新製品レポート
エフェクト追加、プラグインの再設計も実施

Steinbergの老舗音楽制作ソフト最新版「Cubase 10」。新ギミックで作業効率アップ

Steinberg(スタインバーグ)が手がける有名デジタル音楽制作ソフト「Cubase」(キューベース)シリーズに、最新版「Cubase 10」が登場した。ラインアップは以下の通りで、旧版を使用するユーザーに対してはアップデート版を配布し機能拡張に対応する。

「Cubase Pro 10」(通常版/アカデミック版/クロスグレード版)
※豊富な機能性を備えるフラッグシップグレード

「Cubase Artist 10」(通常版/アカデミック版/クロスグレード版)
※機能を厳選して搭載したミッドレンジグレード

「Cubase Elements 10」(通常版/アカデミック版)
※必要最低限の機能を搭載したエントリーグレード

左から、Cubase Pro 10、Cubase Artist 10、Cubase Elements 10

左から、Cubase Pro 10、Cubase Artist 10、Cubase Elements 10

そのほか、オーディオインターフェイスなどのハードウェアにバンドルされる「Cubase AI」も、最新版の「Cubase AI 10」としてダウンロードに可能になっている。以下より、新しく追加された機能を中心にご紹介していこう。

DAWの定番「Cubase」とは?

デジタル音楽制作(DTM)にくわしい方はよくご存じかと思うが、はじめにCubaseの概要をざっと説明しておこう。

Cubaseは、ドイツのソフトウェアメーカーであるSteinberg 社が開発した総合音楽制作ソフト(=DAW)の「ド定番」として知られるもの。作曲、アレンジ、レコーディング、波形編集、ミキシングなどの作業をサポートし、高い機能性と操作性を持つソフトウェアとして、世界中の音楽制作現場で使用されている。

ユーザー数が多いので汎用性が高く、インターネット上を探せば使い方動画などが豊富にあるのもメリット。価格.comの音楽ソフト売れ筋ランキングでも、常に上位にランクインし続けているシリーズだ。

ちなみにSteinbergは、オーディオドライバーのASIO規格や、音楽ソフトウェアのプラグインに関するVST規格を策定した企業でもある。オーディオインターフェイスなどハード機の開発も行っており、2005年からは日本企業であるヤマハの傘下になった。

最新版Cubase 10では、作業効率をアップする新ギミック追加

新しく発表されたCubase 10では、主に「ワークフローの改善」「エフェクトの追加」「プラグインの再設計」などを行い、従来のUIを踏襲しつつも全体的なユーザビリティを向上させている。Steinbergいわく、「かゆいところに手が届くアップデート」だ。

Cubaseは、これまで1〜2年に1回のペースでメジャーアップデートを実施してきた

Cubaseは、これまで1〜2年に1回のペースでメジャーアップデートを実施してきた

▼制作ワークフローを改善する新ギミック

特に注目なのは、ボーカル編集とピッチ修正を行える「Variaudio」がバージョンアップし、「Variaudio 3」になって制作ワークフローが改善された点。新しい「スマートコントロール」機能によって、各セグメントに表示されるドットを操作するスタイルとなった。これにより、全てのパラメーターを直接制御することが可能となり、作業スピードの大幅向上を図れる。

さらに、セグメントごとのボリューム調整やより自然なトーンにするためのフォルマント・シフト調整も可能と、細かい編集が行えるようになっている。なおこれらは、フラッグシップのCubase Pro 10にのみ搭載される機能となる。

新しい「スマートコントロール」機能では、セグメントの周囲に表示されるドットを動かしてパラメーターを直接編集することができるようになった(Cubase Pro 10のみ対応)

また、チャンネルストリップが新しくなって視認性の高いデザインになったり、ミキサーの「MixConsole」にミックス設定を保存しておける「スナップショット」機能が搭載されたのもポイント。全体的に、クリエイターの作業効率を高める新設計になっている。

新デザインのチャンネルストリップは、モジュールごとにVUメーターを搭載して直感的な操作が可能に。各モジュールの順番も入れ替えできる

「MixConsole」に追加されたスナップショット機能を使えば、異なるプロジェクトのミックスや設定をすぐに呼び出して、比較することができる。各スナップショットにノートを追加したり、 EQ設定のみを呼び出したり、 個々のトラックの設定も呼び出せる(Cubase Pro 10のみ対応)

オーディオアライメントも刷新された。レコーディングをすばやくスタックし、レファレンストラックと簡単に同期させることができる(Cubase Pro 10のみ対応)。そのほかにサイドチェーン設定も簡略化されており、数回のクリックで目的のルーティングを作成できる(Cubase Pro 10とCubase Artist 10のみ対応)

▼「Groove Agent SE 5」の追加

もうひとつの目玉は、2018年11月1日に配布がスタートしたビートメイキングソフトウェア「Groove Agent SE 5」を装備していること。新規追加されたアコースティックドラムキット「The Kit SE」や、エレクトロ系の「Beat Agentキット」20セットなどを搭載する。新しいコンテンツブラウザーによるキット内プレビューに対応するなど、ユーザーインターフェイスを高めていることにも注目したい。

「THE KIT」には、Pearlのキックとスネア、Yamaha Maple Customタム、4枚のZildjianクラッシュ、Istanbulのライド、Paisteのスプラッシュなどのサウンドが追加されている。全てベルリンの Teldexスタジオで、ハイエンドの Neumann マイクとアウトボードやリバーブチェンバーを使って収録された

▼プラグインの再設計

また、既存のプラグインのデザインが変わり、メディアラックが改善されている。トラックの項目にエフェクトが追加。VSTインストゥルメントプラグインをプロジェクトに直接ドラッグして、インストゥルメントトラックを作成するといったことが可能となった。

サードパーティーのプラグインタイルは、 プラグインヘッダーをクリックするだけで簡単に作成可能。サウンドに倍音の付加やキャラクターを追加する歪み系のエフェクト「Distroyer」も新規で追加されている(Cubase Pro 10、Cubase Artist 10のみ)

このほかにも、レイテンシーが生じているチャンネルとレイテンシー値をモニターしてくれる機能が付いたり、MIDI Polyphonic Expression(MPE)を正式サポートしたり、AAFのインポートとエクスポートに対応するなどアップデート内容が盛りだくさん。さらに高解像度HiDPIをサポートし、Mac OSの高解像度ディスプレイ表示にも対応した(Windows 10では限定対応となる)。

最も一般的なMPEコントローラを自動的に検出、設定し、さまざまな楽器パラメーターに割り当てられる

最も一般的なMPEコントローラを自動的に検出、設定し、さまざまな楽器パラメーターに割り当てられる

Cubase 10では、そのほかにも操作性、パフォーマンス、クオリティなどが全面的に改善されている。今回のアップデートについて、Steinbergは特に「ユーザー視点に立った」ことをアピール。Cubaseはプロ向けの製品であることはもちろんだが、好きなアーティストが使用しているDAWということで購入するアマチュアユーザーも多い。Cubase 10でユーザビリティが向上したことは、プロ/アマを問わず世界中にいる多くのCubaseユーザーにとってうれしいアップデートと言えるだろう。

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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