レビュー

ガーミンの鉄板モデルが有機ELに! 「Forerunner 265」はランナーに間違いない

ランニングやトレイルラン、バイク、トライアスロンなど、スポーツを楽しむ人を幅広くサポートするガーミンから、GPSウォッチ「Forerunner 265」(フォアランナー265)が2023年3月2日に発売されました。

AMOLED(有機EL)ディスプレイとタッチ操作の採用により、GPSウォッチながらもスマートウォッチらしい使い勝手を実現しており、これまで“スポーツに対してガチすぎる”として敬遠していたユーザーにも十分アピールできるモデルです。

有機ELディスプレイは、カラー表示が鮮やかで細かい数値の視認性も高い

有機ELディスプレイは、カラー表示が鮮やかで細かい数値の視認性も高い

「Forerunner」は、ガーミンのランナー向けGPSウォッチ「ForeAthlete」(フォアアスリート)として展開されていましたが、2022年6月にモデル名が変更され、ランナー向けの新たなシリーズとしてラインアップも一新されました。

それから1年も経過しないうちに、有機ELディスプレイとタッチ操作が追加された「Forerunner 265」が登場。2022年6月に発売された「Forerunner 255」を購入した人から「買ったばかりなのに」という声が聞こえてきそうですが、ガーミンファンとしてはアップグレードされた新モデルが早いタイミングで投入されるのはうれしい限りです。

さて、「Forerunner 255」から大きくアップデートされた部分を改めてまとめると、以下の3点になります。
1.有機ELディスプレイの採用
2.タッチ操作への対応
3.トレーニングレディネスの追加

本レビューでは、この3つを中心に紹介していきます。

有機ELディスプレイで細かい数値の視認性やグラフの表現力がアップ!

まず大きな進化ポイントは、「Forerunner」シリーズ(ForeAthlete含め)として初めて有機ELディスプレイを備える点です。従来のメモリーインピクセル(MIP)液晶に比べて、鮮やかな色合いで数値やグラフなどを表示できるようになりました。

「Forerunner 255」(左)と最新モデル「Forerunner 265」。明るく色鮮やかな「Forerunner 265」は画面の視認性が段違いですね

「Forerunner 255」(左)と最新モデル「Forerunner 265」。明るく色鮮やかな「Forerunner 265」は画面の視認性が段違いですね

明るい屋外でも、「Forerunner 265」は画面の情報が見やすいです

明るい屋外でも、「Forerunner 265」は画面の情報が見やすいです

従来のMIP液晶は、周辺の光を利用して画像を表示する仕組みを採用しており、屋外でも見やすく、かつ、消費電力が抑えられることから多くのスポーツ系スマートウォッチに使用されています。

趣味でランニングなどを行っているため、ガーミンの製品をよく使用するのですが、日中のスポーツシーンにおいて数値が見にくいと思ったことはなく、正直なところ鮮やかな有機ELディスプレイにこだわらなくても、と思っていました。

しかし、実際に「Forerunner 265」とMIP液晶の「Forerunner 255」を見比べてしてしまうと、有機ELディスプレイの導入は正しいと感じてしまう表示の美しさです。画像で見てもわかるように、表示の見やすさについては「Forerunner 265」が上回りますが、MIP液晶のもうひとつのメリット「消費電力」についての違いはどうなっているのでしょうか。有機ELディスプレイのほうが、MIP液晶よりも消費電力は高くなるんですよね。

スペックシートに書かれている両機種の駆動時間(公称値)は以下のとおりです。

・「Forerunner 255」
スマートウォッチモード:約14日間、GPSモード:約30時間
・「Forerunner 265」
スマートウォッチモード:約13日間、GPSモード:約20時間

ご覧のとおり、「Forerunner 265」はGPSモードで10時間ほど駆動時間が短くなっていますが、フルマラソンの制限時間は6時間くらいですし、そこまで問題はないように思えます。トライアスロンの長距離種目「アイアンマン」の制限時間でも17時間なので、かなり過酷な競技にも余裕を持って対応できます。

心拍数の24時間計測をオンにして、約1時間のランニング(GPSモード)を行って、24時間後にバッテリー残量を確認したところ約94%残っていました。有機ELディスプレイにしたことで、バッテリーの消費量が上がったはずですが、実用面ではさほど気にする必要はないと思います。

スマートウォッチは、基本的に運動時や就寝中にも着用するので、重量や取り回しのしやすさは気にしたいポイントです。「Forerunner 265」は、パッと見た感じではあまり変わっていませんが、「Forerunner 255」から直径が1mmほど大きくなっています。

それにも関わらず重量は2g軽量化。加えて、スポーツモードの起動や、ストップウォッチのスタート/ストップに使われる物理ボタンが、楕円上に大型化されています。日々使っていないとありがたさに気がつかないところですが、ユーザーのことを考えていると感じるアップデートです。

物理ボタンが大型化したことで押しやすくなっています

物理ボタンが大型化したことで押しやすくなっています

タッチパネル採用で操作感がスマートフォンライクに

スマートウォッチでは当たり前のことかもしれませんが、「Forerunner 265」は、シリーズで初めてタッチ操作に対応しました。これには「ついにきた!」というユーザーもいらっしゃるのではないでしょうか。タッチ操作対応のデメリットとして、運動中に水滴が画面に付着して誤作動を起こすことがあげられます。

しかし、そこはランニングウォッチを長年開発してきたガーミンだけあり、スポーツモードの起動時はタッチ操作をオフにすることが可能。雨が降っているときは物理ボタンのみで画面操作を行うことができ、タッチ操作のデメリットが解消されています。

タッチ操作は滑らかで、レスポンスも上々です

タッチ操作は滑らかで、レスポンスも上々です

コンディションから“おすすめ”のトレーニングを提示する「トレーニングレディネス」

3つ目の大きなアップデートは「トレーニングレディネス」です。これは上位モデルに当たる「Forerunner 955」「Forerunner 965」に搭載されている機能ですが、「Forerunner 265」でも使えるようになりました。

「レディネス(Readiness)」とは、物事を行うために必要な準備を表す言葉ですが、「トレーニングレディネス」では運動を行う準備がどの程度整っているかを0〜100のスコアで表してくれます。数値が高いほうが、よりトレーニングに対して心身の準備が整っていることを意味しています。

身体の状態を0〜100のスコアで表示

身体の状態を0〜100のスコアで表示

この指標のベースとなっているのが、日頃の睡眠やトレーニングの負荷、ストレスなどです。近ごろ運動していなくて身体が休まっているから数値が高くなる、という単純なものではなく、直前の睡眠時間やストレスの状態などが悪ければ、どんなに休息が十分でも数値が低くなっていきます。

数値が低い場合は、のんびり走ることをオススメされますし、逆に高い場合は、ガンガン速度を上げて走る強度が高いトレーニングをオススメされるという感じです。長期間装着して運動や睡眠などのデータを蓄積していくと、「トレーニングレディネス」のスコアはより精度が高まると言います。

見えない身体の状態をうかがい知れる「トレーニングレディネス」は、定期的に運動する人にとってありがたい機能となるでしょう

見えない身体の状態をうかがい知れる「トレーニングレディネス」は、定期的に運動する人にとってありがたい機能となるでしょう

あと、こちらは新機能ではないのですが、使っていて便利だった機能として「モーニングリポート」を紹介します。これは、起床時に「おはよう!」のメッセージとともに、睡眠の質、トレーニングレディネス、ボディバッテリーなど、トレーニングや健康管理のデータをひとまとめにして表示してくれる機能です。

毎朝起きると自動的に睡眠の質などを表示してくれる「モーニングリポート」

毎朝起きると自動的に睡眠の質などを表示してくれる「モーニングリポート」

レポートの内容は、ユーザー自身で設定することが可能。「どれだけ自分にエネルギーが蓄積されているか」を表示する「ボディバッテリー」をモーニングレポートに入れておくと、睡眠中にどれだけ回復したか(充電されたか)も0〜100の数値で教えてくれます。起床時に一発で身体の状態がわかるのはとてもイイですね。

自分の身体をバッテリーに見立てて数値化するボディバッテリーも表示可能

自分の身体をバッテリーに見立てて数値化するボディバッテリーも表示可能

先に紹介した「トレーニングレディネス」もモーニングリポートに加えられます。その日にどんなトレーニングを行えばいいか、ベッドにいながら確認可能です

先に紹介した「トレーニングレディネス」もモーニングリポートに加えられます。その日にどんなトレーニングを行えばいいか、ベッドにいながら確認可能です

ランニング時は有機ELディスプレイのメリットをさらに強く感じられる

GPSの精度や有機ELディスプレイの使い勝手を調べるべく、実際にランニングで「Forerunner 265」を使ってみました。

「Forerunner 265」はランニング以外にも50種類以上のスポーツに対応

「Forerunner 265」はランニング以外にも50種類以上のスポーツに対応

ガーミンのGPSウォッチと言えば、GPSの正確さがよく知られていますが、位置情報の正確さはもちろん、GPSの起動も高速です。「Forerunner 265」はGNSSマルチバンドを採用しているため、走った距離の計測はもちろん、ペースの上げ下げに対しての反応の早さなども良好。期待どおりの使い勝手の高さです。

位置情報の精度が非常に高く、ランニングでどこを走行したかが細かくわかります

位置情報の精度が非常に高く、ランニングでどこを走行したかが細かくわかります

使っていて感じたのが、やはり有機ELディスプレイの見やすさです。ランニングをする前から「数値が見やすい」と思っていましたが、実際に走ってみると非常にイイです! 運動中は、MIP液晶と比べてさらに視認性が高くなったことを実感しました。ガーミンの担当者によると、テスト時には「老眼でも見やすかった」とのコメントがあったそうです。画面をチラッと見るだけですぐに数値が確認できるので、ランニングに集中しやすいですね。

鮮やか、かつ、クッキリとした表示は、走りながらでも数値が確認しやすいです

鮮やか、かつ、クッキリとした表示は、走りながらでも数値が確認しやすいです

これまでは、ランニングが終わった後は、スマホで各種の数値を確認していましたが、視認性が向上した「Forerunner 265」では本体だけの確認でも満足できるようになりました。グラフもしっかりと色分けで表示されるのがわかりやすいんですよ。

グラフを表示したところ。思ったより見やすくないですか?

グラフを表示したところ。思ったより見やすくないですか?

まとめ

ガーミンの「Forerunner」シリーズは、ランニング向けGPSウォッチとしての歴史、完成度の高さから、ランナーや運動を常日頃から行う人向けに特化した孤高の存在という印象でした。そこにスマートウォッチらしい高い視認性が加わったことで、ランニング向けGPSウォッチとしてさらにスバ抜けた存在になったような気がします。

ウォッチフェイスは多数用意されています。硬派なガーミンには珍しい、遊びのあるウォッチフェイスもありますよ

ウォッチフェイスは多数用意されています。硬派なガーミンには珍しい、遊びのあるウォッチフェイスもありますよ

ガーミンのGPSウォッチにはさまざまなモデルがありますが、スマートウォッチらしい高い操作性と視認性を備えつつも、ガチなスポーツ愛好家も満足させられる機能を搭載している「Forerunner 265」はスポーツシーンで使うに“間違いない”モデルだと思います。

今 雄飛

今 雄飛

ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。

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