バッファローは2020年6月4日、オンラインで新製品発表会を開催し、Wi-Fi 6対応の無線LAN(Wi-Fi)ルーターの新モデル3機種を7月上旬から順次発売すると発表した。同社によると、テレワーク需要からWi-Fiルーターの販売は好調で、今後も快適なWi-Fi環境を構築するために高性能なWi-Fiルーターへ買い替える人が増えると見込んでいる。手ごろな価格のエントリーモデルなど、Wi-Fi 6対応モデルを拡充し、ユーザーのニーズに応えていくという。各モデルの詳細は以下の通り。
バッファローのWi-Fi 6対応の新型Wi-Fiルーター。左から「WXR-5700AX7S」「WSR-5400AX6シリーズ」「WSR-1800AX4シリーズ」
3軸回転外付けダイポールアンテナを搭載した高性能モデル。昨年10月に発売したフラグシップモデル「WXR-5950AX12」と同様、10Gbpsのインターネットポート(WAN)を搭載しており、オンラインゲームユーザーなど通信速度にこだわるユーザー向けのモデルだ。通信速度は、5GHzが4ストリームで最大4803Mbps(理論値)、2.4GHzが3ストリームで最大860Mbps(理論値)。5GHzのワイドバンド160MHzにも対応する。有線LANは、WANが最大10Gbps×1、LANが最大1Gbps×4。
3軸回転外付けダイポールアンテナを搭載するWXR-5700AX7S
アンテナの向きを変えることで、特定方向への電波を強化できるのが特徴で、たとえばマンションなら前後に、戸建てなら上下にという具合に調整できる。自社設計で、熱源が分離するように部品配置を工夫したり、外側筐体と内側筐体の二重構造にすることで高排気効率かつ異物が入りにくいようにするなど、こだわった設計となっている。また、アンテナを両脇に配置することで、WXR-5950AX12よりも幅が70mm(アンテナおよび突起部除く)ほど短くなっている。
このほか、カスペルスキーの「ネット脅威ブロッカーPremium」の1年間無料ライセンスを搭載(後日ファームウェアアップデートにて対応予定)。情報漏洩やフィッシング詐欺からパソコンやスマホを保護できる。価格はオープンで、市場想定価格は28,000円前後(税別)。発売は8月下旬予定。
アンテナを動かすことで、特定方向へ電波を強化できる
アンテナ内蔵のスリムなデザインでありながら、5GHzが4ストリームで最大4803Mbps(理論値)、2.4GHzが2ストリームで最大573Mbps(理論値)という、充実した性能を備える、Wi-Fi 6時代の新スタンダードモデル。パソコンとの高速通信を実現する5GHzのワイドバンド160MHzにも対応する。有線LANは、WANが最大1Gbps×1、LANが最大1Gbps×4というスペックだ。
アンテナ内蔵型のWSR-5400AX6シリーズ
アンテナは上部に5GHz(22.8×19.9mm)のシングルバンドアンテナ、手前に2.4GHz&5GHz(40×14mm)のデュアルバンドアンテナを内蔵する。スリムなボディだが、130×87mmの大型ヒートシンクを本体の形状に合わせて設計することで、高い放熱性能を実現している。
カラーはシャンパンゴールドとマットブラックの2色。縦置きと壁掛けに対応する。価格はオープンで、市場想定価格は16,500円前後(税別)。発売は7月上旬予定。
アンテナ配置の最適化と、大型ヒートシンク搭載により、安定したパフォーマンスを発揮するという
税別で1万円切る比較的手ごろな価格のエントリーモデル。ワイドバンド160MHzはサポートしておらず、Wi-Fi 6対応のスマートフォンユーザー向けのモデルという位置づけだ。
市場想定価格9,000円前後(税別)という比較的手ごろな価格のWSR-1800AX4シリーズ
通信速度は5GHzが2ストリームで最大1201Mbps(理論値)、2.4GHzが2ストリームで最大573Mbps(理論値)。有線LANは、WANが最大1Gbps×1、LANが最大1Gbps ×4。カラーはホワイトとブラックの2色を用意する。価格はオープンで、市場想定価格は9,000円前後(税別)。発売は7月上旬予定。
バッファローがWi-Fiルーターを国内で初めて発売したのは2000年2月。「WLAR-L11-Lシリーズ」という縦型ボディのモデルで、当時はルーターの隣に置きやすい縦型ボディが珍しかったという。IEEE802.11bに準拠し、11Mbpsの無線LANに対応していた。その後、無線LANの規格の進化に合わせてさまざまなモデルを開発・出荷し今年で20年目となる。その累計出荷台数5280万台を突破した。
同社の取締役で事業本部コンシューママーケティング部部長の石丸正弥氏によると、Wi-Fiルーターの選び方が変化してきているという。
「昔はWi-Fiルーターに接続する端末はパソコンだけだったが、最近はスマホや家電がWi-Fiでつながるようになり、お客様は平均すると10台〜15台は使っている。また、新型コロナウイルスの影響で、テレワークや在宅学習が増え、ビデオ会議や動画教材など、負荷の高い用途が増えている。Wi-Fiは電気、水道、ガスに並ぶ第4のインフラと言ってもよいほど重要なもので、つながりやすく、安定的で、使いやすいWi-Fiルーターが求められている」と説明。
同社のコンシューママーケティング部BBSマーケティング課課長の下村洋平氏によると、新型コロナウイルスの影響で、Wi-Fiルーター市場は今年4月ごろから販売台数が伸びており、5月は昨年同月比139%の伸びを見せたという。Wi-Fi 5のストリーム別構成比を見ると、高性能な4×4のモデルが増えており、より高性能なモデルを買い求める人が増えているとのこと。
緊急事態宣言前後からWi-Fiルーターの販売台数は伸び、5月は昨年同月比で139%の伸びを記録
その背景にはテレワークや在宅学習により、家庭内のネットワーク利用が増えたことがあるという
Wi-Fi 6は高速で多台数通信に強い規格で、対応ルーターと対応デバイスがあれば、ネットが遅い、つながりにくいという、テレワークの悩みを解消できる可能性がある
同社は1年後にWi-Fi 6対応ルーターが販売台数の過半数を超えると予測している。スマホやパソコンなど対応デバイスが順調に増えており、テレワーク需要の追い風もあることから、Wi-Fi 6対応ルーターへの注目度はますます増えると見込まれる。
なお、Wi-Fi 6とともに、Wi-Fiのエリアを広げるのに有効なメッシュWi-Fiについては、今回の3モデルは対応していない。事業本部ネットワーク開発部部長の田村信弘氏は、「Wi-Fi 6ベースのメッシュWi-Fiも開発しており、パフォーマンスがしっかりと発揮できるタイミングでリリースしたい」と語った。
左から石丸正弥氏、田村信弘氏、下村洋平氏