世界最大級のテクノロジー総合見本市「CES 2020」がアメリカのネバダ州ラスベガスで2020年1月7日に開幕しました! 本記事では、CES 2020に出展されているPC関連の製品をピックアップし、業界の最前線をお伝えします(※一部、CESと同時開催のテックイベント「Pepcom」で撮影した内容も含まれます)。
ユニークな製品から定番モデルまで。「CES 2020」で見つけた最新PCをレポートします
デルが展示していた分離合体型ゲーミングPC「Concept UFO」は、“自宅でもポータブル環境でもプレミアムなゲーム体験を提供すること”を目指した端末。見た目は携帯ゲーム機ですが、インテル第10世代Coreプロセッサー(モデル不明)を搭載したWindowsマシンです。そのため、キーボードとマウスを接続して一般的なPCのように使用することも可能です。コンセプトモデルのため、価格はもとより発売するかどうかも未定ですが、ゲーマーの物欲を刺激する製品です。
“ヘッド”と呼ばれるモジュールには8インチ(1900×1200)WUXGAパネル搭載のディスプレイを備え、CPUやメモリー、バッテリーなども内蔵しています
“ヘッド”の左右にコントローラーを装着した様子。見た目は大きめのNintendo Switchのようです
背面には排熱用のスリットがあり、その奥に冷却用ファンが確認できました。また、本体に一体化されたキックスタンドを備えており、机の上においてプレイすることも可能です
Thunderboltに対応しており、USB Type-Cケーブルで専用のドックと、ヘッドとコントローラーを取り付けるブリッジを接続すると、大きなディスプレイで遊ぶことも可能です
実際に3Dグラフィックの格闘ゲームをプレイしてみたところ、操作にラグを感じることもなく快適にプレイができました。バッテリー駆動時間や冷却ファンなどによる動作に疑問が残りますが、そのあたりを除けばいますぐ製品化されてもおかしくない仕上がりになっている印象。ヘビーなPCゲームもプレイできるのか、グラフィックの処理性能も気になるところです。
こちらもコンセプトモデルの「Concept Duet」。2枚の13.4インチディスプレイが360°回転するヒンジ機構でつながった2in1ノートPCです。マグネットで着脱するキーボードを装着すると、クラムシェルノートPCとしても使用できます。
手前のディスプレイ上にキーボードを装着。この状態では、キーボードの下のディスプレイがトラックパッドとして機能します
縦向きにして電子書籍を表示すると、本のような読書端末としても使用できます
なんとなく未来っぽい見た目がカッコよいですが、冷静に考えると2画面になる大きなメリットは見出せませんでした。大きな画面を小さく持ち運べるという点は利点ではありますが……。読書モードにしても「どうせ読むのは片側だけだしなぁ」という印象で、2画面を活用する利用シーンはあまり思いつきません。サードパーティー製ソフトウェアとの連携が深まって、トラックパッドの脇に「Excel」や「Photoshop」などのソフトウェアごとに専用キーが表示されるようになったりしたら、便利そうですね。
Windows搭載モバイルノートPCのド定番としてバージョンアップを繰り返し、人気モデルとなった「XPS 13」。同シリーズのウリのひとつである「ナローベゼル(狭い額縁)」をさらに追求して、画面下側もギリギリまでディスプレイの4辺狭額縁を採用し、順当な進化を遂げています。
13インチのディスプレイ占有率は最大91.5%と、ほぼ全面が画面と言っても過言ではないレベル。もちろん、ディスプレイだけではなく、本体はさらに薄く、キーボードやトラックパッドの面積も大きくなるなど、随所に進化が感じられます
2020年新モデル(左)と2019旧モデル(右)を比較すると、画面下部のベゼル幅はもとより、左右のベゼル幅も狭くなっていることがわかります
CPUはインテル第10世代Coreプロセッサー(Core i7/i5/i3)を採用し、メモリーは最大32GB、ストレージとなるSSDの容量は最大2TB。モバイルノートPCでもかなり高い部類のスペックを備えます
新型「XPS 13」はメーカー直販価格が999ドルからで、2020年2月にはグローバルでも発売予定。パンチの効いた新機能こそないものの、安心して買えるハイスペックモバイルノートPCとしての座に君臨し続けそうな予感がします。
レノボはクアルコムの基調講演に上級副社長を登壇させ、Snapdragon製SoCの採用と5Gへの対応を明らかにしました。ほかのメーカーはロゴの掲出だけの中、レノボだけはデモ機を携えて現れ、その存在感を示していました。
Snapdragonシリーズを開発するクアルコムのクリスチアーノ・アモンCEOは、PC向けSoCへの注力を表明し「5G PC」の時代を切り開くと宣言
そこに招かれて登壇したレノボのジョンソン・ジア氏(コンシューマービジネス・インテリジェントデバイス部門上級副社長)は、新型の「Yoga 5G」とともに現れ、ガッツリ握手。Snapdragon搭載レノボ製ノートPCの今後に期待を抱かせるアピールを見せました
発表されたレノボ「Yoga 5G」は、メーカー直販価格が1,499ドルで、今春にアメリカで発売予定。ディスプレイは14インチ・フルHDのIPS液晶。SoCには「Snapdragon 8cx」を搭載。ファンレス設計で、公称最長24時間のバッテリー駆動時間をうたうスタミナにすぐれるモバイルノートPCです
パームレストに輝く5Gのロゴ。なお、eSIMもサポート予定とのこと
シンプルなデザインの背面
公称重量は1.35kgと、モバイルマシンとしては持ち歩きに困らない重さながら、タブレットモードにして片手持ちをすると少し重たいです
オールウェイズコネテッド(常時接続)で、ロングバッテリーライフのWindowsマシンが登場したら、スマートフォンのように使えて便利そう。カフェや空港のWi-Fiは速度が遅くて「こんな回線なら、ないほうがマシだ!」と憤ることもままありますが、5G対応ノートPCの普及でそんなイライラとおさらばできたらうれしいですね。
昨年の「CES 2019」ではROYOLが折りたたみスマートフォンの実機を初めて一般向けに展示して話題となりましたが、2020 年はレノボがWindows PCとしては世界初となる折りたたみ端末の実機を発表しました。
「ThinkPad X1 Fold」は内側に折りたためる13.3インチの有機ELパネル搭載ディスプレイを備えるモバイルノートPC。メーカー公称重量は1kgです
広げた状態で中央の折り目が気になることはありませんでした
マグネット式のキーボードを装着するとクラムシェル型PCに変身。画面表示の向きがキーボードの向きと合っていないのはデモ係さんのご愛敬
米国での発売予定は2020 年半ばで、価格は2,499ドル になるとのことです。続報に期待がかかります。
天板に10.8インチのE-Inkディスプレイを備えた「ThinkBook Plus」。専用のスタイラスペンで手書きした文字をテキストデータとしてコピー&ペーストする機能を備えます
打鍵感とトラックポイントにファンが多い「ThinkPad」のキーボードが7年ぶりに単体で登場。「TRACKPOINT KEYBOARD II」はWindows 10、 Windows 7、 Android 9に対応し、2台の端末とペアリングが可能なBluetoothキーボードとして99.99ドルで5月に発売予定です
レノボのゲーミングPCブランド「LEGION」の名を冠した外付けGPU ボックス「Legion BoostStation」。Thunderbolt接続。価格は249.99ドル(GPU別売)で2020年5月に発売予定
新製品ではないもののレノボブースでおもしろかったのは「PCアクセサリーの自動販売機」。企業のオフィスなどに設置し、備品を素早く供給することを想定したもの。メールアドレスとパスワードを打ち込むとQRコードがメールで届き、それをスマホの画面に表示してかざすと必要な備品が手に入るという仕組みです。
ASUSは「CES 2020」に出展せずに、メイン会場とは少し離れた場所で独自展示を行っていました。
ASUS「ExpertBook B9450」は870gという、14インチノートPCでは世界軽量ボディのビジネスユーザー向けモデル
タッチパッドテンキーを表示できるNumberPadを採用
本体左側面にはThunderbolt 3ポート×2基に加えて、HDMIポートと専用LANアダプター用ポートを備えています
本体右側面には3.5mmイヤホンジャック、USB 3.1ポート、セキュリティワイヤーの取り付け口があります
基本スペックは、CPUがCore i7-10510、メモリーが最大16GB、ストレージとなるSSDの容量は最大2TB と、モバイルノートながらも高いスペックが特徴です。2020年前半に発売予定で、価格は未定です。
「ROG ZEPHYRUS G14」は天板にLEDライトを備え、ドット絵やGIFアニメーションを表示できる個性派の14インチゲーミングノートPC
AMDが発表したノートPC向けAPU、第3世代「Ryzen 4000(Hシリーズ)」を搭載し、メモリーは最大32GB、ストレージとなるSSDの容量は最大1TB。ディスプレイは、120Hz駆動のフルHDと、60HzのWQHDから選択可能です。
HPは「CES 2020」 ではなく、同時開催の「Pepcom」というテックイベントで展示を行っていました。
HPの「Elite Dragonfly」シリーズ(日本発売済み)には、忘れ物防止タグで知られる「Tile」との連携機能を内蔵する新モデルが登場
内蔵する「Tile」と事前にペアリングしたスマートフォンを操作し、本体から音を鳴らせるため、どこかにしまい忘れてもすぐに見つけ出せます。また、移動の履歴を確認したり、ほかのタイルユーザーの力を借りたりして大まかな位置を割り出せるため、万が一端末を紛失してしまった場合でも発見できる可能性が上がります
Tile搭載モデルのほかに、電子プライバシーフィルター「HP Sure View」や5G対応チップなどの構成もラインアップに追加される予定です。
HP「ENVY 32 All-in Ooe」は、HDR表示対応の31.5インチディスプレイや、プレミアムグレードのスピーカーを備えた液晶一体型モデル。通常使いからクリエイター向けマシンとしても利用できます
PCのほかにスマホともペアリングできるキーボードが付属。ディスプレイ下には無接点充電装置を備えており、Qi対応端末を充電することも可能
「ENVY 32 All-in One」は、CPUが第9世代「Core i5-9400」、メモリーが16GB、ストレージが256GB SSD+1TB HDD、GPUが「NVIDIA GeForce GTX 1650」という最小構成で1599.99ドルから。発表と同時にアメリカで発売されました。
世界50か国以上を旅したバックパッカー。週刊アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。