レビュー
ミドル機では珍しい240Hz駆動ディスプレイと5Gミリ波に対応

約146gの軽さで機能性も十分! シャープ「AQUOS zero6」レビュー

2021年10月上旬に発売された、シャープのミドルレンジスマートフォン「AQUOS zero6」。約146gの軽量ボディに、5Gのミリ波対応、残像低減機能付き240Hz駆動ディスプレイ搭載というハイエンド機並みの性能を詰め込んだ意欲作だ。価格.comのユーザーレビューもじわじわと評価を上げている本機をレビューした。

軽いのに多機能。残像低減機能付き240Hz駆動ディスプレイを採用

2021年のシャープのスマートフォンのラインアップは、ハイエンド向け「AQUOS R」シリーズを筆頭に、エントリー向けの「AQUOS sense」シリーズ、そしてミドルレンジ向けの「AQUOS zero」シリーズという3シリーズからなる。なお、ここで紹介する「AQUOS zero6」は、6という数字が付けられているが、初代「AQUOS zero」から数えて4世代目の製品にあたる。2021年10月下旬の時点で、au、ソフトバンク、楽天モバイルの各キャリアから発売されており、家電量販店やMVNO用のオープンマーケット向けモデルは登場していない。

本機は、約73(幅)×158(高さ)×7.9(厚さ)mm、重量約146gのボディに、2,340×1,080のフルHD+表示に対応する約6.4インチの指紋認証センサー付き有機ELディスプレイを搭載する。なかでも注目なのは、やはり約146gという軽さだ。近ごろのハイエンドスマートフォンの感覚で本機を手にすると、圧倒的な軽さに驚く。しかも、この軽さで5Gのミリ波に対応するほか、4,010mAhのバッテリーを搭載。このほか、ヘッドホン端子、microSDXCメモリーカードスロット、FeliCa・NFCポート、ステレオスピーカーを搭載するなど、かなり多機能だ。そのうえ、IPX5/8等級の防水仕様(浴室にも対応)と、IP6X等級の防塵仕様もクリアしている。

SIMカードを1枚挿した状態で、手元のデジタルスケールで計測した重量は、カタログスペック通りの146gだった。

SIMカードを1枚挿した状態で、手元のデジタルスケールで計測した重量は、カタログスペック通りの146gだった。

樹脂製の背面は比較的シンプルなデザインだ

樹脂製の背面は比較的シンプルなデザインだ

ボディ上面にヘッドホン端子を配置

ボディ上面にヘッドホン端子を配置

ボディ下面にUSB Type-Cポートとスピーカーホールが配置される

ボディ下面にUSB Type-Cポートとスピーカーホールが配置される

操作ボタンは右側面にまとめられている。写真左下から、電源、Googleアシスタントの呼び出し、ボリューム調整という配置。なお、電源ボタンは長押しでGoogle Payを、2度押しでカメラをそれぞれ起動できる

操作ボタンは右側面にまとめられている。写真左下から、電源、Googleアシスタントの呼び出し、ボリューム調整という配置。なお、電源ボタンは長押しでGoogle Payを、2度押しでカメラをそれぞれ起動できる

本機は有機ELディスプレイを採用するが、「AQUOS sense6」で使われているシャープ製のIGZO OLEDではない。ただし、1コマごとに黒が差し込まれる残像低減機能付き240Hz駆動と、240Hzのタッチサンプリングレートに対応する「ハイレスポンスモード」を備えており、画面スクロールのなめらかさと指に吸い付くような操作性が味わえる。

約6.4インチの有機ELディスプレイを搭載。画面上部に、フロントカメラを収めるノッチがある。なお、通知用のLEDインジケーターは搭載されていない

約6.4インチの有機ELディスプレイを搭載。画面上部に、フロントカメラを収めるノッチがある。なお、通知用のLEDインジケーターは搭載されていない

ハイレスポンスモードを適用するアプリは、ユーザーが手動で選択する仕様。なお、ゲームアプリについては自動で本モードが適用される

ハイレスポンスモードを適用するアプリは、ユーザーが手動で選択する仕様。なお、ゲームアプリについては自動で本モードが適用される

価格.comに寄せられる本機のユーザーレビューの中には、ボディに高級感が足りないという意見も目にする。確かに、樹脂製の側面ボタンは押し心地が今ひとつで、側面のフレームに施されたメッキもギラギラしており高級感には乏しい。質感が気になるなら、カバーを装着すればよいが、それではせっかくの軽さが台なしになってしまう。また、ディスプレイは、Webコンテンツや電子書籍で背景が白い場合、くすんで見える印象で、直射日光が当たった場合、マゼンタの色かぶりが起こるのも気になった

直射日光が当たると、画面にマゼンタの色かぶりが現われる。日差しをさえぎった部分は色かぶりが起こらない

直射日光が当たると、画面にマゼンタの色かぶりが現われる。日差しをさえぎった部分は色かぶりが起こらない

基本スペックだが、搭載されるSoCは、2020年9月に発表されたミドルハイ向け「Snapdragon 750G 5G」で、8GBのメモリーと、128GBのストレージ、最大1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 11で、発売から2年間のOSバージョンアップが行われる予定となっている。

本機の処理性能を、定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って計測したところ、総合スコアは385,699(内訳、CPU:118,975、GPU:94,257、MEM:75,314、UX:97,153)だった。このスコアは最新のハイエンドモデルである「Snapdragon 888」搭載機のほぼ半分だが、本機と競合しそうな「Snapdragon 765G」を搭載する人気モデル「Pixel 5a(5G)」の総合スコア、約34万よりも1割ほど高い。

AnTuTuベンチマークの計測結果。グラフィック性能を示す「GPU」のスコアが10万以下とやや伸び悩んだが、今秋発売のミドルハイ機としては十分なレベルと言える

AnTuTuベンチマークの計測結果。グラフィック性能を示す「GPU」のスコアが10万以下とやや伸び悩んだが、今秋発売のミドルハイ機としては十分なレベルと言える

体感速度だが、メモリー容量が大きいため、アプリの切り替えはなかなかスムーズだ。また、上述のディスプレイの機能「ハイレスポンスモード」も体感速度の向上には有効で、TwitterやWebブラウザーではスクロールがなめらかになり、ゲームにおける操作性も向上する。ゲーム目的としてみると、ヘッドホン端子やステレオスピーカーが搭載されている点は心強い。また、ゲーム最適化機能「ゲーミングメニュー」も搭載している。

ゲーム最適化機能「ゲーミングメニュー」は、攻略情報の検索、ゲームを妨げる動作や通知の制限、誤作動を防ぐためのタッチエリアの制限、画質と処理性能の最適化、録画などが主な機能だ

ゲーム最適化機能「ゲーミングメニュー」は、攻略情報の検索、ゲームを妨げる動作や通知の制限、誤作動を防ぐためのタッチエリアの制限、画質と処理性能の最適化、録画などが主な機能だ

ToFセンサー搭載で速くなったAF。標準カメラは画質も向上

ボディの軽さとともに、本機で注目なのがカメラ機能だ。シャープは、ドイツの老舗光学メーカー「Leica(ライカ)」と協業関係にある。本機のカメラは、Leicaの監修は受けていないものの、協業の結果、画像処理エンジンが「ProPix3」にバージョンアップし、AQUOSシリーズ全体のカメラ機能がレベルアップしたという。

本機のメインカメラは、約4,800万画素の標準カメラ(焦点距離26mm)、約800万画素の広角カメラ(焦点距離15mm)、約800万画素の望遠カメラ(焦点距離53mm)のトリプルカメラとなる。なお、ToFセンサーを使ったレーザーオートフォーカスにも対応している。

以下に、メインカメラを使って撮影した作例を掲載する。初期設定のまま、カメラ任せのAIオートモードで撮影を行ったものだ。

標準カメラで撮影

逆光の風景を撮影。フレアは見られずコントラストが保たれている。ハイライトとなる雲の表現も良好だ。また青空の階調、荒れやすい周辺部分の表現も悪くない

逆光の風景を撮影。フレアは見られずコントラストが保たれている。ハイライトとなる雲の表現も良好だ。また青空の階調、荒れやすい周辺部分の表現も悪くない

広角カメラで撮影

同じシーンを広角カメラで撮影。標準カメラと比べた色調の変化も少ない。ただし、周辺部分には、ハイエンド機のカメラでは見られない粗さが見られる

同じシーンを広角カメラで撮影。標準カメラと比べた色調の変化も少ない。ただし、周辺部分には、ハイエンド機のカメラでは見られない粗さが見られる

同じシーンを望遠カメラに切り替えて撮影。こちらも少々粗さが感じられるが、構図の変化は十分に楽しめる

同じシーンを望遠カメラに切り替えて撮影。こちらも少々粗さが感じられるが、構図の変化は十分に楽しめる

標準カメラで撮影

風に揺れるススキを撮影。ToFセンサーを搭載するため、動く被写体でもピント合わせがラクだ

風に揺れるススキを撮影。ToFセンサーを搭載するため、動く被写体でもピント合わせがラクだ

標準カメラで撮影

明るめな夜景を撮影。構図右の建物部分のハイライト部分、および、夜空にかすかに見えるマンションのアンテナなどでは、しっかりディテールが残っている

明るめな夜景を撮影。構図右の建物部分のハイライト部分、および、夜空にかすかに見えるマンションのアンテナなどでは、しっかりディテールが残っている

広角カメラで撮影

上と同じシーンを広角カメラで撮影。性能の限界に近いようで、鮮やかさや解像感は今ひとつ

上と同じシーンを広角カメラで撮影。性能の限界に近いようで、鮮やかさや解像感は今ひとつ

標準カメラで撮影

夜の美術館。ISO感度は12,000以上。全体的に暗く、コントラストの低いシーンのため、低価格機ではピントさえ合わない被写体だが、ToFセンサーのおかげでピントはしっかり合っている

夜の美術館。ISO感度は12,000以上。全体的に暗く、コントラストの低いシーンのため、低価格機ではピントさえ合わない被写体だが、ToFセンサーのおかげでピントはしっかり合っている

本機のカメラは、ToFセンサーを採用したことで、暗いシーンや細かく動く被写体でもピタッとピントが合うようになったのは大きな進化点だ。画質だが、標準カメラは、逆光耐性も良好で、暗いシーンでも肉眼の印象に近い写真が撮れるので、同価格帯のライバル機と比較しても見劣りはしない。なお、広角カメラと望遠カメラは、暗いシーンで極端にISO感度が高くなり、ノイズが出やすくなる、AQUOSシリーズのカメラの欠点を引きずっている面が見られた。

ソフトバンク版と楽天モバイル版は5Gミリ波対応

本機は5Gに対応しており、一般的に使われるSub 6に加えて、より高速な通信が可能なミリ波にも対応している(au版は非対応)。いずれのモデルでも、nanoSIMとeSIMに対応するデュアルSIM仕様で、DSDVにも対応する。なお、各キャリアモデルの対応周波数帯を以下の表にまとめた。

こうして見ると、au版が5Gのn3とミリ波のn257に対応していない点と、国内で使われていない4GのB2に対応していない点を除けば、3モデルで違いはない。また、いずれもはじめからSIMフリー設定になっているうえ、端末単体での購入も可能なので、どのモデルでも自由に購入して、好きなSIMカードを組み合わせることができる。

各キャリアにおける価格は以下の通り。なお、楽天モバイルは端末購入補助プログラムを用意していないが、初回の回線契約とセットなら20,000ポイントの楽天スーパーポイントが還元されるという特典がある。

本機を楽天モバイルのミリ波エリアで使ってみた。筆者が過去に試してみた経験上では、楽天モバイルのSub 6基地局のアンテナ直下での通信で下り速度は700Mbps前後がピークだったが、ミリ波エリアでは900Mbps手前まで伸びた。ただし、ミリ波は障害物に弱いので、ボディの一部を手でおおったり、アンテナに背を向けると、通信速度が一瞬でがたっと低下する。ミリ波対応は確かに魅力だが、現状では、利用方法がかなり限定されることは頭に入れておいたほうがいいだろう。

楽天モバイルのミリ波基地局の真下で5Gの通信速度を計測。下りは883Mbps、上りは90.3Mbpsが検証中の最高速度だった

楽天モバイルのミリ波基地局の真下で5Gの通信速度を計測。下りは883Mbps、上りは90.3Mbpsが検証中の最高速度だった

バッテリー持ちは良好。充電器なしでも2泊3日の旅行は可能

本機は4,010mAhのバッテリーを内蔵する。検証に使ったau版「SHG04」は、カタログスペックで連続通話時間約2,200分、連続待ち受け時間約680時間となっている。これは、エントリーモデルである「AQUOS sense5G SHG-03」の連続通話時間約2,890分、連続待ち受け時間約920時間よりも劣る。なお、バッテリーはUSB PD規格の急速充電に対応しており、auの共通ACアダプター「Type-C 共通 ACアダプタ02」を使った場合、約130分でフル充電が行える。

実際の電池持ちだが、ゲームや撮影などで、3日の間、1日に4時間ほど利用した場合でも、3日(72時間)以上は充電なしで動作した。1日平均で20分程度使うような待ち受け主体では、1週間近い電池持ちも狙える。2泊3日程度の旅行で、旅先でのナビゲーション、調べ物、動画や静止画の撮影などで活用しても、充電器なしで乗り切ることは十分可能に思われる。

1日20分程度という待ち受け主体の利用ペースで、フル充電から6日経過した時点でバッテリーはまだ35%も残っていた。このペースなら9日間のバッテリー持ちも可能だ

1日20分程度という待ち受け主体の利用ペースで、フル充電から6日経過した時点でバッテリーはまだ35%も残っていた。このペースなら9日間のバッテリー持ちも可能だ

多機能性と軽さを両立した唯一無二の存在

「AQUOS zero6」のような中価格帯の製品は、性能的にも中途半端な印象になりやすい。しかし、本機には「軽さ」というほかの製品にはない強みがあり、ゲームや動画視聴などで長時間持ち続けても疲れが少ない。また、残像低減機能付き240Hz駆動および240Hzのタッチサンプリングレートに対応したディスプレイも、操作性や体感速度の面でアドバンテージとなるだろう。

本機の直接のライバルとなる製品は思い浮かばないが、強いて言えば、重量約159gのシャオミ「Mi 11 Lite 5G」が近い存在だ。ただし、こちらは、ヘッドホン端子非搭載のうえ、防水・防塵には非対応、リフレッシュレートが90Hzにとどまっているなど、機能面では見劣りする部分がある。本機と同じSoCを搭載するサムスン「Galaxy A52 5G」は処理性能の面では近いが、重量が188gもあるので比較対象にはなりにくそうだ。そういう意味で、多機能性と軽さを両立した本機は、現状では唯一無二のAndroidスマートフォンと言えるだろう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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