ソニーモバイルは、2020年2月24日、スマートフォンの新モデル「Xperia 1 II(エクスペリア ワン マークツー)」および「Xperia 10 II(エクスペリア テン マークツー)」を、日本を含む国・地域で今年春以降に発売することを発表した。各機種の特徴をレポートする。
「Xperia 1 II」は、「Xperia 1」の後継となる、Xperiaシリーズの最高性能モデル。ボディサイズは約72(幅)×166(高さ)×7.9(厚さ)mmで、重量は約181gとなる。なお、IP65/68の防水・防塵仕様に対応している。搭載されるディスプレイは3,840×1,644表示に対応する約6.5インチの有機ELディスプレイで、ノッチなし、フラット、縦横比21:9という点はXperia 1と同じ。ただ、リフレッシュレート自体は60Hzのままだが、残像低減技術を採用することで90Hz相当の残像感を実現しているという。また、ホワイトバランスをユーザーで調整する機能も搭載された。
ボディおよびディスプレイのサイズはXperia 1とほぼ同じだ
ノッチなし、フラット、縦横比21:9の約6.5インチ有機ELディスプレイを搭載。超ワイドなシルエットも変わりはない
注目の5G機能だが、ソニーモバイルでは、当面の間、5Gのうち高周波数帯の「ミリ波」は業務用機器に搭載するという方針のため、本機は6GHz以下の「Sub-6」のみ対応となる。5Gの対応バンドはn1/3/28/77(アップデートで対応)/78で、このうち日本ではn77がKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルに、n78がNTTドコモとKDDIにそれぞれ割り当てられている。なお、4GはB1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/19/20/25/26/28/29/32/34/38/39/40/41/46/66の各バンドに対応している。
基本スペックは、SoCに「Snapdragon 865 5G」を採用し、8GBのメモリーと、128GBまたは256GBのストレージを組み合わせる。OSはAndroid 10。内蔵バッテリーは4,000mAhで、最大11Wまで対応するQi規格のワイヤレス充電ポートを備えている。今回発表されたのはグローバルモデルのため、FeliCaポートの搭載の有無はまだ不明だ。
サウンド機能では、ヘッドホン端子が復活した。このヘッドホン端子は、ステレオ出力される左右の音源で生じるクロストーク(干渉)を、前モデル「Xperia 1」の1/10となる20dbまで削減している。また、ボディ左右に備わるステレオスピーカーは左右均等に配置されることで、よりバランスのとれた出力が可能となり、音圧が増加したほか、低音域の拡大も図られている。また、ソニー独自のサウンドエンハンサー「DSEE HX」は、AI技術を採用した「DSEE Ultimate」に強化され、ネックとなっていた高音域の表現力や微細な音の再現性が向上しているという。なお、本機能はアプリ依存ではなく、Xperiaから出力されるサウンドすべてに対応するため、ストリーミング動画や音楽などコンテンツにも適用できる。
2基のスピーカーをボディの前面に均等に配置しており、バランスのとれたステレオ出力が可能
しばらく省略されていたヘッドホン端子が復活。音楽ファンやゲーマーにとっては朗報だ
ボディ下面にUSB Type-Cポートを搭載
側面に、指紋認証センサーを内蔵する電源ボタンを配置。これも、「Xperia XZ1」以来途絶えていた伝統の復活と言える
前モデル「Xperia 1」で一新されたカメラは、本機でさらなる強化が図られた。メインカメラは、約1,200万画素の標準カメラ(F1.7、焦点距離24mm)、約1,200万画素の超広角カメラ(F2.2、焦点距離16mm)、約1,200万画素の望遠カメラ(F2.4、焦点距離70mm)に加えて、被写界深度を計測する3D iTOFカメラを組み合わせたクアッドカメラとなった。前モデルと比較して望遠カメラの焦点距離が52mmから70mmへと拡大したことにより、光学ズーム比は従来の3.25倍から4.375倍まで向上している。また、3d iTOFカメラを除く3基のカメラのレンズは、T*(ティースター)コーティングが施されたZEISS(ツァイス)レンズが採用される。過去のXperiaでは旧ミノルタに由来する自社ブランドの「Gレンズ」を採用したものはあったが、ZEISSレンズを採用するのは初めてだ。T*コーティングはレンズ内の反射を低減させる効果が高く、逆光におけるフレアやゴーストの削減が期待される。
メインカメラはクアッドカメラ仕様となった。3d iTOFカメラを除いてZEISSレンズを搭載している
カメラのアプリも強化されている。ソニーのデジタル一眼カメラ「α」シリーズの撮影アルゴリズムを応用したことで、AF/AE追従の毎秒20コマの高速連写を実現。また、オートフォーカスのエリアカバー率を約70%まで高めており、構図の端でもピントが合わせやすくなっている。さらに、人気の瞳AFは人物に加えて犬・猫などのペットにも対応したうえで、リアルタイムで追従するようになり、動きの素早いペットを撮影する際にピント合わせがしやすくなった。カメラアプリのユーザーインターフェイスも「α」シリーズの操作体系に近い「Photography Pro」に変更され、撮影モードのダイヤル切り替えや、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランスなどのマニュアル撮影がより行いやすくなっている。
Xperiaシリーズの特徴である「瞳AF」は、人物に加えて、犬・猫のペットにも対応した
AE/AF追従の毎秒20コマの連写に対応。なお、内部処理では毎秒60コマのAE/AFの演算を行っている
動画撮影アプリも「Cinematography Pro(シネマトグラフィプロ)」に強化された。このアプリでは、25fpsと60fpsの撮影に対応したほか、水準器機能や、タッチAF、ホワイトバランスのカスタム設定、マニュアル設定とカメラ設定の測光をディスプレイ上で比較確認するメータードマニュアル機能が追加された。これらに加えて、風防をソフトウェア的に実現する「インテリジェントウィンドフィルター」を搭載しており、「Xperia 1」で指摘されることのあった風ノイズを除去できるようになった。
プロ的な絵作りが行える動画撮影アプリ「Cinematography Pro」。25fpsと60fpsでの4K撮影が可能。また、指摘されることの多かった風ノイズ除去をソフトウェア処理で行えるようになった
「Xperia 10 II」は、「Xperia 10」の後継となるグローバルモデル。なお「Xperia 10」は日本国内で発売されておらず、類似する日本専用モデルである「Xperia 8」の直接の後継というわけではない。
ボディサイズは、約69(幅)×157(高さ)×8.2(厚さ)mmで、重量は約151g。ディスプレイは2,520×1,080のフルHD+表示に対応する約6.0インチ(縦横比21:9)の有機ELディスプレイだ。「Xperia 10」の約162gや「Xperia 8」の170gに比べて大幅な軽量化を実現しつつ、「Xperia 8]で対応していたIP65/68等級の防水防塵性能は維持されている。
「Xperia 10」では液晶だったディスプレイが、本機では有機ELに変更された
基本スペックは、SoCに「Snapdragon 665」を採用し、4Gのメモリーと128GBのストレージを組み合わせる。OSはこちらもAndroid 10だ。バッテリー容量は3,600mAhで、ワイヤレス充電には対応していない。
メインカメラは、約1,200万画素の標準カメラ(焦点距離26mm)、約800万画素の超広角カメラ(焦点距離26mm)、約800万画素の望遠カメラ(焦点距離52mm)という組み合わせのトリプルカメラだ。焦点距離については「Xperia 1」や「Xperia 5」と同じで、3.25倍の光学ズームに対応しているが、瞳AFや超高速連写機能などは搭載されていない。
通信性能だが、こちらは5Gには非対応で、LTEの3波キャリアアグリゲーションに対応している。4Gの対応バンドはB1/3/4/5/7/8/12/20/28/38/39/40/41Mとなっているが、日本の通信キャリア向けのB18やB19に対応しておらず、日本に導入する場合はカスタマイズが必要なバンド構成だ。
超広角、標準、望遠という組み合わせのトリプルカメラを搭載。それぞれのカメラの焦点距離は「Xperia 1」や「Xperia 5」と同じ
ボディ上面にヘッドホン端子を搭載する
ボディ下面にはUSB Type-Cポートを備える
報道などのプロフェッショナル向けモデルとして「Xperia PRO」の製作も発表された。こちらはディスプレイやカメラ、SoCなどの性能は「Xperia 10 II」と共通数部分も多いが、5Gで使われる電波の周波数帯として、「Sub-6」に加えて「ミリ波」にも対応しているのが特徴だ。ミリ波は帯域幅を広く取れるため、高速な通信が行えるいっぽう、障害物に弱いという特性がある。このため、本機は電波をさえぎりにくい樹脂製ボディをあえて採用するほか、アンテナ自体もボディの四隅に配置し、電波の状況を可視化するアプリを搭載するなど、独自の設計がなされている。主なターゲットとしては映像のプロ、報道などの法人利用に加えて、ハイレベルのYouTuberも想定しているという。
FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。