シャープは2023年10月3日、ミドルレンジスマートフォン「AQUOS sense8」を今秋に発売すると発表した。マイナーチェンジが目立つ近ごろのミドルレンジスマホにあって、新型SoCの搭載で3割の性能アップや光学式手ぶれ補正機構(OIS)付きカメラ、90Hz駆動ディスプレイ搭載など、多方面で強化が図られたモデルに仕上がっている。
見た目はさほど変わらないものの、中身は全面的に見直され、さらに強力な製品に生まれ変わっている
「AQUOS sense8」の第一印象は、前モデル「AQUOS sense7」と大きく変わらない。アルミ製のユニボディやOLED IGZOディスプレイは6.1インチのまま。背面のデザインも両機を並べればやっと違いが判別できるというほどである。
サイズは約71(幅)×153(高さ)×8.4(厚さ)mmで、前モデルと比べて高さと横幅はそれぞれ1mm、厚さは0.4mm大きくなり、重量は1gだけ重い約159gに。配置するボタンは指紋センサーと電源ボタンがひとつにまとめられている。
タフネス性能は米国国防総省の調達基準MIL-STD-810Hの16項目に対応し、IPX5/8等級の防水性能と、IP6X等級の防塵性能もクリア。おサイフケータイにももちろん対応している。
背面のデザインは「AQUOS sense7」とよく似ている。カラーバリエーションは左から、ペールグリーン、コバルトブラック、ライトカッパーの3色
指紋認証センサーと電源ボタンがひとつにまとめられた
ボディ下面にスピーカーホールとUSB Type-Cポート、ヘッドホン端子を配置する
ディスプレイのサイズは上述のように6.1インチで、解像度も2432×1080のフルHD+表示で変更はないが、リフレッシュレートが従来の1〜60Hzから、1〜90Hzの可変駆動に変更された。しかも、1コマごとに黒い画面を差し込む残像低減機能も搭載されており、最大で180Hzの駆動に対応している。また、HDR表示機能が復活ほか、ブルーライト軽減機能は画質への影響が大幅に軽減されたものに変更されている。
ディスプレイのサイズ・解像度は前モデルと変わらない
リフレッシュレートが1〜90Hzの可変式に。さらに、1コマごとに黒い画面を挿入する残像低減技術も採用しており、この場合のリフレッシュレートは180Hzとなる
HDR対応が復活。標準動画をHDR相当に表示するバーチャルHDRも搭載されている
搭載されるSoCは、2022年秋に登場したミドルレンジ向け「Snapdragon 6 Gen1」にアップグレードされた。このSoCは、「AQUOS sense7」に搭載されていた「Snapdragon 695」と比較すると、CPUの性能が36%、3Dの描画を行うGPUの性能が33%向上している。
メモリーは6GBでストレージは128GB。これに最大1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードを組み合わせる。プリインストールされるOSはAndroid 13で、OSバージョンアップは従来より1回多い最大3回に変更された。セキュリティアップデートは従来より2年長い最長5年が予定されている。
このように、基本性能をしっかり高めつつ、近年の「スマホを長く使う」ニーズに合わせた強化を行っている点は注目に値するだろう。
「Snapdragon 6 Gen1」を搭載することで、「AQUOS sense7」と比べてCPUは36%、GPUは33%の性能向上を果たしている
OSのバージョンアップは最大3回、セキュリティアップデートは発売後最大5年を予定している
メインカメラは、約5030万画素の1/1.55インチイメージセンサーに焦点距離23mm(35mm判換算)のレンズを組み合わせた標準カメラと、約800万画素のイメージセンサーに焦点距離15mm(35mm判換算)のレンズを組み合わせた広角カメラとのデュアルカメラだ。
前モデル「AQUOS sense7」は、標準カメラにミドルレンジとしては大型のイメージセンサーを搭載したことで注目を集めたが、「AQUOS sense8」はそのイメージセンサーを受け継ぎつつ、光学式手ぶれ補正機構を搭載したことで、片手持ちの撮影でも手ぶれを抑えた静止画撮影が行えるようになった。
また、「Snapdragon 6 Gen1」に搭載される画像信号プロセッサーである“ISP”の性能向上により、画質処理エンジン「ProPix5」は非圧縮のRAWデータを複数枚撮影して合成するHDR撮影に対応。これによって明暗差のあるシーンでの白飛びや黒つぶれが低減されている。
メインカメラは全画素PDAF対応の1/1.55インチセンサーに焦点距離23mmの光学式手ぶれ補正機構を組み合わせた標準カメラと、焦点距離15mmの広角カメラの組み合わせ
光学式手ぶれ補正機構の搭載で片手持ちでも手ぶれが抑えられるようになった。また、カメラアプリも片手操作が行いやすいように画面デザインが改良されている
「AQUOS sense」シリーズの大きな魅力であるバッテリー持ちを見てみよう。搭載されるバッテリーの容量は前モデルより430mAh多い5000mAh。動画やゲーム、音楽などを1日10時間(内訳、動画4時間、音楽再生3時間、SNS2時間、ゲーム1時間)のペースで利用しても2日のバッテリー持ちを実現している。なお、ダウンロードした動画の連続再生時間は39時間で、前モデルの30時間から大幅に向上している。
1日10時間使ってもバッテリーは2日持つという。ハードに使いこんでもあまりバッテリーが減らないのが魅力
販路をまとめよう。通信事業者としては、NTTドコモ、KDDI系のauとUQ mobileおよびJ:COMモバイル、楽天モバイルの各社が取り扱う。また、SIMフリーモデルもこれら通信事業者とそう変わらないタイミングで発売される見通しだ。
NTTドコモ、KDDI系のauとUQ mobileおよびJ:COMモバイルの通信事業者のほかSIMフリー版も登場