが、MVNOの車線はもともと少ないので、台数が増えればそれだけで渋滞しやすいのだ。

mineoがネットワークの混雑状況を示す目安として公開している「ネットワークお天気情報」。12時台や朝夕の通勤時間帯は混雑しがちだ

●ショップを持たないMVNOがある

大手携帯キャリアは全国にショップを構えていて、店頭で新規契約や契約内容変更の手続きをしたり、スマホの機種変更や修理の依頼をしたりできる。何かあればショップに行くのが一般的だ。

ところが、MVNOで店舗を構えているところは少ない。主なMVNOで自社の専門店を持っているのは、ワイモバイル、UQ mobile、楽天モバイル、イオンモバイル、mineoなど。ソフトバンクのサブブランドとして両ブランドの合同店も展開するワイモバイルは特別だが、ほかのMVNOでは店舗の数が少なく、特に地方に店舗がないMVNOも多い。

また、MVNOの専門店であっても店頭で受け付けているのは新規契約のみで、料金プランの変更手続きや格安スマホの修理依頼などができない場合もある。サポートが手厚い大手携帯キャリアのショップと同じ感覚で利用するのは難しいのだ。

家電量販店の店頭まで範囲を広げれば、IIJmioモバイルサービス(みおふぉん)、OCN モバイル ONE、BIGLOBEモバイルなど、主だった格安SIMでも店頭で新規契約をしたり、SIMカードのパッケージ版を購入したりできるが、やはり新規契約が中心となるため、サポート業務については電話窓口やWebサイトを経由しなければならない。

【関連情報】
・格安SIMカード比較 MVNO主要28社のプラン情報(価格.com)

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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