MAYA SYSTEMは2018年7月17日、クラウドSIMテクノロジーを使用したSIMフリースマートフォン「jetfon(ジェットフォン)」を発表。8月1日より予約受付を開始し、8月中に発売する。SIMデータをインターネット上に置き、自在に書き換えることで、100か国以上でデータ通信が行えるユニークな製品だ。
SIMデータを自在に書き換えることができる、クラウドSIMテクノロジーを備える。海外に強いスマートフォンだ
2017年末に経営破綻したFREETELの端末部門を買収したMAYA SYSTEM。今回発表された「jetfon」は、2月に登場した「REI 2 Dual」と「Priori 5」に続く、同社としては3機種目のスマートフォンで、クラウドSIMテクノロジーを備えていることが大きな特徴だ。
クラウドSIMテクノロジーとは、携帯電話やスマートフォンに必須のSIMカードのデータをインターネット上に移し、必要に応じてダウンロードして使うもの。通常のSIMカードとは異なり、SIMデータをソフトウェア的に随時書き換えられるので、SIMカードの抜き挿しなしにネットワークを切り替えることができる。
このクラウドSIMテクノロジーは、海外での利用において特に利便性が高い。今回発表された「jetfon」の場合、4G、3G、2Gの各モバイルネットワークに対応しており、世界の100か国以上で利用可能となっている。利用は簡単で、SIMカードの挿し替えはもちろんだが、APNの設定変更さえも不要。しかも、渡航先の通信キャリアのうち、もっとも電波の強いものを自動的に選んで利用するため、通話エリアも広い。料金も割安で380円(1日300MBまで)という低価格から利用可能だ(料金は、地域や利用期間によって異なる)。なお、クラウドSIMテクノロジーは、データ通信のみに対応しており、音声通話を行う場合は、別途音声通話対応のSIMカードが必要となる。
インターネット上に保存したSIMカードのデータを随時ダウンロードするクラウドSIMテクノロジーを採用する
ローミングや、海外Wi-Fiルーター、プリペイドSIMと比較したクラウドSIMテクノロジーの優位点は、低価格かつSIMカードの交換やAPNの設定などが不要な点だ
発売のタイミングでjetfonが利用可能な国の一覧。中央アフリカや中近東諸国を除いた、多くの国が対応エリアになっている
中国国内でGoogleの諸サービスおよびSNSを利用可能にするVPNプランも用意されている
クラウドSIMテクノロジーの利用手続きは、jetfonに搭載されているアプリ「Global Plan」を通じて、インターネット経由で行う。そのため、最初にWi-Fiなど何らかの通信環境を用意する必要がある。利用手続きは、同アプリから利用したいプランを選び、クレジットカードまたは電子決済サービスの「PayPal」での決済を行うのみ。なお、課金は通信が開始されたタイミングから行うので、現地に到着する前に契約しておくのがよいだろう。同サービスにおける1日の区切りは、現地の首都の時間で統一されているので、国内の時差が大きな国では注意したい。
アプリから通信プランを選んでおけば、現地に到着して通話エリア内に入った瞬間からすぐに通信可能となる
クラウドSIMを使った通信を行う場合、アンテナピクト部分が通常の「4G」などの表示ではなく、地球を模したアイコンのデザインに変わる。なお、日本国内のデータ通信の利用は、その際は、NTTドコモ、au、ソフトバンクのいずれかの通信網を使う
次に、jetfonのハードウェアについて見てみよう。1080×1920のフルHD表示に対応する約5.5インチの液晶ディスプレイを備え、ボディサイズは、約76(幅)×154(高さ)×7.9(厚さ)mm、重量約180gと、ボディは比較的大型だ。SoCは、ミドルレンジ向けの「Snapdragon 652(1.8GHz×4+1.4GHz×4)」を採用し、4GBのRAMおよび64GBのストレージ、256GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせるなど、ミドルレンジクラスのスペックと言える。OSは、Android 7.1.2だ。
世界中で利用することを前提としているため、強力な通信機能を備える。SIMカードスロットは、上記のクラウドSIMテクノロジーに加えて、nanoSIMカードスロットを2基備えており、DSDSに対応するSIMフリースマートフォンとしても利用可能だ。4Gネットワークでは、FDD-LTE のB1/2/3/4/5/7/8/9/12/13/17/18/19/20/25/26/28および、TDD-LTEのB38/39/40/41に対応。3Gネットワークでは、WCDMAのB1/2/4/5/8/6/9/19および、TD-SCDMAのB34/39、このほかCDMA2000のBC0/BC1も利用可能だ。途上国などではまだまだニーズの高い2GのGSMについても850/900/1800/1900に対応している。VoLTEについては、NTTドコモおよびソフトバンクの回線に対応しており、今後のアップデートでau VoLTEにも対応する予定だ(別途、音声通話対応のSIMカードが必要)。国内向けの機能として、ETWS(Jアラート)に対応している。なお、NFCポートは搭載されているが、FeliCaポートは非搭載となる。
「jetfon」端末の料金は39,800円(税別)。従来のFREETEL製品と同じように家電量販店でも取り扱われる。
9:16のオーソドックスな比率の約5.5インチ液晶を備えたボディ
ディスプレイ下部には、ホームボタンを兼ねた指紋認証センサーと、バックおよびタスクボタンをタッチ式として配置している
通常のSIMカードスロットも搭載。2基のnanoSIMカードを使い、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)も利用できる。なお、クラウドSIMテクノロジーを使用している場合1スロットは占有される
メインカメラは、約1,300万画素。なお、FREETELの保有するカメラ技術は導入されていない
フロントカメラは約800万画素。こちらも機能的には標準的なもの