アップルのデスクトップ「iMac」が2021年5月21日に発売される。久しぶりにフルリニューアルされた新型iMacは、超薄型のボディに自社設計のSoC「Apple M1チップ」を搭載することで、従来モデルから大幅にパワーアップしている。デスクトップとしては異例と言える、7色ものカラーバリエーションを取りそろえるのも特徴だ。今回は一足先に実機を試すことができたので、新型iMacのレビューをお届けしたい。
5月21日から予約購入者の手元に届く新型iMac。今回はピンクモデルを試用した
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新型iMacの特徴はいくつかあるが、まずはカラーへのこだわりがスゴイ。新型iMacのカラーバリエーションはブルー、グリーン、ピンク、シルバー、イエロー、オレンジ、パープルの7色。デスクトップとしては異例とも言えるカラバリの数だが、過去のiMacにもさまざまなカラーのモデルがあり、多色展開がiMacの特色だった。23年前の1998年に発売されたボンダイブルーのiMacは、当時、コンピューターといえばグレーという固定観念を打ち壊し、日本でも大ヒットした。その後もライムやストロベリーといったカラフルなモデルが発売された。2002年に発売された「iMac G4」以降は多色展開はなくなっていたが、今回の新型iMacは久しぶりの多色展開となる。
今回はピンクモデルを試したが、実物はピンクとレッドの2色で構成されている。ディスプレイ面の下部やスタンドがピンクで、ボディの背面と側面が鮮やかなレッドだ。シルバー以外のカラーも基本は濃淡のツートンカラーで、作業中に目に入る部分は2色のうちの淡いカラーになっている。これは画面のじゃまにならないようにするための配慮だろう。
ピンクモデルの背面は鮮やかなレッド。背面が見える場所に設置したくなるようなデザインだ
カラーバリエーションは左からグリーン、イエロー、オレンジ、ピンク、パープル、ブルー、シルバーの7色
カラーへのこだわりは周辺機器にも。「Magic Mouse」「Magic Trackpad」「Magic Keyboard」、それに各種ケーブルも同系色でまとめられている。さらに、箱のハンドルまでピンクというこだわりぶりだ。
Touch ID搭載のMagic Keyboard。キーが白で、ベース部分がピンク。右上の電源ボタンに指紋認証が搭載されており、ログインや各種認証に指紋が利用できる。なお、8コアCPU/7コアGPUモデルの場合、Touch ID搭載のMagic Keyboardはオプション
Magic Mouseは底面がiMacのスタンドと同じ淡いピンク
Magic Trackpadはサイドがピンク
箱の持ち手も本体カラーと同じピンク
箱から出すと、その薄さと軽さに驚かされた。本体部分の厚さは11.5mmとノートパソコン並みに薄い。重量は4.46kg〜4.48kg(モデルにより重量は異なる)と非常に軽くて、設置も簡単だった。スタンドに大きな24型のタブレットが載っているようなイメージだ。スタンドが小さく、設置スペースをとらないのもうれしい。スイーベル機能はないが、スタンドの底にゴムのような素材が貼ってあり、簡単に左右に動かせるのも便利。従来のiMacと同様、チルト機能も備わっている。
厚さ11.5mmの本体。スタンドの奥行きは147mm、高さは461mm。スタンドのフットプリント(設置面積)が小さく、狭いスペースに設置できる
電源も特徴的だ。「MagSafe」というアップルがよく使う磁石を使ったコネクターで、簡単に固定できる。いちいち裏面に回って、コネクターの位置を確認しなくても、電源を接続できるのがメリットだ。昔のMacBookのMagSageのように軽い力で外すことはできず、ケーブルを誤って引っ張ってもすぐに抜けることはない。また、電源ケーブルも布で覆われた柔軟なもので、取り回しがしやすいのもありがたい。
ACアダプターにはLANポートが付いており、本体に接続するのは電源ケーブル1本だけで済む。デスクトップであっても、ケーブルをたくさん接続するというのは、アップルのデザイン哲学が許さないのだ。なお、8コアCPU/7コアGPUモデルにはLANポート付きACアダプターは付属せず、オプションの扱いだ。
電源コネクターは磁石を使ったMagSafe。ケーブルはピンクの布で覆われており、ねじれたりからまったりすることがない
LANポート付きのACアダプター(8コアCPU/7コアGPUモデルではオプション)
ディスプレイは24型(対角は23.5型)。従来のiMacは21.5型と27型の2つのサイズだったが、その間の大きさだ。大きすぎず、小さすぎないサイズなので、リビングに置いて家族みんなで使うのにも、書斎にて1人で使うのにもちょうどいいサイズと言える。
解像度は4480×2520の4.5K。初期設定の解像度は5段階ある上から2番目の高さに設定されていた。一番上に設定すると、文字は小さくなるが、読めないサイズではない。個人的には、仕事で使うなら、表示は「スーペースを拡大」の一番上に設定するだろう。
そのほかにも、最大輝度は500nit、P3の広色域をサポート。「iPhone」や「iPad」でおなじみの、外光に合わせて画面の色味を調整する「True Tone」も搭載している。表示品質はデスクトップとしては最高クラスと言っていいだろう。
24型の4.5K Retinaディスプレイ。「マップ」アプリを表示してみたが、小さな文字もクリアで読みやすく、細い道も潰れずに表示されていた。一覧性のよさは、ノートパソコンにはないiMacの魅力だ。ディスプレイの前面は1枚のガラスで覆われている
デフォルトの解像度は5段階中上から2番目
大画面を生かして、複数のFinderやアプリを開いて作業したい人は、5段階中上から1番上に設定するといいだろう。見る距離や作業内容にもよるだろうが、これでも文字は読みやすくて、作業しやすかった
SoCは爆速ぶりが話題のApple M1チップで、インテルのCPUを搭載する21.5インチiMacと比べてCPU性能は最大85%、グラフィック性能は最大2倍高速になっているという。スペック的にはMac miniのApple M1チップと同じだ。
ラインアップは8コアCPU/7コアGPUと8コアCPU/8コアGPUの2モデル。ストレージは8コアCPU/7コアGPUモデルが256GB SSDで、オプションで512GB/1TBの構成が選べる。8コアCPU/8コアGPUモデルは256GB SSDか512GB SSDの2タイプがあり、オプションで512GB/1TB/2TBの構成が選択可能。1台のiMacを家族で共有する場合は、大容量のSSDを選びたいとところだ。
2モデルは性能以外に外部インターフェイスが違う。8コアCPU/8コアGPUモデルはThunderbolt 4/USB 4ポート×2とUSB 3.1 Gen 2ポート×2なのに対して、8コアCPU/7コアGPUモデルはThunderbolt 4/USB 4ポート×2。USB-Cハブで拡張することはできるが、さすがに2ポートでは少ない。拡張性を重視するなら8コアCPU/8コアGPUモデルか、USB Type-Aも備えるMac miniを選ぶといいだろう。
ユニファイドメモリーは標準で8GB。ほかのApple M1チップ搭載モデルと同様、オプションで16GBが選べる。今回試したモデルは8コアCPU/8コアGPU、ストレージが512GB、ユニファイドメモリーが16GBの高性能なモデルだ。
定番ベンチマーク「Geekbench 5」の結果は、シングルコア1749、マルチコア7628。以前測定したMac miniの結果(シングルコア1730、マルチコア7656)よりもわずかに高いスコアを記録した。新型iMacには2つのファンが内蔵されているが、Geekbench 5くらいでは無音でファンが回っているかどうかは確認できなかった。なんとかファンが回らないかと、「Apple Arcade」でゲームをダウンロードして長時間プレイしてみたが、うんともすんとも言わなかった。
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Geekbench 5のCPUの結果
Geekbench 5のComputer(Metal)の結果は21686。Mac miniの結果は22250で、わずかにiMacのほうが下回った
Apple M1チップを搭載することで、Magic KeyboardへのTouch ID搭載を実現している。Apple M1チップ搭載のMac miniでも利用可能。なお、インテルMacではキーボードとしては使えるが、Touch IDは利用できない
外部インターフェイスは8コアCPU/8コアGPUモデルと8コアCPU/7コアGPUモデルで違う。写真は8コアCPU/8コアGPUモデルで、Thunderbolt 4/USB 4ポート×2とUSB 3.1 Gen 2ポート×2。8コアCPU/7コアGPUモデルはThunderbolt 4/USB 4ポート×2
左側面に3.5mmヘッドホン端子を搭載
Apple M1チップの登場から約半年。Apple M1チップ上でネイティブに動作するアプリが順調に増えている。マイクロソフトの「Office」や「Edge」、アドビの「Photoshop」や「Lightroom」、Googleの「Chrome」、そのほかにも「FireFox」「Kaspersky」「ZOOM」「DaVinci Resolve」「Slack」など多くのアプリがネイティブに動作するようになっている。
もちろん、全部のアプリがネイティブに動作するわけではないが、インテルMac用に開発されたアプリをApple M1チップを搭載したMacで動作させる「Rosseta 2」が優秀なので、動かなくて困るということはほぼないだろう。
このご時世、ビデオ電話やオンライン会議なども多い。そんなときにも新型iMacはピッタリだ。1080pの「FaceTimeカメラ」は、解像度が2倍にアップ。Apple M1チップの画像信号プロセッサ(ISP)により、明るいところはもちろん、暗いところでも自分の顔をきれいに映し出してくれる。
1080pのFaceTimeカメラ
3マイクアレイで音声もクリアに拾ってくれる。ヘッドセットを使わなくても、自分の声をクリアに相手に届けてくれるので、ヘッドセットが苦手な人にはうれしいはず。ハウリングを抑える設計がされているので、複数人が話すシーンも問題なし。試しに「GarageBand」で声を録音してみたが、かなりクリアに収録できていた。
本体の下部に6つのスピーカーが搭載されており、ノートパソコンと比べると圧倒的にいい音だし、大きな音が鳴る。「ドルビーアトモス」に対応しているので、対応コンテンツなら空間オーディオで映画などを楽しめる。高画質な4.5K Retinaディスプレイと組み合わせれば、小さな映画館のできあがりだ。「Apple Music」や「Apple TV+」でエンタメを楽しむのには、iMacはベストなMacと言えるかもしれない。
スピーカーの穴は下向きに搭載されているが、画面の正面がベストポジションになるように音が聞こえる。画面の反対側にいても音は聞こえるが、前から聞いた場合よりも人の声が聞き取りにくかった
新型iMacの価格.com最安価格は、8コアCPU/7コアGPUモデルが154,799円、8コアCPU/8コアGPU+256GB SSDモデルが177,799円、8コアCPU/8コアGPU+512GBモデルが199,799円。
8コアCPU/7コアGPUモデルと8コアCPU/8コアGPU+256GB SSDモデルの価格差はGPUのコア数だけでなく、Magic KeyboardがTouch ID搭載かどうかとACアダプターにLANポートがあるかないかの差もある。
昨年から新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が増えているという人も多いだろう。そんな人が新しいコンピューターを選ぶとき、これまでは持ち運べるノートタイプが有力候補だったかもしれないが、家にいる時間が増えれば、持ち歩けないデスクトップも選択肢に入ってくる。そんなときに新型iMacはピッタリのモデルだ。
リビングに設置して家族用に使ってもいいし、書斎に置いて個人用に使ってもいい。7色ものカラーバリエーションがあるので、どんなインテリアや部屋にもマッチするカラーが選べるだろう。Apple Arcadeでゲームを楽しむもよし、アドビのアプリを使ってクリエイティブな作業をしてもよし。Officeを使って仕事や勉強にも使える。24型の4.5K Retinaディスプレイと6スピーカーシステムは、音楽や映画を楽しむのにも向いている。新型iMacは持ち運べないだけで、多くのことを快適にこなせる万能マシンと言える。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!
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